9話
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「ぐはっ!」
いってぇ。
治癒術の訓練も兼ねて修行するためとはいえ、マジで鳩尾に入れてくるかね……。
先生!
手加減してくれてても、ほんとに効くんですけど!
「どうした? もう終わるか?」
「まだまだぁっ!」
「よおし! かかってこい!」
かなりキツくなってきたけど、まだいけそうだな。
痛いのは、めちゃくちゃ痛いけどさ。
治癒してやる。
まだ、ちゃんとした治癒術は使えないんだけどな!
「いてて……」
「コテンパンにやられたね、シュウ」
「そうだな。かなりボコボコだよ」
「大丈夫なの?」
「なんとか。治癒術入門編も使ってるからな」
「効いてるの、その治癒術?」
「分からん!」
「なんなのさ、その自信……」
実際、全く効いてる気がしないんだよ。
発動としては問題ないと思うけど、まだ形になってない。
やり続けるしかないわな。
「僕も巻き込まれるんだからね?」
「まぁ、まだマルクには強烈な反撃はないじゃん? これからあるかもしれないけど」
「それが怖いんだよ。まだ僕は弱いのに巻き添えくらいそうで……」
「そうなったら俺が治癒術かけてやるよ」
「それが1番怖いかも」
ですよねぇ……。
俺だったら絶対に拒否するよ、そんなの。
ヤブ医者どころの話じゃないからな。
いざとなったらセリア先生に治癒してもらった方がいいな、間違いなく。
それにしても、剣術とかのスキルも入手できないな。
けっこう戦ってますよ?
勝たないと経験値入りません! みたいなシステムだと困るけど、そういうわけじゃないしな。
めげずに続けるしかないけどさぁ。
「よし、再開しようかな」
「え、もう!?」
「もう戦えるからね。マルクは急がなくてもいいからな」
「言われなくても休んでからいくよ」
「分かった。お願いします、ゴードン先生!」
「どっからでも、かかってこい!」
「はい!」
絶対に喰らわせる!
『アクティブスキル《片手剣術》を入手しました』
『アクティブスキル《盾術》を入手しました』
『アクティブスキル《治癒術》を入手しました』
『パッシブスキル《瞬発力強化》を入手しました』
『パッシブスキル《防御力強化》を入手しました』
『パッシブスキル《回復力強化》を入手しました』
よっしゃあ!
やっとスキル入手やぁ!
一気に報われたというか、この瞬間のためにやってきたみたいなものだからな。
スキルを入手しなくても実力は付いてるけど、やっぱり形にしたいっす!
頼る気はないけどね。
パッシブスキルは、常に発動するものだからいいとして。
アクティブの方だよね。
スキルに頼って実力を伸ばすのを止めるなんてことは、あってはならないと思う。
あくまでも自分で磨き続けるのが要のはず。
ゲームじゃないんだから。
ただ、やっぱり攻撃は与えられなかったな。
やればやるほど実力差が浮き彫りになるというか、思い知らされるというか……。
こっちが6歳なのに望みすぎ、といえばそうなんだけどね。
それでも少しはヒットさせたい。
チラッと聞いた話だけど、伝説に残るような天啓を得た人は5、6歳でも鍛えられた大人を圧倒するらしい。
とんでもないな。
どんな人間に、そんな天啓が与えられてるのか知らないけど……。
そんな世界なんだもんな。
自分を守れるくらいの力は付けないと。
焦っても仕方ないけど、悠長にしてるほどの余裕はない。
「続き、お願いします!」
「おう! どんどんこい!」
「はあっ!」
「ありがとうございました!」
「ゆっくり休めよ!」
「はい!」
スキルは入手できたけど、やっぱり急激に強くはならないわな。
調子に乗らないようにしないと。
「お疲れさま、じゃあまたね」
「じゃあな、マルク」
マルクも、かなり成長してる。
競争ではなくても、良い刺激にはなってる。
負けてられない。
今日は授業は終わりだけど……。
まだ身体強化と治癒術は途切れさせない。
魔力か集中力に限界が来るまで、常に発動させるくらいのつもりでいい。
もっと効率よく発動させられるはずだし、無意識でキープできるくらいじゃないと。
頑張り甲斐があるぜ。
「あっ、シュウ! やっぱり、まだ残ってたー!」
「姉さん? どうしたの?」
「こっちの授業も終わったし、暇つぶしに探しにきたの!」
「そうだったんだ……。ええと、そちらの方は?」
「はじめまして! 私はディアナ。ステラの悪友ってところね! 会えて嬉しいわ、弟くん!」
「はじめまして、シュウです。よろしくお願いします」
「よろしくね!」
姉さんと気が合いそうな活発な子だな。
それにしても……。
ディアナさんか。
どこかで聞いたことあるような?
特別珍しい名前じゃないけど、どこで聞いた?
ディアナ、ディアナ、ディア、ナ……。
もしかして!?
「も、もしや王女殿下ですか?」
「あら? もうバレちゃったの?」
「失礼しました!」
「もう! そういうの、やめてよね! なんのためにステラと友達やってると思ってるのよ?」
「どういう意味よ、ディアナ!」
「そういう意味よ」
なんかフランクすぎて不安になるくらいだよ……。
姉さんの態度からして許してもらえてるんだろうけど、よりによって王女様かい!
こっちは下級貴族なんですけど!
そして前世からの感覚として、バリバリの一般市民なんですけど!!
そういえば……。
なんか無表情の大人が、さっきから周りに増えてるんですが。
護衛の人だったり、お付きの人だったりします?
怒られたりしないよね?
「それにしてもステラが自慢するのが分かるわ。賢い感じがするもん!」
「恐縮です」
「クロン君も賢かったけど、並んだかも」
「兄さんのことも、ご存知なんですか?」
「うん! 彼も将来有望よねー」
まだ子どもとはいえ、王族の方に将来有望だと思われてるのか。
すごいな、兄さん。
「冒険者を目指してるんでしょ?」
「はい」
「応援してるから頑張ってね!」
「ありがとうございます」
「私としては騎士になってほしいんだけどなぁ」
「それはなしですよ、姉さん」
まだ騎士推しでしたか。
家族としては、そうなのかもしれんけど。
「そろそろ帰らなきゃ怒られちゃうかなぁ? じゃあ、また今度ね。ステラ、シュウ君!」
「また明日ね!」
「失礼します」
あ、やっぱりお付きの人だったんだ。
合流してる。
……怒られなくて良かったぁ。
「じゃあ帰ろっか、シュウ」
「うん」
「今日は、どんな訓練してたの?」
「残念ながら同じことの繰り返しだよ? まだ身についてないからね」
そうなんです。
これからも、まだまだ同じことを繰り返します。
まぁ色んな授業も受け始めるから、世界は広がると思うけど。
スキルは実際に入手できたわけで。
あとは鍛えるだけだ。
もっと頭を使うようなことも増えてくるし、楽しみが尽きない。
「でも、いい笑顔してる。楽しいんだ?」
「まぁね」
明日からも頑張ろっ!
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