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21 戦い済んで日が暮れて


 時間は既に日が落ち、夜である。


 歓迎の夕食会も終わり、王宮の客間のソファーでぐったりとした他国の若者が2人。



「なあ、俺達さあ、何だか唯のおじゃま虫じゃねーの?」


「あ~もう帰りてえ~アホくさい~・・・」



 昼間アーレスに無理を言って会わせて貰った彼の婚約者であるイリス公爵令嬢は、まるで女神のような美しさであった。


 母親が傾国の美女だったのだと語った父親達の力説の通りなら、瓜二つと言われている彼女と母親が並べば天女が舞い踊る桃源郷のようだろうと思う。


 だがしかし。



「あのイチャイチャっぷりは何なんだよ! ほんのこないだ婚約したばっかりって聞いてたぞ? アーレス、あんな奴だったか?! こうなんつーか女に興味無いって感じのシラケた顔してたんじゃなかったか?!」


「俺もそう聞いてるわ~。そしてお前のアイツに関する考察は間違ってないよ~」



 隣国の王子様は、如何にもやる気なさげにノソノソと寝台に歩いていくとゴロリと寝転がる。



「俺んとことか、5年も前から婚約してるけど、全然あんなんじゃねえわ~うわ~めっちゃ悔しい~羨ましい~・・・」



 寝台でゴロゴロ悶える王子様。綺麗に整えられているミルクティーブラウンの髪の毛がぐちゃぐちゃである。



「俺は婚約者はいねえけど。何かアーレスに負けた気がする・・・」



 ソファーにポスンと横倒しに寝転ぶ皇国の皇子は真黒い黒檀のような髪の毛をイライラとして掻きむしる。



「「絶対にアイツ、女に興味無いから楽勝とか思ってたのに~」」



 情けない声で2人の声がハーモニーを奏でた。


 2人共イケメンが台無しである。









 一方、客室から随分離れた場所にあるアーレス王子の私室でも、寝台の上で夢見心地の表情のままで悶える彼の姿があった。



「やり過ぎた。いや、役得か!? 嫌われてないよな? え。大丈夫だよな。うわわわわわわ~今日俺ホントに眠れるのか?!」



 そしてハッと真剣な顔をする。



「俺の指をイリスが舐めた・・・」



 どんどん顔が赤くなっていき、どんどこ彼のアーレス殿下も元気になっていく。


 2極に向かって血流過多で大変そうだ・・・


 慌てて浴室に飛び込んでいくアーレス王子。


 何がナニしたのかは、お察しである。


 


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