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ただ幸せになりたかっただけと、あなたたちは言うけれど  作者: gacchi(がっち)


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22.相談(シュゼット)

次の日、教室に行くとジュリアンヌと目があった。

すぐに目をそらしたけど、あれがお義兄様の妹……。


お義兄様と私は目の色が同じだと喜んでいたのに、

こうしてみると髪の色が同じジュリアンヌの方が兄妹に見える。


昨日のお義兄様はジュリアンヌのことを庇っていた。

同じ母親から生まれた妹のことが大事だからと。

私だって半分は血がつながっているのに。


でも、そうか。そうするとジュリアンヌと私も姉妹なんだ。

一瞬、姉妹なら仲良くなれるかと思ったけれど、

やっぱり仲良くなりたいとは思えなかった。


だって、取り巻きの子は全部取られちゃったし、

ジェラルド様とのことも邪魔されたんだもの。

あんな性格悪い子とは仲良くなれるわけがない。


昼休憩になって、ジェラルド様が来るのを待った。

なのに、ジュリアンヌは取り巻きを連れて教室から出て行く。


「どうして?ジェラルド様が迎えに来ていたんじゃないの?」


「おそらく迎えに来るのをやめたんでしょう」


「どうして?」


「……さぁ。第二王子が待っていますから、行きましょう」


「……わかったわ」


お友達に急かされ、サミュエルが待つカフェテリアの個室へと向かう。

高等部に入ってからいつもここで食べているけれど、

ジェラルド様と出会ってからは少しも楽しくなくなってしまった。


「なんだ、今日も暗い顔しているな。

 何かあったのか?」


「……あのね、実は相談したいことがあって」


「相談?めずらしいな。どうしたんだ?」


「好きな人ができたの」


「好きな人?シュゼットに?」


「そう」


もしかしてサミュエルが私のことを好きだったら、

悲しませてしまうかもしれないと思ったけれど、

まったく気にしていないようだった。


「へぇ。シュゼットが好きな奴って誰?

 知っている奴なら協力してやるよ」


「本当!?」


「ああ、俺にとってシュゼットは可愛い妹みたいなもんだからな。

 結婚してもいいかと思ってたけど、幸せになったほうがいいからな」


「ありがとう!あのね、相手はジェラルド様なの!」


「ジェラルドかぁ……」


協力してくれると言ったのに、

ジェラルド様の名前を聞いたサミュエルは困った顔をする。


「ジェラルド様だとダメなの?」


「いや、あいつは公爵令息だし、優秀だし、見た目もいい。

 シュゼットが惚れる気持ちもわかるんだけど、

 あいつさぁ……人とまったく交流しないんだよ」


「交流しない?ジェラルド様が?」


「中等部は来なくて、高等部でようやく来るようになって。

 同じ教室だから仲良くしようと思ったのに、話しかけても冷たいんだよ」


「たしかに冷たそうな感じはしたけど」


「俺はずっとジェラルドと仲良くしようと頑張ったんだけど、

 話しかけるなって言われちゃってさ。

 俺の学友にしようと思ってたのにできなかったんだ。

 シュゼットが仲良くなれるといいけど」


王族であるサミュエルとも話さないなんて。

あの時、私に冷たいと思ったけれど、私が相手だからじゃなかったんだ。

誰にでも冷たくしているのは……もしかして。


「ジェラルド様が冷たいのは、ジュリアンヌ様のせいかもしれない。

 きっと周りと仲良くならないように言われているんだわ」


「ジュリアンヌ?……え?元気になったのか?」


「元気に?」


「イフリア公爵令嬢だったジュリアンヌのことだろう?

 なんでも死ぬかもしれない病気だから母親とレドアル公爵家に戻ったって。

 だからジェラルドも中等部に来ずに看病してたんだ」


「死ぬかもしれない病気だから戻った……」


ジュリアンヌがレドアル公爵家の養女になったのは、

お母様が何かしたからみたいにお義兄様は言っていたけど、

病気のせいならお母様は関係ないんじゃない?


もしかして、お父様とお母様の仲がいいのに嫉妬して、

そのせいで病気になってしまったとか言いたいの?

そんなことまでお母様のせいにされても困るけど。


「元気になったんなら良かったよ」


「でもね、ジュリアンヌ様はジェラルド様にべったりなの。

 病気が治ったのなら、もう離れてもいいんじゃない?」


「そうだなぁ。ジェラルドも心配なんだろう。

 今までずっと寝たきりだったんだ。

 高等部に通い始めて、無理させて倒れられたら困るからな」


「きっとジェラルド様はジュリアンヌ様のことが心配で、

 他の人と交流する余裕がなかったんだわ」


「それはありそうな気がするが、

 それだったら身体が丈夫になったら自然に離れるんじゃないのか?」


「身体が丈夫になったらって、いつなのよ。

 私は今度の夜会のパートナーになってもらいたいのに!」


ジュリアンヌが病弱だからジェラルド様が付き添っているというのなら、

いつになったら離れても大丈夫なのかわからない。


ずっと寝たきりだったというのなら、そのまま学園に来なきゃよかったのに。

そうしたら夜会にだって出られないし、ジェラルド様も自由になれた。


「夜会かぁ。俺はシュゼットと行こうと思っていたんだが、

 シュゼットがジェラルドを誘うというのなら、

 俺がジュリアンヌを誘ってみようかな」


「え?本当?」


「ああ、一人にするのが不安なら、俺がそばにいればいいだろう。

 そういえば、ジュリアンヌって俺の婚約者だった気がするし。

 ジェラルドに俺が面倒をみるって言ってみるよ」


「そうなの?ジュリアンヌ様ってサミュエルの婚約者だったの?

 じゃあ、サミュエルがパートナーになればいいわね。

 ふふふ。これでジェラルド様を誘えるわ」


ジュリアンヌがサミュエルの婚約者だなんて知らなかったけれど、

これで邪魔ものがいなくなる。


「まずはジェラルドに話してみるか。

 ジュリアンヌがどのくらい元気になったのかもわからないしな」


「毎日普通に学園に来ているし、病人には見えないわ。

 教室まで会いに来てみれば?」


「ああ、そうだな。そうするか」







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