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3話

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 とうとう来たな、学園!

 前世では普通の学園生活なんて送れなかったから、ものすごい憧れがある。

 まぁ前世の学園とは全く違うものだろうけどね。


「ねぇ。ほんとに一般の部で良いの? シュウなら専門の部でも大丈夫なのに」


「もう手続きしちゃったしね。それに一般の部の方が、自由に勉強できそうだし」


「確かに専門の部はガチガチに固められてるような気もするけどぉ……」


 一般と専門。

 そういう分類にはなってるけど、要は専門の部は貴族や大商人の子どもが入るのが当たり前の学科だ。


 この国が教育に力を入れてることもあって、学園自体は身分の違いなんかは関係なく入れる。

 ただ学園の創立当時に傲慢貴族様が大いに不満を言ったらしい。

 まぁテンプレっていうの?

『選ばれた我々が平民と並んで教育を受けるなど言語道断』みたいな?

 どこにでもいるんだな、そういうの。

 前世でいうところの国立の学校だから、貴族様でも文句言うだけで実力行使とはいかなかったみたいだけど。


 そういう背景もあり、専門の部は固っ苦しいと思う。

 王国の歴史とかも学ぶことは大切だと思うよ?

 思うけど、カリキュラムを見たときにゾッとするくらい、そういう『貴族として!』みたいな授業が多すぎたんだよな。

 やってられないって。


 一般の部は、いわゆる5教科みたいなのから戦闘訓練みたいなのまで。

 こっちの世界で生きていくには大切なことも学べる。

 しかも、ある程度は自由に選択出来る。

 最高だね!


「決めちゃったから仕方ないけど、一緒の校舎で勉強したかったなぁ」


「敷地は同じですし、そんなに離れるわけじゃないでしょう。それに、どうせ勉強中は離れることになるんですから」


「弟が冷たいっ!」


 ある意味いつも通りで安心するよ。

 入学式の会場に着いた途端に見つかったからな。

 姉パワー恐るべし。


 そろそろ始まるのかな?

 専門の部と一般の部の生徒が全部集まってるから、なかなかに壮観だ。

 入学式は、つまらなそうだけど。

 どうせ偉い人たちの長い挨拶だらけだろうし。




「では新入生の皆さんは、それぞれの教室に向かってください」


 はぁ疲れた。

 ずっと座ってるだけだったけど、長くて退屈な話を聞き続けるのも大変だ。

 寝てるっぽい新入生の何人か見つけたし。

 恐らく貴族の子どもらしい装いの人の方が寝てたようなのは笑いそうになったけど。

 我慢弱すぎるだろ。


 さて、向かいますか。

 一般の部は東棟だったな。

 新入生はとりあえず1階の教室で、これからの生活について説明を聞くはず。

 やっとスタートだよ。


「えっと……。東棟はっと」


「こっちだよ。お前も新入生だろ?」


「うん。君も?」


「おう。俺はジュードってんだ。よろしくな!」


「俺はシュウ。これからよろしく」


「助かった……」


「は? どういうこと?」


「いや、東棟ってたから平民だと思って気安く声かけたんだよ。そしたら地味な服だけど、けっこう質の良さそうなもん着てるし」


「ああ、貴族にフレンドリーにいってしまったってことか。俺は気にしないし、この学園自体もそういうもんだろ?」


「とはいえ緊張はすんだよ。お前にゃ分からねぇかもしんねーけど」


「なんとなく分かるさ。ウチは貴族つっても歴史なんてないに等しい下級貴族。ガチの貴族様には緊張しそうだし」


「そんなもんかねぇ。ま、さっさと行くか」


「そうだな」




 ここが俺たちの教室か。

 30人くらいのクラスってことなのかな。

 まぁ選択式だから同じ授業を選ぶ同級生が多いとも限らないけど。


「おっ、隣じゃん」


「そうみたいだな。ここに座って先生を待ってればいいんだよね?」


「だろうな。あーぁ。入学式で長い話聞いたばっかりなのに、また説明かよ」


「仕方ないって。初めに説明しなきゃいけないことは多いだろうからな。入学式の話が長かったのは同意するけど」


 疲れ切ってる顔してるな、ジュード。

 どんだけ長い話を聞くのがキツかったんだよ……。


 お。

 先生らしき人が入ってきた。


「みなさん、はじめまして。リッツといいます。みなさんの担任です。よろしくお願いしますね」


「「よろしくお願いします!」」


「まずは、みなさんの学園生活の流れを説明したいと思います。しっかり聞いてくださいね」




「……という感じですね。何か質問はありますか?」


「「ありません!」」


「大変元気で素晴らしいですね。では少し休憩にしましょう」


「「はい!」」


 マジで元気だな、少年たち。

 俺も少年になってはいるけど、そんなにパワフルじゃないですよ。


 とりあえず学園生活の流れは把握した。

 前世では考えられないようなことだけど、この学園の卒業は申告制。

 学ぶべきことを学んだと思ったら卒業できる。

 まぁ一般の部だけだけど。

 どれだけ長く居ても18歳までらしいがな。

 ちなみに専門の部は15歳で確定卒業。


 はっきり言って5教科的なことは日本と比べたらレベルが低い。

 なので、そこいらの授業は重視してない。

 前世でいうところの体育に当たるのかな?

 戦闘訓練とかを重視して、俺なりに頑張って勉強していきたいと思ってる。

 それこそ勉強もだけど、前世では運動なんて全く出来なかったし。

 運動って言葉で括るには危険すぎるような気もするけどさ。

 憧れだから目指すのは仕方ない。


「なぁ、シュウ。もしかして、もう選ぶ授業とか決めてんの?」


「さすがに決めてはないよ。方向性だけ考えてるけど、家族とも相談しなきゃいけないし」


「そっか」


「ジュードはどうなんだよ?」


「うーん。何にもわかんねぇ! 父ちゃんたちに聞いてから考えるよ」


「まぁ色んな意見を聞いてからの方が良いわな」


「なんか大人びたこと言ってるなぁ」


「そう?」


「貴族の子どもって、みんなそんな感じなのか?」


「そういうことでもないと思うよ」


 精神年齢というか、そういうものだけは重ねてるんでね。

 前世から加えると。


「天啓も受けないと決めにくいよなー」


「確かに」


「俺は今週末に受ける予定なんだけど、シュウは?」


「俺もだよ」


 こっちの世界で特別な意味を持つのが『天啓』。

 ひとりひとりに1つずつ与えられる才能みたいなものらしい。

 アクティブスキルとパッシブスキルもあるんだけど、それは誰でも目指すことができる。

 でも天啓だけは自分の意思では、どうすることも出来ない。

 まぁ、冒険者とかは天啓に関係ない実力者の方が多いらしいんだけどね。


 うん。

 せっかくなら戦闘系統の天啓が欲しい。

 なんなら魔法系統とか、超絶カッコいい気がしてる。


「さて、みなさん。改めて何か聞きたいことはありませんか?」


「「はーい!」」


「では今日は、これでお終いです。気をつけて帰ってくださいね」


「「はい! さようなら」」


「さようなら」


 じゃあ帰るとしますか。

 帰ったら、とりあえず皆んなに選択授業の相談とかしなきゃ。


「じゃあな、シュウ。いきなり友達できて良かったよ」


「俺もだよ。じゃあな」


 前世では同世代の友達なんて、ほとんどいなかったからな。

 実は心配だったんだよね、友達作り。

 自然に出来れば良いなぁ、くらいに思ってたんだけどジュードから話しかけてきてくれて少し安心した。


 初日としては上々でしょう。

 なんか楽しかったし。

 本番はまだまだだけど、学園生活もエンジョイしないとな!


「あ……」


 姉さんと待ち合わせしてたんだったよ。

 待たせちゃうから速く行かないと。




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