01
一度の過ちを犯してしまった。
深夜0時を過ぎた頃俺はベッドから降りて周りに散らばっている服を着た。
ベッドの上には気持ちよさそうに寝ている女
これが普通の恋愛なら何も咎められることはない。
ただ俺に、妻と子供がいなければ…
俺の名前は如月隆司
ベットの上で寝てるのは俺の部下吉田愛里。
ここは彼女の部屋で流れで今日こんな事になってしまった。
会社ではほぼ一緒に行動し、食事、相談…といろいろと吉田と過ごしてきた。
その中で吉田に惹かれることもあったが、俺には妻も子供もいるという理性で抑えてきたつもりが、抑えられなかった。
吉田を可愛いと思うが一線を越えてはいけないとはわかっていたのに
それでも女性から誘われれば欲には勝てない…
…いや、もうすでに引き返せれないくらい吉田に惹かれていたんだと思う。
だから抑えられなかった。
もし、戻れたとしても、今日吉田を抱いていなかったとしても、同じことをしているだろう…
服を着て、ベッドの上で未だにぐっすり寝ている吉田に近づいた。
そして無意識に手は、吉田の頭を撫でていた。
「吉田…ごめんな」
こんな妻子持ちの男に簡単に抱かれるような軽い女ではないのに
俺はそろそろ帰ろうと手を離し立ち上がろうとした。
「…ん…っ」
「吉田?」
寝ていた吉田の目が少しずつ開いていた。
「ぶちょー…」
「起こしたか?」
「…帰っちゃうんですか?」
「ああ、帰らないといけない場所があるしな…」
「ですよね」
悲しい顔をする吉田を置いて家に帰るのは後ろ髪を引かれる思いをするが、それでも泊まるわけにはいかない。俺には帰る場所があり、妻も子供も待っているから…
「…鍵はポストの中に入れておくから。…会社でな」
「はい」
吉田の返事を聞くと俺は部屋を出て俺の本来の帰る場所へ帰った。