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私の推しは北方の白銀王子  作者: 美雪


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16.悪役令嬢の力



「アヤナ!」


 ルクレシアの召喚に成功!


 町中の魔物のことや延長についてルクレシアと話し合いたいことをクルセード様に言うと、ディアマスから呼んでくれた。


 アルード様も一緒。


 数日の滞在なので予定を調整することができたらしい。


「ルクレシア! 会いたかったわ!」

「私も会いたかったわ! どうなったのか心配で! 暇だったし!」


 最後の部分がきっと大きい。


「ハイランドはやっぱりすごいわ! ディアマスとは違うことが多くあって、毎日が勉強って感じ。一カ月なんてあっという間よ!」

「わかるわ。私もアルード様とこっちにいた時にそうだったもの」

「できれば延長したいけれど、ルクレシアやアルード様に聞かないとだし、クルセード様の役に立たないと絶対に無理!」


 町中で数を増やしている小型の魔物について話した。


「どういう魔物なの?」

「いろいろ。ネズミとか」

「ネズミ捕りの魔法陣ではダメ?」

「数匹だけ駆除してもダメよ。たくさんいるわ。それこそ何百とか何千匹かもしれないわね。ハイランドの王都は広いし、いる場所を探すだけで大変よ」

「簡単よ。ネズミならね」


 ディアマスの王都も増えやすいネズミの駆除には力を入れていて、定期的に駆除している。


 その方法は石畳の広場に巨大なネズミ捕りの魔法陣を描き、集まったネズミを一気に範囲魔法で焼いてしまうとのこと。


「人々の役に立つでしょう? 私が一気に沢山駆除できるように考えたのよ!」


 やっぱりルクレシアはすごい。


 悪役令嬢のスペックを良いことに活用してもいる。


「それと同じことができそうな場所があれば、ハイランドでも同じように効果があるか試してみるけれど?」

「アイン、候補地を探せ」

「はい」


 早速、夜に試すことになった。


「描いてくるわね」


 ルクレシアが広場の中央に立つと、足元に魔力の線が見えた。


 自分から魔力を伸ばして魔法陣を描くやり方で非常に高度な方法。


 細かい術式や文様がどんどん描かれ、最終的にルクレシアのところに戻ってきた。


 これで一筆書きの完成。


「発動!」


 ルクレシアがそう言うと魔法陣から光が放たれた。


 中央にいたルクレシアが浮遊する。


 しばらくすると、道や建物から次々とネズミが集まり出した。


「ギャー! こんなにいるなんて!」


 魔法陣はかなり大きい。そこへめがけてやってくるネズミの数が半端ない。


 いかにこの広場の周辺にネズミがいたのかがわかる。


「溢れちゃいそうじゃない?」


 ネズミは魔法陣の中に一旦入ると外に出られない。


 あとから来るネズミが押し寄せて来るのもあって、魔法陣の中がどんどん埋め尽くされていった。


「限界ね。多すぎるわ」


 ルクレシアが火の範囲魔法を発動。


 あっという間に巨大な魔法陣の中にいたネズミは跡形もなく焼失。


 魔法陣も焼失したので、範囲外にいたネズミが逃げ去っていく。


「あー、いっちゃった……」

「すぐに繰り返すと、警戒されて集まりが悪いわ。数日後にすれば大丈夫。定期的に駆除すれば、数が減っていなくなるわよ」


 ルクレシアがクルセード様を見た。


「クルセード様なら余裕でできますよね?」

「俺がネズミ駆除をするわけがない。他の者にさせる」

「このような方法ができそうな広場が二カ所しかないとか。王都中を綺麗にしたいなら、駆除に利用できる広場を整備する必要があります。ディアマスの王都はそのために整備中です」

「駆除用の広場だけは耐火系の石畳に変え、噴水や彫像などは別の場所に移動している」


人々のために魔法の力を使いたいルクレシアの願いを叶えるため、ディアマスの王都内における害獣駆除をしやすいように変更していることをアルード様が説明した。


「同じように整備する。アイン、候補地を選定しろ」

「はい」

「ルクレシア、他にもこのような魔法陣があるか?」

「虫を集めるのもあります」

「その魔法陣も見たい」

「わかりました。集める対象が違うので、ここでもできます」


 同じ場所でもう一度、虫集めの魔法陣が描かれた。


 絶対に見たくないと思ってしまうほどの虫が集まった。


 あっという間に満員御礼。


 範囲魔法で焼却処分。


 優秀な火の魔法使いがいると、町中の害獣や害虫の駆除はとても簡単にできることが証明された。


「ハイランドの王都は安全度や衛生面で問題があります。早急に改善すべきだと思います」


 ルクレシアの言う通り!


「ディアマスも同じようなものだろう?」

「以前はそうだったかもしれません。でも、ヴァリウス様が国王代理になって多くのことが替わりました。私も人々の生活を守るために手伝っています。火魔法が様々に役立つ事を証明することにもなりますから!」


 ルクレシアは本当にすごい。尊敬するしかないわ。


「アルードは幸運だ。ルクレシアが優秀な女性だとしても、これほどとは思わなかった」

「私の婚約者です。誰にも渡しません」


 アルード様がルクレシアをギュッと抱きしめる。


 ゲームではクルセード様も攻略対象者だしね……。


 牽制としか言いようがなかった。





 ルクレシアのおかげでクルセード様が懸念していた害獣と害虫についての対策ができそうだということになった。


 当然のことながらルクレシアの好感度がアップしたのは言うまでもない。


 私もルクレシアに解決する方法を相談するという意味で役立ったので、滞在期間を延ばしてもらえた。


 今後、クルセード様の気が変わらなければ好きなだけハイランドにいられるし、いつ帰ってもいい。


 ただし、下宿代として時々クルセード様の役に立つことをする。


 小遣いも自力で稼がないといけないので、魔物討伐ギルドの依頼をこなす。


 諸事情によって状況が変わる可能性を考え、普通の定職にはつかないでおくという条件だった。


「アヤナさん、すごいですね! 大活躍です!」

「稼げて嬉しいです」


 害獣害虫駆除用の広場を作るため、王都内のあちこちで強制移住が決まった。


 広場を作ることになった場所にある建物は全部取り壊されることになるので、住民は引っ越さないといけない。


 その影響で魔物討伐ギルドにも解体依頼が多くなり、できるだけ受けていた。


 周囲に影響が出ないように結界を張り、防御魔法をかけ、杖であちこち殴ればいいだけなので簡単。


 残骸処理については別の依頼になるのでやらなくていい。


 あくまでも解体のみ。あとは運ぶだけという状態にしておけばいいだけなので、私でも問題なくこなせた。


「報酬です」

「どうも」


 日中の依頼で危険もなく安全に稼げる。


 魔物討伐ギルドでの信用も上がるし、評判も良くなるし、ついにランクも上がった。


「アヤナ! 短期って言っていたのに、まだいたのか」


 魔物討伐ギルドでイアンと会った。


「イアンも依頼?」

「そう。いいのがないかチェックしに来た」

「好きなだけ延長していいことになったから、良かったら声をかけてよ。前みたいの」

「嬉しい。連絡先は相変わらず王宮?」

「そう。召使い用の別館に下宿しているわ」

「実を言うと、王宮の敷地内には行きにくい。俺は他国人だし、ディアマスのスパイだと思われたくない」

「あー、わかるわ」

「定期的にここにいるって感じの場所があれば教えてほしい」

「ないわ。ぼっちだから」


 イアンが笑った。


「アヤナらしい。魔法学院に入ったばかりの頃を思い出すよ」

「そうね!」

「暇な時は大学の食堂にくればいいよ。俺や友人の溜まり場だから」

「部外者でも平気?」

「大学生のふりをすればいい。面倒なことになったら、大学の見学者って言えばたぶん平気だよ」

「わかったわ。でも、最近は毎日解体作業で稼いでいるから夜は寝たいかも」

「解体作業をしているせいでその恰好なのか」


 ほっかむりとマスク代わりのスカーフをつけた私をイアンはじろりと見つめた。


「どうやってやるわけ?」


 光魔法を駆使しつつ杖で殴って壊すことを説明した。


「アヤナの武器、結構威力ある感じ?」

「成人祝いにもらった杖をルクレシアに強化してもらったわ」

「羨ましい」

「強化してもらったこと? ルクレシアにやってもらったこと?

「どっちも」


 イアンが腰に下げていた剣を見せた。


「これ、強化できそうかな?」


 風の魔法剣用。


「たぶんできるわね。カートライト様の騎士剣を強化したから」

「俺の剣も強化して欲しいな」

「ディアマスに行かないとね。でも、アルード様が許可を出すかどうか。嫉妬しちゃうかもだしね?」


 イアンは深いため息をついた。


「ルクレシアがこっち来ることがあったら教えてほしい。ダメ元で聞いてみるよ」

「わかったわ」

「夜間の依頼は無理ってことでいい?」

「一週間は無理。解体作業で忙しいわ」

「わかった。時間ができたら大学の食堂に来てくれればいいよ」

「昼食を食べに行くだけでもいい?」

「もちろん」

「明日行くわ」


 忘れないうちに、イアンが留学している魔法大学へ行くことにした。


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