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第四話 「飛翔の竜騎士」

大感謝 \^o^/ PV2,800突破!! 読者のみなさん、本当にありがとう!!! これだけの人に読んでいただけてるなんて;; というわけで第四話遅れてさーせんでした <(_ _)> !!! では、ご堪能くださいまし^^

  

挿絵(By みてみん)





 ジャンヌ「とりあえず、今日中にはソロンに出発するよ」


 とジャンヌ。


 リィゲル「……それは街の名前か何かですか?」


 と私である。不意打ちとも襲撃ともとれる電撃的求婚宣言を受けた私は、もちろん断った。


 ……断ったんだが。


 ジャンヌ『いいや、受けてもらう!』

 

 リィゲル『いきなり過ぎます!』


 ジャンヌ『恋にいきなりもクソもあるか! 大人しく受け取れ!』


 リィゲル『そうはいきません! そもそも結婚というのは――――』


 ジャンヌ『御託はいらん! 結婚しろ!』


 リィゲル『ですから、受けるわけにはいけません!』


 ジャンヌ『ええい、往生際の悪い男だ。私の何処が不服なんだ!』


 リィゲル『そういう問題ではありません!』

 

 ジャンヌ『胸か!? 胸ならあるぞ!』


 リィゲル『人の話はちゃんと聞いてください! そういう問題ではないと言ってるんです!』


 ジャンヌ『ほう、じゃあどんな問題なのか聞こうじゃないか』


 リィゲル『いいですか、結婚とはそもそも誠実な交際を重ね、互いに真に理解しあってからするものなのです。決して安易にしていいものではありません』


 ジャンヌ『時間が必要と、そう言いたいのかい?』

 

 リィゲル『そうです』


 ジャンヌ『その言葉、偽りないね?』

 

 リィゲル『無論です』


 忘れもしない。あのジャンヌの不敵な笑顔を。あの勝利を確信した笑顔を。


 ジャンヌ『リィゲル、あんたの負けだよ』


 リィゲル『どういう意味です?』


 ジャンヌ『あんたは確かにこう言った。結婚するなら時間を掛けろとね』


 リィゲル『はい、確かに私はそう言いましたが、それがどうしたと言うのです』


 ジャンヌ『つまりこういうわけだ。時間を掛けて交際するならあんたは私と結婚してもいいんだろ?』


 (やられた。不覚をとった。人生で最大の不覚だ)


 リィゲル『き、詭弁です!』


 ジャンヌ『おや、嘘だったのかい? 確か、倭国の言葉には男に二言はないって言葉があるんだけどね』


 (ああ、うれしいけど日本のような国がこの世界にもあるとは)


 リィゲル『くっ!』


 ジャンヌ『と、いうわけで。詰み、だね、リィゲル』


 こんなときに限って、父のとある言葉が頭をよぎった。


 父『据え膳食わぬは男の恥』


 (ち、父上! なぜそのような言葉を!)


 リィゲル『……分かりました。私の負けですよ』


 ジャンヌ『よッしゃあ!』


 もう諦めるしか、方法はなかった。まあ、ジャンヌが相手ならやぶさかではない気もするが。


 リィゲル『ただし、あくまで結婚を前提とした”交際”からですよ』


 ジャンヌ『ああ、上等さ! いくらでも待つよ。もうあんた以上の男なんてそうそういないんだからさ!』


 うれしいのかうれしくないのかはっきりしない瞬間だったと思う。ああ、悔しさに思わず心の中で涙を流す。



 

 そのようなやり取りを経て、私たちはテントの中で次の行動について話し合っているのであった。


 ジャンヌ「ん、ああそっか。リィゲルたちは何も知らないんだったねぇ。ソロンってのは、ここから南に馬車で五日ぐらい行ったとこににあるまあまあデカイ街さ。今んとこはアタイのねぐらだね」


 リィゲル「馬車を使うんですか?」

 

 ジャンヌ「そのつもりだけど、馬車は初めてかい、リィゲル」


 リィゲル「何度かありますよ。乗馬もしてましたし。ヒルダはどうですか?」


 ヒルダ「私はありません。ですが、戦車チャリオットを馬車と考えてもいいのなら初めてではありませんね」


 ジャンヌ「ヒルダ、あんたなかなか興味深い経歴の持ち主だね。別にいいけどさ」


 リィゲル「ははは、私も戦車は(ティーガーⅠなら乗ったことあるけど)経験がありませんね」


 ヒルダ「ふふっ、確かに軍人でなければ扱う機会のない代物でしたね」


 くすりと微笑むヒルダを見ながら、やはりヴァルハラでは乗り回していたのだろうと自分なりに想像してみた。軍団の先頭を駆け抜ける、戦車を操る戦乙女――――。


 (――――ティーガーⅠの砲塔の上でも、やはりそのように見えるだろうな)


 今は懐かしき東部戦線。と言っても撤退か防衛戦しかしなかったが、その途中何度か機甲部隊と行動を共にしたことがあった。戦車の上に部隊を搭乗させ、やはり敗走だったが、何より装甲板の上に座り続けたせいで、部下ともども腰を痛めた珍事は今でも鮮明に覚えている。まあ、馬車でも同じことになりそうだが――――。

 

 レイア『おぬしたち、よもや本当に馬車に乗っていくつもりか?』


 ふと、今まで干し肉をついばんでいたレイアが念話で呼びかけてきた。


 リィゲル「そのつもりですが、何かあるんですか? レイア」


 レイア『何かも何もあるまい。我の背に乗ればソロンまでは一日とかからんよ』


 とてつもなく恐ろしい予感がしたのは恐らく私とジャンヌの二人だった。


 ジャンヌ「……レイア、それ本気かい?」


 レイア『何の問題がある』


 リィゲル「人を三人も乗せるのは流石に重いでしょう」


 レイア『お主たちまでならさほど不自由なく飛べるぞ』


 ヒルダ「よろしいのですか、レイア。私もこの通り甲冑を着ていますが」


 レイア『大丈夫だと言っておる。さっさと乗れ』


 ジャンヌ「ちょっと待ちなよ。もう出発するのかい!?」


 私も同感である。出発の準備などまだしていないのだ。


 レイア『何を言っておる。ジャンヌは多少手荷物があるだろうがリィゲルとヒルダは着の身着のままであろうが』


 リィゲル「……そう言えばそうですが……」


 ジャンヌ「本当ですね。私もこれしかありません」


 納得せざる負えないと言うか、まあそのままだろう。このテントも公用らしいし、ジャンヌの荷物も大したことはなさそうである。安全性に疑問はあるが、考えてみれば竜の背中に乗れるなど普通は叶わない夢みたいなもので――――。


 ジャンヌ「ア、アタイは乗らないからね!」


 おや、予想外の反応である。


 レイア『怖いか?』


 ジャンヌ「そ、そんなんじゃないよ!」


 ………………。いたずら心というか、意地悪というか。これはもうジャンヌを無理やりレイアに乗せると言うのはこの私に課せられた使命であるようだ。体のいい先ほどの意趣返しと思ってもらって差異はない。


 リィゲル「――――私は乗らせてもらいますよ、ジャンヌ。では行きましょうか――――」


 ジャンヌ「ま、まま、まっておくれよ! あんた本当に乗る気かい!? 空を飛ぶ気かい!?」


 リィゲル「ええそうですよ。ヒルダも乗りますよね?」

 

 ヒルダ「はい。レイアがよろしいのなら私も」


 ジャンヌ「え、ちょ、まっ。あんたたち、アタイを裏切るんだね!!」 


 リィゲル「人聞きが悪いですね。そんなつもりはありませんよ」


 我ながら少々からかい過ぎだとは思ったが、ジャンヌの反応があまりにも素直すぎてやめようにも止められなかった。本人にはとても言えはしないが、ほほえましかったのだ。


 レイア『ふ、ふはは、はーはっはっはっはっは! これは愉快だ! 先ほどリィゲルを言い負かしたつけが早速戻ってくるとは! ジャンヌ、もう諦めろ。お前は特に慎重に運んでやるからな』


 そう言ってレイアはジャンヌを一重に口ではさんで捕まえてしまった。


 ジャンヌ「は、離せっ、馬鹿。離せって!」


 レイア『リィゲル、ヒルダ、早く乗れ』


 ヒルダ「分かりました。ジャンヌ、貴女の荷物はこの革袋だけですね?」


 ジャンヌ「離――って、あ、うんそうだけど――――じゃなくて! 離せぇぇぇ!」


 リィゲル「ではレイア、失礼します――――」


 そう言って私は左の翼の付け根に手を掛け、よじ登るようにレイアの背中に――――首の後ろ辺りにまたがった。そして続いて登ってくるヒルダに手を取り、一気に引っ張り上げる。


 ヒルダ「ありがとうございます、リィゲル」


 リィゲル「多分、というより絶対に危ないですから、しっかりとつかまって下さい」


 ヒルダ「そのようですね。では――――」


 ジャンヌ「コラー! そこ何腰につかまっていちゃついてやがる!! いい加減アタイを助けろぉぉ!」


 首の後ろは、多少堅かったが毛が生えていたので座り心地は悪くなかった。私は鱗と甲羅の隙間を掴み、いつでも離陸できるように前屈みになった。まるでバイクの二人乗りのような姿勢である。


 レイア『それでは、飛ぶぞ!!』


 バサッッッッ――――――――――――!!!!!


 ジャンヌ「降ろせえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!……………………――――――――――――――――――」


 遥か高く、天空へと登りつめるさなか、柄にもなく、少年時代にあこがれていた竜騎士の物語を思い出しつつ、怖いというよりもむしろ、新たな未来への希望と共に、私たちはソロンの街へと飛翔していくのだった。







 ジャンヌ「――――リ、リィゲル。この借りはいつかきっちり返してやるからね……」


 ソロン近郊の、人気のない森の中に私たちはいた。レイアの発見を逃れるため、夜を待ってわざと少し離れたところに降り立ったのである。ヒルダにはさっき結界を張りに行ってもらった。


 リィゲル「ああ、ちゃんと覚えておくよ」


 そしていま私は現在、真っ青のジャンヌの背中をさすっている最中である。彼女は気絶どころか吐くこともなかったのだが、やはりこの世界の人間は空を飛ぶということ自体あり得ないことのようで、いわゆる乗り物酔いに陥っていた。私は一度だけ急降下爆撃機の後部席に乗ったことがあったので、急旋回やアクロバットには耐性ができていた。さすがにあの時ばかりは胃の中身を地上でぶちまけてしまったが。


 ジャンヌ「……まあいいさ。とりあえず夜は城門が閉まってるから、街入りは明日になってからだよ……。おえっ」


 リィゲル「これは重症ですね。吐かないだけすごいですが……」


 レイア『ふ、情けないな(笑)』


 ジャンヌ「レイア、……てめぇ。覚えてろよ」


 レイア『威勢だけは良し。ハッハッハッハ』


 さも愉快そうに声を上げて(あくまで念話だが)笑うレイアをじとーっと睨むジャンヌ。


 ジャンヌ「……おえっ」


 まあ、吐き気を前にしては何もできないというのは常である。


 (――――あ、そういえば肝心なことを忘れていた)


 リィゲル「レイア、私たちが街にいる間、貴女はどうしましょうか」


 そう、レイアはあくまで討伐の対象になるほどの強大な火竜である。おいそれと街に連れて行こうものなら間違いなく国家レベルで排除しにかかるだろう。だから、レイアは街の外の人目につかないところで待機してもらわなければならないのである。


 ところがすぐにその懸案は取り下げとなった。


 レイア『その必要はない。我はお主と契約したことによってかりそめではあるが人の姿をとれるようになったのだからな』


 そういうことは早く言って欲しいものである。


 レイア『聞かなかっただろうが』


 思いもよらないことをどうすれば聞けようか、いや聞けない。


 レイア『よし、物は試しだ。人の姿に変わってみようではないか』


 リィゲル「ちょっと待って下さい」


 また新たな懸案に思い至った私は即座に止める。


 レイア『どうしたというのだ?』


 どうしたもこうもない。


 リィゲル「変身の際は衣服を着た状態で変わるのですか?」


 つまるところそういうことだった。下手すると裸で出てくることもありうる。むしろその可能性の方が高く思えた。だからこその質問であったのだ。


 しかし、またも杞憂に終わる。


 レイア『見くびってくれるな、我が主よ。裸で出てくるわけがなかろう。相応の格好はするつもりだ。だが、リィゲルが望むというのなら一糸纏わぬ生まれたままの裸体で出てくるがな』


 リィゲル「それは遠慮しておきます。どうぞ服を着た状態でお願いしますよ」


 レイア『ハッハッハッハ! 臆病者め、まあよい。無駄にリィゲルを困らすこともあるまい。ではやるぞ――――』


 ふっと、頬を風がなぞる。刹那――――。


 ビュオオオオオォォォォォ!!!!――――――――――――。


 突風――――いや、竜巻が、桜吹雪の竜巻が月明かりのもとに出現した。


 レイア『――――舞踊、千本桜――――』


 短い言の葉が紡がれた。呟きともとれるその言葉は、やがて桜吹雪と共にいずこへと消える。


 代わりにそこにいたのは、桃色の髪をした一人の女性。紺のロングコート。カーターベルトと連結されたグレーのロングブーツ。エメラルドをはめ込んだ黒のチョーカー。そのどれをとっても全てがその女性を引き立てる要因足りえた。麗人の旅人とでも言おうか、とにかく、竜の姿も美しかったが、それとはまた違った魅力があった。


 レイア「――――ふぅ、人の姿と言うのも悪くはないな。むしろ癖になるかもしれん。どうだリィゲル。これでよいか?」


 リィゲル「ええ、案ずるより産むがやすしでしたよ。さすがは竜族を束ねる者です」


 ヒルダ「リィゲル? この方は……。まあ、レイアなのですね」


 するとそこへ丁度ヒルダが戻ってきた。どうやら結界は問題なく張れたようだ。


 ヒルダ「人の子になったとはいえ、魔法などは人並み以上に使えますからね。このくらいはさほど大変でもありません。それよりも、どうしてレイアが人の姿に?」


 リィゲル「ああ、それは――――」


 一通り説明。ジャンヌは明日起きてからでいいと思う。


 ヒルダ「なるほど、そういう事でしたか」


 リィゲル「これでひとまずは安心です。明日は難なく街に入れますよ。今日はのにもないところでの野宿となってしまいますが、我慢しましょう」


 ヒルダ「そうですね。本当なら五日はかかったのですからこのくらいは。レイア、ありがとうございました」


 レイア「礼には及ばんよ。我が命はもはやリィゲルのためにある。あいつの命とあらばどんなことでも甘んじてさせてもらう。まあ、だが、ヒルダ。おぬしもジャンヌも、リィゲルとは絆で結ばれているようだから、多少のことはきいてやるぞ」


 ヒルダ「はい、その時がきたときはお世話になります」


 リィゲル「二人とも、もう寝よう。もう随分と遅い」


 ヒルダ「そうした方がよさそうです。では」


 レイア「ああ、そうだな。眠りに就くとしよう」


 リィゲル「おやすみなさい」

 

 ヒルダ「ええ、おやすみなさい。よい眠りを――――」


 こうして、一匹――――いや、一人と三人は身体を寄せ合い、互いに冷えぬようにしながら意識の中に沈んだ。





 ――――実は、ジャンヌの夜這いは図らずもレイアのアクロバット飛行によって、未然に防がれていたのだった――――







あとがきです。今回は祝PV2,800ということでちょっと長めに書きます。まずは改めてご愛読ありがとうございます。私といたしましてはうれしい反面、いつ「このパクリ野郎!」と言われるかと冷や冷やしております。うん、だってねえ。レナス様とかリオレイア希少種様とか……。二次創作ぎりぎりですよねぇ。はい、人ごとですね、コレ。自重します。あ、ちょっやめっ。やめて、白い目で凝視しないで!マジ怖いから>< あ、それと、何ゆえ初心者なものでもしかしたら誤字とか脱字とかが暴れまわってる危険性があるんで見かけたら獅子竹所まで通報してください。善処します! あと、挿絵もできればほしいかなあなんて思ってたりします。感想、お叱りなども募集中なので、どしどしお願いします。では次回の「ファンタジア・フロンティア!」もよろしくです^^ 

<追伸> 近々この世界の地図でもUPしようかな♪

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