俺の秘密の存在
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい! どうだった? 学校は? 楽しかった?」
「うん、それなりには。」
「よかった。あそこね、夜壱伯父さんの母校なのよ。もしかしたら伯父さんの名前があるかもしれないから明日、見てきてくれない?」
「うーん、僕の機嫌が良かったらと忘れなかったらね。」
「何よそれ。ケチ極まりないじゃない。」
「なんだよ子供に向かって、ケチって言う方がケチなんでーす。」
「なんだと? もういっぺん言ってみろ!」
この人は琴音叔母さん夜壱伯父さんの奥さんでとても優しいが実は元ヤンだからバチクソ怖い時がある。
「なんだなんだ? 騒がしいぞお前ら。もう少しで超巨大special綿飴食べれたのに」
「「いや夢の話は聞いてない!!」」
夢から覚めてやってきたのが夜壱伯父さん。実はとても寝るのが大好きで今みたいに僕が帰って来たら起きてくれてりする。
「いいから飯にしようぜ! 琴音、今日の晩御飯はなんだ?」
「今日は天夜星が初登校日だったので、天夜星の好きなもの尽くしメニューでーす!」
「よっしゃ! 何があるの?」
「まずはオムライスだよ〜!」
「待ってました! 琴音叔母さんのオムライスは美味しいからいつも楽しみなんだよね!」
「あら、天夜星がお世辞上手になってる。」
「お世辞じゃないって!!」
「デザートはパンケーキだよぉ!!」
「な、なんだってぇー!!!」
「・・・・・・何故一番夜壱伯父さんが驚いてんの?」
「だ、だって。最後に作ってくれたの3ヶ月前なんだよ!?」
「いやいや、そんな頻繁に作れないから普通は。」
「そうよ天夜星の言う通り! 確かに前はパンケーキの粉が沢山家にあったから毎日作ってたけどね。」
「琴音叔母さんが夜壱伯父さんの食生活リズムを崩してたんじゃん。」
「ふぅ、ご馳走様。俺自分の部屋に戻るわ。」
「わかった。寝る時もう一度言ってくれ。」
「はーい。」
フクロウの鳴く声が聞こえ月の光が差し込む渡り廊下。誰もいない神秘的な庭。少し離れた部屋が俺の部屋。リビングよりかは狭いけど、まぁ広い方だ。
カチッ
「ただいま、紀葉蘭。」
「!! お帰り天夜星、待ってたよ!」
扉を開けると袴姿が可愛らしい紀葉蘭が出迎えてくれた。彼女の身長はだいたい15センチ定規より大きいか小さいかぐらいで、背中から羽が生えている妖精みたいな感じに思えるが、実はおでこにこれまた可愛らしいツノが生えているのだ!!
「ん〜紀葉蘭相変わらず可愛いねぇ!」
「天夜星、気持ち悪いです。しばらくツノ触らせません。」
「そ、そんなぁ・・・・・・」
〜めっちゃ沢山謝った〜
「じゃあ、そろそろ寝るか?」
「はい、天夜星!」
「あ、ごめん寝る前に夜壱伯父さん達の所行かないと行けないから待ってて。眠かったら先寝てて。」
「はーい! いってらっしゃいませ!」
紀葉蘭は、俺にしか見えていない。よくわかんないけどみんなには見えていない。俺もいつから紀葉蘭が見えて、一緒にいるのかわかんない。紀葉蘭には本当のことが沢山言える。他人には絶対言えないこととか。夜壱伯父さんや琴音叔母さんにも。だから、今となっては俺の心の一部みたいなものだ。
コンコン
「失礼します。夜壱伯父さん、琴音叔母さんおやすみなさい。」
「はい、おやすみなさい。」
「部屋まで送ろうか?」
「ううん、大丈夫。ありがとうございます。・・・・・・失礼しました。」
ガラガラ・・・・・・ピシャッ
「あいつ、なん変な所大人びてるよな。」
「別にいいじゃないですか?私は夜壱より行儀がよくて素敵だと思うけど?」
「あ?なんだそれ。ったく、寝るぞ。」
「はいはい。おやすみ。」
「紀葉蘭? 起きてる?・・・・・・あ、寝ちゃってる。」
俺は起こさないようにそーっと布団の中に入って、
「おやすみ紀葉蘭。」
これでやっと1日が終わった。