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ただ幸せになりたかっただけと、あなたたちは言うけれど  作者: gacchi(がっち)


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41.レドアル公爵家の夜会

王家主催の夜会からレドアル公爵家の夜会までは一週間しかない。

短い時間で準備をしなければいけないのだが、

その忙しさを邪魔するようにいろんな貴族家から手紙が届いていた。


一番多かったのはジェラルド兄様への婚約の申し込み。

こりないのか、アゼリマ侯爵家からもまた来ていた。


「まだあきらめないのか……」


伯父様がうんざりしたように手紙を開けて読む。

内容がわかっていても、読まないわけにもいかないのだろう。


「は?ジェラルドじゃなく、ジュリアンヌに!?」


「父上、今なんと?」


「……ジュリアンヌをアゼリマ侯爵家の長男と見合いをさせてほしいと」


「はぁ!?そんなものは断る!」


「ジェラルド、わかっているから、落ち着くんだ」


アゼリマ侯爵家の長男と私がお見合い?

一度も会ったこともないし、あのシャルロット様のご兄弟……。

とても上手くいくとは思えない。


「アゼリマ侯爵家の長男ロベルトはアドルフ様と同じ学年だ。

 ああ、レイモンとも同じになるな。

 アゼリマ侯爵はシャルロットのほうを可愛がっていて、

 ロベルトは後回しにされているとの噂だったが……」


「レイモン兄様と同じ年なのに婚約者がいないのはそういう理由……」


「おそらく、ジュリアンヌがいなくなれば、

 ジェラルドとお見合いをできるとでも思ったのかもしれない」


「冗談じゃない。絶対にあの女だけはない」


王家主催の夜会でもはっきり拒絶していたのを思い出す。

あんなに断られてもまだあきらめないシャルロット様。

兄様が結婚するまであきらめそうにない。


「一応は聞いておく。

 ジュリアンヌ、アゼリマ侯爵家の長男と会ってみるか?」


「いいえ、お断りしてください」


「そうだな。では、断っておく」


これ以上シャルロット様のことで兄様を苛立たせないように、

私もアゼリマ侯爵家とは関わりたくない。

はっきり断ったからか、兄様の機嫌は少し良くなった。


あとは凝りもせずマゼンタ様から手紙が来ていたようだが、

それについては伯父様は封を開けずに返送していた。

こちらも本当にしつこい。


社交シーズンが終わればシュゼット様は学園に戻って来る。

シュゼット様は伯爵令嬢になったこともあって、

教室が変わるのは間違いないけれど、油断はできない。



レドアル公爵家で夜会が開かれる日、

朝早くから準備を始め、夕方には招待客がちらほらと到着し始めた。


マリエットとコリンヌ、アリスとエリーナも早めに来ていた。


「ジュリアンヌ様!なんて素敵なドレスなんでしょう!」


「本当に素晴らしいですね!」


「さすがレドアル公爵家ですわ。ジュリアンヌ様の瞳も紫色ですものね」


「ええ、とてもお綺麗です!」


四人から口々に褒められて、少し恥ずかしくなってしまう。

ジェラルド兄様がデザインしたドレスは両肩が出ているもので、

胸元はレースで隠してあるけれど、少し大胆に見える。


こんな大人っぽいドレスが似合うのか心配だったから、

四人に褒めてもらえてほっとする。


「あとでまたゆっくり話したいわ」


「「「「はい!」」」」


「じゃあ、楽しんでいてね」


お客様を迎え入れないといけないので、四人と一緒にいるわけにもいかない。

兄様には話して来てもいいと言われたけれど、

まだアドルフ様とレイモン兄様も来ていないからと断った。


お客様を迎えていると、いつのまにか開始の時間になっていた。

伯父様たちと一緒に壇上にあがって挨拶をする。


この会場にいるのは推進派の貴族だけ。

その安心感からか、王家主催の夜会ほど緊張はしない。


始まって少しして、アドルフ様とレイモン兄様が到着した。

どうやら目立たないようにわざと遅れて来たらしい。


「紹介はしなくていいよ。静かに楽しませてもらうから」


「わかりました。ごゆっくりどうぞ」


先日もアドルフ様の妃カトリーヌ様はご一緒じゃなかったけれど、

仲がいいとは聞いていたのに何か事情があるのだろうか。


奥の半個室に案内すると、アドルフ様はレイモン兄様にもういいよと言う。


「大事な用があるんだろう?俺はここでくつろいでいるから行って来いよ」


「いいのですか?」


「ああ、かまわない。用事が終わったら戻って来てくれ」


「わかりました。ジェラルド、すまないが頼んでもいいだろうか。

 さすがに一人にしておくのはまずい。

 カトリーヌ様からも一人にはしないように言われているんだ」


「わかった。ジュリアンヌを頼んだ」


「ああ。終わったらすぐに戻る」


アドルフ様はジェラルド兄様に任せて、

レイモン兄様をマリエット達が楽しんでいる席へ連れて行く。


四人は急に現れたレイモン兄様に驚いていたけれど、

一斉に立ち上がって礼をする。


「ああ、楽にしてくれ。今日はジュリアンヌの兄として接してくれればいい」


「そういうことだから、あまり気にせずに話してくれる?

 私の初めての友人をレイモン兄様に紹介したいの」


そう言えば、四人とも少し緊張がほぐれたらしい。

少しずつ話し始め、最後にはいつもおしゃべりなアリスが本領を発揮し、

学園での私のことを兄様に報告していた。


「へぇ、そんな感じで楽しんでいるんだね。

 ジュリアンヌは中等部に通えなかったから心配していたんだ。

 頼もしいお友達に恵まれたようで安心したよ」


「私も最初は心配したけど、今は楽しいわ」


「そうか。よかったな」


私の話ばかりだったけれど、四人とも兄様と話していた。

見合いの話はあとでコリンヌに話すつもりだ。

他の三人がいたら断りにくいかもしれないので一人の時にしようと思う。


「じゃあ、そろそろアドルフ様のところに戻るよ。

 ジュリアンヌも一度戻った方がいいね」


「ええ」


四人には好きに楽しんでもらうことにして、兄様とアドルフ様のところに戻る。

その途中、玄関の方から誰かが騒いでいる声が聞こえた。


「王族と公爵令嬢が来たら喜んで通すのが当たり前でしょう!

 すぐにジェラルド様のところに案内しなさいよ!」


「お待ちください!招待状がなければたとえ王族であろうと……」


その声を聞いて、レイモン兄様と顔を見合わせる。


「今の声って……」


「ああ、シュゼットだな。どうしてここに……。

 すぐにジェラルドのところに行こう」


「ええ」


あの勢いだと使用人たちでは止められないかもしれない。

王族と公爵令嬢と言っていた?

王族とは……サミュエル様ではないだろうか。

シュゼット様は仲がよかったはずだから、一緒にいてもおかしくない。


「アドルフ様、ジェラルド、大変です。シュゼットが押しかけてきています」


「なんだと?」


「押しかけて来た?」


さっき聞こえた会話を報告していると、広間の扉がバーンと音を立てて開いた。

そこには赤いドレス姿のシュゼット様と花束を抱えたサミュエル様がいた。




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