17 王城へ
今日も午後から王城で王太子妃教育である。
午前中は貴族学園で一般教養として授業を受けて、昼食を挟んだ後に登城をする。
そして王子妃の為の授業後はアーレス王子や国王夫妻とお茶の時間を過ごして公爵邸へと帰る。
毎日がこの繰り返しである。
因みに選定の儀以降王子からは毎朝のように美しい花束が送られ、王都で人気の菓子や綺麗な栞、オルゴール、レースのリボンや髪飾りといった女性なら大喜びしそうなセンスの良いプレゼントも度々一緒に送られてくるので婚約者としては上出来だと感心していたりする。
メイド達は王子の従者が毎日のように運んでくるプレゼントに大喜びで
「ウチのお嬢様が大切にされている! 王子殿下は素晴らしいですわ!」
と、まあ、公爵家の女性使用人達の評価は花丸のようだ。
残念ながら父である公爵閣下は仏頂面、家令のセバスだけは中立なのかいつも無表情である・・・
王城に向かう公爵家の馬車の中、イリス専属の侍女と共に王城へと向かう。
そして何時ものように馬車の外には過保護な父と国王陛下が競いあった結果、これでもかという位の人数の護衛騎士がつけられた為、公爵家のハウスタウンからほんの30分程度で着く場所なのに戦いに行くのかと思うくらいの物々しさ・・・推定人数40人。
朝、学園に通う場合もほぼ一緒の状態である。
過保護半端ねえ。
もっとも選定の儀以降、彼女が子供っぽいと称する個性的な格好をやめて本来の美しさを生かすようなメイクやドレスに切り替えたせいなのか、母に生き写しの美貌が貴族達に周知されてしまったせいなのかは判らないが、やたらと注目されてしまう結果になった為あながち心配も無駄ではないという出来事が何度か起こったのでこれも仕方がないのだ。
実はたった30分の王城への道程の間に何故か隣国の王子と名乗る若者や、学園の通学途中で遠い皇国の皇子という触れ込みの輩が何度か奇襲をかけて来たのである。
本当に襲いかかってきたというわけではなく、どっちかというとイリスの顔が見たいと突撃してきたので物々しい護衛騎士達に追っ払われたというのが、本当の所である。