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アヌとレイダの物語 イタリア編〜回環外伝  作者: 天賜 撫子


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1/1

ルイーズお嬢様と侍女のマリーナ

 

 

 レイダの転生を見守り、幾つもの魂を見守っていたアヌ。

 この広い銀河の中で、彼女を見つけ出すのは困難な状況であった。

 だが、運命は必ず二人を引き合わせる……。


                ***


 時は1880年、今世のレイダは、太陽系に存在する地球のイタリア国公爵家のメイドをしていた。

 名はマリーナ。

 彼女の家は貧しく、父親は庭師としてヴィスコンティ家の元で働いていた。マリーナも幼い頃からこの屋敷内で侍女見習いとして働いていたが、当家の長女ルイーズの元で友人のように側にいたのであった。


「マリーナ、ピアノのレッスンが終わったら、次の晩餐会用のドレスの生地を見に行きたいわ」

「ルイーザお嬢様、わざわざ見に行かなくても公爵家なんですから、屋敷に来て貰えばいいじゃないですか?」

「違うわよ、マリーナ。わざわざ外のお店に行く楽しみもあるでしょ?あとは心時めくような出会いがあるかもしれない!!だから付いて来てね?」

「お嬢様、今はピアノの時間です。集中してください」教師にチクっと怒られたが、気にしない。心はお買い物への楽しみでいっぱいだった。


 マリーナは出掛ける支度をしていた。

 いつもルイーザの気分でお出かけ用のドレスを選んでいた。

「今日の気分はきっと、淡いすみれ色のドレスかしら?出会いを求める時はこの色が彼女の肌を美しく見せることができる。胸元には、ゴールドと控えめなアメシストのネックレスで……」


「お嬢様、準備ができましたよ」

「じゃ!今日のピアノはこれでお終いね!」そう言って、好き勝手に打ち切って教師を追い出した。


「もう、好き勝手に……」ため息をつき、ルイーザの着替えを手伝っていたのだった。

「じゃあ、あなたにも同じ色のスカーフを巻いてあげるわね」ルイーザは自分のクローゼットの中から、自分の今日のドレスと並んでも違和感がないようにした。

 というより、ドレスを着せる訳にはいかないので、なるべく自分と同じ姿に寄せたかったのだ。

 それが彼女のレイダに対しての愛情だった。


 二人と従者1名を乗せ、馬車はドレス縫製店へ行った。

 今一番流行っている技術の映える店だったので、大変混み合っていた。

 壁つたいに、上からドレスが吊り下げられており、見やすくなっていた。

 

「マリーナ!見てこのドレス!このフリルが昨年に比べて少ないけど、見た目が大人っぽくていいわね!」興奮気味にマリーナに言った。

「はい、お嬢様。私もそのドレスはお似合いだと思いますよ!!それにしても今日は特に紳士・淑女が多いような気がします。何か特別な日なんでしょうか……」

「まあ、気にしない気にしない! この生地を見て!」

「ええ。あの、ルイーザ様、私少し気分が悪くなって来ましたので、外の風に当たって来ていいでしょうか?直ぐに戻って来ますので」

「分かったわ。気分が治らないようだったら、このお店で横にならせて貰いましょう。我慢しないでね?」

「はい。では少し席を離れますね。変な男の人にはついていかないでくださいね」


 ルイーズは、最後の件(くだり)は全く聞いておらず、周りに負けない気迫で生地を選んでいた。

 それを横目に呆れて、外に出たマリーナ。


               ***


 「ふう……。あんなに人が密集すると、ゆっくりドレス選びなんて出来ないのに……」

 相当人に酔ったため、店の表にある丁度良い高さのある花壇に腰をかけていた。

 風が心地よく、頬に当たり落ち着いてきた。


 「ちょと寒くなって来たかもしれない……。中に入ろうかしら」と蹌踉(よろ)めいたところでルイーザが自分の為に巻いてくれたスカーフが飛んで行きそうになった。


「ちょ!ちょっと待って!」そのスカーフは無くす訳にいかない!

 彼女はルイーズのことがとても好きだった。無くしたなんて言えない……!そんな気持ちでいっぱいだった。


 マリーナは人混みを分けながら、スカーフを追いかけた。

「おっと!!お嬢さん大丈夫かな?」

 周りを見てなかったため、人にぶつかった感触がしたがそんなことは気にも留めなかった。

 しかし、その声の主の足先から頭のてっぺんまでじっと見ていくと、相手は相当高貴な方だと気がついた。

「あ!申し訳ございません!!大変失礼をたしました……」慌てて謝罪した。

「いいんですよ。この淡い紫のスカーフは貴方のものでしょうか?」その男性はマリーナの手を取り、スカーフを彼女に巻いてあげた。

「ありがとうございます!私はルイーザ・ヴィスコンティ様の侍女のマリーナと申します。スカーフを……ありがとうございました」こう言いながら、なんと美しい男性なのだろうと暫く彼から目が離せなかった。

「マリーナだね。気をつけてね。僕はロレンツォ・メディチだ。今日はこの先にある生地屋に行こうとしていたんだよ。君はここで何をしていたの?」

「いえ……、私は、お嬢様が……恐らく同じお店だと思うのですが、そこの生地屋にいらっしゃいまして、私は気分が悪くなったので、外で涼んでおりました。でも、もう大丈夫ですので中に入るところでした」

「そうか。では一緒に向かおう」

 彼は、左腕を構えて彼女が腕を回すように促した。

 なんと、マリーナは自然に彼の腕に手を回したのだった。それはさも当たり前かのように……。


 そのまま中に入って行き、マリーナはルイーズを探し出た。

「ロレンツォ様、ありがとうございます。お嬢様が見つかりました!」なんと軽薄にも彼から離れて行った。ロレンツォは微笑んで、手を振って見送った。

「お嬢様、何かいいドレス生地は見つかりましたか?」

「ええ!これを見て。この生地で作ってもらおうと思うのだけど、縁に刺繍をするのよ。見て!このサンプルのドレスのように仕立ててもらうわ!」

「とても素敵ですよ!。もうすぐディナーの時間になるので、もう帰りませんか?」

「そうね。今日はここまでね。まだ足りないけど!うふふ」


 マリーナは彼女が嬉しければ自分も嬉しい。

 彼女がいつまでも幸せで、自分はずっとその側にいれたら嬉しい。それ以上の幸せは考えられなかった。



 

 


 


 

 これは「回環」ストーリのレイダの過去世の一つの人生です。


 レイダは転生しても、以前の人生を覚えていません。

 一方、アヌは輪廻の枠から外れているので、ウォークインという形で、体を持つ魂と宇宙人であるアヌの魂との契約をし、体を入れ替える方法とっています。

 アヌは、広い世界(全宇宙)の中からレイダを探し当て、自然に彼女と寄り添い、過去の記憶を思い出させるべく、あれやこれやと彼女のために奮闘します。

 

 このイタリア編で、アヌはどのようにレイダに対して接して、エターナ問題を解決しようと奮闘するのでしょうか。私にはまだわかりません笑

 

 本編とは違う二人のやり取りをお楽しみください。

 引き続き、本編もよろしくお願いいたします!


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