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24話

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「行ってきまーす!」


「行ってらっしゃい、お兄ちゃん」


 快晴なり。

 店は学園の近くらしいから道順も見慣れたものだけど、やっぱり快晴だと気持ちが良い。

 これから暑くなっていくだろうから、そうなったら太陽を恨むかもしれないけど。


「そうだ、レオド」


「何でしょう?」


「トールさんって、どんな人なの?」


「そうですね……。騎獣への愛の塊といったところでしょうか。変人ではありますが悪人ではありませんよ」


「でも変人ではあるんだ」


「愛が行きすぎるところがあるだけですよ」


「ふーん」


 変人ねぇ。

 まぁ愛が溢れてるくらい、なんてことないと思うけどさ。


「最近思うんだよね……」


「何をでしょう?」


「知り合う人の変人率が高いというか、なんか多い気がする。ほとんどは学園の先生とかなんだけど」


「そもそも、ある程度は優秀なのは最低限。それ以上に変わり者でないと学園の教師など勤まりませんよ」


「生徒も色々だしね」


「その中でもトップクラスに変わってらっしゃることは自覚しておられますか?」


「え、俺!? いやいや、そんなことないでしょ」


「そんなことあるんです」


「マジか……」


 前世の記憶があるのは変かもしれないが、そこまで変わったことをしてるつもりはなかった……。

 いきなり冒険者コース選んだり、カリキュラム詰め込んだりしてるくらいじゃない?

 言動は至って普通だと思うんだけどな。

 ま、別にいっか。


「でも、それで言ったらレオドも変わり者だよね。もっと出世しようと思えばできたでしょ? なんなら今からでも可能だろうし」


「フフ。私にとっては今以上に恵まれてる場所はありませんよ」


「そうなの? 俺としては嬉しい言葉だけどさ」






「到着いたしました。こちらがトール様の馬具屋です」


「なんというか、だだっ広い敷地だね。お店自体は小さめに見えるけど?」


「店なんぞ作業小屋みたいなもんじゃ。ウチは完全に受注した物しか作らんからな」


「トールさんですか? はじめまして、シュウと申します」


「トールだ。貴族に対する口調は心得ておらんのでな。この調子で話させてもらいたい」


「もちろんです。トールさんがやりやすいようにしてください。こちらはお願いする立場ですから」


「レオド。お前の教育のせいか?」


「私は特に何も。こういう方ですから、あまりお気になさらず」


「そうか。グスタフは元気でやっとるか?」


「はい。今日同行できないのを非常に残念がっておられました」


「あのジジイも、いつまで相談役などせにゃならんのだろうなぁ?」


「最近は減ってきてるんですがね」


「そうあるべきだろうな。……じゃあ召喚してもらおうか」


「はい。召喚!」


「ブルル」


「ハヤテ、大人しくしててくれよ? 今から見てもらうから」


「ほう。悪くない」


 一気に雰囲気が変わった。

 かなり真剣な眼差しで、色んな角度からハヤテを眺めてる。


 ハヤテも堂々としたもんだな。

 あんな感じにじーっと見られたら、俺だったらドギマギしちゃいそうだ。

 サイズとかの目星を付けてるんだろうか?

 馬具屋さんの仕事内容とか分からんから、さっぱりなんですが?


「たぶん、まだ仕事には入ってませんよ」


「そうなの?」


「今は愛でる時間だと思われます」


「そんな時間があったんだね……」


「騎獣への愛の塊と言ったでしょう?」


「楽しんでるなら何よりだよ」






「うむ。良い。実に良い筋肉をしておる」


「ありがとうございます」


「召喚獣ということは、まだまだ成長するのか。これは楽しみじゃな」


「はい」


「よし、サイズからだな。いろいろやるから、適当に待っとれ」


「分かりました」


 おお凄え。

 眼差しが違うわ。

 さっきまでの鑑賞タイムも真剣だったんだろうけど、今は迫力すらあるくらいだ。

 まさに職人って感じだなぁ。


 さて。

 俺の方は、どうしたもんかな。

 適当に待っておけと言われても、うまく暇を潰せるようなものなんて……。


「どうされました?」


「いや。どうしたら良いと思う?」


「そうですね。せっかくですし組手でもしませんか?」


「レオドと? 珍しいね、レオドが組手なんて」


「まぁ軽く運動する程度ですよ。私も暇ですので」


「おいおい。本気は出さんでくれよ? 学園一の荒らし屋さん」


「荒らし屋?」


「一時期ありましたな、そんな話。グスタフ様関連の後始末をしてたら、そんな不名誉な二つ名を付けられてしまったのです」


「……苦労したんだね」


 トールさんの苦笑いを見るに、半分正確ってところだろうな。

 じいちゃんに聞いたことあるし。

 今でこそ紳士なレオドだけど、学生時代は結構な暴れ者だったらしいって。


 天才で暴れ者か。

 理由も無く反発するような生意気なだけのガキではなかったみたいだけど、当時の先生としてはやりにくかったかもなぁ。


「じゃあ軽く準備運動してもいいですか?」


「もちろんだ。馬具の調整のために騎獣を走らせることもある空間だからな。自由に使え」


「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと待っててねレオド」






「お待たせ」


「じゃあ始めましょう。どこからでもどうぞ」


 そんな隙だらけで……。

 と思ったけど、そんなことなかったわ。

 相対してみると隙が全く見出せない。

 いつものレオドのままなのに、尻込みさせられる雰囲気だ。


 凪。

 そんな言葉が最も似合うのかもしれない。

 父さんや先生たちもバチバチとした殺気を出してはこないけど、レオドが一番自然であり異質な気がする。

 吸い込まれそうなくらいで、どこまでも深い。

 俺がもっと無鉄砲なら、突っ込んでいけそうだと勘違いしそうだ。

 味方でよかったよ。


「どうしました?」


「分かってるくせに。簡単に攻めさせてはくれないんでしょ?」


「おや? 隙だらけのつもりでしたが?」


「笑いを堪えきれてないよ……。じゃあ胸を借りるね」


「では少し変化を加えてみましょうか」


「へ?」


 纏う雰囲気が変わったぞ。

 姿勢としては隙は少しあるように見えるが、どこか刺々しい雰囲気だ。

 なんだろう。

 これが荒らし屋の時のモードってことかな?


「いくよ!」


「どうぞ」


 小細工は無しだ。

 せっかく隙を見せてくれてるんだ。

 甘えさせてもらうとしよう。


「はあっ!」


「せいっ」






「……参りました」


「お疲れさまでした」


「おうおう。ずいぶんと楽しそうだったな、レオド」


「そうですね。年甲斐もなく、はしゃいでしまいました」


「サイズ測定も終わってるぞ。そんでもって、馬具も完成してる」


「えっ!? 受注生産だから、今から作るんじゃないんですか?」


「グスタフやレオドから話は前に聞いていてな。もう作ってたんだ。軽い調整でサイズも合わせられた」


「そうだったんですか……」


 召喚術のこととか、いろいろと話してくれてたんだろうな。

 トールさんの職人歴からして、召喚獣の馬具とかも経験してそうだし……。

 サイズは、ある程度理解してたってことか。


「ほらよ」


「おお! カッコいい!」


「これで騎乗術の授業の準備も万端か?」


「たぶん? 何が必要か分からないですけど、そもそも準備が必要だとは聞いてないんで」


「大丈夫だろう。騎馬も馬具も準備できていれば何の問題もないはずだ」


「ありがとうございます!」


「気にするな。仕事をしたまでだ。召喚獣が成長したら、調整しに来いよ?」


「はい」


 そうか。

 いつまでも同じ大きさとは限らないもんな。


「では、我々はこれで」


「ああ。たまには仕事抜きで会いに来いってグスタフに伝えておいてくれ」


「かしこまりました」


「今日は本当にありがとうございました!」


「おうよ」


 ハヤテに乗って走る未来が、近くに見えてきたような気がするよ。

 楽しみ楽しみ。

 どんな授業になるんだろうなぁ?




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