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11話

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 とうとう、この日がやってきた。

 長かったような、短かったような。

 待ち焦がれてもいたのに、いざ目の前にすると緊張感がヤバい。

 今から緊張してて、どうすんだよ。


「おはよう、シュウ」


「マルクか。おはよう」


「なんか緊張しちゃうよね、けっこう頑張ってきたつもりでもさ」


「同じことを考えてたよ」


 やっぱりマルクも同じことを考えてたか。

 まぁ、そうだよな……。

 冒険者コースを選んだ時点で、いつかは挑戦するのが当たり前だけど。

 気圧されるといつか、なんというか。


 きてしまいました、ダンジョンアタックの日が。

 正確には、学園を創立した人の天啓によって造られた擬似ダンジョンだけども。

 それでもダンジョンですよ。

 ほぼ危険は無いとしても緊張はする。


「2人とも、調子はどうだ?」


「おはようございます、先生。緊張してます」


「僕もです」


「安心しろ! このダンジョンに危険性など無いに等しい! 出てくる魔物も2種類だけだし、吾輩もついて行く!」


「はい」


 そうだな。

 あまり緊張ばかりしていて、いつもの自分を出さないなんて最悪だ。

 何日も何日もトレーニングしてきたんだ。

 強い敵には勝てなくても、この擬似ダンジョンの魔物くらいなら……。

 自信を持とう。


 この擬似ダンジョンに出てくる魔物については下調べしてある。

 アーマーアントとダッシュラビット。

 どちらも攻撃性の無い魔物だ。

 アーマーアントは硬い甲冑のような甲殻で身を守る蟻の魔物。

 ダッシュラビットは常に走って逃げ回る兎の魔物。

 守るか逃げるかしかないから、攻撃される心配は無し。

 そう考えるとリラックスできそうだ。


「このダンジョンは前も説明したが、まったく危険性は無い! だからといって気を抜くなよ! これが大いなる成長のスタートなんだからな!」


「「はい!」」


 この擬似ダンジョンが普通のダンジョンと違う点で大きいのは、ボスの魔物がいないことと魔物からのレアドロップが無いこと。

 普通のダンジョンでは最奥にボスと呼ばれる魔物が必ず存在する。

 何度倒しても、ボス部屋に出入りするたびに復活するらしい。


 そしてレアドロップ。

 魔物は倒されると核となる魔石だけを残し、痕跡すら残さず霧散する。

 しかし稀に、その魔物にちなんだ戦利品を残す場合がある。

 アーマーアントなら甲殻。

 ダッシュラビットなら肉。

 でも擬似ダンジョンの中では甲殻も肉も絶対にドロップしないそうだ。


「そろそろ行くか! 準備は大丈夫か!?」


「「はい!」」


「よし、突入!」




 ここがダンジョン。

 地下1階に当たるんだが、なぜか少しだけ薄暗いだけだな。

 光源があるようには見えないんだけど。


 そして空気中の魔力が地上より僅かに濃い気がする。

 擬似とはいえダンジョン。

 異常な空間であることに変わりはない。


「まずは進んでみろ! いつでも戦闘に移れるよう気を配りながらな!」


「「はい!」」


「フォーメーションは2人に任せる!」


「どうする、シュウ?」


「本来ならマルクが前衛をやるのが確定なんだろうけど、俺も前衛やるしなぁ……。横並びでいいんじゃないかな、2人だけだし」


「了解」


 2人が横並びで戦闘しても問題ないくらい広さはあるからな。

 てか広すぎだろ、ダンジョン。

 脇道も少ないみたいだし、明るいことも含めて初心者向けなんだろうか。

 さすが擬似ダンジョン。


「さぁ行こう」


「うん」




 いた。

 間違いなくアーマーアントだ。

 大型犬くらいの大きさの蟻って、けっこう怖いもんだな。

 初めての相手としては攻撃性なくてよかった。

 いずれは攻撃してくる相手とも戦うんだけど。


「どうしよっか?」


「相手が単体だからな。サシでとも思うけど、初戦闘だし共闘といくか?」


「そうだね。僕が一撃で倒しちゃったらゴメンね」


「軽口叩けるくらいには力が抜けてるらしいな。頼もしいぞ、マルク」


「そっちこそ」


「いくぞ!」


「おう!」


 俺が左、マルクが右。

 同時に駆け出す。

 アーマーアントも気がついたようで、完全に守備を固めてる。

 関係ねぇ、ぶった斬る!


「硬っ!?」


「ちっ……」


 マジか。

 弾かれるとは思わなかったぜ。

 馬鹿正直に甲殻の厚そうなところを斬ってみたのが不正解だったか。

 マルクの両手剣も僅かに傷をつけただけだ。


 そうか、そうですか。

 だったら装甲の薄そうなところ狙って手数を稼がせてもらおうか。

 マルクは腰を据えて重い攻撃を入れようとしてる。

 どっちが先に有効打を入れられるか勝負だな!


 まともに反撃してこない相手を挟み撃ちなんて、少し心が痛まないでもない……。

 なんてことはない。

 攻撃性が無いとはいえ、真っ黒い靄で覆われてる大型犬サイズの蟻だよ!?

 怖いっての。

 全力で倒させてもらいます!




「ふぅ……」


「お疲れさん、2人とも! 初戦闘はどうだった?」


「さすがに訓練と同じようにはいきませんね。無駄な力が入ったりして、どっと疲れました」


「僕もですよ。訓練の方が、もっと鋭い攻撃が出来てた気がします」


「フハハ! それが実感できてるなら合格だ! これから、そのズレを修正していけばいい!」


「「はい!」」


 こればっかりは、マジで数を重ねるしか方法が無さそうだ。

 実戦に慣れるしかない。


「ん? あっ!?」


「ダッシュラビットか……」


「どうする、シュウ。アーマーアントみたいに待ってはくれないよ?」


「スピード勝負だな」


「今度こそ僕が貰うよ?」


「負けるかよ!」




「待てこらぁー!」


「マルクの野郎、だいぶ頭に来てるなぁ……」


 めちゃくちゃ人格変わってません?

 こんだけ遊ばれるように逃げ回られると、イラッとするのも分からなくもないけどさ。

 俺は感心の方が強い。

 いつまでも走り続ける持久力もそうだけど、何より壁だろうが駆け上がって行く脚力に。

 あれで攻撃すれば、かなりの攻撃力になりそうなのにな。


 だけど、いつまでも追いかけっこってわけにもいかない。

 そろそろ終わらせないと。

 この個体は挑発するように動くクセがある。

 逃げ場を減らすと、頭上を跳び越えることもあるくらいだ。

 さっきは、あっけに取られて逃してしまったが……。

 そういう選択肢があることさえ頭に置いておけば。


「ここだ!」


「キュッ!?」


 一撃で決めることは出来なかったけど、足を斬り裂いて機動力を奪うことは成功した。

 悪いな、ウサギさん。

 この勝負はもらったよ。


「あーぁ。さすがシュウ。やっぱり持ってかれたか」


「まぁスピード関連は俺の方が得意みたいだな」


「確かに。でも次も同じようにいくとは思わないことだね」


「マルクこそ。冷静でいられるといいな」


「次は絶対に勝つ!」


 燃えてるね。

 いいじゃん、いいじゃん。

 焦って冷静さを失って暴走するわけでもなく、次に向けて頭を回転させてる。

 それでこそだ。

 先生に叩き込まれたことは見失ってないみたいだな。


 まだまだ時間はある。

 効率よく狩るなんて器用な真似は難しいけど、戦い方くらいは確立したい。

 特にダッシュラビット。

 常に2人で壁際に追い詰めるなんてことしなくても狩れるようにならないと。

 アーマーアントの甲殻をぶった斬るのも目標だけど。




『ユニークスキル《脱兎》を学習しました』


「はい!?」


「どうかした、シュウ?」


「あ、いや、気にしないでくれ」


「わかった」


 なんだ?

 パッシブでもアクティブでもないスキルを入手した?

 ユニークって……。

 珍しいとか特殊なとか、そんな意味だったっけ?

 しかも学習しましたって?

 まさか天啓の『学習』の効果か!?


 誰にも相談できないのがツラいな。

 どうしたもんか。

 脱兎ってことは、ダッシュラビットから入手したっぽいんだよな……。

 魔物を倒していけばスキルを入手できるってことか?

 そうだとすれば汎用性がヤバいことになるぞ。


 とりあえず続けてみて、それで確定かを調べてみる必要がありそうだな。

 ダッシュラビットから複数入手できるのか。

 アーマーアントからも入手できるのか。

 調査開始だ!




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