第十四話 対人間
生まれた場所に着いた。
なんとも懐かしい。
あの時は武器のひとつもなくて、子ゴブリンに恐れて必死に逃げたっけ。
それが今ではそいつの親どころか、そのまた親玉まで倒してしまったんだから、成長したもんだ。
だけど、あの時の純粋な生きたいと思う心。
それはいつまでも忘れないようにしないとな。
あれが俺の原点だ。
暗がりの中を勢いよく進んでいく。
段々と通路の幅が広くなっていき、ついに眩い光が見えた時。
「待て」
後方から声が聞こえた。
振り返る。
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アルド(人間)
レベル8
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ロッド(人間)
レベル8
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こいつらは確か、ゴキブリを狩っていた頃に見かけた二人組か。
「なんだこいつ!未分類、下位魔物?」
「新種か。」
「しかもレベル10って!?」
「間違いない。」
ああ、相手にも同じような情報は見えるのか。
なんだか少し嫌な気分だな。
「おい、お前がこの洞窟の主を倒した魔物だな。」
「アルド、なにを・・・・・・?」
洞窟の主?ホブゴブリンのことかな?
うーん、どうやって返事をしようか。
俺には顔という顔がないし。
とりあえず「言葉分かってるよー」てことは伝えよう。
ゴブリンの角腕出して、
「うわ!なんだこいつ。なんか出しやがったぞ」
「まてロッド!」
くるくる回してみよう。
「知性あり、か。」
お、伝わったかな?やっぱり言葉は出ないと不便だな。
「ア、アルド。知性があるってことは・・・・・・」
「ああ、厄介だぞ、こいつは。」
厄介?何のつもりだ?
「悪いが新種。知性があっても魔物は魔物。大きな災いとなる前に、ここで殺させてもらう。」
「おい、やんのかよ!?こいつ、明らかに俺たちより・・・・・・」
「だが、俺たちがやらないとこの先にあるのは俺たちの街だ。腹をくくれ、ロッド。」
「くそっ」
お、なんだ?せっかく意思疎通ができそうだったのに、戦うのか。
だが、こいつらにはほとんど《生存本能》が警告してこない。
まったく脅威には感じないが、折角の倒しても良さそうな人間だし、いい機会か。
いつもの戦闘形態に変化する。
二人も剣を構え、戦闘態勢。
「はあぁっ!」
アルドと呼ばれている方が先に突っ込んでくる。
遅くは無いけど速くもないな。
これなら火を吐くのが間に合う。
ボウウゥ
「っ!アルド!」
「大丈夫だ!だが、こいつは・・・・・・」
おお、生きてたか。防具のおかげかな。
まあ、打撃なら通りそうだし、問題ないだろう。
「ロッド!こいつは俺が足止めする!その間に街へ伝えにいけ!」
「だ、だけどアルド・・・・・・」
「二人で戦ってもこいつには到底勝てやしない!行け!」
「くそっ!」
ロッドと呼ばれた方が入口に向かって走り出した。
逃がしてもいいけど・・・・・・
街に入れなくなったりしたら嫌だな。
こんな時こそ、だ。
地面に転がっている石を二十個ほど取り込んで、少し圧縮。あとは前と同じ。速度と指向性を与えて、体外に出力!
ドン!
「ぐあああっ!」
「ロッド!」
そう、あの時疑問に思っていたことはもう実験済みだ。体内で圧縮している物体をそのまま放出すると、圧縮されているエネルギーが膨張して破裂する。
石つぶてで行うと、簡易的な散弾銃のようになる。という事だな。
「ロッド!大丈夫か!?」
「ぐうううぅ!」
背中に命中しただけでは死ねないのか、うずくまってもがくロッドと、それを横目で心配するアルド。
そんな隙を逃す俺ではない。
アルドに向かって急接近。
火を再び放つと見せかけて、角腕で件をたたき落とす。
「くそっ」
アルドは咄嗟に足で俺を蹴り上げようとするが、俺は羽を使ってそれを避け、生身の部分に火を放つ。
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アルド(人間)を撃破しました。
経験値を獲得します。
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よし。
「アルド、アルドぉぉぉぉっ!」
もがくロッド。
苦し紛れの投擲。
そんなものには当たらない。
角腕を振り下ろす。
「なんだよお前ーー・・・・・・」
グシャ
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ロッド(人間)を撃破しました。
経験値を獲得します。
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