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4話

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

お待たせしました。

感想、評価、ブックマークなどお待ちしております!

 

「じゃあ行きましょうか、ぼっちゃん」


「うん。行ってきます!」


「「行ってらっしゃい」」


 天啓。

 いざ受けるとなると、ちょいと緊張してきた。

 当たり外れがあるわけじゃないのは分かってても、せっかくなら良いのが欲しい。

 冒険者向けの天啓!

 お願いします!

 まだ教会着いてないけどさ。


「楽しみだなぁ……」


「そうですよね。私も楽しみでしたね、当時」


「レオドの少年時代かぁ。なんか想像つかないね」


「普通の子どもでしたよ、もちろん」


「そうなんだ」


 何その含みのある笑みは。

 どうせ、めちゃくちゃ優秀だったんだろうことは想像出来ちゃうよ。

 頭良すぎるからな、レオドって。

 歴史とか教えてもらえる時も、何の澱みもなく年号とかスラスラ言えるし。

 こっちの勉強の水準では、確実に天才だ。

 いわゆる平民出身だけど、貴族だったら王族抱の家庭教師とかになってたかもな。

 それが俺の教育係。

 俺にとってはラッキーだけど、レオドにとってはどうなのかな?

 なんだかんだ楽しんでそうだからいっか。






 久しぶりに教会に来た。

 ほとんど用事とか無いしねー。

 こんなこと口に出しちゃ絶対にダメだけど、神に対する信仰心とか無いんだわ。

 天啓を受けに来ただけです。

 あれ?

 そう考えると、こっちの世界にはリアルに神様がいるのか!?


 信仰心あります。

 めちゃくちゃあるんで、良い天啓くださいお願いします!


 うん。

 これこそが邪念でしょうな。

 届くなよ、神様に。


「ぼっちゃん、こちらへ」


「あれ? 神官さんとかいるんじゃないの?」


「天啓を受けるのは、こちらの部屋で自由に受けられるんです」


「へぇ」


「ぼっちゃんが天啓を受けてる間に、軽く挨拶だけしてきます」


「そんなに時間かかるっけ、天啓受けるのって?」


「個人差ありますな。ぼっちゃんなら、すぐだと思いますが」


「なにそれ」


「あの椅子に座って自身に集中するだけで、天啓が頭の中に浮かんできますので」


「ふーん。じゃあ行ってくる」


 ある意味では少し怖いけどな。

 頭の中に浮かんでくるって、俺が前世の記憶を思い出した時みたいになるのかなぁ?

 あれ頭痛いから嫌なんだけど。


 ……なるほどね。

 この椅子に座った瞬間に、わずかに魔力が吸い取られたのが分かった。

 詳しい仕組みは分からないけど、これで天啓が決まるんだろうな。

 あとは自身に集中して、天啓を受け取るだけ。

 集中しよう。


『あなたには《学習》の天啓を授けます』


 !?。

 いきなりっすね……。

 前世の記憶が蘇った時みたいな頭痛は無かったけど、いきなり声が響いてきたから驚いたよ。


 それにしても、だよ。

 《学習》って冒険者に向いてるの?

 いや確かに色々な知識とかを入れないといけないのは分かるけど。

 学習かぁ。

 伝説とされる《剣聖》とか《大賢者》とか、なんなら《勇者》とか……。

 そこまでは求めてないけどさぁ。

 わかりやすい天啓だったら嬉しかったよ。


 天啓は他言厳禁だから相談も出来ないしな。

 どうしたもんか。

 これの天啓にまで意識を集中させたら、なんとなく分かったりしないのかね?


 ー天啓《学習》ー

 ありとあらゆる物を学習できる


 出来たよ。

 出来たんだけども。

 なんとなく概要だけはイメージが浮かんできたんだけども。

『ありとあらゆる物を学習できる』って誰でもじゃないんけ?

 俺の天啓、大丈夫か?


 まあまあ、外れ天啓は無いって話だからね。

 マイナス補正が入っちゃう天啓は無いんだから、別に問題はないけどさ。


 よっしゃ。

 天啓も受けたし、レオドと合流しようか。




「お待たせ、レオド」


「いえ。無事に天啓を得られたようですな」


「うん」


「では帰りましょう」


「そうだね」


「あまり、お気に召さなかったようですな?」


「お気に召さないというか不思議な天啓だったよ」


 マジで不思議でしたわ。

 勉強は嫌いじゃないし、色んなことを学んでいきたいとは思ってるけど。


「じゃあ帰って将来のこと相談しよう」


「やはり冒険者を目指すのは変わらないのですか?」


「今のところはね。まだ決めたわけじゃないけど」


「説明が大変でしょうな」


「そうかも」


 自分で言うのも変だけど溺愛されてるからな。

 母さんと姉さんから。

 騎士の家系だから危険も付き物な職業に理解はあると思うけど、冒険者なんて特になぁ。

 何の保証もないし。

 騎士とかみたいに公務員的なアレもないからね。




「ただいまー」


「おかえりなさい、シュウ!」


「姉さん、離してください」


「え、なんで? いいじゃん!」


「まだ手を洗ったりしてませんから」


「じゃあ行きましょ!」


 離してはもらえないのね。

 弟離れできるのは、いつのことになるんでしょうか?




「「ごちそうさまでした」」


 食べた食べた。

 なんだか食欲が止まらなくなってきてるような気がする。

 成長のためだと思おう。

 もしヤバかったらセーブしなきゃいけないけど、一般的な一人前くらいしか食べてない……はず。


「そうだ。シュウ、受ける授業の方向性は決まったのか?」


「そうですね、僕の中ではある程度」


「ほう? どんな風にするつもりだ?」


「基本的には冒険者育成推奨のカリキュラムに、プラスアルファで他の授業も選択しようかと」


「一般の部を選んだ時点で、そうだろうとは思ってたが……。やはり冒険者を目指すのか?」


「今のところは、そうですね」


「そうか。それでプラスアルファっていうのは?」


「冒険者育成カリキュラムだけだと、僕にとっては物足りなくて。色々と知識を得たり経験したりしたいなと思いまして」


「なかなか大変な道になるかもしれんぞ」


「多少の苦労は望むところですね。初めから少し困難なくらいで折れるなら、冒険者なんて続かないと思いますし。どう思いますか?」


「そこまで考えてるのに、私がダメと言うわけにはいかんだろう。精一杯頑張りなさい」


「はい!」


 父さんのオッケーは貰えた。

 母さんと姉さんは何か言いたそうにしてるけど、納得はしてくれてるみたいだな。

 俺が簡単に冒険者になりたいと言ってるわけじゃないのを分かってくれたらしい。


「なんだよー。シュウも騎士を目指すんじゃねえのかあ」


「そっちは、クロン兄さんとトーマス兄さんに任せるよ」


「まだまだ体力は無いけど、センスはありそうなのに……。もったいないなぁ」


「別に騎士にならないからって、もったいないわけじゃないでしょ。冒険者で活かせば良いんだし」


「そうだぞ、トーマス。騎士が全てじゃないんだからな」


「クロン兄まで……。ったく、しょうがねぇな。これからも修行には付き合えよ?」


「もちろん」


 それは、こっちからお願いしたいところだ。

 体力作りとか、戦闘の型とか、基本的なところを教えてもらえるのは助かる。

 もちろん学園でも勉強するつもりだけど。

 なんたって俺の天啓は《学習》だからな。

 どんな時でも、勉強できることは全て勉強に当てるくらいのつもりで良い。

 目指せ、スポンジ!


「というわけで、クロン兄さん」


「はぁ……。また、あの量の本を読み終えたか」


「さすが、察しが良いね。まだあるかな?」


「お前の為になるような本は残り少ないけどな。もう少しだけある」


「ありがと」


「今回で終わりだからな。次からは父さんたちの本を読ませてもらえよ?」


「わかった」


 クロン兄さんの本を、もう少しで読み尽くしてしまうのか。

 色々と世話になったな。

 面白い本がたくさんあった。


 特に面白かったのは、やっぱり魔法関連だよな。

 まだ魔力を循環させることばかりやってて、実際に魔法を使ったことはないけど……。

 かなりスムーズに循環はさせられるようになった。

 あとは本の知識と学園で学ぶ知識とで、成功させるのを待つだけだ。

 楽しみだな、魔法の授業。


「クロンも学園に通うとなったら、かなり楽しみにしてたが……。シュウは、それ以上に楽しんでるかもな」


「そうですね。我が弟ながら、大成するかもしれません」


「あんまりハードル上げないでよ。まだ何も始まってないのにさ」


「それだけ冷静なら大丈夫だろうよ」


 だと良いけどねぇー。

 頑張るしかないや。

 過度な期待をかけられてるわけでもないし、あくまでも自由に楽しみながら冒険者を目指す。

 やっとスタートラインだからな。

 不安も無いことはないけど、やっぱり楽しみだ。


 今度の人生こそは楽しみ尽くしてやる!

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