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1 転生した? うぇ~

悪役令嬢に転生した私?の物語


 私は悪役令嬢として生まれ変わったようである。


 だって・・・


 烟るような銀色の睫毛に縁取られている美しい春菫のような紫色の目はパッチリとした二重で大きなアーモンド型の綺麗な形をしているが、猫の目のように吊り目だ。


 額から、小さく上品な鼻梁にかけての鼻筋は真っ直ぐすんなりと通っていて、その下に続くぽってりと女性らしい唇が愛らしく配置されている。


 美しく弧を描く女性らしい眉も、これでもかというくらい左右対称で眉カットなんか無縁そうだ。


 出るべきところは艶かしく自己主張し、引っ込むところはきちんと出しゃばることなく、きれいな形に整っているという理想のボン・キュッ・ボン。


 しかし、だ。


 こんなにこってり載せなくてもいいんじゃね? という位の厚化粧で、美しかろうと推察される美貌は台無しだ。


 虹のプリズムを湛えたような輝く銀色をした髪は、これでもかというくらいグリングリンにコテで巻かれている。


 ゴテゴテとフリルで盛られた真っピンクのドレスは、トータルコーディネイトとしては軽く見積もっても最悪だろう。



『何だ、このセンスの悪い格好? 絶対に悪役令嬢ダヨネ?』



 自分の身長より、遥かにでかい姿見に映る己の姿を見て暫し固まり、あまりの悪趣味さに思わずポケットの中にあるであろうブツを探そうと無意識に手を動かす。


 が。普通ドレスには当然ポケットなどないし、ある筈の『ブツ』つまり煙草は存在しないのだった。



 私は、美しい銀髪を台無しにすべくコテを手に持ち、グルグル巻いている黒いメイド服の女性に声を掛ける。



「ねえ、ちょっと」


「はい、何でございましょうお嬢様」


「もしかするとさ、このダッサイ格好って今の流行りなのかしら?」


「は?」



 銀髪の束を持ち、巻こうとする手をピタリと止めたメイドは驚いた顔で鏡の中の厚化粧の小娘の顔に視線を向ける。



「いえ、元々これは旦那様のお言いつけでございますが・・・」



 若干の驚きを含む声で、そのメイドは気を取り直したように素直に答えた。



 私は頭が痛くなった。



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