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28 悩まないヒロイン


 頑張って夜会に乗り込んだ迄は良かったのだがアーレス王子は雛壇の上だし、他国のイケメンはそのすぐ手前の高位貴族が群がるスペース近くでパートナーと愉しそうにダンスを楽しんでいるらしい。


 しかも高位貴族が群がる先にいるアーレス王子の横にいる輝くような美少女は一体誰だろう? どう見てもゲーム内で見た悪役令嬢とは程遠い姿である。


 彼女はもっとダッサいもっさりした赤いドレスで、濃すぎる化粧に銀髪縦ロールのハズだが? 


 しかも離れた場所から見ていても丸わかりの、砂糖を吐きそうなくらいの甘い態度で、その女にイケメン王子がベタベタとくっついているではないか。


 はぁ~? 換気扇の油汚れか? それとも髪の毛に引っ付いたチューインガムかよ? アーレスって、女性不信でヒロイン以外に冷たいんじゃなかったっけ?


 あ、何か耳元に口寄せていちゃついてるじゃん! 何だよあの貴族? 真っ赤になって、そそくさ逃げちゃってさ。


 あ、皇子ったら何なの? 王女と満更でもない感じでいちゃついちゃってさ、あ、どこ行くんだよ? 中庭?! 中庭なの!? そこはヒロインの私と一緒に行くんでしょう?


 あああー、隣国の王子と騎士団長の息子が喋ってるじゃないの!! ちょっとお~、魔術師団長の嫡男一緒じゃないの! アンタら今迄ヒロイン放っといてどこにいたのよ!?



 ――勿論仕事をしていた筈だ・・・



 あ、宰相の息子のヤツ、入口で招待状の確認とかしてるじゃん。アタシの時は居なかった癖に今頃出てくるんじゃないわよっ! 


 あ、公爵家の義弟見つけたー! オッサン公爵の横で挨拶回りかよ。出てくんの遅いわ~でも可愛いわね。グフフフ・・・


 目の前の隣国の騎士達と軽く会話しながらもイケメンセンサーがバッチリ働いているらしく、攻略対象者の周りの変化を見逃さない男爵令嬢。結構な社交スキルである。


 しかもイケメンセンサーの性能が半端なく高性能。


 こんなに大勢攻略対象者が訪れるとは思いもよらなかった男爵令嬢だが、



「でもね~、2兎追う者は1兎も得ずっていうからぁ・・・」



 と可愛らしく小首をかしげる。


 その可憐な姿は庇護欲を唆るヒロインそのものであったが、微笑みの奥に黒いオーラが潜んでいるのを誰も気が付かなかった。




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