異世界トリップ
「里桜、最近私を避けてない?」
「は?
何言ってるの?」
「だって、高校に入ってからまともに話してないじゃない。」
「別に避けてないし。
私だって新しい友達もいるから優香といることも無いだけ。」
「っ!!」
「傷ついた表情しても無駄。
私はあの人たちみたいに優しくないから。
話がそれだけなら私は帰るよ。
友達待たせちゃってるしね。」
タンタンと階段を降りる里桜を睨みつける優香。
「何よ、私がいないと何も出来ないくせに!」
翌日
「里桜ちゃん、生徒会の方が来てるよ。」
友達に呼ばれて、廊下に出ると
「お前が霧谷里桜か?」
「だったら何ですか?
用はお早めに言ってください。」
「昨日優香が泣いて来た。
私には里桜しかいないのに。
私を避けているの。って」
「ふーん。
別にそう思ってくれたって構わないけど。
私は今の友達と過ごしたいの。
貴方が何言っても変わらないからね。」
ズバッっと言うと彼は瞳を見開き
「お前面白いな。」
「はぁ?」
「気に入った。
荷物を持ってついてこい。」
「でも、友達と帰るよ」
「里桜ちゃん、その人と行ってきなよ。
明日案内してあげるから。」
「分かった。
じゃ、少し待ってて。」
サッサと、荷物をまとめて彼について行く。
「俺の名は一ノ瀬時雨だ。」
「一ノ瀬?」
「名前で呼べ。
俺もお前の事は名で呼ぶから。」
(ふーん、悪いやつではないかな)
「分かった、よろしく時雨。」
その時
「一ノ瀬くん?!
何で里桜といるの?」
「別に俺の勝手だ。」
「何よ!
何で里桜がわたしのものをすべて取るのよ?!」
「はあ?!
優香頭イカれたの?」
「うるさい!
何も聞きたくないよ!!!」
里桜と時雨は階段を上がっている途中だった。
優香は階段を降りて里桜を突き落とす。
「里桜!!」
時雨はひらりと飛び降りて里桜を抱きしめる。
「何で?!」
と声はしたが、里桜の意識はプツリと途切れた。
(起きて、リオ。)
(誰?)
(君は異世界に飛んじゃったんだ。
僕が守ってたけど力不足だった。
この世界は君のいる世界ではゲームみたいな感じかも。
君にはたくさんの加護来るから大丈夫。
頑張ってね。)
(えっ、ちょっと待って?!
異世界ってどういうこと?!)
ガバッとリオは起き上がると
「目醒めたか。」
「時雨?
ここは」
「俺達がいた世界ではないな。
ただ、ここには生徒会の奴らの気がある。
多分あの女も来てると思うぞ。」
「なんだって相手になるよ。
多分ここは魔法とかが存在すると思うんだ。」
「そうだろうな。
お前の服とか着替えさせたのは、この人だし。」
そこで、里桜は自分の服装が変わってることに気がつく。
そして目の前には美男美女、そして一匹の竜、2本の剣がいた。
『『『『『『始めまして、リオ。』』』』』』
『目覚めたか、わが主。』
『良かったです。』
「あ、コレ夢の中で現れた人の言ってたやつ?」
『はい、私達はリオの契約精霊であり精霊を従えるもの。』
「精霊王ってこと?」
『はい』
「まじですか。」
「俺も剣は持ってる。
この世界のものでは無いがな。」
と言うと時雨は空間から一本の剣を取り出す。
「これは血桜。
俺は一応陰陽師の家系なんだ。
だからこういうものにも慣れている。」
「なんか…。」
「何だ?」
「そういうのってカッコいいね。」
と里桜が言うとボフっと赤面する時雨。
こうして二人の新しい生活が始まった。