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ただ幸せになりたかっただけと、あなたたちは言うけれど  作者: gacchi(がっち)


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66/66

66.目が覚めた後の幸せ

目が覚めたら、目の前に兄様の寝顔があった。

……寝ている兄様を見るのは初めて。

本当に綺麗な顔をしている。

こんなに綺麗な兄様と結婚したんだ……。


昨日のことを思い出すと、顔が熱くなる。

夫婦になるって、思っていたよりも大変なことだった。

これから兄様と何度もあんなことをするのだろうか。

……私、変なことしてなかったかな。

あきれられたりしていないといいんだけど。


「……何を悩んでいるんだ?」


「え?」


「さっきから眉間にしわを寄せて……」


「いつ起きたの?」


「今だよ。ジュリアンヌが起きた気配を感じて起きたんだ。

 もしかして、身体が痛むのか?」


私の身体を気遣うように背中をなでられ、慌てて否定する。


「違うの。……ちょっとは痛いけど、そうじゃなくて」


「痛むなら治癒をかけよう」


「……大丈夫なのに」


背中にふれた手から兄様の魔力を感じる。

少しだけ痛かった身体が癒されていくのがわかる。


「それで、何を悩んでいたんだ?」


「……兄様に嫌われてないといいなって……」


「は?俺がどうして嫌うんだ?」


「えっと……昨日、私ちゃんと妻としてできてたかなって。

 変なことして、あきれられていたら嫌だなって」


はぁぁぁぁと兄様がため息をつく。

やっぱりあきれられていた?


くるりと押し倒され、兄様が私を見下ろす。


「昨日、あんなに可愛いって言ったのに聞いていなかったんだな」


「え?」


「可愛い、綺麗だ、好きだ、もっと欲しい、あとなんだっけ。

 俺の気持ちはそのまま伝えていたはずだ」


「……本当?」


「ああ。聞こえていなかったのかもな。

 ジュリアンヌが必死だったのはわかってる」


「だって……初めてなことばかりだったから」


「ああ、もう。そんな心配しなくていいんだ。

 そんなこというと、我慢していられなくなるだろう」


「我慢って?」


質問の答えよりも先に唇が重なる。

……昨日、あんなに口づけしたのに、どうしてだろう。

兄様にふれられると、もっとしてほしくなる。


「そんな可愛い顔されたら、もっとしたくなるってこと……」


「……して?」


「え?」


「私ももっとしてほしい……」


「はぁぁぁ。本当にジュリアンヌが可愛い。

 俺の妻になってくれて本当によかった」


「んっ……」


もう一度ふさがれた唇は、今度はしばらく離れなかった。








それから七年の月日が流れた。


伯父様が兄様に爵位を譲ったのは、

私たちが結婚した一年後のことだった。

まだ若い伯父様と伯母様だが、

少しゆっくり過ごしたいと領地の別邸へと行ってしまった。


私と兄様だけになったレドアル公爵家だが、

その次の年には息子アルフレッドが、四年後には娘オリアーヌが生まれ、

孫に会いたいからと伯父様と伯母様も屋敷へ戻って来てくれた。


同じようにイフリア公爵家でも、

結婚式の一年後に双子の姉妹が、三年後に息子が生まれ、

お互いの家に行き来して子どもたちを遊ばせている。


今日もこれからレイモン兄様とコリンヌが子どもたちを連れて来る予定だ。


中庭にお茶の用意をさせていると、

少し離れたところでアルフレッドとオリアーヌが手をつないで遊んでいる。

本当に仲のいい兄妹で、移動する時はいつも手をつないでいる。


「オリアーヌはアルフレッドのことが大好きね」


「そうだな。ジュリアンヌに似たのかもな」


「私もレイモン兄様にあんな感じだったのかしら」


「さみしくなったのなら、手をつなごうか?」


「もう。さみしくなったわけじゃないわ」


「いいから、おいで」


おいでと手をひろげてくれるジェラルドに抱き着くと、

抱き上げてベンチまで連れて行ってくれる。


家族が増えたこともそうだけど、

こうして変わらずに愛してくれるジェラルドがいるから、

私はずっと幸せだと思える。


本当にたまに、お父様たちのことを思い出す時がある。

ただ幸せになりたかっただけだと言ったお父様は、幸せになっているのだろうか。

王都を出た後はどうしているのかはわからない。

お母様と私を傷つけたこと、少しは反省しているだろうか。


会いたいとは思わないけれど、完全に忘れることもできない。

だけど、それは戒めのようなものなのかもしれない。


こうしてジェラルドと家族でいる幸せは当たり前じゃないんだって。


「ねぇ、ジェラルド」


「どうした?」


「そばにいてくれて、ありがとう」


「んん?どういたしまして」


頬にくちづけたら、うれしそうに笑ってくれる。

この幸せがいつまでも続くように願いながら、

ジェラルドのくちづけを待って目を閉じた。







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