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変態紳士のクリスマス事情―クリぼっちインジャパン編―


「皆さん、本日はお忙しいなかお越しいただきありがとうございます」


 1943年12月24日午後6時。

 駐日英国大使館の大広間には大勢の人間が集まっていた。


「……今年は大変な年でしたが、来年は良い年になることを切に願っております。それでは、乾杯!」

「「「乾杯っ!」」」


 駐日英国全権大使テッド・ハーグリーヴスが音頭を取ってシャンパングラスを掲げる。様々な思惑が渦巻くクリスマスレセプションが開始された瞬間であった。


 会場を歩き回るテッドの前には様々な人間が立ちふさがる。


「ところで良いお話があるのですが? いえいえ、お金はいただきません。ドーセット公が満足されたら、それが何よりの報酬でございますので……」


 それは怪しいお誘いだったり……。


「ドーセット公の御力で一夫多妻制の法案をなにとぞ! 公が(ただ)れた……失礼、奔放(ほんぽう)性活(せいかつ)を認めてくれれば、政府だって本腰で検討してくれるはずなんですっ!」


 あるいは陳情だったり……。


「あまりこういうことを言うのは釈迦に説法とは思うが、本国の意向を無視して好き勝手やり過ぎていないかね?」


 あげくに嫌味であったりした。

 腹のうちはともかくとして、表面上はにこやかに流す。それがテッドの仕事なのであるから。


 しかし、如何にオリ主チートなテッドと言えど限界はある。

 頭痛の種は正面だけでなく、左右からも背後からも迫ってくる。このままでは絶対絶命と思われたのであるが……。


「おーい、テッドはん。こっちや、こっち」


 聞き覚えのある声が聞こえてきたのは、まさにそのタイミングであった。

 というより、見え見え過ぎる。確実に分かってやっているので質が悪い。


 腹立たしいが、救いの神には違いない。

 もっとも、後で疫病神になる可能性も否定出来ないのであるが……。


「相変わらずですね。お元気そうで何よりです金子さん」

「かっかっか! 商売は体が資本やで。まだまだくたばってはおれん」


 救いの神――鈴木商店大番頭の金子直吉(かねこ なおきち)はニヤリと笑う。

 御年77歳になろうというのに、相も変わらず矍鑠(かくしゃく)とした様子であった。


「くっ、あいつらも招待されていたのか!?」

「悔しいが、ここで割って入って財閥の長の機嫌を損なうわけにはいかんか……」


 テッドに群がる欲の亡者たちの足がピタリと止まる。

 その様子は、聖なる結界に阻まれるゾンビの大群の如しであった。


 金子は一人で来たわけでは無かった。

 三菱財閥総帥岩崎小弥太(いわさき こやた)、三井財閥総帥代行大島雅太郎(おおしま まさたろう)、住友財閥総帥小倉正恒(おぐら まさつね)と、日本の経済界の重鎮を伴っていたのである。


「……さて、儂らがここに来た理由は分かっているよなテッドはん?」


 声の調子も表情も変わらないが、目は笑っていない。

 見た目こそ好々爺ではあるが、その迫力は流石は日本一の総合商社の長といったところであろう。


「えぇまぁ。カナダの件ですね」


 対するテッドは落ち着いたものであった。

 というより、このご時世で聞いてくる話題など一つしかない。


『今こそアメリカ大陸は一つになるべきだ! 我々はカナダを開放する!』


 1943年3月中旬。

 アメリカ連邦総書記レフ・トロツキーの宣言は世界に衝撃を与えることになった。


 警戒すらしていなかったカナダ軍は侵攻に対して無力であった。

 鋼鉄の津波と化した米連軍によって国境守備隊はあっという間にズタズタにされてしまったのである。


 米連軍が真っ先に狙ったのはケベック州であった。

 この州はフランス系が多い。他地域との離間を狙ったのであろう。


『カナダは大英連邦の一員である。我々はいかなる代償を払おうとも、カナダを守る』


 英国宰相ウィンストン・チャーチルは直ちにカナダ救援を表明。

 この動きの早さは、米連軍にとって最大の誤算となった。


 英国海外派遣軍(BEF)の編成を悠長に待っている時間など無かった。

 チャーチルはグリーンランド経由で空挺部隊を飛ばすという荒業で戦力を送り込んだ。


 送り込まれた空挺部隊と米連軍は激しい戦闘を繰り返し、やがて戦線は膠着することになった。現在はセント・ローレンス川沿いに塹壕陣地を構築して、にらみ合いの真っ最中であった。


「チャーチルがはっきりと明言していますが、カナダを見捨てるつもりは断じてありません。ここで見捨ててしまえば、イギリスは遠からず滅びてしまうでしょう」


 4人の前でテッドは断言する。

 カナダを見捨てることは、政治的にも経済的にも英国に死をもたらしかねない。


 この世界のカナダは1940年に実質的な独立を果たしたばかりであった。

 自治領から独立国に昇格した最初のケースとして大々的に喧伝されていたのである。


 史実より独立が遅いのは、列強国筆頭で世界最強の金看板に縋りついていたからに他ならない。そのカナダを見捨てるようなことになれば、どうなるか?


『独立したら英国は守ってくれないのではないか?』

『自治領に甘んじていたほうが楽なのではないか?』


 自治領政府がこのような考えに染まってしまってもおかしくない。

 さっさと独立させて負担を減らしたい英国本国からすれば、到底受け入れられるものではなかった。


「幸いにして防衛線の構築には成功しています。しかし、連中をケベックから叩き出すには戦力が足りません」


 英軍の悩みは兵力不足であった。

 現地に派遣されたBEFの兵力では防衛戦闘が関の山。逆侵攻など絵空事に等しい。


「以前の世界大戦のようにあちこちから兵士を集められんのか?」

「政治的な問題でそれが出来ないから苦労しているんですよ……」


 金子の疑問にため息交じりに答えるテッド。

 それが出来ていれば、苦労などしていない。


 植民地や自治領から兵士をかき集めるのは禁じ手に近い最後の手段であった。

 本国が呼びかければ喜んで兵を差し出すであろうが、戦後に『大英帝国の一員として義務を果たしただけ』と言われるのは確実。そんなことになれば、将来の独立の大きな障害となりかねない。


「米連が別方面から侵攻してくる可能性もある。早急に何処からか戦力を持って来る必要があるわけです。お分かりですよね?」

「テッドはん、まさか……」


 テッドの言葉に金子の顔が青くなる。

 財閥の長たちも同様であった。


「今こそ日英同盟を履行する時でしょう。いずれ正式な通達が本国から届くはずです」


 この世界の日英同盟には相互参戦義務が定められていたが、実際に行使するかはその時の判断に任されていた。世界最強国としてのプライドもあるので大英帝国としては安易に切りたくないカードなのであるが、既にそのようなことを言っていられる状況では無かったのである。


「僕からも平成会に働きかけますが、金子さんたちは経済界の意見の取りまとめをお願いしますね?」


 ここまで言われてしまうと、金子たちの選択肢は『はい』と『イエス』しか存在しない。クリスマスレセプションが終了するまで、大広間の片隅で密談が繰り広げられることになった。


『2個師団でいいから海外展開するのに必要な物資を計算しておいてくれ。三日後な!』

『『『あ、アイエエエエエエエエエエ!?』』』


 後日、電話による首脳会談でチャーチルの要請を東條英機(とうじょう ひでき)総理は快諾。

 首相秘書官にジョブチェンジした軍の平成会派モブたちを地獄のどん底に叩き落すことになる。







(し、視線が痛い……)


 大使館から公邸へ戻る道すがら。

 テッドは方々から突き刺さるような視線を感じていた。


(何を考えているか丸わかりなんだけど……そうは問屋が卸さないってね)


 さりげなく視線を向ければ、ヤバい顔をしたメイドが物陰から様子を伺っている。メイドは露骨に頬を赤らめて、はぁはぁしていた。これがエロゲならば、目にハートマークが浮かんでいたに違いない。


 駐日英国大使館主催のクリスマスレセプションは無事(?)終了した。

 めんどくさい政治的案件は金子たちに丸投げして無事に片付けることが出来た。


 このままベッドにダイブしたいところであるが、テッドにはやることが残っていた。


 むしろこれからが本番と言える。

 クリぼっちを堪能するために、テッドは燃えていた。


(この時代でもクリスマスとなれば雰囲気があるのだろうなぁ)


 聖なる夜の帝都に思いを馳せるテッド。

 これまで、一人でクリスマスの帝都を闊歩したことが無かったのである。


(映画館も良いな。今日はオールナイトで上映しているだろうし。売店でポテチとコーラを買ってじっくり見ようかなぁ)


 この世界の帝都には雨後(うご)(たけのこ)の如く映画館が建てられていた。

 24時間上映すら実施されており、クリぼっちにはおあつらえ向きと言えた。


(一人カラオケも良いなぁ。いやでも、また乱入されたら……いやいや、マルヴィナもおチヨさんも本国だから大丈夫。大丈夫だよな?)


 クリぼっちの定番とも言える一人カラオケ。

 この世界のカラオケは平成会が先鞭をつけており、最近の帝都ではあちこちにカラオケボックスが作られていた。


 この時代だとみんなでワイワイするカラオケが主流であったが、歌手が個人的にボイトレする場合もあって一人カラオケの需要も無いわけではない。そういった人間は人目につかないよう変装して入店するので、クリぼっちを楽しみたいテッドにとっては好都合であった。


(一人焼肉は流石に無理かなぁ? いやでも、平成会の連中ならやってそうだなぁ)


 クリぼっちの以下略。

 テッドは知る由は無かったが、この時代に焼き肉店は既に存在していた。正確には牛肉ではなく、平成会系列の鯨肉(げいにく)の焼き肉店であったが。


 鯨肉は他の獣肉に比べると硬く感じることがあるため、薄切りにして食べることが推奨される。独特の臭みがあるため、焼き肉店ではタレに漬け込んだ状態で提供されていた。


(まぁ、なんにせよ現状をなんとかしないとクリぼっちは楽しめないんだよな)


 テッドは歩きながら腕時計を見る。

 実際は時計の針は見ていない。


 見ているのは鏡面加工された時計本体であった。

 流石に鏡並みにとはいかないが、音も無く追尾してくるメイドの姿がはっきりと映っていたのである。


「……報告っ! ご当主さまは寝室に向かっています!」

「ご苦労さま。引き続き監視をお願い」

「はいっ!」


 テッドを見張っていたメイドが駆けこみ、報告を終えるとまた飛び出していく。

 大使公邸の応接間には、メイド部隊と私設SP部隊が集結していた。


「さて、ここまでは予定通りです。しかし、ご当主さまはこちらの動きを当然予想しているはず。なんらかの対抗手段を取ってくるでしょう」


 メイド長の言葉に、その場にいる全員が(うなず)く。

 その表情は真剣そのものであった。


「奥方さまとおチヨさまは本国で過ごされています。よって、今回はお二人の助力を得ることが出来ません。わたしたちだけで大願を成就する必要があります」


 メイド長の言葉が意味することは重大であった。

 今回の作戦はマルヴィナとおチヨの助力無しで挑む必要があったのである。


 生後2年に満たない子供たちの健康を優先して、正妻愛人コンビはクリスマスを英国本国で過ごすことを選んだ。テッドだけは仕事のために、日本でクリぼっちするハメになっていたが。


「これが最後のミーティングになります。それでは対ご当主さま戦術の最終確認です……そこの貴方。もし、目の前にご当主様が現れたらどうしますか?」

「はいっ! ただちに応援を呼びますっ!」


 メイド長に指名されたメイドは迷わず断言する。


「結構。口惜しいですが、ご当主さまの体術はわたしたちでどうにか出来るレベルではありません。直ちに応援を呼びましょう」


 これまでメイドたちの夜討ち朝駆けを退けてきたのは伊達では無い。

 バーティツ使いとしてのテッドの技量は、磨きに磨かれていたのである。


 メイドと私設SPたち全員がマルヴィナ・ブートキャンプの卒業者であるが、一騎当千の彼女らをもってしてもテッドを捉えることは難しかった。これがマルヴィナだったら圧倒的なフィジカルで抑え込めるし、おチヨも咄嗟の機転とお薬でなんとでもしてしまうのであるが。


「応援を呼んだらどうしますか? そこの貴方」

「はいっ! 投網を投げて行動を封じます!」


 先ほどとは別のメイドがメイド長の質問に即答する。

 まったく迷いが無いところを鑑みるに、これまで散々にシュミレートしてきたのは間違いない。


「動きを封じたら?」

「「「スタンガンを突き込みます!」」」


 その場にいる全員スタンガンを取り出す。

 テッドがその場に居たら、戦慄すること間違いなしな光景であろう。


 ちなみに、メイドたちが取り出したスタンガンはバトンタイプであった。

 サイズ的には小ぶりな棍棒であるが、その威力は決して侮れるものではない。


 このスタンガンは、かつてマルヴィナが愛用していたものと同型である。

 テッドが召喚したものを円卓の技術陣が解析して少数ながらも量産されており、この世界では世界最強最小最軽量のスタンガンであった。


「メイド長! 捕縛に使用するロープはナイロンザイルで良いのでしょうか!?」


 この世界においては、英国によってナイロン製ロープが既に開発されていた。

 その性能は従来のマニラアサ製ロープをはるかに凌駕していたため、急速に置き換えが進んでいたのであるが……。


「良い質問ですね。マニラアサのロープを使用してください。ご当主様が隠し持ったモノで切断する可能性がありますからね」


 しかし、メイド長はナイロンザイルの使用を許可しなかった。

 ナイロンザイルが湿度と刃物に弱いことを知悉していたのである。


「報告っ! ご当主さまが寝室に入られました!」


 全ての準備が整ったところで、先ほどのメイドが飛び込んでくる。

 これで機は熟した。


「皆さん、ご当主さまは袋のネズミです。焦らず騒がず任務を遂行しましょう。聖なる夜ならば、稚児(ややこ)を授かることが出来るはずです」

「「「はいっ!」」」


 メイド長の号令で、応接室にいたメイド部隊と私設SP部隊は進撃を開始する。

 彼女らはテッドの寝室への最短ルートを目指したのであった。







(さて、と……)


 寝室に入ったテッドはすぐさま施錠する。

 マホガニー製の分厚い扉なので、多少なりとも時間稼ぎにはなるだろう。


(ここまでしないといけないとはね)


 ため息をつきつつも、テッドは動きを止めようとはしない。

 ベッドの下からアタッシェケースを引っ張り出す。


 アタッシェケースの中身を確認すると安堵の笑みを浮かべる。

 中には衣服と札束(軍資金)。そして、今回の作戦の肝となるモノが入っていた。


(っと、悦に浸っている場合じゃなかった)


 我に返ったテッドは準備を急ぐ。

 残された時間はあまり無い。


「「「……」」」


 ザッザッザと、規則正しい足音が館内に響く。

 最短距離で寝室を目指す集団は、忠臣蔵の討ち入りに見えなくもない。


(おかしい……)


 先頭を歩くメイド長は違和感を抱いていた。

 あまりにも抵抗が無さ過ぎる。


 これまで激しい攻防を繰り広げて来たこともあり、メイド長はテッドのやり口を理解していた。多勢に無勢な状況ならば、攪乱(かくらん)戦術をもって逃走するはずなのである。少なくとも今まではそうだった。


(まさかあきらめた? いや、ご当主さまに限ってそのようなことがあるはずがない)


 脳裏によぎった思いをメイド長は否定する。

 そのような軟弱者は上に立つ者として相応しくない。


 メイド長が抱いている感情は、愛情というよりは憧れであった。

 彼女の脳裏には、3年前のテッドの雄姿が常に存在していた。


 相手が強いからこそ倒し甲斐がある。

 その心境は猛獣を相手にするハンターと言えなくも無い。


 ハンターと違うのは手段を択ばないことだろう。

 強い男を容赦なく蹂躙(じゅうりん)することに喜びを覚える。メイド長は超のつくドSであった。


 物思いにふけっていたメイド長を現実に引き戻したのは電子音であった。

 唐突だったのにも関わらず、慌てず騒がずトランシーバーを取り出す。


『メイド長。敷地内の集音マイクに反応がありました』


 数舜後にトランシーバーから声が聞こえだす。

 それを聞いたメイド長の表情が目に見えて明るくなったのは言うまでも無い。


「場所は? どのような音か分かる?」

『現在確認中ですが、音が小さいうえに最寄りのマイクから離れていて詳細は……』


 大使館の敷地内には防犯のために大量の集音マイクが仕掛けられていた。

 複数のマイクで拾った音をパラメトロン・コンピュータで処理することで、音の発生場所を特定すること出来るようになっていた。


「ご当主さまが窓から脱出したのではないの?」

『ご当主さまの寝室は3階ですよ!? それに足音がまったく無いのが不自然です。いくら忍び足をしても見逃すことはありません』


 テッドの寝室は大使公邸の3階にある。

 史実の第一狂ってる団ならともかく、常人が飛び降りて無傷ではいらないだろう。オリ主チートが常人かと言われれば、激しく疑問が残るが……。


「なんらかの予兆かもしれません。微かな音も見逃さないように」

『了解です……きゃあっ!?』

「どうしました!? 応答なさいっ!」


 唐突にトランシーバーからの応答が途切れる。

 同時に外からは爆発のような連続音が聞こえてくる。


「総員突入っ! 絶対に逃すな!」


 メイド長の命令で全員が駆け出す。

 駆け足なんてレベルではない。文字通りの全力疾走であった。


「メイド長!? ドアに鍵がかかっています!」

「ぶち破りなさいっ!」


 言うが早いか、メイド長は体当たりをかます。

 メイドや私設SPたちもそれに続いた。


 分厚いマホガニー製の扉とはいえ、執念染みた連続体当たりには抵抗し難かった。ギシギシと軋み、やがて蝶番が壊れてぶっ倒れた。


「いないっ!?」

「ベッド下にもいないわっ!?」

「窓が開いてる! やっぱり外に出たんだわ!」


 テッドがいないことに気付いてパニック状態となるメイドたち。

 彼女たちは性なる――もとい、聖なる夜の今夜にかけていたのであるから当然であろう。このままでは、せっかくの勝負下着が無駄になってしまう。


「……」


 他の面々が騒いでいるのとは裏腹に、メイド長は冷静に観察する。

 彼女は違和感を感じていたのである。


 開いている窓のカーテンレールには、ロープ状になったカーテンが縛り付けられていた。これだけを見れば、窓から脱出したと思い込んでも無理もないだろう。


 しかし、降りるにはカーテンの長さが足りない。

 途中から飛び降りれば良いだけの話であるが、華奢(きゃしゃ)なカーテンレールが成人男性の体重を支え切れるとは思えなかった。


「あれは……?」


 窓から身を乗り出したメイド長は、地面に何か落ちているのを発見する。

 目を凝らすが、距離と暗闇のせいで判別は不可能であった。


「これはスリングショットかしら?」


 取りに行かせたモノを見たメイド長は首をかしげる。

 このようなものが何故敷地内に落ちているのか。


(しまった、そういうことかっ!?)


 不審な物音、爆発のような連続音、スリングショット。

 この3つがメイド長の脳裏で結びついたのはその瞬間であった。


・カーテンを外してロープ状にする。

・カーテンレールに結びつけて、それっぽく偽装する。

・窓を開ける。

・長めの導火線を付けた爆竹をスリングショットで撃ちだす。

・スリングショットを外に投げ捨てる。


 具体的な手順はこんなところであろうか。

 集音マイクが拾ったのは、スリングショットが地面に落ちた音。その後の爆発音はおそらく爆竹だろう。


「と、いうことは……!」


 メイド長は忌々し気に天井を睨む。

 こうなれば、脱出経路は一つしかない。


「正門と裏門で人の出入りはあったかしら?」

『こちら正門。最後に出たのは2時間前です』

『裏門です。こちらは本日は人の出入りはありません』


 トランシーバー越しの返答にメイド長はほくそ笑む。

 未だに獲物は袋のネズミに違いないことを確信したのである。


「あ、こらっ! 何をしているっ!?」


 一方その頃。

 敷地内を警戒していたメイドが、ダストシュート近くに居た乞食を追い払っていた。


 じつは英国大使館周辺は乞食が出没することが多かった。

 その原因はダストシュートにあった。


 この世界の日本においては、東京オリンピック開催に合わせて帝都の美化運動が強力に推進された。ポリ袋、ポリバケツの普及推進による各家庭のゴミ箱の撤去。さらには、ゴミ収集車の大量導入などエトセトラ。


 これまでは敷地内でゴミを焼却処分していた英国大使館であったが、ゴミ出しのルールに従わざるを得なかった。郷に入ればなんとやらであるし、対外的なイメージを向上するためであったことは言うまでも無い。


 そうなると問題になったのが、ゴミを出す方法であった。

 大使館の敷地は広いので、外に捨てに行くのは大変に手間がかかる。


 かと言って、ゴミ収集車を敷地内に入れるのも簡単な話ではない。

 大使館の敷地内は治外法権なので、下手をすれば国際問題になりかねない。


 苦肉の策として採用されたのがダストシュートであった。

 大使公邸と大使館に設置されたダストシュートに捨てられたゴミは、ベルトコンベアに乗って敷地外のゴミ集積所に廃棄されたのである。


 ゴミ集積所は大使館の敷地の外であるから、乞食が漁るのは容易であった。

 VIPが来訪する場所であるので高価な食材が捨てられていることが多いし、宝石などの貴重品が捨てられていることもあるので質屋に入れれば小遣いにもなる。


 年末は連日のようにパーティやらレセプションやら開催されるので、特に乞食が多い時期であった。いちいち数えていたら、キリが無い。


 そんなわけで、件のメイドは乞食を怪しみもしなかった。

 ボロな身なりなのに、アタッシェケースを持っていても特に気にも留めなかったのである。







「……」


 英国大使館から程よく離れた物陰。

 アタッシェケースを持った乞食はニヤリと笑う。


 乞食は無造作に自分の髪を引っ掴むと、思いっきり引っ張る。

 表情が不自然なものとなり、やがてズルりとすっぽ抜ける。その様子は史実の某怪盗アニメの如しであった。


「ふははははっ! 脱出成功っ!」


 むさい髭面の下から現れたのは、金髪碧眼の中年であった。

 乞食はテッド・ハーグリーヴスの変装だったのである。


 テッドが変装に使用したのは、史実では悪用厳禁なシリコンマスクであった。

 もちろん、この時代にそんなものが存在するはずがない。


『こんなものがあったら面白いと思わないかい?』

『流石はマイフレンド! あの素材にそんな使い道があったとは思わなかったよ!?』


 このシリコンマスクは、テッドが親友のジェフリー・パイクに開発を依頼したものであった。MI6がその存在を知ったら目の色を変えそうなシロモノではあるが、悪用されたら怖いので現在のところは極秘にされていた。


 現在は、自然な表情が可能なシリコンマスクの開発が多種兵器研究開発部(DMWD)で極秘裏に進められていた。同時にシリコンマスクによる変装を見破るレーザー写真機もどきの開発も進められていたが。


「さて、と……」


 テッドは、アタッシェケースから新しいマスクを取り出す。

 手慣れたもので、あっという間に装着が完了する。


「さ、寒い……!」


 しかし、このままではせっかくの変装も片手落ちである。

 着ていた襤褸を脱ぎ捨て、寒さに震えながらアタッシェケースに入れていた服に着替える。


「ふむ、こんなものか」


 手鏡で細部をチェックしてテッドは満面の笑みとなる。

 年齢も髪型も服装も完全に別物。この変装を見破るのは不可能であろう。


「いやぁ、お客さん運が良いねぇ。ここらへんは物騒だから普段は走らないんだけどね。」


 程なくして、テッドは円タクを拾うことが出来た。

 何時の時代も年末年始はタクシー業界は大忙し。普段はタクシーがいないような場所でもタクシーが走ってたりする。作者のご都合主義では断じて無い。


「乗せておいてもらってなんだけど、この辺が物騒ってなんなのさ?」


 テッドの疑問は当然のことであった。

 少なくとも英国大使館周辺で犯罪や事故が起きたことは聞いたことがない。


「あっ、いやその……」


 タクシーの運ちゃんは口ごもる。

 失言してしまったことを自覚しているのか、その表情はバツが悪かった。


「別にあなたを責めているわけじゃないよ。そうだね、これで足りるかな?」


 そう言って、テッドは大黒さまを一枚手渡す。

 最新の偽造技術が導入されたピカピカの新札であった。


「そ、そんなに!? もらえませんよっ!?」


 それを見た運ちゃんが目を剥いたのは言うまでも無い。

 しかし、テッドは強引に握らせた。


「で、英国大使館周辺が物騒って話なんだけど」

「あっしが直接見たわけじゃないんです。これはタクシー仲間に流れている噂なんですが……」


 テッドは話の続きを促す。

 大黒さまの効果は絶大だったのか、運ちゃんの口はだいぶ滑らかになった。


「大使館周辺に男が倒れていることが多いんですよ」

「へぇ? 行き倒れかな? いや、こんな場所でそんなことあるはずないか」


 帝都の中でも英国大使館周辺の治安の良さは折り紙付きと言える。

 そのような場所で行き倒れはあり得ないとまでは言わないが、かなりのレアケースであろう。


「いや、大使館から出て来たメイドさんが放り出したらしいです」

「……」


 絶句するテッド。

 まさか身内の犯行だとは。完全に想像の範囲外であった。


「放り出された男を拾ったヤツによれば、皆一様に怯えていたとのことでしたよ」

「へ、へぇ……」


 思い当たる点が多すぎる。

 おそらく、放り出された男は新聞記者であろう。


 一時期ほどではないにしろ、特ダネを狙う記者の不法侵入は続いていた。

 大使館絡みの取材における新人記者の平均在職日数は2~3週間と言われ、多くの新人記者が現在進行形で散っていたのである。


「これまた別のタクシー仲間の話なんですけど、銀座のデパートで大立ち回りした女性がここのメイドじゃないかって話がありましてね」

「……さすがに、それだけじゃうちの、いや、英国大使館のメイドと判断するのは早計じゃないの?」


 表情を保つのに苦労するテッド。

 シリコンマスクが無かったら、引き攣った表情になっていたのは間違いない。


「どうでしょうねぇ。大使館で下ろしたって言ってたから、少なくとも関係者だと思いますよ」

「へ、へぇ……」


 テッドの顔面は冷や汗でびっしょりであった。

 シリコンマスクのおかげで露見しなかったが、おかげで気持ち悪いことこの上ない。


「あっ、でもその人が悪いって話じゃないんですよ。酔ったヤクザに絡まれている女性を助けてたらしいです」

「へぇ……」


 駐日英国大使館で働くメイドたちは全員がマルヴィナ・ブートキャンプの卒業者であった。その訓練の過酷さは史実の某習志野の連中並みであり、等しく全員がメイド姿の人間凶器と断言出来る。


 一騎当千の強者(メイド)相手に、ヤクザ如きがダース単位で集まったところで対抗出来るわけがない。そんなメイドをまとめて相手取れるテッドも大概化け物であるが。


「そいつが言うには、周囲は拍手喝采だったらしいですよ」

「ほほぅ」


 じつは先に仕掛けたのは女性側だったのであるが、テッドも運ちゃんも知る由は無かった。日頃からガラの悪い連中で地元の人間は辟易しており、さらに酔っぱらって手が付けられなくなったところを(たま)()ねて手が出てしまったのが真相である。


「しかし、徒党を組んだヤクザが女性一人にボコボコにされたとなればメンツが立たないんじゃない?」

「そうなんですよ! そいつも後ろから追いかけられないかヒヤヒヤしていたそうですよ」


 酔っぱらっていたとはいえ、乱入してきた毛唐(けとう)の女性に完膚無きまでにぶちのめされる。そんな噂が広まった日には、任侠の世界で生きてはいけぬ。当然ながら報復が企てられたのであるが……。


『皆さん、本日の掃除場所はこちらです』

『メイド長、今日はどれくらい加減に致しましょうか?』

『そうですね。多少の愛着と同情心を考慮したうえで……無慈悲で』

『『『おまかせください!』』』


 大立ち回りの翌日。

 銀座にあるヤクザの事務所が、深夜にガス爆発で倒壊したと報道された。組長を含め構成員全員が半死半生の重傷だったのであるが、当然ながら二人は知る由も以下略。


「……っと、お客さん着いたよ。ここで良いのかい?」

「ありがとう。はいこれ」


 降りる際に大黒さまを渡すテッド。

 明朗会計(めいろうかいけい)なのが円タクの美点と言える。


「さっきももらったのにこれ以上もらえませんぜ!?」


 運ちゃんは料金の受け取りを拒絶した。

 先ほどの賄賂(?)も含めれば倍額を受け取ることになってしまう。口が軽いわりに職業倫理はしっかりしていた。


「良いから良いから。これで息子さんに美味しいものでも食べさせてあげなよ」

「あ、ありがてぇ! またのご利用をっ!」


 運ちゃんに強引に札を握らせてからテッドはタクシーを降りる。

 ぶんぶんと手を振る運ちゃんを、しばし見送ったのであった。


「うわぁ、これは凄いな……」


 周囲の景色に感嘆するテッド。

 シャンパンゴールド色に彩られた街路樹が目に飛び込んでくる。


 電飾された街路樹は平成会が史実の丸の内イルミネーションを再現したものであった。その荘厳さは噂となり、外国人観光客に大人気の観光名所と化していた。デートスポットとしても人気であり、外国人に交じってカップルもちらほら見える。


「さて、行くか……!」


 バシっと気合を入れて歩き出すテッド。

 彼のクリぼっちは、今まさに始まったばかりであった。







(良いねぇ。この雰囲気)


 薄暗い広大な空間。

 周囲から聞こえてくるひそひそ声。


「よいしょっと」


 尻で可倒式の座面を下ろしつつ、売店で買ってきたメニューをトレイごとカップホルダーに差し込む。

 これで全ての準備が整った。


 テッドがやって来たのは映画館であった。

 映画鑑賞は、クリぼっちの定番の一つと言えるだろう。


(この時代でも映画館で過ごすクリぼっちが多いのかな?)


 クリスマスイブの夜でも映画館は絶賛営業中であった。

 22時過ぎだと言うのに、大勢の観客が映画が始まるのを待ち受けていた。


(ひょっとして、こいつらカップルか!?)


 テッドの目に入って来たのは、肩を寄せ合うシルエット。

 あるいは、恋人つなぎ。どうせ顔バレしないだろうと高を括ったのか、大胆にキスをしているカップルまでいる。


 テッドは、この世界の映画館がデートスポットになっていることを知らなかった。クリスマスイブにもなれば、館内がカップル客で埋まるのは必然であった。


(おのれリア充どもが……!)


 テッドを知る者からすれば、お前が言うなの大合唱であろう。

 史実の某SNSで毎年クリスマスイブに降臨されている某しっとの化身のターゲットにされること間違い無しなほどのリア充なのであるから。


「まったく、腹立たしい……!」


 ぶちぶちと文句を言いながら、テッドはトレイに手を伸ばす。

 真ん中がくびれた形状の小瓶を引っ掴んで一気に煽ったのであるが……。


「ぶはっ!?」


 思わず吹き出してしまう。

 その感覚は、麦茶だと思ってめんつゆを飲んでしまったが如し。なんにせよ、周囲からの視線がとても痛い。


『ヌ○・コーラ 登録商標 190ml』


 慌てて小瓶を確認すれば、目に飛び込んでくる白文字は明らかにオリジナルとは違う。中身が青く光っているように見えるのは、銀幕の光の反射のせいだと信じたい。


「パチモンじゃねーかっ!?」


 よく見ないで買ったのが悪い。

 テッドが憤るのはお門違いと言えよう。なんにせよ以下略。


 ちなみに、この時代の史実日本にはコカ・コーラは存在しなかった。

 正確に言えば、少量だけ輸入はされていたが。多くの日本人にとって、コカ・コーラは戦後の飲み物と言える。


 平成会のコーラジャンキーどもの手によって、この世界の日本には大々的にコーラが輸入されていた。巧みな販促とキャンペーンによって年々売り上げは上昇、このままいけば国内での生産工場起ち上げも夢では無かった。


『今回の事件は米国の陰謀である。日本政府は断固たる処置をとる』


 しかし、1929年12月某日に発生した事件によって工場建設の話は立ち消えとなった。当時の総理大臣犬養毅(いぬかい つよし)によって、アメリカと一時的な断交状態になってしまったからである。


 その後はアメポチな民政党が、国会内で何度も国交回復の動議を出すものの不発。やがてアメリカが内戦に突入してしまい、大統領親書を逆手に取った犬養政権はアメリカを無視し続けた。


『我々は北米のみならず南米をも統一する。アメリカ連邦の樹立を宣言する!』


 そうこうしているうちに、南北統一国家『アメリカ連邦』が爆誕。

 グリーンランドに亡命政権が樹立されたので、アメリカ連邦を別国家扱いせざるを得なくなった。現在は民政党の一派が国交樹立を働きかけているが、現状はなしのつぶてであった。


『こうなったらアメリカに頼らずにオリジナルを超えるオリジナルを作るしかないっ!』

『ついでにフ○ンタも再現しようぜ!』

『オラ○ジーナもだっ!』


 しかし、平成会の炭酸ジャンキーモブたちはめげなかった。

 無いなら作る。まことに尊き思想と言えるだろう。


 在庫は飲み尽くしてしまったので、分析しようがない。

 全くのゼロからの味の再現は、それだけでプロ○ェクトXが出来るだけの難航苦行であった。


 オリジナル再現のために投じられた資金と人材は膨大なものとなったが、完全な再現には至らなかった。しかし、企業である以上は利益を追求しなければならない。


 既に会社が傾くほどの資金が投入されていた。

 倒産を回避するためには、開発費を少しでも回収しなければならない。そのため、開発途上であったにも関わらず販売された。


実際販売してみると意外と評判は悪くなかった。

それどころか好評だったので、そのまま販売が継続されることになったのである。


 実際のところ、テッドが飲んだコーラもどきは違和感に耐えられなかっただけで飲めない味というわけではない。オリジナルに対するペプシとは言わないまでも、史実21世紀のスーパーで売られている30円台のコーラくらいには飲める味ではあった。


「ん!? 美味いっ!」


 口直しに食べたホットドッグは非常に美味であった。

 香ばしい風味のソフトフランスパンに、パリッとした食感で旨味たっぷりのソーセージがサンドされている。濃厚でマイルドな味わいのチーズはゴーダチーズだろうか。


 テッドが食べたホットドッグは『砂場コーヒー』のメニューであった。

 鳥取県発祥の全国規模のコーヒーチェーン店であり、帝都にも多数の店舗が進出していた。


『鳥取にはス〇バはないけど、日本一のすな〇(鳥取砂丘)がある』


 史実の47都道府県で唯一〇タバが存在しなかった時代の鳥取県知事の言葉である。地元企業によって『す〇ば珈琲』が創業されたのは、この発言がもとになっている。砂場コーヒーの名前がこれのパクりであることは言うまでも無い。


 現在の砂場コーヒーは、新たな戦略として映画館のフードサービスに取り組んでいた。映画館側も外部から食べ物を持ち込まれるよりは利益になると判断したのか、砂場コーヒーとの提携に積極的であった。


(カポネ・ピクチャーズ!? まさか……あの黒歴史は抹殺したはずなのに!?)


 やがて上映時間となり、銀幕が光り出す。

 しかし、テッドはオープニングのロゴが表示された瞬間に嫌な予感に囚われていた。


『手段は問わないから僕の黒歴史を抹殺してくれ!』

『いや、別に害があるわけじゃないだろ?』

『今思い返すと猛烈に恥ずかしいんだよあれは!? せっかく忘れかけていたのに、どっかの馬鹿が映画化なんかしやがってるしさぁ!?』

『まぁ、おまえさんがそんな調子だと周りが困るからやってもかまわんが。ちょうど退屈していたところだ』


 それは抹殺したはずの黒歴史であった。

 思わず叫びたい衝動を鋼の精神で辛うじて抑えつける。


 今からおよそ9年前。

 黒歴史の存在を知って半狂乱となったテッドは、跡形も無く消滅させるためにMI6と特殊部隊まで動かした。


 実行犯のシドニー・ライリーからは、全て焼却処分したと報告を受けていた。

 マスタースパイと謳われる彼が仕損じるはずがない。そう思って安心していたのに、銀幕から悪夢が這い出ようとしていたのである。


(こ、これは僕が作った同人誌の展開じゃないかっ!?)


 作品が映画化されれば、大抵の原作者は喜ぶだろう。

 中には例外も数あるが。


 映画化による作者の取り分は興行収入と比すれば雀の涙に過ぎない。

 応援するならコミックなり、本を買うべきであろう。それでも収入があるだけマシと言える。


 しかし、同人誌の映画化となると話は変わってくる。

 史実では実例が無いからなんとも言えないが、普通に考えれば原作者が優先されるべきだろう。


 この世界では(史実の)原作者が存在しない。

 それ故に同人誌の作者であるテッドが原作者と言えなくも無いが、この作品はアメリカで出版された海賊版を元にしていた。


 海賊出版する段階で原作者が適当な名前にすり替えられているので、権利を主張したところで認められる可能性は限りなく低い。もっとも、テッドはそんなはした金を欲しいとは欠片も思っていなかったが。


 海賊版であっても、絵柄と内容からジョン・スミスが作ったものだと断定することは容易であった。カポネ・ピクチャーズの最高経営責任者(CEO)にして、執行人(エンフォーサー)の異名を持つフランク・ニッティは、全米からテッドの海賊版同人誌をかき集めさせたのである。


 ちなみに、過去に海賊版の出版社がカポネ・ピクチャーズに対して権利を主張したことがあった。その末路がどうなったかはここでは割愛させていただく。いずれにしても、テッドが精神的苦痛を受けるのには変わりがない。


(アイエエエエエ!? 僕のアメリカ時代の黒歴史がぁぁぁぁぁ!?)


 銀幕の大画面で、史実のアニメキャラが自分の作った同人誌の筋書きで動く。

 しかも、実写で大画面のオマケつき。これを悪夢と言わずしてなんと言うべきなのか。


「……!?」


 声を押し殺したまま、もがき続けるテッド。

 大多数の観客はスルーしたのであるが、一部の人間からはかわいそうな目で見られたのであった。







「イエーイ! クリぼっち万歳!」

「わはははっ! 飲め飲めーっ!」

「マスター! ケーキの追加遅いぞーっ!」


 『喫茶キャッツアイ』――それは永田町4大不夜城の一つにして、内閣調査部の福利厚生の一環という謎の店。本日貸し切りとなった店内では、内閣調査部のモブたちによるクリスマスパーティが開催されていた。


「しっかし、部長も付きあい悪いよなぁ」

「しょうがないだろ。あの人妻帯者だし」

「元武家の娘さんだったっけ? 見た目は大和撫子だけど、内面は結構アレらしいぞ」


 なお、この時間に残っている連中は例外なく独身であった。

 結婚している者は定時上がりで、愛する妻と子供の待つマイホームにまっしぐらだったのである。


「やれやれ。生前も思ってたけど、やっぱり結婚ってロクなもんじゃねーなぁ。おまえもそう思うだろ?」

「ん、そうだね。やっぱり勢いで結婚すると大変だよねぇ」

「だよな。やっぱり俺は一生独身を貫くぜっ!」


 決意を新たにする独身モブ。

 この時代が如何に独身男性に厳しかろうと、生前の平成の世の人生観は簡単には変えられない。迫りくるお見合い地獄を乗り切るべく気炎を揚げるのであった。


「あ、このケーキ美味しいねぇ。お代わり頼める?」

「「「……」」」


 何故か沈黙してしまうモブたち。

 その視線は一人の男に注がれていた。


 その男は、あまりにも自然にモブたちに溶け込んでいた。

 典型的なモブ顔で、しかもネイティブな日本語を話していたので誰も疑いもしなかったのである。


「「「誰だお前はっ!?」」」

「えっ!? 今ごろそれを聞くのかい!?」


 逆に男が驚く。

 てっきり、気付いたうえで受け入れてたと思っていたのである。


「僕だよ! 声で分かるでしょうが!?」

「いや、声はともかく顔が別物過ぎるでしょうが!?」

「そもそも、なんで此処にいるんですか!?」

「リア充代表のアンタが、クリぼっちの集会に参加するなんてナンセンスでしょう!?」


 顔を合わせることが多い内閣調査部のモブだからこそ、声だけで気付けた。

 そうでなかったら、到底気付くことは出来なかったであろう。


「……と、いうわけで大使館から逃げ出してきたのさ!」

「「「うわぁ……」」」


 テッドの逃走劇を聞いたモブたちはドン引きする。

 これが映画だったら面白いだろうが、間違っても当事者になろうとは思わない。


「こうなるって分かってたら貴族なんて継承しなければ良かったなぁ」

「貴族って大変なんですね……」

「俺たち庶民には分からない世界っすよ」


 リアルエロゲシチュだと言うのに、モブたちは同情的であった。

 あの状況を楽しめるのはゲームだからに他ならない。自分がそんな目に遭ったことを想像するだけで恐ろしい。


「いやまぁ、嫌いじゃないんだよあの子たち。ちょっと忠誠が重くてヤンデレ入ってるけど、レベル高い子しかいないし」

「でも問答無用で襲い掛かってくるのは止めて欲しいというか。もうちょっと、こう、庇護欲をそそる子が良いなぁとか」

「あと昏睡レイプダメ絶対! それじゃあ、僕はただのお人形さんじゃないかっ!」


 そう思ったのも束の間のことであった。

 何故か惚気話になってしまうテッドに、モブたちは順当に殺意を高めていた。


「……いったい、どうしたら良いんだろう?」


 勢いで飛び出して来たものの、このまま逃走を続けるわけにもいかない。

 どうしたものかと悩むテッドあったが……。


「そうですね。()ずは大使館にお戻りになるべきかと」


 この場にはそぐわない鈴を転がすような声。

 その声を聴いた瞬間に、テッドの心臓は跳ね上がった。


(ま、まさか……いや、そんなはずは!? 空耳に決まっている!)


 動揺を必死に押し隠し、テッドはゆっくりと振り返る。

 目に入ってきたのは、笑みを浮かべたメイド長であった。


「ご当主さま。クリスマスイブを満喫出来たようで何よりです。ですが、共同作業の時間でございます。そろそろお戻りになるべきかと」


 メイド長は無造作に、それでいて洗練された所作で滑らかに近づく。

 流石は一騎当千揃いのメイドを束ねる存在だけのことはある。


「わ、悪いけど素敵なメイドさん。人違いだよ? 僕はしがないモブで……」

「あらあら。敬愛しているご当主さまの容姿が変わった程度で見間違うと思われていたとは……見くびられたものですね」


 そう言って、メイド長はスカートからスタンガンを取り出す。

 無駄に洗練された無駄のない洗練された動きは、スカートがまくれた瞬間を見ることすら許さない。


(や、ヤバい……こんなことなら酒を飲むんじゃなかった)


 シリコンマスクのせいで見えないが、テッドは酔いが回って赤ら顔であった。

 この状況ではメイド長の攻撃をいつまで凌げるか分からない。


(こうなったら……って、いねぇ!?)


 いざとなったらモブを盾にしようと外道なことを考えたが、とっくに退避済みであった。そんなことを考えてしまったことが、テッドの命取りとなった。


「んがっ!?」


 意識が逸れた瞬間、投網がテッドに絡みつく。

 そして突き込まれるスタンガン。


「今よっ! 縛り上げて!」

「ご当主さま。おいたはダメですよ!」

「ぎゅうぎゅうに縛っちゃえ!」


 どこに潜んでいたのか、ロープを持ったメイドたちが殺到する。

 ロクに抵抗も出来ずにテッドは縛り上げられてしまった。


「マスター、ブルーハワイソーダあるかしら?」


 テッドが芋虫になっているのを横目で見ながら、メイド長はカウンターでソフトドリンクを注文していた。


「えぇっ!? そりゃあ、うちは喫茶店だから置いてあるが……」


 タコ坊主――もとい、キャッツアイのマスターは困惑する。

 この状況で、何故そのようなものを注文するのか。


「いただけるかしら?」


 蠱惑的(こわくてき)な笑みを浮かべてメイド長は注文する。


「いや、しかしだな……」


 マスターは口を濁す。

 ひょっとしたら、犯罪の片棒を担がされるのではないかと直感してしまったのである。


「いただけるかしら?」

「……はい」


 原作ならともかく、この世界のマスターは一般モブに過ぎない。

 メイド長の圧力に対抗出来るわけも無かった。


「ご当主さま、酔い覚ましをどうぞ」

「いや、ちょっ!? 嫌な予感がもがもがもが……!?」


 必死に抵抗したテッドであったが、芋虫状態で出来ることなどありはしない。

 しばしの抵抗の後に沈黙することになった。


 芋虫になったまま昏倒したテッドがメイドたちに担がれていく。

 その様子は御神輿のように見えなくもない。


「……この場をお騒がせしたこと深くお詫び致します。これは迷惑料です」


 どこから取り出したのか、新札の札束をカウンターに置くメイド長。


「いや、こんなには受け取れませんよ!?」


 マスターは必死に拒否するが押し切られた

 いくら姿格好が厳つくても所詮はモブに過ぎない。


「それでは皆様ごきげんよう」


 掃き溜めに鶴というべきか。

 カオスと化した空間において、メイド長はどこまでも優雅であった。


「「「……」」」


 嵐が去った後も、モブたちはしばし沈黙していた。

 この時の強烈な体験が、後の同人活動に多大な影響を与えたことは間違いない。


 具体的には、この世界の漫画やアニメに出てくる貴族はリア充で描かれることが多くなった。その傾向は悪役や嫌な上司ほど強くなったが、裏設定はその反動とばかりに悲惨なことになったのである。







「……知らない天井だ」


 翌日の午前9時。

 テッドは大使公邸の寝室で目覚めていた。


「うぅっ、頭が痛い……吐き気もする……昨日のレセプションで飲み過ぎたかな……」


 頭痛と吐き気で頭を抱えてしまう。

 深酒した覚えは無いが、原因がそれしか思いつかなかった。


「ご当主さま。よろしいですか?」


 規則正しいノック音の後にメイド長が入室してくる。

 顔が赤いような気がしたが、気のせいであろう。


「……昨日のことは覚えておりますか?」


 神妙な顔で質問するメイド長。

 しかし、鈍感なテッドはその真意に気付けなかった。


「いや、昨日のレセプションで深酒し過ぎたのかな? 年を取るって嫌だねぇ」


 メイド長の目が細められるが、テッドは嘘は言っていない。

 少なくとも、自分の記憶には残っていないのであるから。


「……そうですか。本日の予定は全てキャンセル致しましょう。ご自愛ください」


 どことなくホッとした表情でメイド長は引き下がる。

 これ幸いと、テッドは二度寝を決め込んだのであった。


(おかしい……)


 大使館の敷地を散歩するテッドは違和感を感じていた。

 メイドたちが、何処かそわそわしているのである。


「おーい」

「あっ!? ご、ご当主さま!? す、すみません。ちょっと外せない用事がありますのでっ!」


 大概のメイドは目線も合わせずに逃げていった。

 逃げないメイドは何故か顔を赤らめた。


(昨日何かやらかしたのか? 全く記憶が無いんだけど)


 テッドの困惑は深まるばかりであった。

 このような態度を取られると、自分が酷くやらかした気分になってしまう。


(やっぱりレセプションでやらかしたのだろうか……)


 思い至って顔が真っ青になるテッド。

 VIPが多数参加していたクリスマスレセプションでやらかしていたとすれば、国際問題待った無しである。


(ここは恥を忍んで聞いてみるべきだろうか?)


 そんなことを考えたりしたが、実現性が無いことは分かり切っていた。

 ネットもケータイも無い時代に、分刻みで動き回る人間を即座にキャッチすることは不可能に近い。


『逆に考えるんだ。思い出せないなら、無理に思い出さないで良いんだ』


 テッドの脳裏に髭面の英国紳士が降り立ったのは、その瞬間であった。

 それはまさに天啓であった。


(そうか、あの手があった!)


 秘策を思いついたことで、今までの思い詰めた表情が嘘のように晴れやかになる。後に死ぬほど後悔することになるのであるが、この時のテッドには想像もつかなかった。


「どうも昨日からの体調が悪いんだ。申し訳ないけど明日の予定もキャンセルしてくれる?」

「かしこまりました。日程を調整しておきます」


 メイド長はテッドの頼みに疑問を抱くことは無かった。

 昨日のことがバレていないと、安心しきっていたのである。


「あぁ、それと」

「まだ何かございますか?」


 テッドに呼び止められて、メイド長は硬直する。

 しかし、それも一瞬のことであった。


「昨日寝れてないみたいでね。いつもよりも遅めに起こしに来てくれる?」

「……かしこまりました」


 一礼して、今度こそメイド長は去っていく。

 その後ろ姿を見守ったテッドは、寝室に施錠したのであった。


「……」


 草木も眠る丑三つ時。

 秘策を実行するべく、テッドは準備を進めていた。


「さて、やるか……」


 自分でも何故知っているのか分からない、どこの世界の言葉かすら分からない呪文を唱え始める。詠唱が進むとともに、床に魔法陣の光芒が浮かび上がる。


 魔法陣から光と共に物体がせり上がり、やがて完全に実体化した。

 同時に部屋が光に包まれる。


「……」


 光が収まった室内には、召喚されたハンカチが置かれていた。

 凝ったデザインではないただの無地。どこにでも売っているようなシロモノである。


 召喚スキルの副作用(ショタ化)から戻れる時間は、召喚した物体のコストに比例する。

 つまりは、ローコストなモノを召喚すれば手っ取り早く大人体形に戻れることになる。


「さて、寝るか」


 ショタ体形では着る服が無いので、真っ裸でベッドに潜り込む。

 2時間もあれば元の体形に戻れるはずなので問題無い。否、問題無かったはずなのである。


「う、うううう……うがぁぁぁぁぁっ!?」


 ショタ体形になれば肉体の状態はリセットされる。

 そこから大人体形に戻る際には、肉体にかけられたあらゆるデバフが解除される。


 それは同時に失われたはずの記憶が戻ることを意味していた。

 空白の時間が一気に脳に流れ込んだことで、激しい頭痛と悪寒を引き起こすことになった。


『お(した)いしてますご当主さま』

稚児(ややこ)をお恵みください』

『無抵抗なご当主さま相手に致すのはヤり甲斐が無いわね……』


 視界に映るメイドたち。

 その全員があられもない姿をしていた。


 この時のテッドは、酒とドラッグによって昏睡状態であった。

 目を覚ますことができないはずであるが、何故か知覚出来ていた。


 なんでかと言われれば、魔法だからとしか答えようが無い。

 物理法則を超越するから魔法なのである。


「思い出さなきゃよかった……」


 ベッドで深いため息をつく。

 とにもかくにも、テッドのクリぼっちは無事(?)に終了したのであった。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


TMM マグナムXバトン Sサイズ


種別:バトン型スタンガン

直径:40mm

全長:280mm

最大幅:55mm

重量:220g



21世紀の史実で市販されている世界最強クラスのスタンガン。

150万ボルトの電圧で、どんな大男でも即座に無力化可能。


本体周辺にも密かに電極が配置されており、スタンガン本体を奪い取ろうと握った瞬間に感電させることが出来るようになっている。なお、マルヴィナが所持していたのはSサイズで、太もものホルスターに隠して所持していた。


あろうことか、この世界では解析されて特殊用途向けに少数が量産されている。

メイド部隊はレッグホルスターに装備、私設SP部隊は腰に装備していることが多い。



※作者の個人的意見

手加減とか気にせずに確実に相手を無力化出来るので、マルヴィナさんのお気に入り装備です。普段はスカートを履いて太もものホルスターに隠して所持していますが、潜入工作のときなどスカートが履けない場合は腋ホルスターに装備しています。


電源に006P電池が必要なのですが、この時代には無かったので本体だけでなく電池も開発されてたりします。現状だと専用電池扱いなので、めっちゃコストがかかっていたりします。

残念、テッド君のクリぼっちは終わってしまった!

なお、1943年の詳細は本編で描写する予定です。


>三井財閥総帥代行大島雅太郎(おおしま まさたろう)

正確には、三井合名会社理事長、理事、参事のどれかになるのですが、分かりやすさを優先してこのような表記にしています。


>この動きの早さは米連軍にとって最大の誤算となった。

事あるごとに英国海外派遣軍(BEF)が出遅れるので、トロツキーは舐め腐っていましたw


>グリーンランド経由で空挺部隊を飛ばすという荒業で戦力を送り込んだ。

この世界では1931年12月に締結された英丁秘密協定によって、英国はグリーンランドを租借しています。


>米連が別方面から侵攻してくる可能性もある。

アメリカとカナダの国境は約8891kmもあります。

それだけの長さがあれば越境し放題ですね(汗


>これがエロゲならば、目にハートマークが浮かんでいたに違いない。

おいらの偏見なのでしょうが、AIが作ったエロ絵で多い気がします。


>生後2年に満たない子供たちの健康を優先して

史実の大手航空会だと生後8日から搭乗出来るみたいです。

さすがにそんなことをする親なんていないでしょうけど。


>これまでメイドたちの夜討ち朝駆けを退けてきたのは伊達では無い。

どこかの阿呆が作家は経験したことしか書けないとかほざいてましたが。

もちろん、おいらは経験していませんよ?(´・ω・`)


>マルヴィナ・ブートキャンプ

これまで散々地獄と言われてましたが、今回ついに訓練の強度が判明。

習志野の狂ってる団と同等の訓練を受ければ、そりゃあ強くなるってものです。


>ナイロンザイルが湿度と刃物に弱いことを知っていたのである。

これは当時かなりの社会問題になりました。

当時のナイロンザイルは上下方向はともかく、横方向からの力に極めて弱い構造でした。


>この世界のカラオケは平成会が先鞭をつけており

自援SS『変態日本御遊戯事情―カラオケ編―』参照。


>正確には牛肉ではなく鯨肉の焼き肉店であったが。

自援SS『変態日本グルメ事情―現代捕鯨事始め編―』参照。


>このスタンガンは、かつてマルヴィナが愛用していたものと同型であった。

本編第25話『IRA』参照。

ちなみに、この回で召喚したモノは全て後に再登場しています。


>忠臣蔵の討ち入りに見えなくもない。

おいらが子供の頃は年末の定番でしたねぇ。

ひな壇芸人のお遊戯番組なんぞいらんから、復活してくれないかねぇ…( ´Д`)=3


>メイド長

駐日英国大使館筆頭メイド。

眼鏡・スレンダー美人・ドS


>3年前のテッドの雄姿

自援SS『変態世界格闘技事情―紀元二千六百年奉祝天覧武道大会編―』参照。

当時のメイド長はわざわざ応援に行ってたりします。


>大使館の敷地内には防犯のために大量の集音マイクが仕掛けられていた。

本編第86話『決起と後始末』参照。


>史実の第一狂ってる団ならともかく

3階から飛び降りて無傷とか人間じゃありませんよね…(汗


>こうなれば、脱出経路は一つしかない。

ちなみに、テッド君が天井裏から脱出したのは初めてではありません。

アメリカ時代にもやらかしてたりします。その時はマルヴィナさんに捕まってしまいましたけどw


>乞食

元々は仏教用語でした。

現在ではホームレスと呼ばれますが、戦前の乞食は厳密には異なる存在と言えます。


>ダストシュート

海外では未だに現役。

分別考えないで捨てれる便利さはあるものの、ゴキブリ対策は必須。日本でも古い大型建築物には残されている場合がありますが、子供の落下事故が多発したので現在は塞がれていることが多いです。創作ではダストシュートから脱出する事例も多々ありますが、現実では見かけないですね。


>その様子は史実の某怪盗アニメの如しであった。

子供のころはルパンの変装をワクワクしながら見ていたものでしたが。

シリコンマスクで同じことが出来るようになるとは、夢にも思っていませんでしたよ(;^ω^)


>変装を見破るレーザー写真機もどきの開発も進められていたが。

これもルパンで出ていました。

写真を撮るとマスクが透けて素顔が見えるカメラです。シリコンマスクの犯罪が多発したら、似たようなものは作られそうな気がします。


>円タク

1円で市内ならどこでも行けるタクシー。

この時代には料金メーター制のタクシーも混在していたのですが、どっちがお得だったのか気になります。


>そう言って、テッドはピカピカな大黒さまを一枚手渡す。

この時代の1円札には大黒さまが描かれていました。

デザインそのものは平成のお札っぽくなっていますが。


>大使館絡みの取材における新人記者の平均在職日数は2~3週間

史実赤軍のタンクデサント兵並みですが、死なないだけマシでしょう。

社会的には死にますけど(酷


>マルヴィナ・ブートキャンプを卒業した人間凶器である。

一般人に第1狂ってる団並みな訓練を施したらどんな超人になるか興味があります(オイ


毛唐(けとう)

外人のこと。

どちらかと侮蔑の意味を持ちますが戦前では割と使われていたとか。おいらが中学の時に買った小説にも毛唐のねーちゃん的なセリフがあったので、90年代ごろまでは使われていたのではないかと。


>『そうですね。多少の愛着と同情心を考慮したうえで……無慈悲で』

このセリフでゴリスを思い出す人は多いはずw


>丸の内イルミネーション

今年で24回目を迎えるクリスマスの定番イベント。

なんと100万個以上のLED電球を使用しているとか。この世界だと白熱電球だから消費電力も発熱も凄そう(;^ω^)


>史実の某SNSで毎年クリスマスイブに降臨されている某しっとの化身

今年もXで降臨されてました。

毎年のようにジョーが酷い目に遭って、リンダが泣くオチは涙無くして見れませんよね!w


>青く光っているように見えるのは、銀幕の光の反射だと信じたい。

元ネタのヌカ・コーラには放射性物質が入っていて、青く光るという設定があったりします:(;゛゜'ω゜'):


>1929年12月某日に発生した事件

本編第86話『決起と後始末』参照。


>大統領親書を逆手に取った犬養政権はアメリカを無視し続けた。

ちなみに、内容を要約すると『内戦だから手出しすんな』だったり。


『こうなったらアメリカに頼らずにオリジナルを超えるオリジナルを作るしかないっ!』

>リスペクト元の提督たちの憂鬱の支援SSでもコーラの再現に苦労する話があったりします。


>『ついでにフ○ンタも再現しようぜ!』

史実におけるファンタは、コーラの代替飲料だったりします。

この世界では普通に外貨を使ってライセンスの購入に成功していたりします。


>『オラ○ジーナもだっ!』

おフランス版コーラ。

この世界では以下略。


>『砂場コーヒー』

もちろん、元ネタは鳥取のすなば珈琲。

この世界ではスタバのメニューを再現して好き勝手やってたりしますw


>黒歴史の存在を知って半狂乱となったテッドは、跡形も無く消滅させるためにMI6と特殊部隊まで動かした。

本編第93話『黒歴史』参照。


>その末路がどうなったかはここでは割愛させていただく。

この世界のアメリカのギャングに詐欺を働いたらどうなるか?

そんな恐ろしいこと残酷過ぎてかけませんよ…(((((((( ;゜Д゜))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル


>いくら姿格好が厳つくても所詮はモブに過ぎないのである。

しょせんはタコ坊主。

メイドの姿をした人間凶器に勝てるはずもないのです(哀

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― 新着の感想 ―
 慌てる乞食は貰いが少ないと言うが、自分で難易度上げてないか? このメイドども相手じゃ立つものも立たんだろ。がっつき過ぎて不快だ。  嫁さん二人が子育てに手を取られてる上に、旦那に手を出しても御咎めは…
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