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私の推しは北方の白銀王子  作者: 美雪


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15.再会と課題



「アヤナ! ハイランドに来ていたのか」


 魔物討伐ギルドでイアン様と偶然会った。


 風使いなのに火使いのような赤のコーディネート。


 髪色や髪型を変えたのは知っていたけれど、前に会った時よりも派手でお洒落な遊び人の印象が強まっていた。


 こんなんだけど、ハイランドで最難関の魔法大学に留学していて成績も優秀みたいなのよねえ……。


 人は見かけによらないってことがよくわかる。


「短期間だけよ」

「ランク上げ? それともお金?」

「できればどっちも」


 イアン様がにやりとした。


 なんとなくクルセード様を思い浮かべる。


 ハイランドに来るとにやり仕様になるのかもしれない?


「俺と一緒にやる?」

「内容によるわ。王宮の敷地内にある別館に下宿しているのよ。夜間とか外泊は上のほうの許可をもらわないとだから」

「もしかして、クルセード様の世話になっているとか?」

「実はそう。ちょっとだけハイランドの勉強しに来たのよ」

「そっか。王都郊外で夜間の討伐をする。アヤナなら適役だと思ったけれど、無理ならいい」

「イアン様のことはクルセード様も知っているわ。許可が出るかも。聞いてみるわ」


 アイン様を通してクルセード様に聞くと、あっさり許可が出た。


 そして、またしてもナハト様が同行することになった。


「魔物討伐は手伝いません。アヤナの護衛だけです」

「わかりました」


 イアン様にじっと見られる。


「大事にされてそうだ」

「アルード様とルクレシアからの預かりものだから。犯罪とか事件に巻き込まれると面倒ってことで」

「なるほど」


 イアン様と魔物討伐の仲間たちと一緒に郊外に行くことになった。


 ハイランドの王都は広い。でも、飛行魔法があれば郊外でもそれほど時間はかからない。


 私の飛行についてはナハト様が担当してくれた。


 お姫様抱っこかと思いきや、闇魔法で出した黒い鞭でぐるぐる巻きにされ、荷物扱いの飛行だった。


 想定外だし情けない。


 イアン様たちにも笑われてしまった。


 絶対に魔物討伐で活躍して名誉挽回してやるわ!


 杖で殴る気満々だった。





「ここだ」


 郊外にある森林公園。


 そこに魔物が棲みついてしまい、駆除するとのこと。


「アヤナ、防御魔法もらえるかな?」

「了解」


 全員に防御魔法をかけた。


 他の人たちは自分に浮遊、移動、飛行魔法をかける。


 自前で移動系ができるなら、それなりに実力はありそう。


「全員に身体強化は大変だから、イアン様だけサービスでつけとくわね」


 初めて参加するだけに、魔力は温存しておくことにした。


「ありがとう。アヤナは回復できる。怪我をした場合はここへ」


 治療係みたい。


「じゃ、各自担当の場所へ」


 倒すのは黒い魔鳥。


 昼間はいない。夜になると巣のある公園に戻って来る。


 巣は木の高い場所にあるので、風魔法を範囲で使って倒しまくるとのこと。


「一時間後に集合だ。何かあれば近くの者に支援を頼むこと。その時に仲間の範囲魔法で切り刻まれないように注意しながら高度を上げて移動すること。これは徹底してほしい」

「わかっている」

「気を付ける」


 全員が散開。


 私は誰かが来るのを待っているだけなので退屈になりそうだけど、ナハト様には話しかけない。


 仲良くして好感度を上げたくないので。


 一時間後、全員が戻って来た。


「どう?」

「いい。すごく」

「防御魔法が強い」

「全く痛くなかった」


 魔物に反撃されたけれど、全員無傷だった。


 杖で殴ることはできなかったけれど、防御魔法のおかげで名誉挽回に成功した。


「アヤナを誘って良かった。前に光魔法の使い手なしできたら怪我人が出てさ」

「そうなのね」

「この時間じゃ病院ってわけにもいかないし」

「知り合いの光魔法の使い手を叩き起こすことになった」

「お礼にイアン様はデートすることにもなったよな?」

「モテる男はつらいなあ?」

「怪我したやつがデートすべきだ。デート費用だってかかる。大損だ」


 ゲラゲラと笑いが起きる。


「いつまでこっちにいる感じ? また頼みたいかもしれない。結構この手の依頼は多い」

「延長がなければそろそろ終わり」

「わかった。先に分け前を渡すよ」


 イアン様がお金をくれた。


 それから、闘技場のチケットも。


「暇つぶしに行くのもありだ。俺は時々決闘の代理人のアルバイトをしている」

「あー、ルクレシアから聞いたわ」


 イアン様が反応する様子を見て、まだルクレシアを好きっぽいと感じた。


「一人で三人を倒したようね? 強くなった、すごいって言っていたわよ」

「そっか。まあ、そのためにこっちに来たから」


 嬉しそう。ルクレシアって本当にモテモテ。


 まあ、私もルクレシアが大好きだし、わかるけれどね!


「お金をくれたってことは解散よね?」

「本当は残骸とかの回収がある。でも、アヤナは見ない方がいい。先に帰っていいよ」


 イアン様は派手な遊び人になってしまったと思っていた。


 でも、違う。


 自分を変えたくて足掻いている。


 私に気を遣って先に帰らせることからいっても、性格まで完全に変わってしまったわけではないと感じた。


「じゃあ、お先に!」

「お疲れ。これからは敬称なしでいいよ」


 イアン様がそう言ってくれた。


「ラッキー! 一緒して良かったわ!」

「俺もそう思っている。また機会があればよろしく」

「本当にありがとう! またね!」


 ナハト様が黒い鞭を出したので、すぐに手で掴んだ。


「これでいいです」

「落ちると危ないです」

「身体強化と防御魔法があるから平気です。私にだってプライドがあるわ!」

「わかりました」


 帰りは黒い鞭に手で掴まった状態で飛行。


 結構怖かったけれど、ひるんだら負けだと思って余裕のふりをした。


 無事王宮に到着。


「ありがとうございました。これ」


 少しだけお金を渡す。


「お礼です。貸し借りにしたくないので。アメ代です」

「わかりました」


 時間が時間だけに、途中で店に寄るのではなくアメ代を渡すことにした。


 貸し借りの清算も終わった。





 翌日、クルセード様に呼び出された。


「郊外の魔鳥を狩って来たそうだな?」

「狩ったのはイアンとその仲間たちです。私は防御魔法といざという時の治療役でした」

「最近、王都付近に生息する魔物が増えている」


 ハイランドは魔物討伐をギルドに委託しているので、とても盛んに行われている。


 最も多くの人が集まる王都は最も多くの討伐者がいるはずなのに、多くなってきているとわかるだけの魔物がいるのは良いことではない。


「魔物生息地の討伐は金になるものが多く人気だ。だが、町中の弱い魔物は不人気だ」


 戦歴でランクが上がらないし、害獣駆除と同じ扱いとみなされて報酬も低い。


 人気があるわけないわよね。


「ネズミを捕まえる依頼もあったはずだ。あのように強いとは言えない小型の魔物が王都中に増えてしまっている。貯水池のような場所までいる」

「生活の中に魔物が共存してしまっているわけですね」


 脅威ではないけれど邪魔。不都合が多い。


「身近にいることに慣れてしまうのは良くない。魔物は魔力を好む。魔力持ちの子どもが狙われる被害が増えてしまうだろう」

「そうですね」


 大人なら魔法が使えなくても武器などで対処できる。


 でも、子どもだけでは難しい。赤子は無抵抗。魔物のせいで怪我をしたり、病気になったり、最悪の場合は死んでしまうかもしれない。


「大々的に駆除したいが難しい。少しずつ減らしてもイタチごっこだ。何か良い案はないか?」

「ないです。イタチごっこでも倒すしかない気がします」

「考えろ。預かってやっている。俺のために働け!」


 クルセード様に睨まれた。


 アイン様よりも怖い! ルクレシア、助けて!


 ディアマスにいる大親友に相談したくなった。


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