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ネコミミ王子と嘘つきメイド  作者: 花言葉
ネコミミの解決策を探せ!
14/23

4

 コルンに着くと。

「いらっしゃいませー」

 大声が響いている。客寄せの商売人が、大声を出しているようだ。

「にぎやかだわ」

 ララはうれしそうにそう言った。

「コルン大図書館に向かうぞ」

「はい」

 三人で歩いて図書館へ向かう。図書館に向かう途中、あちこちの店から、誘われたり、良い匂いがしていた。

「うう~帰りに寄っていいですか?」

「いいよ」

 キャイルは微笑んでそう言った。

 図書館に着くと、そこには、中々大きな建物があった、蔵書二〇万冊と書いてある。

「すごい」

「思った以上に探しづらいですね」

 サグナも困ったようにそう言った。

「司書さんに訊けば一発よ」

 ララがそう言って、カウンターにいる、男の人に話しかけた。

「『ハーブの調べ』と言う本を探していまして」

「作者は、ハンリ・ファブリスです」

「では、植物の棚のF行をお探し下さい」

「そうか、司書さんでも、本の名前全部は覚えてないのか……」

 ララは少しがっくりした。しかし、植物の棚F行を見ていると、『ハーブの調べ』は無かった。

「なんで?」

「植物ではないのかもしれませんね」

「植物じゃないとすると、自然とか理科の所だったんでしょうか?」

「魔女は、薬を作るのに使っていたのなら、医療の棚だと言う可能性もあるんじゃないだろうか?」

「あるかも!」

 三人で、医療の棚を見てみた。

「F行の、ファブリスだから……あった『ハーブの調べ』」

「良くやったララ」

 そのまま、借りて、帰りに街を歩いていいと言われたので、ララは、少し一人で歩き回っていた。

「ふ~ん、このアクセサリーかわいい」

 白い羽の付いたブレスレットをながめて、そう言った。

「あっ、でも、この丸いふわふわのキーホルダーもかわいい」

 アクセサリー屋の前で悩んでいたら。

「お嬢さん、少しお茶でも」

 と声をかけられてしまった。

(ナンパか、こんなところで騒ぎを起こすと王子に迷惑がかかるわ、騒ぎにならないようにうまく断ろう)

「ごめんなさい、私、連れの彼氏を探しているの」

「彼氏いるの? お嬢ちゃん」

「はい」

「どうする」

 二人組は話し始めた。

「今は、いないんなら、連れていっちゃおうぜ」

「えっ?」

 おもいっきり腕を引っ張られた。

(げっ、どうしよう)

「ララ、やっぱり君は心配かけすぎ」

 そう言って、目の前に現れたのは、キャイルだった。

「ごめんなさい、騒ぎは起こさないつもりだったの、でも、この人達しつこくナンパなんかしてくるんだもの」

「君は悪くないけど、騒ぎを起こしてでも、振り払うべきだったね」

 キャイルは、そう言って、剣を取り出した。

「兵士か?」

「だったら、分が悪いぞ」

 そう言って、慌てだすナンパ男。

 キャイルは、剣を振り回して、一人のナンパ男の首の横に剣を置いた。

「今すぐ、死にたい?」

 笑顔でそう訊いた。その笑顔は、何より怖かった。

「ギャー、ごめんなさい」

 ナンパ男達は、一目散に逃げ出した。

「はっ、あの位の男なら、私でも倒せたかもしれないわ、よく見ると、なよなよしているじゃない」

「ララ、君は女の子なんだ、大人しく守られてくれない?」

「ふふ、王子様って、本当に天然でらっしゃいますね」

 ララはうれしそうにそう言った。

「私を守りたいなんて、本当に変わってます」

 キャイルは、少し首を傾げた。

「何が、変だと思ったの? 君を守る事ってそんなに変な事なのかな?」

「はい、変です」

 ララは笑顔でそう言った。

「キャイル様、大丈夫ですか?」

 サグナが心配そうにキャイルに駆け寄る。

「今日は、危ないから、帰ろうかララ」

「はい」

 ララも馬車のところまで歩いた。

「しかし、今日は、収穫があったな、魔女の持っていたハーブの本を手に入れられるなんてラッキーだよな」

「そうですね、術師にでも、居場所をはじき出してもらいましょう」

「たどりの術者は、王宮にもいたな、サグナ」

「はい」

 サグナが返事して本を手に取る。

「もう一度確認のため、読みますね」

 サグナが本を読んでいると、手が止まった。

「一二六ページの次が、一二九ページになっている。もしかして魔女が抜き取ったのかもしれない」

「どれどれ、本当だ!」

 キャイルも本を見て驚く。

「一二六ページから一二九ページは、カランと言う、花のページの様ですよ」

 そう言って、図書館で借りた方を開いた。

「カランか、でも、それが何なのだろう?」

「カランは、毒のある草です。きっと、毒を作る予定だったのでしょう」

「なるほど」

 キャイルも納得している。

「毒、カラン!」

 ララが震えだした。

「どうした?」

「何でもない、少し、昔の事だけど、カランの毒で死んだ人がいたの、その人の事思い出しちゃって……」

「そうか」

 キャイルはララの肩を抱いた。

「落ち着くまでこうしている」

「ありがとう」

 馬車はガタガタ揺れて、城の中へ入って行った。

「母上、ただいま帰りました」

「おかえりなさい、キャイル、無事に帰って来てくれてうれしいわ」

「母上」

 キャイルは王妃に抱きしめられる。

「サグナ、ララを一人にしないでやってくれ」

「はい」

「ララさん、いつまで泣いているのですか?」

「泣いてないよ、震えているだけ、寒いから……」

「じゃあ、目が赤いのはどうしてですか?」

「花粉症よ、ほっといてよサグナ」

「あなたを放っておくなと、キャイル様が言うのですから、私も仕方なくあなたの側にいるのですよ」

「ふん」

 ララは拗ねた。

「王子には、内緒だよ、カランで死んだ人って、私のお父さんなんだ」

「そうですか」

 サグナは冷めた様子でそう言うが、その時は、心配されたり、騒がれたりする方が嫌だとララも思った。

(サグナは意外と優しいのかも?)

 そう考えていた。


◆ ◆ ◆


 その夜、ララは、父のお葬式の夢を見た。

「……」

 冷や汗が流れた。

(お父さん、なんで……)

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