6話
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「もう1セットだ! 気合い入れろ、全力だ!」
「「はい!」」
方針が決まって、実践の授業の内容も固まった。
今は、とにかく体力を付ける。
そして自分の身体を、自分の思った通りに動かせるようになる。
そういうトレーニング。
たくさんの種目を少回数短時間で、ぐるぐる回っていく。
似たようなのを前世でテレビで観たような?
なんていったっけ?
サーキットトレーニング?
「シュウ! 姿勢が崩れてきてるぞ!」
「はい!」
「マルク! もう少しだ、頑張れ!」
「はい!」
これがキツいんだよな……。
望むところではあるけど、大変は大変。
でも気がついたな。
自分で思ってるより、自分の身体なんて言うこと聞いてくれてないって。
俺はやってるつもりでも先生からしたら姿勢が崩れてるなんて、しょっちゅうあるし。
「よし、小休止だ! 今日は、この後に魔法の座学を行う!」
「魔法の座学? 僕も受けるんですか?」
「当然だ! 魔法の座学は、魔法使い系統を目指す者だけの物ではない! 前衛だろうと身体強化の魔法は使えんと苦労するしな!」
「わかりました」
キター!
とうとう魔法へのチャレンジですか!
オールラウンダー目指すから、魔法方面も頑張らないとな。
本に書いてある内容はザックリしすぎてて、魔法の発動までは未だに至ってない。
正しい方法で挑戦したいからね。
「まず魔法を使用するためには、魔力を感じ取る必要がある!」
「はい」
「魔力は自身の中と空気中にあるから、なんとか感じ取れ!」
「ええっ!? そんなぁ……。どうしよう、シュウ」
「たぶんだけど、自分の中に意識を集中するのが良いんじゃないかな?」
「そんなんで見つけられるのかなぁ?」
「やるしかないよ、マルク」
「安心しろ! 魔法を使うということに関しては、どんな魔法使い系統の天啓を持つ者でも、この行程が最も苦労するところだからな! 焦る必要はないぞ!」
「わかりました」
身体を動かすことよりも、こっちの方が明らかに苦手そうな顔してるな。
前衛を希望してたり、意外と優しげな顔に似合わず脳筋系か?
もしかしたら、前衛向きの天啓を持ってるのかもしれない。
「集中、集中……。なんかシュウは余裕あるね?」
「余裕ってわけじゃないけどな。入学する前から魔法の本は読んでたから」
「体力作りだけじゃなくて魔法も!? 準備良すぎない?」
「それこそ偶然だって。それより集中はいいのか?」
「あっ……」
確かに少しだけズルいような?
これが、もし競争だったとしたらね。
そういうわけじゃないから、のんびり頑張ってほしいです。
「ほう。シュウは魔力を感じ取ることは出来てるようだな! では次のステップに進むか?」
「はい」
「では魔力を手のひらの上で丸めるんだ! 球体を作る感じだな! 小さくてもいいから、綺麗な球体を目指せ!」
「わかりました」
手のひらの上ってことは、魔力を体外に出すってことだよな。
いつも身体の中を循環させてただけだからな。
なんか緊張する。
暴走とかしたら怖いから、そこまでにしてたのに。
いよいよ挑戦だ。
循環させ続けていた魔力を手のひらに集めて……。
出す。
「アレ?」
出してくそばから消えていくというか、空気中に溶けていくような感覚がする。
これはこれで難しそうだぞ……。
ゴードン先生がニヤニヤしてるってことは、これも想定されてることだったんだな?
乗り越えてみせよう!
「……むず」
めっちゃくちゃ溶けてるよ、魔力。
ただ放出するような方法じゃあ、成功しないってことなのかね?
アプローチを変えないと。
ただ放出するからダメなら、どうしたらいい?
もっと濃度を高めたらいいのか?
簡単に溶けないようにドロドロの魔力を……。
ダメや。
この方法は違うな。
よし、別の方法。
そういえば、体内の魔力だけで球体を作れって言われたっけ?
もしかして体内の魔力と空気中の魔力って練り上げられるのか?
やってみよう。
体外に放出した瞬間に、空気中の魔力と融合させて練り上げる。
「ふぅ……」
失敗。
でも今までのやり方の中では最も手応えがあった。
このアプローチは間違ってない気がする。
ただ。
異常に集中力が必要だな、これは。
慣れたら感覚で可能になるかもしれないけど、慣れるまではバランスが難しそうだ。
基本的には俺自身の魔力が、ほとんどを占めていい。
あと少しの空気中にある魔力の混ぜ方。
そこだけ。
俺の魔力として存在させる。
空気中に存在する魔力に霧散していかないように、しっかりと形成する。
ギリギリのバランスを保ちながら、空気中の魔力を混ぜ込む。
多すぎても少なすぎても、当然ながら失敗する。
しかも、ただ混ぜ込むのじゃダメだ。
俺の魔力全体に均一にムラなく混ぜ込まなきゃ保っていられない。
俺の魔力を世界に干渉させるイメージで……。
「くっ……」
「おお! まさか初日に発動までいくとはな!」
「でも消えちゃいましたよ?」
「そうだな! 自分の意思で消すか、魔力切れで消えるかじゃないと成功とは言えん! だが、発動までいくだけでも大したもんだ!」
「はい……」
惜しかった。
確かに今までの挑戦よりは、絶対に内容が違ってた。
なんとなくだけど、魔法が発動できた感覚もあったしな。
先生の言葉からしても、発動までは出来たんだろう。
あれだけ夢見てた魔法だ。
めちゃくちゃ嬉しい。
嬉しいのに今は悔しさの方が大きい。
間違いなく発動できた瞬間に集中が途切れて、そのまま完成することなく消えてしまった。
バランスが崩れたんだろうな。
この程度の魔法発動は集中なんてしなくても当然に可能なくらいにならないと。
それが身に付いたってことだろう。
「見つけた!」
「おっ! マルクにも進展があったようだな! けっこうけっこう!」
マルクも、すごい集中だったもんな。
小学1年生って、こんなに集中できるもんだったっけか?
好きなものなら大丈夫なのかね?
俺も負けてられない。
先生は初日で発動できたことを褒めてくれたけど、俺としては掴みかけたのに離してしまったとしか思えてないからな。
感覚を自分のものにしてやる。
なんとか。
なんとかバランスは身体に染み付いてきた。
やっぱり数こなしてきただけある。
何十回と失敗してきたから、どのバランスが成功するかは分かってきた。
これならイケるかもしれない。
「もう少し……」
ここだ。
ここで集中を切らすな。
ギリギリのバランスで保ってる魔法を、この世界に定着させるんだ。
はっきり言って、魔法は世界にとっては異物なんだろう。
拒絶反応まではいかないが、少しでも崩れると消えるか弾かれる。
だからこそ作り上げたい。
身につけたい。
自分の物にしたい。
「……できた」
「驚いたな……。まさか定着まで完成させるとは!」
「これで良いんですよね?」
「ああ! この感覚を、しっかりと覚えておくことだな! 魔法の基本だ!」
「よっしゃ……、あれ?」
「無理するな! 限界まで集中力を使ったんだろうから、今は休むことに全力だ!」
「わかりました」
マジで疲れた。
体力としては全く問題ないけど、もう少しも集中できる気がしない。
ただ、そのおかげで感覚は掴めた。
次からは楽にとは言えないけど発動までは比較的スムーズにいける……と思う。
「すごかったね、シュウ!」
「ありがとう、マルク。めちゃくちゃ疲れたよ……」
「うえぇ。じゃあ僕も、そんな思いするのかぁ」
「あ、そうだよな」
これから先、マルクも挑戦するんだった。
少しポジティブな言い方した方が良かったかもしれないな。
「まぁ僕は少しズルできそうだけど」
「ん? ズルって?」
「シュウが色々とブツブツ呟いてるのを聞いちゃったからね。ヒントにさせてもらうよ」
「え!? 俺、なんか喋ってた?」
「うん」
全然気が付かなかった……。
集中って怖いな。
『アクティブスキル《無属性魔法》を入手しました』
よしよし。
スキルも入手できた。
間違いなく成功だ。
この勢いのまま次は属性魔法にチャレンジだ!
といきたいところだけど今は無理だな。
休憩だ、休憩!
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