15 高位の貴族令嬢令息とは
改めて考えるまでもなく、どう見積もった所でこのヒロインという存在は高位の貴族令嬢とは真逆、まさに正反対である。
しかもこんなちゃっちい技に翻弄される攻略対象者は、大抵が王子や次期当主となり得る高位の貴族子弟である。
彼らは大抵不自由で家族間が上手く行っていない事が多く、鬱屈としたコンプレックスを持っていることが多い。
そこを上手い具合にヒロインが褒めたり宥めたり時にはサボらせたりという行為で懐柔し、自分の手中に収めるのである。
しかも身体から落とされるパターンも存在する。
高位貴族の子弟がこんな簡単なハニトラに引っ掛かるようでは国が滅びるに違いない。
『はぁ・・・』
遠い目をして国の未来を慮る公爵令嬢。
貴族間では、貞節謙虚が美徳とされており未婚の女性がパートナーのいる男性に擦り寄るなど本来なら断罪ものだ。醜聞として社交界では爪弾きとなり、追い出されるのが目に見える様なものだ。
しかし閉ざされた学園という枠の中で当たり前のように展開されるのだから、強制力なのかも知れないが・・・
但し、自分自身が王子の婚約者になった今改めて考えてみると、この『狭い枠』は今の自分の環境だと当てはまらない事に気が付いた。
だって貴族達が一同に集まる教育システム、つまり『若い社交場としての学び』という目的で集まる貴族学園がこの国にもあるのだが、15歳から通い始め18歳になる年に卒業する。当然アーレス王子はとっくに卒業済みである。
だとしたら今後ヒロインが現れるとしたら、王城、下町辺りなのだろうか? イレギュラーで他国からの横槍で王女とか?? ウ~ン。
今の路線では、王城で害虫が湧くのが濃厚路線?
そこまで考えてみると、この推察は無駄じゃないかな?
今できることを考えよう。
イリスはそこまで書き込んだ内容の見解を新たにするため、次のページをめくった。