第一話
「人は何のために生きるんだろうな」
ここは人の喧騒からは遠く離れた森の奥深く、ここに一人の男がいた。このような場所を歩くのには明らかに不向きな白のコートを羽織った男。その男の眼前には白いボールのような機械から発せられている青い光、どうやらそれは離れた場所の人と映像をやりとりするための物なのだろう、青い光の中にひとりの女が映し出されていた。
そして、その女は男の問いかけに対して自分の指を一本たてて言う。
「簡単なことです、人は夢を叶えるために生きてるんですよ」
「そうか夢か、なるほど一理あるな。ちなみにお前の夢は何なんだ?」
その問いかけに女は先ほどとは変わって少し考えた後、目を輝かす。
「やっぱりゴッチのバックの新作ですね」
そういう女に男は優しい笑みを浮かべて。
「そうか……そんなに良いもんなのか」
「えぇ、だから私のバックのためにクリフさんにはしっかり働いてもらいますよ」
「うん、そうか。なるほどそれは良い。だがなんで俺の取り分がこんなに少ないんだ」
クリフと呼ばれた男、その今までと全く違う雰囲気に女は少し怯えたような表情をするがすぐに気を取り直したようで指を男に向かって指していう。
「私の夢の為に我慢して下さい」
「ふざけるなぁ」
男の叫び声が森に響いた。