第4話:告白
「付き合ってください!」
君がいきなり告白してきた。まさか人生で初めて告られる状況がこうなるなんて思いもしなかった。今までは告っては振られて、告っては振られて、もう一生恋愛は出来ないのかと思ってた。
「え!?……急にどういうことですか?」
僕は今までタメ口だったのに、急に敬語になってしまった。動揺が隠しきれないみたいだ。
「好きになっちゃったらしいんです」
君がエヘヘと笑った。エヘヘじゃないよ!こっちはまだ答えてないんだ。勘弁してくれ。いやぁ、困ったな。まさか、SaKに告白されるなんて……
「……いいよ」
僕は長考の末に絞り出すように答えた
「えっ、いいの?」
君は意外そうな表情をした。絵を描くところを近くで見てみたいとか、ファンとしての目線も入り混じってしまった結果だ。
「ちなみに藍原咲愛っていうから、みんなの前では咲愛って呼んでね!絶対だよ!」
「う、うん。そうする」
僕はこの状況を無理やり飲み込むように言った。
そうして、結局、SaKこと咲愛と付き合うことになってしまったのだ。
付き合うことになったのはとても嬉しい。その状況は飲み込むことが出来た。彼氏として精一杯幸せにしたいと思う。
だが、君の余命の話だけは頭にしがみついて離れなかった―――
桜吹雪と共に君が崩れていく。自然と涙が溢れた。大切な人の死ってこんなに辛いのか。こんなに痛いのか。僕は、信じられず、君の居た場所に何度も手をかざした。
大粒の涙が流れたとき、耳元から音楽が聴こえた―――
「夢、か……」
君が死んでしまう夢を見るなんて。余命1年だということを思い出させる嫌な夢だ。
そうか、咲愛は余命1年なのか。元気な咲愛を見ると、未だに実感がわかない。
朝が来たようだ。お気に入りの曲をスマホの目覚ましにしているのだ。カーテンを開けると今日もまた雨が地面に打ち付けていた。4月で、まだ梅雨入りしていないのに2日連続雨だ。
通知が来ている。咲愛からLINEが来ているようだ。
[昨日はありがと〜!今日も雨だね]
かわいいイラストと共にメッセージが送られてきた。僕は頬を緩めながら返信する。
[うん!イラスト可愛いね]
この状況がとても幸せだ。
「瑛汰〜ご飯よ!」
ちゃっかりイラストを保存したところでご飯に呼ばれた。
「今行くね〜」
僕は朝ごはんへと向かった―――