表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜×侍  作者: ぽんこつ少尉@『転ショタ3巻/コミカライズ3巻発売中』
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/128

第三十話 エルフの集落

前回までのあらすじ!


本家本元の土下座は美しかった!

 二つの足音が迷いの森を歩く。

 一つは後ろ手に縛られて、泣きそうな顔で前を行くダークエルフとかいう種族の長身の女で、もう一つは縛った蔓の端を持ち、その背後を悠々と歩く銀竜シルバースノウリリィ嬢だ。

 ちなみにおれは――。


「……すまないねェ……。……おれがこんな身体なばっかりに……」

「ふふ、いいですよ。お気になさらないでくださいませ」


 なぜか上機嫌なリリィに背負われていた。

 もう体内の栄養分は燃やし尽くしちまったのさ。

 女に背負われるなんざ、侍の恥だ。


「……あぁ~、切腹もんだ」

「あら。今さら何を仰っておられるのですか。マスターはもう散々わたしの上に乗ったではありませんか。雄々しくて、荒々しくて、素敵でしたよ」

「……その言い方よ……」


 前を行くダークエルフが振り返り、リリィではなくおれを睨み付けた。


「イ、イチャイチャするなっ! あたしがいることを忘れんなっ!」


 もっともな意見だが、見解の相違も甚だしい。

 リリィがダークエルフをぎろりと睨み、小声で呟く。


「……うるさい……」

「ひぃ!」


 ダークエルフが足をもつれさせながら逃げようとした。

 リリィは落ち着いた様子で彼女を縛った蔓を引いて寄せ、その背中をわしっとつかむ。


「早くあなたの村まで案内しなさい。マスターが飢えて死んだら、わたしがこの森ごとあなたを食べますからね?」

「も、もう着いてるよ!」


 リリィが眉をひそめた。

 景色はこれまでとまるで変わらず、光すらほとんど射さない深い森だ。四方どちらに視線を向けても、それは変わらない。


「魔術結界ですか?」

「そうだよっ」


 やや拗ねたように吐き捨てて、ダークエルフが右手の人差し指と中指を立て、小声で何かを呟きながら斜めに手を振り下ろす。

 おれは目を見張った。

 音もなく、景色が破れたのだ。迷いの森の描かれた絵巻を破ったと言えばわかりやすいか。

 ダークエルフは迷うことなく、その先の景色へと足を踏み入れる。


「……ついてこい」


 森、拓けて――。

 その一帯に闇はなかった。

 大きな大きな、とてつもなく大きな樹木が五本ばかり生えているだけだ。それは迷いの森にあった大樹程度の高さではない。


「こりゃすげえ……」


 思わず声に出た。

 見上げりゃ十丈(30メートル)以上はあろうかという大樹の枝には無数の家屋があり、大樹同士の枝は木の橋で結ばれ、白肌と褐色肌の耳の尖った亜人種が行き来している。


 樹上の集落だ。

 リリィが橋を渡る彼らの姿を眺めて、眉の高さを変えた。


「ハイエルフとダークエルフが一緒に暮らしているの?」

「そうだよっ! 人間どものせいでなッ!」


 ダークエルフの女がぎろりとおれを睨んできた。


「敵の敵は味方ってことで、手を打ったんだッ。数のいなくなったダークエルフが、ハイエルフの軍門に下ることによってなッ」


 その口ぶりだと、ハイエルフとダークエルフも本来ならば仲の良い種族というわけではなさそうだ。立場的にはハイエルフのほうが上か。

 おれは渇いた唇をこじ開けて、掠れた声で尋ねる。


「人間が、おまえさんたちの敵なのかい?」

「あたりまえのことを言うなッ!!」


 ダークエルフの声色が変化した。

 それまではどこか怯えの混ざった強がりに聞こえていたが、今のはそれさえ忘れた怒り一色だった。


 憎しみに燃える瞳を向けられたのは、久方ぶりだ。

 ま、おれにゃこれっぱかしも関係のねえ話だ。腹さえ満たせりゃそれでいい。

 リリィがダークエルフの手首を縛っていた蔓を指先で切り、その場に投げ捨てる。


「そうかい。じゃ、案内してくれ」

「……ッ」


 ダークエルフはおれを睨んでいたが、リリィに促されると不承不承に歩き出した。

 大樹の洞に向かい、その中に造られていた螺旋状の階段を上がり始める。

 途中、すれ違った肌の白いハイエルフの男が、ぎょっとしたように、リリィとおれに視線を向けてきた。


「人げ――っ!?」

「やあ、ちょいと邪魔するぜ」

「……」


 返事はない。ただ、前を行くダークエルフと同じ種類の視線を向けてきただけで。


 樹上の集落に到着すると、エルフたちの視線が一斉におれたちに集まった。

 子連れの女エルフはあわてて自分の子をつかまえ、木造の家屋へと閉じ込める。男らは木弓や石でできた刃物に手を伸ばし、あからさまに警戒心をむき出しにした。水汲みの老いたエルフは水桶をひっくり返して逃げ出す。


「……傷つくねェ。これ、食いもんもらえるかねェ……?」

「わたし、無理な気がしてきました」


 気づけばおれたちは、若いエルフに取り囲まれてしまっていた。どいつもこいつもかまえてこそいないものの、油断なく武装してやがる。大半がハイエルフだ。


「……おれもそんな気がしてきた……」


 ほとんどが黒曜石の弓矢に、槍は少人数か。

 不用意に近づいてこないあたり、アラドニアの魔術兵や名もなき国の門番よりはできるのだろう。

 そのうちの一人。輝く金色の髪を持つハイエルフが、おれたちの横に立っていたダークエルフに声をかけた。


「ライラ、なぜ人間などを連れてきた。生かして帰せば、我々は行き場を失うぞ」


 どうやらダークエルフの名前はライラというらしい。


「そ、それは――」

「これだからダークエルフは使えない。森で殺せば魔物が処理してくれたものを、危険を承知でわざわざ連れ込むなど」


 ハイエルフたちが一斉にライラへと軽蔑の眼差しを向けた。

 しかもやたらと物騒な言葉が聞こえちまった気がする。

 あ~あ~……勘弁してくれよ。腹ぁ減った……。


ドラ子の雑感


食べ物……もらえそうにない……。

マスターが骨っこになったら、宝物にしよう…………くすん……。



※来週中にでもタイトルを変えようと思っています。

もっとなろう向けに色々詰め込んだもののほうがいいのかも……。


※追記

上記タイトルの件、私の書き方が拙く、皆様に誤解を与えてしまいました。

変更を決めたというより、まだその前段階です。

変更をすべきかどうかで迷っている、の間違いでした。

何が正しいのか、もう少し考えてみたいと思っております。

お騒がせいたしました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ