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あいちてるー!(心の叫び)  作者:
無駄に長いプロローグ
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とある女子高生の苦難

 私は愛情表現をしない。出来ないのではなく、しない。


 別に何かトラウマがあるとか、プライドが高いとか、感情が無いとか……そういう特別な理由がある訳じゃ無い。

 ただ、“好きだとアピールしている自分”が極度に恥ずかしいってだけだ。

 ちなみに、好きなことをアピールするのが嫌なだけなので、恋心はちゃんとある。

 全く表に出さないだけで。

 好きなことをごまかす為にわざと強く当たってしまったり……とか、そういう逆に分かりやすいツンデレ行為をするでもなく、かといって無関心を貫くわけでもなく、いたって普通に接する。結果、1㎜たりとも好意を悟られた事がない!(得意げ)

 あぁ、いや、自分以外の人が誰かにアピールしているのを見るのは平気なんだ。

 むしろ微笑ましいと思う。

 そんな事は極々稀にだが、自分にアピールしてきてくれるのも普通に嬉しい。

 羞恥心を感じるのは、自分自身にだけなのだ。


 そんな私に、人生最大のピンチが訪れた。



 高校に入学し、初めて教室に入った瞬間、私の目に飛び込んできたのは天使だった。

 いや、女神かもしれない。

 さらさらの長い髪、ぱっちりとした大きな瞳、桜色の薄い唇、形のいい鼻、すべすべの白い肌、細い体……

 その子、神皇産霊(カミムスビ)さんはすべてにおいて完璧だった。男であれば、いや、女であっても一目見た瞬間に頬を染める容姿。女の子の最高傑作である。

 そこまでは良い。特に文句は無い。むしろ美人が観賞し放題でラッキーくらいに思った。

 だが次の瞬間、私は、彼女と同じクラスになってしまった事を心底嘆いた。


 不意に合った視線。


 その眼差しに、打ち抜かれた。


 あの破壊力は半端無い。もう、好意しか抱けない。一瞬で、大好きだー! ってなった。

 もう、思わず気を抜くと言葉や態度に好意が滲み出てしまいそうなくらいのレベルだ。


 そこから、私の苦行の日々が始まった。


 彼女への好意を必死に必死に押し隠し、平静を保つために極力近づかず、できるだけ視界にも入れず、どうしても話さなければならない時は、用件だけを手短に伝え素早く去る。

 自分でも、感じ悪いと思う。周りからも訝しげに見られた。

 けど、仕方ないじゃないか。そうしないと、好きが溢れちゃうんだ!

 恥ずかしい自分を曝すはめになっちゃうんだ!


 一年が終わる頃には、精神的に限界だった。

 ちなみに、一年間でほぼ全校生徒&教師が彼女にやられていた。

 逆ハーとはこういう事だろう。いやはや、生で見る事になるとは思ってなかった。

 その中に自分も含まれてさえいなければ面白おかしく観察していられたのに!

 いやもう、二年に上がってクラスが別になった時は心の底から安堵したよ。先生方に頼み込んで彼女と別のクラスにしてもらったんだけどね。

 あの時は必死だった。職員室で泣きながら土下座するくらい必死だった。

 先生達驚いてたなぁ。そりゃそうだ。彼女と同じクラスにして欲しいと頼む子は沢山いたらしいけど、別のクラスにして欲しいって頼んだのは私だけだったから。

 泣きながら土下座したのも私だけだったらしいし。


 ふ……



 そうして私は平和を手に入れた。


 と、思っていた。


 クラスが違っても、同じ校内に居るのだから、そりゃ顔を合わすこともある。確率が減っただけで、ゼロになったわけじゃない。

 気を抜いてはいけなかった……

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