13 よし、とりあえず攻略しとくか
『チョロいとヤバくないか?!』
と、いきなりハッとするイリス。
『下手すると、この姿、見た目断罪コースの悪役令嬢っぽいけど、今の所判んないしなぁ~・・・ゲームとか無関係なのかな?』
いやいやいやいや、婚約しても結婚しても、こんだけイケメン王子。ゲームだとしたら絶対に攻略対象者だ。
自分が悪役令嬢若しくは悪役王妃だったとしたら、後から後から湧いて出るおじゃま虫に翻弄されるのが、ウェブ上でのお約束である。
油断したら身の破滅に繋がるのは火を見るより明らかであろう・・・
どうしたものかと首を捻る公爵令嬢。
「どうしたの? そんなに眉根を寄せて」
流石はスペック高いイケメンは乙女の機微によく気がつくようだ。
多分攻略対象者ランキング1、2位を争うだろう美貌でじっと見つめて来られると、こちらも動揺して顔が赤くなる。
「あの、申し訳ないのですが。確認させて頂いても?」
「何をだろうか?」
「殿下の心の中には私以外の女性がお住みになっているなどということは御座いませんか?」
「ああ、そういうことか」
王子はその麗しの美貌に微笑を浮かべる。
「心配せずとも君以外には誰もいない」
そう言いながら、イリスの手の甲に口付けを落とすと
「誓ってもいいよ。神に」
そのまま手を離さずに此方を見下ろすアーレス王子に嘘は無さそうに見えた。
そして、自分の身の安全の為、公爵家御家断絶を防ぐためイリスは決意する。
『うん、今後の事を考えて自分が王子を攻略しとこう!』
自分の未来の為にも、新たに湧くであろう害虫駆除のためにも先に王子を攻略しておけば安心だ。
花が綻ぶような華やかな笑顔を見せて王子を見上げるイリス。
其れを見て耳まで赤くなるアーレス王子は、多分もう攻略済みである・・・
合掌。