召されました
やっちゃったー!
どうしよう どうしよう ごまかさなきゃ! というかまず花とか後光とか消さなきゃ!
あわわわわわ! 待って、落ち着く! 落ち着くから! おち……つ……無理ー!
駄目だこれ焦ると焦るだけ余計に神気が漏れ……
「か~か~か~(見つけましたよ神皇産霊神様)」
はっ! しまった今のでヤタガラスに見つかっちゃった! やだよこっち来ないで~!
まだ帰らないんだから!
「かぁ(問答無用です)」
あぅ! 離してー! 帰らないってば! やっと、やっと智美ちゃんの笑顔が見れたのに!
これからもっと仲良くなるんだから! 離れないぞ!
って、え、ちょっと、待って、待って、もう浮いちゃってるぅ!?
うわわ、ちょ、まずい、ますいって! 私、智美ちゃんの事抱きしめたままだから!
この子まで一緒に連れてく気!? そんな事したら、智美ちゃん死んじゃうからー!
って言ってる間にもうシャレにならないくらい逝っちゃってるし!
あ、駄目だ……ごめん。本当にごめん。責任はちゃんととるから!
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さらさらと心地良い風に頬をなでられ、ゆっくりと意識が浮上していく。
あぁ、私、寝てたのか。そうだ、天気が良かったから屋上で昼寝してたんだった。
うん? それにしては背中に感じる感触が柔らかい気がする。寝転がった時はもっと固かった様な? 寝起きのぼんやりとした頭に疑問符が浮かぶ。
寝ている私を見た誰かが、下に何か敷いてくれたのかもしれない。うっすらと、誰か来た記憶があるような気が……
ん? 何だか苦い気持ちがこみ上げて来たんだけど何だろう?
あー、寝起きだから思考がまとまらないや。大分寝てた感じがする。夢も見たし。
光り輝く神皇産霊さんと、花々が咲き乱れる幻想的な風景。何処かから飛んできた鳥が神皇産霊さんの頭と両肩を三本の足で掴みながら羽ばたいて、慌てた様子の神皇産霊さんが私を抱きしめて――
うーん、夢にまで見るなんてそうとう私は神皇産霊さんが好きなんだなぁ。
そう思いながら、目を開け、
一面真っ白なふわふわが広がる景色と、浮遊する人々(?)を視界に納め、
ゆっくりともう一度目を瞑った。
うん?
何だか、今、とても現実とは思えない景色を見た様な気がする。
何拍か空けて、もう一度目を開けた。……。だめだ。そこには変わらず非現実的な光景が広がっている。
あぁ、うん。まだ寝てるのかな私。そうであって欲しいけど、何でだかコレが現実だって認識しちゃってる自分が居るんだけどどうしよう。
白いふわふわに顔を埋めながらしばらく躊躇っていたが、いつまでもそうしてても仕方無いので意を決して起き上がった。
顔を上げてすぐ目に入ったのは、ふんわりとした衣装に身を包んだ青年。
引きずるほどの長さの、さらさらの髪が風を受けて波打っている。
ぱっちりとした大きな瞳、桜色の薄い唇、形のいい鼻、すべすべの白い肌、細い体……目が合った瞬間、心臓が打ち抜かれた。愛してる。
この感覚には覚えがあった。一目見た瞬間から、無条件に愛を注がざるをえないこの感じ。
神皇産霊さんだ。
唐突な性転換の理由は分からないし、なぜか髪の長さが尋常じゃ無い程伸びているけれど、神皇産霊さんだという確信がある。魂がそう叫んでいる。
私は、ぐっと奥歯をかみ締め、きつく拳を握って神皇産霊さんから目をそらした。
でないと、駆け寄って抱きつきながら愛を叫んでしまいそうだからだ。
何だか今の神皇産霊さんは危険だ。原因は不明だが、いつもにも増して愛しさが止まらない。
「智美ちゃん」
少しだけ低くなった声で名前を呼ばれ、ふるりと体が震えた。ぎゅっと頬の内側を噛んで、爆発しそうな喜びを押さえ込む。
「あの……本当にごめんなさい!」
突然がばっと頭を下げる神皇産霊さん。申し訳なさそうな顔の彼女(いや、彼?)が可愛すぎて困る。
抱きしめたい衝動を堪えるのに手一杯で、謝罪理由をツッコむ余裕が無い。
腕を組み、顔を顰めたまま一言も発さない私に、頭を下げたまま事の顛末をぽつぽつと語り始める神皇産霊さん。
身振り手振りを交えて一生懸命説明する姿に萌……気をとられない様に殊更集中して説明を聞き、状況を理解した私の胸の内は、大変混沌とした事になった。
(神―!? (私と離れたくなかったとか、そんな、嬉し過ぎるんですけど! (いやいや何だそれふざけんな! (良いの気にしないで! わざとじゃ無いってわかってるから! (え? え? これからどうなんの!? (とりあえず神でも何でも愛してる! (責任とってくれるんですよね!?)
色々ごちゃまぜ過ぎて処理デキマセン。