食レポ異世界日誌なんかクソ喰らえ!
まあ、クソを喰らうのこの主人公なんだけどね。
目の前は暗い森。時間は夜のようだ。鼻に届く臭いは、まさしく自然。人の手が入った様子は現時点では見られない。その後、しばらく歩いて考えていると嫌な予感がした。
「あのおっさん。もしかして、石と森の世界に飛ばしてないよな。」
可能性は十分にある。いや、俺がおっさんだったら飛ばす。その結論にたどり着く前に色々確認してみよう。
身体能力はどうやら、少し上昇しているようだ。垂直飛びで2メートル近くの枝に手をかけててっぺんまで登ることが出来た。いやこれ、以前の世界でも出来たか?
次に言葉。独り言をいくつかつぶやいたが、聞こえる音はいつもと同じだ。しかし、通じるかどうかは人を捜さなければいけない。
最後に、ボーナスについて。この世界でしか調べる方法がないとおっさんが言っていたが、調べる方法がわからない。「半裸のおっさん聞こえるかー?」と天に向かって叫んでみたが反応がない。叫んだ後、何だか恥ずかしくなった。
とりあえず、夜だけど人の気配がある方へ歩いていこう。
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しかし、歩いても歩いても明かりさえ見えない。せいぜい星空だけである。木の根に躓くわ、顔に蜘蛛の巣がひっかかるわ、耳元にブンブン虫の羽音が聞こえるわ散々である。
なかなか眠くならないこの体にボーナスでもついているのかと思って、日が昇るまで歩いたが人っ子一人見つからないし、人が歩くような街道も見つからない。
もう一度、木に登り辺りを見渡したが森と山に囲まれていることしかわからなかった。
そうこうして、二日目の夜になった。
「本当に人いる世界か怪しくなってきたな。」
森の中に流れている川で一休みして、見覚えのある木の実や果物を食べていた。この見覚えのある木の実元の世界でも正直食べられるものか最初は戸惑ったことがある。そのなは「あけび」何このもさもさ?って感じでした。
人がいるかどうか正直どうでもよくなってきた。あの空間におっさんと二人きりよりましだと思ったからである。
さて、川で一休みをしてその後、どうするか考えて川を下るより上ることにした。理由については、川を下って海に出るより山に登ってこの世界の広さを再確認したいと思ったからである。
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腹が減った。
あれから木に寄りかかり、寝ながら歩みを進めたが、山道はきつい。そして、手元に収容用具がないのは長距離移動が不便だった。さっきの木の実や果物はずっと手に持つことも出来ず、食べる分だけ取ったので今は何も持っていない。
このままでは飢え死にしてしまう。そんなレベルでお腹が空いてきた。歩くのも億劫になり腰をかけると、目の前に食べられるかわからない草がある。
元居た世界での職業上、食べ物にはうるさい自分だがこの際お腹が膨れるなら何でもいいと思い始めていた。その草は、特徴がないのが特徴の何処にでも生えている草である。例えるならば芝生のようでもある。
芝生を食べるって俺は牛か?まあ、いい。引きちぎってみよう。草だ。完全に草だ。何処をどうみても草だ。我慢するか?もう一度考えてみよう。本当にお腹は空いているか?いや、かなり空いている。これはヤバい。もう何でもいいや。牛でも豚でも何とでも呼べ。俺はこの草を食べる。明日を生きるため、プライドを捨てる!
その草を口に含んでもしゃもしゃしてみた。・・・悪くはない。むしろ良い。噛んで食べれば食べるほど、口の中に広がりまるで草原で風を感じている爽快感が体に広がる。もう一つ食べてみる。旨い。勘違いではない。どうやらたまたま、食用の草を食べたようだ。たぶんこの世界では料亭とかで前菜に出される奴だ。そう思うことにした。
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数日後・・・
そこには草を食べまくる野生児がいた。その野生児が生活している大木がある広場には、日に日に土の表面積が増えている。
とある村では除草のために囲いの中に山羊を放ち、草を食べて除草を行っている地域がある。それに似た現象がここでは起こっている。
野生児は最近、食べ物に飽きてきた。たまにはタンパク質が食べたくなる。しかし、この世界に来ていくつか気づいたことがある。まず、トイレについてだがこちらに来てから一度もしたことが無い。どういうことなんだろうか?ここら辺がボーナスに影響しているのかまだわからない。
次に、この森についてである。人の手が入っていないこの状況なのに、まだ動物に出会っていない。もしかするとあのおっさんが俺のことを考えて危険が少ない森を選んだのか?いや、それならもっと危険が少ない街道とかにするはず。
タンパク質については一応あてがある。草も食べているこの状況なら、虫を食べても問題ないはず。実際昔、虫を食べたが見た目だけ気にしなければ、エビとかそんな感じである。