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38 全て世はこともなし


 特徴的なピンクブロンドの侍女が王城から解雇された事は、侍従やメイド達にとっても記憶に新しい出来事だ。


 王宮の下級侍女になったのを良いことに、王太子の執務室にある簡易の休憩室に忍び込み、水差しに媚薬を混ぜようとした所で執務室に在中する文官達に捕まったのである。


 鞭打ちの刑の後、放り出される際に



「私がヒロインなのに~!」



 と、大騒ぎして暴れていたらしいが、意味がわからないと衛兵達が困惑していたらしい。


 以前から問題行動を起こしてばかりいるこの男爵令嬢に、ほとほと困り果てていた文官である父親はとうとうこの放蕩娘と縁を切り、辺境にある厳しい戒律の修道院に送りつけ大金をはたいて一生出てこられないようしてしまった。


 父親である男爵は有能な文官であったし、娘は成人だったためキツイお咎めはなしという事となり、1年間ボーナスなしという軽い措置で済んだらしい。


 そして、ピンクブロンドの侍女が喚いていた言葉の意味が分かったであろう王太子妃であるイリスには、その事件は知らされることなく終わったのであった。









 そんな珍しい出来事もあったが、王太子夫妻を支持する貴族は圧倒的に多く、自分の娘を王太子の元に送り込もうなどと画策する貴族などほぼ皆無である。


 彼らは、若い2人が次々と打ち出す政策により自領がどんどん豊かになっていき、家族仲も以前と比べれば安泰で、若い貴族夫婦においては子育てに積極的な参加をするようになっていった。


 休暇も多くなり自分の子供達を乳母に任せきりで仕事にばかりかまけることが自然と減るからである。


 給料が安定しているため乳母達もまた自分の子供を可愛がる時間が増え子供との親密度が上がる。

 

 国全体の家族仲が良くなり、子供の育成に着手し始めるようになって親子間の理解度も進むため、幼少期からの人格形成に大きな変化がもたらされるようになっていった。








 

 そんな風に、王太子夫妻が王国に与える恩恵は知らない内にじんわりと広まっていくのだ。



 改革を熟し幸せを供給してくれる存在を害するなど、金を産む鶏を茹でて食べてしまう位愚かなことである。


 もしそんな王太子夫妻の仲を裂くような事をすれば、周りに恨まれ糾弾されるのは間違い無いのだ。


 まともな思考回路を持つものなら、考える気にもならないだろう。


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