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16 薔薇


 敵はヒロインでは無く攻略対象者である王子や高位貴族の子弟だ。何故か?


 其れは断罪される直前までの時間を共に過ごした許嫁や恋人、幼馴染を袖にして目新しい存在であるヒロインにあっさり乗り換えた挙げ句、邪魔な存在となる悪役令嬢を断罪する権限がある、若しくは自分にあると勘違いしてしまう様な愚か者達だからである。


 ヒロインが特殊なスキル持ちでない限りは、本人達が馬鹿なのか、最近流行りのゲーム強制力というヤツかも知れない。


 そうなら小娘の抵抗などでは太刀打ちは出来ないだろうから、逃げるが勝ちとなるだろう・・・


 ココまで書き連ねてみてふと、首を捻るイリス。


 現在ヒロインは影も形もないし、アーレス王子自身はイリスを婚約者として決めたばかりで好意を示しているのに間違いはない。


 ということは自分自身の行い次第で、もしここがゲームの世界だったとしても逃げ道はあるのかも。



『第1に乙女ゲームとか小説とかは関係ない世界かもしれないしねぇ』



 ペンを弄びながら天井をボンヤリと見上げる。



『何故、突然目覚めたのかも謎だしなー・・・』



 うーん、と眉根を寄せる美少女。


 兎に角ハニトラに引っ掛かることのないように王子を躾けるしか無いんじゃないかな・・・


 そもそも攻略対象者達は、何だってあんなに簡単に安っぽい罠に引っ掛かるのだ。


 そしてNTRされちまう婚約者たちはそんなに薄っぺらい間柄なのか・・・


 多分だがこの辺りが問題なのだ。



「お嬢様、失礼します」



 とドアをノックする音と共に家令の声がした。



「セバスチャンどうしたの?」



 ガチャリとドアを開けて1礼と共に白髪頭の家令が合図をする。


 次々とメイド達が現れ、イリスの部屋に赤い薔薇を運び入れる。



「アーレス王子殿下からの贈り物で御座います」



 シレッとイリスに銀盆の上に乗ったメッセージカードを差し出す家令。


 綺麗な封筒から出てきたカードには、



『愛しい婚約者殿へ』



 と(多分)王子の直筆で書いてあった。


 どうやら、ゲームや小説内の攻略対象の愚かな王子とは違って、婚約者に対しての礼儀は弁えていそうだな〜と、次々と部屋の壁を埋め尽くす勢いで飾られていく大量の赤い薔薇を見回して



「でも多すぎる・・・」



 と、溜息をついた。



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