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オオカミ少女はつらいぜ  作者: 霜月ぷよ
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第9話 お前なんか別に好きじゃない

完結だぁ完結だぁ。

自室のベッドから、眠りに入る寸前のまどろみの中、夜空を見上げる。今何時ぐらいなのだろうか?ぽつりとそう思いながら、意識が薄れていくのを心地よく感じていた。

ふと、月明かりを遮る影が。気のせいだろうか?また眠りに入ろうと意識を沈ませ始める。

まだその影はいる。こちらをジィ~っと見ている。そう感じた。

ゆっくり意識を覚醒させていき、確かな意識でベランダの影を見やる。

(…策弥?)

彼はなぜかそう思った。いや、感じたのだ。何故か、こんな真夜中のベランダにこちらをじっと見てくる人影。不思議と恐怖などは感じなかった。

彼は普通にベランダの窓を開けた。

「策弥…?」

ぼそりと呟く。

その瞬間、月明かりに尖った耳がピクリと立ったの見えた。

(ガッ、ドサッ!!)

いきなり床に突き倒された。

「アッ、くっ…!」

咄嗟に受け身を取ったが手首を捻ったのか痛みに苦悶の声が漏れた。

しかし、今はそれどころではなかった。今かれに覆い被さっている影、何故かこんな近くにいるのに、姿全体が影。顔ぐらい絶対見えるはず。

しかし、見えるのは頭にびょこんと立った耳が2つのシルエットだけ。

「ガゥ~…ググゥ~…」

獣の唸り声が静かに漏れる。だがそこに、よく知っているような声が混じっていることを、彼は聞き逃さなかった。

「策弥…、策弥だね?」

優しく問いかけてみた。

ギラリと、瞳と思われる部分と牙らしき部分が光った。

「君が僕を襲いにきたのは偶然なのか?それとも…」

「グルルゥ~…」

殺気を感じた。

「ふむ。まさか君の方から僕に迫ってくるとは夢にも思わなかったよ。僕はどちらかといえばSだから、僕が君を押し倒す方が理想なんだが」

彼は余裕の笑みで影の相手にそう言った。

一瞬、影の反応に僅かな動揺を感じた彼は、躊躇いなく影に抱きついた。

体は彼より小柄で、肩まで伸びたフワフワの髪。そして、女子特有の柔らかい体と甘い香り。

彼は堪らなくなった。

「策弥、僕を咬め。君に咬まれるなら本望だよ。さあ、僕を咬みたまえ!」

「…………」

長い沈黙が2人の間に流れる。

先に口を開いたのはどちらだったのか、

「ごめん輝…」

「僕は君なら…」

かぶり気味になり、また沈黙が流れるかと思ったのだが、輝の予想ははずれた。

策弥は突然輝の腕を掴み、ベランダに飛び出したのだ。

「ま、待て、ちょっ…!?」

策弥は一瞬の間に輝を抱きかかえ、二階のベランダから飛んだのである。





月明かりの照らす空き地。

輝は黙って立ったまま、目の前に立つ゛少女゛を見つめる。゛少女゛も黙ったまま何かを待っていた。

雲に隠れていた月が、ゆっくりと2人を照らしてゆく。それに合わせるように、少女の姿がはっきりと現れたのである。

「やっぱり君か。フフッ、さすがは僕だ。」

「………輝、ごめん。俺…」

「やっぱり女の子の策弥の方が魅力的で良いね」

「…怒れよ」

策弥は俯いままぼそりと呟いた。

「何故だい?」

優しく問う。

「俺は、お前を咬み殺そうとした。」

「誰か他の人も咬み殺したのか?」

変わらず優しく問う。

「してない」

「ならそれで良いじゃないか。君が僕以外の人に唇を付けたとなれば、焼き餅どころではすまさないぞ!」

策弥の顔がほんのり赤くなるのを輝は見逃さなかった。

「女の子になった今の君にとって、僕が君の恋愛対象であるならば、これほど嬉しいことはないだろう」

僅かに身構える策弥。

「しかし、それでは僕のS心は満たされない。嫌がり、照れながら、僕の好意をむげにする君だからこそ、僕は萌えるんだよ」

よく分からないポリシー的な何かを熱くのたまう輝。

「それは、Sなのか?どちらかって言えばMなんじゃないのかそれ?」

今の今まで罪悪感でどうにかなりそうだった策弥だったが、輝のいつものイケメンぶりっ子にツッコミをいれて、少し気持ちが和らいだ。

策弥の雰囲気が和らいだのに気づき、輝は策弥に優しく微笑んで見せた。

「な、何だよ、ニヤニヤ見詰めてくるな!」

「それにしても、ネコ耳策弥ちゃん可愛いなぁ」

「なっ、頭撫でんなこの変態野郎!耳も触るなっての!」

頭の上で腕をブンブン、虫を払うように振り回す策弥。

「この耳のフニフニ感!策弥、肉球はないのかい、肉球は?」

夜中の3時。近所迷惑なバカップル誕生!?片方はオオカミ少女。





昼休みの保健室。

小豆未来先輩と輝。そして、再び女の子の体の生活をせざるを得なくなった策弥。

あれからしばらくして、獣耳は引っ込めることが出来るようになり、性転換をしたという事実をカミングアウトすることも決定した。



カミングアウト後3日間は周りから腫れ物扱いだったが、輝と小豆先輩、それに保険医の吉田先生のおかげで、いつの間にか普通に女子の仲間入りを果たした。一つどうにもならないのは、男子共の無駄なアプローチが全く止まないことだった。


「ところで、サックンと東城君はもう出来てるん?どこまでいったん?A?B?C?もももしかして?」

「ABC?何のことッスか?」

「うわぁ~、サックン天使やわぁ、ほんまもんの清純やわぁ!」

キョトンな策弥。

「策弥、ちょっと耳」

耳を寄せる策弥。

「違う。ネコ耳の方だよ」

「だからネコじゃない!」

そう言いながら獣耳をピョンと出す策弥。その可愛い耳下で、

「Aはハグ。Bはキス。Cは裸の付き合いだよ。」

バッと耳を押さえながら後退る策弥の顔がみるみる真っ赤に染まる。

「ばっ、ばっ、バカか!お前なんかとそんなことするわけないだろバカか!」

動揺しまくりで唾をとばしながら怒鳴り散らす策弥。

「言っておくけど俺はお前を恋愛対象にしないからな。お前なんか別に好きじゃないし!分かったか変態野郎!」

顔を真っ赤にしている一名を除き、保健室は笑いに溢れた。





おしまい

あ~疲れたぁ。処女作としてもイマイチでした。未完成極まりない。次回作はこれよりは良い物語を書きたいと思います。 ではまた次回作で。

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