第5話 猫耳カフェはつらいぜ!ってかマジッスか!?
読み辛い文章だと思いますが、善処します。これからも宜しくです。
「………………………………………
……ぅああ~」
「この方法はやっぱアカンかったかな?」
「小豆先輩、その言いようだと、この状況は想定内だと受け取りますが、よろしいですか?」
現在、東城輝、小豆未来の2人はカラオケボックスに来ている。そして、輝、小豆先輩の向かいには、ゾンビと化した策弥が転がっていた。 策弥にいったい何が起きたのか、どうしてゾンビと化してしまったのか、今からそのプロセスを説明しよう。
前回の話の最後から2日後の土曜日。
学校は休みということで、小豆先輩の提案で(ほぼ強制で)自称縄張りの秋葉原に遊びに連れて行かれることになった。
「ちょっと、連れて゛行かれる゛ってどういう意味やねん!?」 小豆先輩の案内でアキバ観光をすることになった。
ミキナビは目的地までド直球コースだった。最初にして最後の観光スポット。【ニャムネルト】
「猫耳カフェだよ」 まるで太陽のような輝く笑顔で店を紹介する。しかし、その笑顔の本当の意味に、策弥は気付くべきだったのだが、まぁそれは置いておこう。
輝はさすがに気付いたようだが、策弥に知らせることはあえてしなかった。 早速店内に入る3人。
「いらっしゃませ~!3名様で宜しいですか?」 「はい。3人ですニャ」
小豆先輩が馴れた返答をする。 策弥はボソッと呟いた。「ネコ語喋るの店員じゃなくてこっちなんだ。マジか!?」
「ふむ、なかなか変わった趣向の喫茶店だね。新鮮味があって良いんじゃないか」
「いやいやいや、輝よく考えろ。先輩ならまだしも、俺らがナントカにゃんなんて気持ち悪いぞ。絶対」
「ホゥ…、君が言う分には全く違和感がないな。むしろ…」
「俺の場合はネコじゃねぇし。オオカミだし。ってか見惚れてんじゃねぇ!」
輝にまじまじと見詰められて不覚にも顔が赤くなってしまった。それを誤魔化そうと、つい喚いてしまった。すると、
「きゃぁぁ!サックンのツンデレキタ---!!」 また一層赤くなり、
「つっ、ツンデレじゃぁないッス!」
取り乱してしまった。パーカーフードが脱げるほどに。
あっ!と思った時にはもう遅かったようだった。店員にガッツリバッチリ、アレを見られてしまったのだ。
3人と店員さんの間に一瞬の静寂が流れる。策弥にとっては生きた心地のしない一瞬だっただろう。
「あの…これは、その…見なかったことに…」
そう言い終わるか終わらないかで、策弥の体は高速タックルの衝撃を受けた。
「ふンぐはっ!」
策弥は驚く暇もなくむせた。何事か理解する前に、今度は肩を掴まれて揺すられた。
「ねぇねぇねぇねぇ君君君君君、内でバイトしない?君みたいなボーイッシュタイプ内になかなか入って来ないのよ。そのルックスでネコ耳がデフォルトなんて逸材よ逸材!ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ!」
「ハガアガウガエガオガ…ちょ、く、首が、もげ、もげ、る」
この世話しない店員さんに返答したのは輝だった。
「お姉様、それ以上は゛彼゛の首がもげる恐れがあります。どうかそのくらいで…」
店員さんは今度は輝にギラリと視線を向けた。
「アナタは執事?それともホスト?…ん?゛彼゛ってどういうこと?」
ネコ耳カフェの店員さん、ではなく、店長のミサキさんに、策弥が今流行りの〔男の娘〕であることを話した。
「って、ちげぇよ!男!俺は男です!輝テメェ、俺のキャラ設定勝手にいじくるな!」
「サックン別にえぇやん。実際そんな感じやし。ここでバイトしても良いんちゃう?店長さん直々やし。ナ!」
「先ぱ~い…マジッスか?正体バレたらどうするんスか?」「何言うてんの。正体も何も、サックン体は間違いなく女やん。問題なんてあらへんて。ナ!」
策弥は小豆先輩の輝く笑顔から顔を逸らしつつ、不本意ながら輝に助けを求めてみた。
輝は何やら、店員さんもとい、ミサキ店長さんや、他の店員さんの方をジロジロと、怪しい視線を向けていた。
「輝、今お前のエロめがねが光って見えるぞ。」
「エロめがねとは失敬だなぁ策弥君。僕は今純粋にこの店の制服をプロデュースしてみたいなぁと思っていただけだよ。勿論君に合わせてね」
「いりません!」
わざと透かした表情を向けてくるが、ハッキリ断った。はずだった。
何がどうして、いつからこうなった?小豆先輩の大阪のノリと、ミサキ店長さんの世話しないテンポに、俺はいつの間にか制服に着替えさせられていたりする。フリル付きメイド服とか着せられちゃってたりなんかしちゃったり。幸いにも俺の獣耳には特に注目が集まることはなかった。
策弥は店長さんに引かれるまま、他のスタッフ達の前に連れてこられた。その途中、大きめ鏡があって、チラリと視界に写った自分にギョッとした。
〈あれ、意外と可愛いのかこれ!?〉
10人ほどのスタッフ達が店長さんの号令で集まってきた。なし崩し的というか半ば強制的にではあるが、自己紹介をして、赤面しながら後頭部を掻いてデレる策弥の姿に、女性店員さん達は声を上げて喜び、男性スタッフは何に感心しているのか唸っていたり、新キャラ登場にまんざらではない風に喜んでいたり。
「策弥君、僕は君を心から応援しているよ。君の専属の客人になって君を指名し続けることを誓うよ」
「俺はキャバ嬢か!そんな応援いらん。つーか俺はやるなんて1ナノミクロンも言ってな…」
と言い切る前に、
「ミサキさん、サックン、彼の衣装だけ、ウチがオリジナルで作ってもええやろか?この店のジョーカーみたいな感じにしたいんやけど、ええ?」
「先輩?何を話して…」
と言い切る前に、
「よし!いいでしょう」
「え、何が?」
「オッシャァァァ!!サックン2、3日待っとって。メッチャサックンに似合うメイド服作ってきたるから」
俺は必死に先輩の暴走を止めようとした。輝にも助けを求めたが、笑顔で肩をポフッと叩かれた。
〈ドンマイ〉
輝は笑いを堪えきれず吹いたので、俺は輝のつま先を思いっきり踏んでやった。
続く…
秋葉原のメイド喫茶は来店したことはありますが、ネコ耳カフェなる店舗は経験ありません。全くの想像妄想ですんで、ネコ耳カフェファンの方、ごめんなさい。