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第十話 「傷跡~前篇~」

おはようございます・こんにちは・こんばんは


 

 獅子竹 鋸です^^


 いつもご愛読ありがとうございます^^


 お待たせいたしました。みなさまから頂いた感想などを参考にしつつ、推敲の毎日です。読者の一人からの提案で、台詞の前に名前を付けるのをやめることにしますw


他の話でも少しずつ消していくのでご報告を。


それから、ここで改めて明言しておきますが、レイアが死ぬのはリィゲルが死んだときのみです>< それと、リィゲルに取り込まれたのは心臓と力の一部だけですので、そこんとこよろしくポw


と言うわけで前書きもほどほどに、第十話、ご賞味あれ!!



 挿絵(By みてみん)




 ポポーヴィッチらに見逃され、屈辱を胸にソロンへと戻った私たちを待っていたのは、破壊と略奪の痕だった。何者かによって襲撃を受けたソロン内部の城下町は、主に大通りを中心に被害が広がっていた。襲撃した者たちは既にいなかったが、火の手はまだいたるところで上がっており、火消したちの怒声や一般市民たちの悲鳴が聞こえる。見れば城の一部からも煙が上がっていた。


 そこらじゅうに転がる死体や瓦礫、鼻を突く腐敗臭と硝煙の臭い。かつての西部戦線が、脳裏に浮かぶ。


 「――――ポポーヴィッチ、か……」


 ほぼ間違いなく襲撃者のリーダーであろう男の名が、レイアの口からぽろりと洩れた。


 私たちの前に突如として現れ、霧のように去っていたあの戦闘集団。今思い返せば、彼らの武器や防具は汚れていた気がする。


 「――こんな、ひどいことを……。何故……?」


 「……これが、ポポーヴィッチたち≪あいつら≫さ。目的なんてない。ただ目についたから、そこにあったから。目的のための手段じゃない。手段のために――殺戮と略奪のために襲う……。ただそれだけさ」


 「ジャンヌ、貴女もしかして……」


 「――――よくある話さ。まだ五歳になったばかりの女の子が、とある町に住んでた。だけどある日、その町は盗賊たちの襲撃を受けた。戦える大人の男たちは立ち向かったけど、歯が立たなくてみんな殺された。老人や病人も皆殺し。女たちはみんな慰み者にされた後やっぱり皆殺し。だけど、その女の子だけ、隠し部屋に隠れて、家族を、町のみんなを見殺しにして、生き残った…………」


 「「「…………………………」」」


 とうとうと語るジャンヌに私たちは、かけるべき言葉を失う。

その出来事が、なす術のなかった少女にどんな傷を与えたかを理解できてしまったから。


 「……また、アタイは生き残った。また、守れなかった……。あまつさえ、あいつらを実質見逃した…………」


 「ジャンヌ、でもあの時の私たちではとても――――」


 「――――分かってるさ!アタイの実力が足りなかった事なんて!それでもねぇ、アタイはあいつらを――いや、ポポーヴィッチを殺すために生きてきたんだ!それなのに、それなのにアタイは一矢報いるどころか、何もできず、そして、見逃された!」


 見かねたヒルダが何とか慰めようと言葉を絞り出したが、ついに感情のたがが外れたジャンヌは顔を両手で覆い、しゃがみ込んでしまう。今まで見てきたジャンヌとはかけ離れたその姿は、幼き日に全てを失った少女のそれであった。


 トラウマを抱え、抗い、強く生きようとすればするほど、挫折するのはたやすい。


 「……一体、何のために力をつけてきたんだろうね。結局何も出来ないんじゃ、意味無いのにね」


 「…………とりあえず、貸家に戻ろう。一旦落ち着いて考えよう。これからどうするのか、何をするのか……」


 「………………分かった……」


 ジャンヌの小さな頷きに、私とヒルダは腰の砕けた彼女に肩を貸し、歩き始めた。


 「――――それにしても、妙だな。ここは城塞都市――――つまりそう簡単に軍勢を内部に侵入させるなど出来ないし、それに衛視や駐屯軍がいたはずだ。そうは思わぬか、あるじよ」


 「……言われてみれば、確かにそうだ。私たちが遭遇した戦闘集団は二百ないし二百五十人。移動を考えるとそれ以上の人数はありえない。ましてやここは城塞都市。城門を突破できるわけがない……」


 「……つまり、あらかじめ長期間にわたって内部に戦力を集結させていたということでしょうか?」


 「…………だろうね。いかにもあいつのやりそうなことだ」


 「やはりそれしかないか。だが、そこまでしてこの街を襲うメリットがあるとは思えない。むしろリスクが高すぎる。襲うならもっと簡単で確実な村や町の方が狙い目だろうに」


 考えれば考えるほど浮上してくる不可解な点に、どこか煙≪けむ≫に巻かれたような錯覚を覚える。


 ポポーヴィッチたちが仮に長期的な計画を立ててソロンを攻撃したとして、成功しさえすれば確かに入りは多いが、帰ってリスクの方が圧倒的に高い。まず、人が多いことからどうしても一人二人は面がわれること、脱出する前に駐屯軍に包囲される可能性が高いことなどなど……。


 すると、前方から私としては数少ない顔見知りの一人が駆けてきた。


 「――っ!リィゲルさんにヒルダさんじゃないですか!お二人とも御無事だったんですね。よかった。それにお連れの方も…………。って、ジャンヌ姉さんじゃないか!」

 

 私の二番目の武器≪セカンドハンド≫であるハルバートを紹介してくれたフリッツ少年である。


 「フリッツくんか、君の方こそ、無事だったんだね。君のいた店が途中で燃えていたからもしやと思ってしまったが、どうやらやつらに出くわさなかったみたいだね。それにしても、ジャンヌとは知り合いなのかい?」


 「……知り合いどころか、隣近所のガキだよ」


 「まあ、そんなところですね。ジャンヌ姉さんにはいつも世話になってるんですよ。ともかく、僕はたまたま休日で家にいたから助かったんです。気が付いたらかなりの被害が出てて、正直、何も出来ませんでした」


 “何も出来なかった”


 フリッツにとっては何気ない一言であったのだろうが、私たちにとっては糾弾そのものだった。


 「…………そうだったのか。まあ、命あってのもの種というからね。気落ちする必要はないよ」

 

 自分たちをごまかすように、当たり障りのない言葉で返す。


 「そう言ってもらえると助かります。少し、気が晴れました。ありがとうございます」


 「いや、いいんだ。本当は私たちの言えたことじゃないんだからね」


 「?どういう意味です?」


 「……気にしないでくれるとこちらも助かる。それより、君はこれからどうするんだい?店はあんな状態だし、仕事を見つけないといけないんだろう?」


 口を滑らせた私は、さりげなく話題を変える。


 実際、フリッツが働いていた「ソロン・ブレイズ」は全焼だったので、私は彼が新しい仕事はどうするのかと心配だったのもあった。


 「はあ、まだ考えていませんでした。そう言えば今僕は無職になっちゃったんですね」


 私に気付かされた事実にため息をつくフリッツ。若干16歳に、失業のショックは少々きついものがあるだろう。ましてや自分の好きな仕事だったのだ。落ち込まざるを得ないに違いない。


 「……君はまだ若いから、すぐに見つかるさ」


 「……多分、しばらくは街の修復を手伝うことになるでしょうから、職探しはそれからですね」


 帰ってくる言葉も何処か暗い。

 

 「そうか、ならいい。それじゃあ、また」


 「はい。こちらこそ失礼します」


 気になりながらも、互いに挨拶を交わしてフリッツと別れた私たちは、ジャンヌの貸家へと歩いた。









 いやぁ、なんと言うか、我ながらテンプレすぎるかなと。ジャンヌの過去。


 で、前篇なんで後半もありまっす。誰がでるかな?


 駄文ですが、末永くお付き合いくださいませ^^


 ご意見・ご感想・ご指摘、いつでもどしどしお送りください><

 なるべくパソコンはチェックしますので!


 それと、再び感想をいただいたリオレイアさんと、Bookwormさんとカメ・A・さんにこの場を借りてお礼を。



 それではそろそろお別れの時間ですのw


 次回も、乞うご期待!!



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