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異世界恋愛

逆ハー部屋担当侍女の日常

作者: めみあ

不揃いの箇所を揃えて、一部分の言い回しを変更しましたが、内容は変わっていません。


異世界転生して、侍女になりました。

どんな事にも動じない性格を買われ、今は逆ハー部屋の担当です。


学園でなんやかんやあって、元平民の女の子が貴族になり、ドラ息子5人を手に入れハーレムを築いた。今は蜜月の真っ最中


おてて握って愛を囁いてなんて可愛らしい集団ではありません。もうガッツリ。

まだ最初だから女の子も張り切ってるけれども、もっと自分を大事にしなきゃ体壊すよ。男もダメだわ。猿だから自分優先。




 私はシーツを替え、汚れた床を拭き、水場を掃除して部屋をひと通り見回す。


――臭いわホント。消臭剤ほしい。 部屋を完璧にしても台無し


 前世は息子を3人育てたから男性の身体は見慣れてるし、パートでラブホの清掃をしていたから、他人の情事の後の掃除も慣れている。



 私はソファでまだ惰眠をむさぼる魔術師に声をかける。長い白髪なのでいつも老婆と間違えてしまう。


「魔術師様、もう皆さまは出ましたよ」

「ん?…ああ悪い」

 魔術師は半裸のまま伸びをする。色白で華奢なのでちゃんと食べているのかと母目線で心配してしまう。


「部屋を出るときに風魔法で空気を交換してくださるとありがたいのですが。臭いがこもるので」←逆ハー部屋担当はこのくらいの図太さがないと勤まりません。


「………分かった」


 臭いも清浄になり、私は今度こそ満足して部屋を後にした。



 仕事が楽すぎて申し訳ないくらいだ。代わりに逆ハー部屋担当になりたがる侍女はたくさんいるが、感情を表に出さないという条件がクリアできないようだ。


 恥ずかしい云々ではない。ハーレムを築く彼女に悪意を見せないように出来ないらしい。


 ――女の敵だよね確かに。

 ドラ息子全員が、意気揚々と婚約破棄を宣言したときの婚約者様たちの涙は見ていられなかった。


 

 ハーレムの主は性悪タイプではない。人の気持ちにスーパー鈍感なだけ。だから私はそこまで彼女に対して悪意がない。


 ――結局は大事にしてない、されてないって皆が気がつけば良いけど。


「おい」

 汚れものを洗っていると声をかけられた。

 老婆――ではなく魔術師様だ。何故か私の横に座る。


「何でしょうか」

「……相談してもいいか」

 ――なぜ

 と呆れたけれど顔には出しません。


「わたしは向いていないようだ。皆のように長くもたない」

 ――なぜ私に言う!? でもなんとなく分かるよ。君は体力なさそうだし。そもそも淡白そう


「彼女にとっては負担にならなくて良いのでは」

 まじめに答える。


「そうか……うん、そうだな。相談して良かった。ありがとう。それにいつも部屋を綺麗にしてくれて感謝している」

 そう言うと、白髪の君は眩しい笑顔を残して去っていった。


 ――ハーレムから出たら私の所に来ても良いよ


 阿呆だが優しい言葉をかけられるし、アッチも早く済むタイプであり、お金も稼ぐ。理想だ。



 そろそろ、彼女と王太子あたりが抜け出して部屋に来る頃か。


 私はお茶と軽く食べられるものを用意しようと立ち上がる。



 渡り廊下で宰相が息子に説教をしているのが見えた。

 ――もう学生じゃないからガッツリ怒られてる……ハーレム脱退の1番はここかなぁ。侍女仲間と賭けるか。



 私が戻ると既に始まっていた。予想通り彼女と王太子だ。用意が間に合わず悔しい。


 彼女は王太子の秘書のようなものをしている。鶴の一声だ。次の王は第2王子かもなぁ。これは賭けると不敬罪で捕まるからやめとこう



 王太子達は長くかかるので、やる事がなく侍女の休憩部屋でひと休み。一応私が知る情報?は他言してはならないので、つまらない。


 窓の外を見ると、騎士団達が走ったり手合わせしたり、体力づくりをしている。

 ハーレムメンバーの団長の息子は走り込みをしているようだ。皆より少し遅れをとっている。


 ――朝まで頑張ってたからなぁ……

本当に馬鹿。仕事に支障をきたす奴しかいないのか。ハーレムメンバーは。



 その横を大司教とその息子が通り過ぎる。もちろんハーレムメンバーだ。団長の息子を横目で見て鼻で笑っている。


 ――こういうのなんて言ったっけ、馬鹿が馬鹿を笑うみたいなことわざ…あ、目糞鼻糞を笑うだ。思い出せてスッキリ。まだ物忘れは大丈夫そう。



「本当にくだらない」

 思わず口に出てしまい、慌てて口をおさえる。仲間達も聞こえただろうにスルーしてくれている。


 皆は仕事に戻るが私はどうしようか。



 急にハーレム部屋の方から怒鳴り声と共に王太子が出て行った音。

――喧嘩か。めんどくさ。どうせ他の男の名前を呼んだとかでしょ


 私が部屋にはいると、ハーレムの主は「違うの」とか言いながらさめざめと泣いている。


 ――面倒くさい。ハーレム築くならそこはちゃんとしなさいよ。どうせ夜になれば仲直りだしどうでもいいけど


「ローズ様、王太子様は大丈夫ですよ。すぐに頭を冷やして戻られますから。お茶でもお持ちしましょうか?」


「嗚呼……あなたは優しいのね。まるでお母様のよう。ええ、お茶をいただこうかしら」



そんな感じの毎日を、私は過ごしております。

何気に楽しんでいると言われれば否定はしませんが。









※魔術師のセリフを変えました。

俺→わたし

ありがとう!→感謝しているなど。


はじめの方が馬鹿っぽさがでていましたが、

あとからのキャラクターに寄せてしまいました……

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― 新着の感想 ―
[良い点] そうか、こういう視点があったか!とっても面白い!と思います。侍女達が何を賭けにかけたのかが気になります。多分、給金は生活に使われるので、下賜された高級なお菓子とかかな?と、勝手に予想。逆ハ…
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