3(注:落書き追加)
丁寧に丁寧にもてなされ、落ち着かない気分のままベットに入った翌朝。
窓から差し込む光に起こされ、けれどまだ夢の中にいたいと、ふかふかの毛布に顔を埋めて抗っていると
「ミーおきてー! あさー!」
ぽふぽふと後頭部に感じる柔らかい衝撃と、耳を振るわせるリーファスの声。
(むふー……幸せー)
思わず、にへらっと頬が緩ん……あっぶなー! あわてて表情を引き締める。
毛布で顔が隠れていて良かったー! 一呼吸おいて自分を落ち着かせてから起き上がった。
「おはよう」
「はよっ」
(くぁー! 力いっぱい撫で回したい!)
リーファスは朝から可愛さ爆発です。なので私の脳内も朝から爆発です。うなれ忍耐力。
着替え――夕べは断りきれなくていたたまれない状態になったが、今回は自分の意思を通すことに成功した。がんばった。威嚇とか威嚇とか――を済ませると、夕べと同じくお兄さん方に抱き上げられて移動する。
「おはよう……」
夕べみたく切々と諭されるのは嫌なので、「ございます」は飲み込んだ。
今の私は「神様から預ってる大切な人」と認識されてるから、敬語は使っちゃめなんだってさ。何だかとても恐れ多い事になってるんだよっ 笑うしかないよね! 笑わないけど。
「おはようございます。夕べは良く眠れましたか?」
「うん。ありがとう」
お兄さんたちの言葉遣いも、実は昨日から少し変化していたりする。
寝る間際まで諦めずに粘ったおかげで、最上級敬語から丁寧語に変えてもらう事ができたのだ。長い戦いだった……
遠い目をしている内に、目的地に着いたようだ。
「あしゃのれはい! いのゆ!」
私がこの世界で始めて目にした場所……大聖堂。主祭壇の上に乗り、誇らしげに杖を掲げているリーファスは大神官らしい。
ちっちゃいのに凄い肩書きだなと驚いたが、ちっちゃいのは、プリチー族という成人しても二頭身の種族だからなのだそうだ。
今の私が二頭身なのも、仮の体がプリチー族だからだ。異世界マジックで幼児化したのかと思った。違った。
さて、礼拝がはじまる。
「んー」
「「んー」」
リーファスが杖を足元に置き、両手を握りながらぎゅぅっとしゃがみこんだ。
ちらっと見ると、祭壇の前にいる他のプリチー神官も同じようにしゃがんでいる。
そして
溜めたものを解放するように、天にむかって一斉に両手を広げ
「あいちてるー!」
「「あいちてるー!」」
ぱぁっと全員が満面の笑顔を咲かせた。
次の瞬間、さぁーっと何本もの光の筋がリーファスたちの下へと降り注ぐ。
――あいちてるうううぅ!――
神々がメロメロになるのも頷ける。可愛い過ぎるもの。可愛い過ぎるものっ!
叫び出したい気持ちを堪えていると、ふと、私の元にも一本の光の筋が延びてきた。
疑問に思いつつも光に触れた瞬間、『繋がった』という感覚と共に頭の中に声……が……
――二頭身の智美ちゃん! かっわいー!――
ぷちり。
反射的に繋がりを切り、床に蹲った。
(頭の中にダイレクトで神皇産霊さんの声とか……っ!)
ぺちぺちと床を無意味に叩きながら溢れる想いを発散させていると
「どちたの? たいたい? だじょぶ?」
リーファスが心配そうに覗き込んできた。上目づかいで。
(どいつもこいつも愛しいなチクショー!)
どこへ行っても愛しさからは逃げられないらしい。
「大丈夫。ありがとう」
「よかた」
ほっと安心した様子のリーファスに内心でデレッデレしている内に、ひょいっと。
またも抱き上げられました。
移動はだっこ方式以外ないのだろうか……。
※気軽な気持ちで描いた落書きがあります。
イメージを壊す恐れがありますのが、興味があれば、下へどうぞ。