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3.【マッピング魔法】

超級魔法インフェルノを跳ね返され、灰となって消滅した魔族の亡骸を見下ろす。黒いローブの切れ端と、奇妙な形状のアクセサリーが残されていた。恐る恐る近づき、アクセサリーを拾い上げる。禍々しい魔力が込められているが、それ以上に、この紋様には見覚えがあった。以前、図書館で読んだ魔界に関する古文書に載っていた、高位魔族の家系の紋様だ。


「まさか…こいつ、魔界でも上位の貴族だったのか…?」


転んだ時の衝撃を防ぐ程度の結界魔法で、そんな奴を倒してしまった?自分の体に何が起きているのか、全く理解できない。とにかく、この場は危険だ。他の魔族が追ってくるかもしれない。


今は、一刻も早くこのダンジョンから脱出するのが先決だ。幸い、体の痛みは消え、体力も完全に回復している。魔力は無限大になったが、相変わらず魔法は使えない。使えるのは、誰でも習得できるような初級魔法だけだ。


最下層と思われるこの場所から、地上へ向かうにはどうすればいいのか。来た道を覚えているはずもない。念のため、マッピング魔法を展開することにした。これは、一度通った場所と現在地を記録してくれる、冒険者にとっては必須の便利魔法だ。魔力さえ込めれば誰でも使える、ごく基礎的な魔法の一つ。


いつもの感覚で、体内の魔力をマッピング魔法に注ぎ込む。だが、無限大になった魔力が、その「いつもの感覚」を許さなかった。体から溢れ出る膨大な魔力が、マッピング魔法に吸収されていく。ヤバい、注ぎすぎた!


慌てて魔力の供給を止めようとするが、もう遅かった。マッピング魔法が異常な光を放ち、空中に展開された地図が、信じられない変化を見せた。


それは、俺が今まで見てきたマッピング魔法とは全く異なるものだった。現在地と通った道だけではない。ダンジョン全体の構造が、正確に描写されている。迷宮のように入り組んだ通路、広大なフロア、隠された小部屋まで。そして、それだけではなかった。


地図上には、無数の光の点が動いている。緑色の点、赤色の点、そして灰色の点。


「これ…なんだ?」


困惑しながら地図を凝視する。緑色の点は、間違いなく人間だ。冒険者だろう。赤色の点は…動いている場所から察するに、魔物だ。そして、灰色の点。それは動かない。その形から、それが何を意味するのか、すぐに理解してしまった。


「…人の、亡骸…?」


ぞっとする。地図上の灰色の点は、異常なほど多かった。そして、緑色の点(人間)と赤色の点(魔物)が、あちこちで交戦している様子が点滅で表示されている。さらに、一部の緑色の点は、赤色の点に追い詰められているように見える。


このダンジョンは、俺が思っていた以上に危険な場所だった。そして、俺がいる場所は、地図を見る限り、他の人間から最も遠く離れた場所だ。つまり、助けは期待できない。


「まずい…これは、本当にヤバいかもしれない…」


手に入れた規格外の地図が示すのは、脱出への道筋であると同時に、このダンジョン全体の危機的な状況だった。そして、その危機が、すぐそこまで迫っていることを示唆していた。

――ここまで読んでいただきありがとうございます!

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次回もお楽しみに!



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