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変態独逸レーベンスラウム事情―空の魔王の生態編―


「……ぷはぁ!」


 早朝だというのに、牛乳を瓶で一気飲みするハンス・ウルリッヒ・ルーデル空軍少佐。初陣から続いている彼の日課である。


Ein(アイン)| neuer(ノイエ) Morgen(モーゲン) gekommen(ゲッコメン) ist(イスツ)……』


 牛乳一気飲みの後は体操である。

 兵舎に設置されたラジオから流れる音楽に合わせて、ルーデルは体を動かす。


 この体操はドイツ本国で大流行していたのであるが、そのベースは日本のラジオ体操である。駐日ドイツ大使館の関係者が本国に紹介したことが流行のきっかけとなった。


 史実における第1次大戦のドイツ人捕虜が組体操を日本に広めたとされる。

 この世界のドイツ人も体操大好きであり、日本のラジオ体操は大変に魅力的だったのである。


 体操の冒頭に流される『ラジオ体操の歌』は藤山一郎がドイツ語に翻訳して歌っていた。藤山がドイツ大使の前で歌った際に、その声に惚れ込んた大使が熱心に口説き落としたのである。


 格調高く、完璧なアクセントで歌われるドイツ語は本国で大絶賛された。

 このことがきっかけとなり、藤山は名誉ドイツ人として遇されることになる。


 ちなみに、健康オタクなジョージ5世もラジオ体操に感銘を受けていた。

 ドイツに対抗して藤山に英語で歌わせただけでなく、自らが肉体美を披露する体操映画(!)を作るほどの熱の入れようであった。


「お、おい!? ルーデル少佐が来たぞ!?」

「あの人出撃禁止じゃなかったのか? 確か相方が怪我したとか……」

「しーっ! 黙って仕事をしていれば問題無い。落ち着け!」


 機体の整備に集中するメカニックたち。

 格納庫で1人になったルーデルと目が合ったら最後。この基地の関係者たちの鉄則であった。


「おまえ暇そうだな?」

「えっ?」


 そのような不文律を数日前に配属されたばかりのロースマン伍長が知るはずもなく。ルーデルに捕まって後部銃座に放り込まれたのであった。


『おい!? 出撃許可は出してないぞ!? 誰が乗っている!?』


 タキシングするJu 87 D-1(ブリッツェンフォーゲル)に基地の管制官から警告が飛ぶ。早朝に、しかも単機での出撃など通常はあり得ないのであるが……。


『俺だ。ちょっとひと狩り行ってくる!』

『なんだ。ルーデル少佐でしたか。行ってらっしゃい』


 相手が分った瞬間に管制官は安堵する。

 ルーデルならば問題無い。いつものことである。


 ルーデルの独断専行は基地上層部から黙認されていた。

 これは通常の軍隊ならばあり得ないことである。ましてや、鉄の軍規を誇るドイツ軍ならばなおさらであろう。


『余の直々の呼びかけにも応じず、前線で戦い続けるとは恐れ入った。彼こそが真の勇者である!』


 しかし、彼のやりたい放題はヴィルヘルム2世(カイザー)のお墨付きであった。

 栄転であるベルリンへの召喚命令を蹴ってまで前線で戦い続ける変人をいたく気に入ってしまったのである。


『いやぁ、俺らの若い頃を思い出すな』

『真っ先に飛び出していたのは隊長でしたけどね』


 空軍省のトップ二人が脳筋だったことも状況に拍車をかけていた。

 それでも文句を言う人間もいたのであるが、ルーデルは圧倒的な戦果で黙らせていたのである。


「いったいどうなってるんですか!? 説明してくださいよ!?」

(うるさ)いぞ。ちゃんと後ろを見とけ!」


 後部銃座で(わめ)き続けるロースマン。

 ルーデルはそんなことには目もくれずに地上の獲物を探し続ける。


「獲物発見!」


 地平線上に戦車小隊を捉えると、ルーデルは機体を降下させる。

 急激な機動によるGで後ろから悲鳴があがるが、もちろん気にしない。


「喰らえぃ!」


 アイアンサイトに目標が入るや否や、先頭のT-32へ向けてトリガーを引く。

 その瞬間、両翼に装備されたMG/C20(ガスト式機関砲)から雷鳴の如き閃光と轟音が発生する。


 速射された20mm砲弾はT-32の砲塔天板を容易く貫く。

 20×138mm弾は、傾斜した27mmの均質圧延装甲(RHA)を500mで貫通可能であった。


 威力と携行弾数を高次元でバランスさせるためにMG/C20用の20×138mm弾にはタングステン弾芯が採用された。中華民国からタングステンを安定的に輸入することが出来たことも採用を後押ししていたのである。


 史実のドイツは日本との同盟を優先させた結果、中国からのタングステン輸入が途絶えて工作機械に多大な悪影響を及ぼした。


 一例を挙げるとパンターの最終減速機をダブルラディアスからシングルラディアスに変更せざるを得ず、結果として故障を多発させた事例がある。


 タングステンの安定供給が実現したことにより、この世界のパンターと言える4号戦車の最終減速機はダブルラディアス仕様となった。信頼性が大幅に向上することになったのは言うまでも無いことである。


「単機でやってくるとか……まさか、空の魔王か!?」

「もうダメだぁ。お終いだぁ……」

「馬鹿なこと言ってないで撃て! 落ちない飛行機なぞ存在しないのだ!」


 いきなり先頭車両を血祭にされて呆然としていたタンクデサント兵たちであったが、我に返って猛然と撃ちまくる。サブマシンガンなのでお世辞にも命中率は良いとは言えなかったが、それでも9mmパラベラム弾はルーデル機に派手に着弾する。


「そんな攻撃効かぬわ!」

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」


 機体下方に撃ち込まれているというのに、ルーデルは余裕綽々であった。

 ロースマンはひたすらに悲鳴をあげる機械と化していたが。


 中華民国からはニッケルとモリブデンも大量に輸入されていた。

 その恩恵を最大限に活かしたクルップ社では、レアメタルをふんだんに使用した装甲板を大量生産していたのである。レアメタル欠乏による強度不足を鋼板焼き入れで補っていた史実とは雲泥の差と言える。


「「「……」」」


 生き残ったのは、運良く戦車の誘爆に巻き込まれなかったタンクデサント兵のみであった。空の魔王による10分足らずの蹂躙劇によって、作戦行動中だった赤軍の戦車小隊は全滅したのである。







「やぁ、災難だったな」

「災難だったな、じゃあありませんよ!?」

「すまんな。説明しようと思ってはいたんだが、最近は出撃が多くてそんな暇が無かったからな」


 先輩メカニックたちに慰労(いろう)されるロースマン。

 昼食時の基地食堂は兵士たちでごった返していた。


「だいたいなんですかあの人。明らかに普通じゃないですよ!?」


 ロートマンは、コミスブロートに(かじ)りつきながらぶーたれる。

 くせのある味ではあるが腹には溜まる。ベーコンとの相性も良い。


 コミスブロートはライ麦粉と小麦粉を用いたパンである。

 栄養価が高く日持ちもするということで史実では軍隊パンの別名がある。


 小麦粉で作る白パンに対して黒パンとも呼ばれており、どっしりした生地と酸味が特徴である。


 史実では物資不足の際に生地におが屑を混ぜて増量することも行われていたりするが、幸いなことにこの世界ではそのようなことは行われていなかった。


「シャルノヴスキー伍長が病院送りになってるから、しばらくは大丈夫だと思ったんだがなぁ」


 大皿に入ったアイントプフをかっ喰らう先輩メカニックその1。

 具だくさんの温かいスープが疲れた胃腸に()みいる。


 アイントプフはドイツ語で『鍋の中に投げ込んだ』、『様々な具材を一つの鍋で調理した』という意味である。『農夫のスープ』という呼び名もある。


 ドイツではごく庶民的なスープ料理であり、ソーセージにジャガイモ、にんじん、タマネギ、レンズ豆などを入れて煮込んだものである。


 スープのベースはトマト・コンソメなどなんでも良く、各家庭ごとに味の異なる味噌汁のようなものと言える。


「まさか何も知らないルーキーをひっ捕まえて出撃するなんて普通は誰も思わんよ……」


 ソーセージに齧りつくのは先輩メカニックその2である。

 ドイツ人=ソーセージのイメージは間違ってはいない。史実でも陸海空の3軍で食された定番中の定番メニューであった。


 史実WW2のドイツ軍レーションはお世辞にも美味とは言えなかったのであるが、そんな中でも数少ない例外がソーセージであった。鹵獲したドイツ軍レーションの中でソーセージだけを米兵は食べたという逸話があるくらいである。


 逆にドイツ軍は米軍レーションに驚愕していた。

 鹵獲したCレーションやアサルトパックを食べたドイツ兵たちは、遅れて到着したフィールドキッチンには見向きもしなかったという。


「あの人を止めるのは基地司令でも無理だ。関わったら天災にでも()ったと思ってあきらめるんだな」


 そう言って、先輩メカニックその3はコーヒーをすする。

 ドリップコーヒーの濃厚な香りが付近に漂う。


 ドイツ人はビールと同じくらいコーヒーを愛している。

 史実ではコーヒー消費量3位というコーヒー大好き民族であり、戦争でコーヒー豆が入手出来なくなったら代用コーヒーを作ってしまう筋金入りのコーヒー狂いである。


 この世界のドイツ帝国は第1次大戦の講和条件を呑んで全ての海外植民地を手放したが、敗戦したわけではないので経済的な繋がりは維持されていた。


 特にアフリカの旧植民地(タンガニーカ、カメルーン)はコーヒーベルトに位置するためにコーヒーの栽培が盛んであり、ドイツ本国への輸出は増大の一途であった。コーヒー豆を満載したタンカーが連日のようにドイツ本国に入港していたのである。


 この世界では代用コーヒーは無縁なものと化した。

 それでもコーヒー豆が窮乏することになれば代用コーヒーを作り出すであろう。世界線を違えてもドイツ人はコーヒージャンキーなのであるから。


「……それにしても儂らは恵まれているな」


 目の前のやり取りを眺めていたメカニックその4は、思わず呟いてしまう。

 小声ではあったが、弟子であり後輩でもあるメカニックたちは聞き逃さなかった。


「なんですか急に?」

「おやっさん、何か悪いものでも食べましたか?」

「メディック呼びましょうか!?」


 彼は基地のメカニックでも最年長であり、第1次大戦への従軍経験もあった。

 当時は戦場でまともな飯にありつくことすら難しく、常に飢餓との背中合わせだったのである。


 それに比べて、今は非常に恵まれた環境と言える。

 肉も野菜も大量にある。おかわりも出来る。これ以上何を望むというのか。


 ロートマンたちは知る由は無かったのであるが、彼らが食している食材はウクライナ産であった。現在のウクライナはドイツ帝国と二重帝国諸国連邦に数年前から実効支配されており、生産された野菜は両国へ輸出されていた。


 この世界のウクライナも肥沃な黒土と温暖な気候、水資源に恵まれていた。

 既に欧州屈指の穀倉地帯であったが、ドイツ帝国から優れた農業機械を導入することでさらなる増産も見込まれていたのである。


『ウクライナはドイツ帝国の生命線である』

『ウクライナを生存圏(レーベンスラウム)に取り込む必要がある』

『二重帝国とも協力して同化政策を急ぐべきだろう』


 ドイツ帝国内ではウクライナの重要性があらためて認識されることになった。

 二重帝国諸国連邦と共謀して同化政策を加速していった結果、ウクライナはドイツ語圏に取り込まれることになる。


『ウクライナは必要だが、ソ連は必要なのか? 農業生産に全く寄与しないではないか』

『強いて言うなら資源だが、中華民国と満州国から輸入出来る。無理にソ連を取る必要は無いのではないか』

『二重帝国が多民族の統治に苦労している。ソ連を支配すれば同様の苦労を追うことになるのではないか』


 同時にソ連の重要性は低下することになった。

 貿易航路が長大なのは玉に瑕であるが、必要な資源は貿易で入手出来る。


 その貿易航路にしても、北極航路の開拓や建設中の4BC鉄道が完成すれば状況は大幅に改善される。ますますもって、ソ連へ攻め込む必要性が低下してしまったのである。


 両国の政界と財界は既にソ連を必要としていなかった。

 知らぬは二人の皇帝のみであった。


「うーん、むにゃむにゃ……」


 ロースマンは格納庫でうたた寝していた。

 たらふく食ったら眠くなるのは自然の摂理。今日は日曜日で急ぎの仕事も無い。思う存分惰眠を貪ることが出来るはずであった。


「……なにをやってるロースマン! 出撃だ!」

「えっ?」


 しかし、ロースマンは聞き覚えのある声で叩き起こされた。

 目を開ければ、牛乳瓶を片手にした男が仁王立ちしていた。不幸な彼は空の魔王さまと再びエンカウントしてしまったのである。


『ルーデル少佐、大漁を!』

『おうよっ!』

『い、嫌だーっ!?』


 例によって例の如く、空の魔王さまの出撃はフリーパスであった。

 後部銃座にロースマンを詰め込んだルーデルは、真昼間だというのに単機で出撃していったのである。


「イワンめ、また新型を造りおったか」


 出撃して30分ほど飛行したところで、ルーデルは地上に砂ぼこりを発見していた。高度を下げると走行中の敵戦車らしき車両が複数見えてきたので、そのまま一気にダイブする。


「撃て撃てっ! 撃ちまくれっ!」

「だめです! 仰角が足りません!」

「なっ、なんだとぉぉぉ!?」


 ルーデルは攻撃目標が対空戦車であることを直感的に見抜いていた。

 死角から攻撃するべく、垂直に近い急降下で攻撃を仕掛けたのである。


 ルーデルの悪魔的技量によって、一撃で5両のZSU-12が吹き飛ぶ。

 ベースとなったT-32と比べれば砲塔装甲は貧弱であり、被弾して内部の弾薬に誘爆したらひとたまりもない。


「ま、真正面から来ます!」

「狂ったか!? 全火力をもって叩き落せ!」


 ダイブから機体を引き起こしたルーデルは、正面から突っ込む。

 両翼装備のMG/C20はZSU-12の4連装DK重機関銃よりも長射程大威力であり、一方的にアウトレンジされて対空戦車連隊は全滅したのであった。







「なんだ? 戦車じゃなくて戦闘機のお出ましか?」

「ちょ!? 少佐!? ヤバいですよ!?」


 晩飯を食べて牛乳をキメたルーデルは、夜間出撃と洒落こんでいた。

 例によって例の如く、ロースマンを拉致ったのは言うまでもない。


 しかし、ルーデルたちを出迎えたのは戦車ではなく戦闘機であった。

 それも1機や2機ではない。偶然ではなく明らかに待ち伏せである。


 ルーデルは知る由は無かったが、襲撃してきたのはI-301の編隊であった。

 カモ――もとい、旧式と化したI-207とは違い、スマートな外見は見るからに高性能を感じさせる。


 この機体は、ソ連が次期主力戦闘機として開発中の機体であった。

 機体スペックだけならMe109に迫る性能であり、赤軍上層部は『大祖国決戦機』として多大な期待をかけていた。


 I-301の量産配備が終わるまでソ連側は本格的な攻勢を行わないつもりであった。それ故に、今回のルーデル襲撃作戦は異例中の異例の対応と言えた。


 I-301は運用試験目的で30機ほど先行量産されており、今回の作戦では根こそぎかき集められた。いかにルーデルをソ連側が脅威と判断しているのか分かろうというものである。


「なんで俺だけこんな目にぃぃぃぃぃ!?」

「煩いぞロースマン! 黙って撃て!」


 時刻は現地時間で19時過ぎ。

 高緯度にある8月のウクライナでは、日没までまだ時間があった。


 そのような状況で、ルーデル機は十重二十重(とえはたえ)に包囲されていた。

 普通なら絶体絶命以外の何物でもないのであるが……。


『ふざけるな!? なんで当たらない!?』

『弾が避けているとでも言うつもりか!?』


 圧倒的優位のはずのソ連側の航空無線は罵声で満たされていた。

 いくら撃っても当たらないのである。


『接近し過ぎると同士討ちになるぞ! 距離を取れ!』

『射線に入るな! 誤射してしまうだろうが!?』


 それどころか、不用意に接近し過ぎて僚機が接触して墜落する体たらくであった。さらにはフレンドリーファイアまで発生してしまい、圧倒的優位性を十全に活かせない状況に陥りつつあったのである。


 大群で単機を包囲すると味方の射線を気にして容易に攻撃出来なくなる。

 かといって、射線を気にし過ぎると僚機との相対距離を見誤って接触事故を誘発してしまう。


 なお、史実の撃墜王である赤松貞明(あかまつ さだあき)海軍中尉が同様のことをやってのけている。米軍のP-51の大群(75機)にゼロ戦単機で突っ込み、無傷で1機撃墜して帰ってくるという非常識な戦果を挙げているのである。


 ソ連側のパイロットは空の魔王の神通力では無いかと思い始めていた。

 実際のところは、機体の調整不足が原因だったりするのであるが。


 I-301の先行量産型は、機体の不具合が解消されていなかった。

 史実で言うところのクック・クレイギー・プランが採用されており、実際に運用して後の生産機体にフィードバックするつもりだったのである。


 それでも、ルーデルの愛機ブリッツェンフォーゲルとI-301の最高速度はじつに200km/hもの差があった。ここまで速度差があると、普通は優速なほうが空戦のイニシアチブを取れるはずなのである。


 しかし、相手は空の魔王であった。

 そのような常識が通用するはずもない。


「もらったぁ!」


 ルーデルは機体を横滑りさせながら一瞬だけトリガーを引く。

 両翼が閃光を発し、数瞬後には敵機が砕け散る。戦車の装甲を貫通する威力の前にはI-301の防弾装備などひとたまりもない。


 ジャイロコンピューティングなど備えられていない原始的なアイアンサイトだというのに、ルーデルは偏差射撃で次々と撃墜していく。その様子はまさに空の魔王であった。


「うおおおおおおっ! こんなところで落ちてたまるかぁぁぁぁっ!」


 これまで無言だったロースマンが唐突に吠える。

 その様子は主人公の覚醒イベントに見えなくもない。


「どりゃぁぁぁぁぁぁっ!」


 覚醒(?)したロースマンは、後部銃座をぶん回す勢いで7.92mm機銃を発砲する。連射される7.92x57mmモーゼル弾は、曳光弾で炎の鞭と化して敵機を絡め取っていく。


「やれば出来るじゃないか!」

「うるせーっ!? 俺をこんな地獄に放り込みやがって!? 恨んでやるぅぅぅぅぅっ!」


 賞賛するルーデルに罵声を浴びせるロースマン。

 彼が素面だったら絶対に不可能だったであろう。覚醒ではなく単にブチキレ金剛状態なだけであった。


『くそっ!? 迂闊に後ろについたら落とされる。かといって、前に出ても落とされる。どうすれば良いんだ!?』

『あぁっ!? また落とされた!?』

『やっぱり空の魔王を相手にするのは無理だったんだよ!?』


 圧倒的に優位だったはずのソ連側は恐慌状態に陥っていた。

 30機はいたはずの味方機は既に両手で数えるほどしか残っていない。この状況で落ち着けというほうが無理筋であろう。


『こうなったら……!』


 未だ生き残っていたI-301が単機でルーデル機に突っ込んでいく。


『オーバーブースト!』


 コクピットの端っこにあるレバーを引っ張る。

 その瞬間、スーパーチャージャーの過給圧が高まってエンジン出力が増大する。


『これなら避けられまい。落ちろぉぉぉぉぉっ!』


 オーバーブーストによるパワーダイブで機体速度は瞬間的に800km/hを超えた。あっという間に相対距離が縮まっていく。


「ふんっ!」


 ルーデルはこともなげに機体を横滑りさせてかわす。

 件の機体は引き起こしが間に合わず地上で爆散した。


『『『……』』』


 死なば諸共の攻撃すら無力化された残存機のパイロットたちは絶句していた。

 もはや何をしても勝てないことを悟ってしまったのである。


『こっ、このままおめおめと逃げ帰れるか! いくぞおまえら!』

『『『おおおおおおおっ!』』』


 このまま逃げられるとは思えないし、逃げ帰れても銃殺刑は間違いない。

 自棄になった彼らが選択したのは特攻と言う名の自殺行為だったのである。


 当然というべきか、彼らの決死の行動は失敗に終わった。

 貴重なI-301の先行量産機30機は全て撃破されてしまったのである。


 機体の損失も痛いが、何よりもパイロットを失ったのが途方も無い痛手であった。先行量産機を操縦していたのは教官クラスか、それに匹敵する熟練パイロットだったのである。


 機体は製造すれば済むが、教官クラスのパイロットなど一朝一夕には作れない。

 もっとも、この世界のルフトヴァッフェ基準では彼らの技量は一般兵クラスに過ぎなかったのであるが。


「ふぅぅぅぅ……出撃した後のシャワーは最高だな!」


 シャワールームでルーデルはご機嫌であった。

 今日一日の疲労が洗い流されていく。


 兵舎から少し離れた場所に設置されているシャワールームは、ルーデルの貸し切り状態であった。そもそも、こんな時間に出撃して帰ってくるのは彼くらいである。


 ちなみに、即席の相棒だったロースマンは基地帰還後に病院に放り込まれた。

 医師の見立てでは復帰までには時間を要するとのことであった。


 リアルチートの相棒もまたリアルチートであることを強要される。

 1日3回の出撃に付き合えたので素質はあったのであろうが、残念ながら未だ一般人であるロースマンには荷が勝ちすぎたのであろう。


「ぐごー」


 ベッドに入れば、即爆睡である。

 長かったルーデルの1日がようやく終わったのである。







「そろそろ目的の海域だ。しっかり見ていてくれよアル」

「了解です少佐。目を皿にして見張ります!」


 1938年9月某日。

 ルーデルとアルフレッド・シャルノブスキー伍長を乗せた機体は黒海上空を飛行中であった。


「む、やはり重いな。機体の反応が鈍い」


 機体のレスポンスの悪さに顔をしかめるルーデル。

 胴体下面に搭載された1t爆弾は、出力強化されたブリッツェンフォーゲルでも重荷となっていた。


 今回の標的は、セヴァストポリを根拠地にしている黒海艦隊であった。

 最近は沿岸海域に出没して艦砲射撃を繰り返しており、周辺施設に損害を与えていたのである。


『やっと我らの出番が来たか!』

『コミュストの海軍なんぞ3流だろう。一ひねりにしてやる』

『ルフトヴァッフェだけにいい思いはさせませんよ!』


 ソ連海軍出現の報に海軍上層部は沸き返った。

 やっと出番が来たかと、大いに奮い立ったのである。


『地中海の通過を認めない? ふざけるなぁ!?』

『イタリアに正規の外交ルートで抗議するべきだ!』


 しかし、ドイツ海軍の地中海進入をイタリア王国は拒否した。

 今回の戦争に関しては以前から中立を宣言しており、それに則った処置――と、いうのはあくまでも建前に過ぎない。


 地中海の覇者を気取るイタリアとしては、聖域の地中海にジャガイモ野郎の海軍が出張ってくるのが気に入らなかった。ドイツ側に組したと見られてソ連側から不興を買うリスクを避けたかったのもある。どちらかというと、後者のほうが動機としては大きいのであるが。


 イタリアがソ連から不興を買うのを恐れた理由は、国内の造船業の保護という観点からであった。ソ連は多種多様な艦艇をイタリアの造船所に発注していたのである。


 1934年4月にロンドン海軍軍縮条約が失効した。

 列強各国は以前から温めていた戦艦建造プランを推進することなったのであるが、ソ連だけは国内で建造することが出来なかった。


 頼みの綱としていたアメリカの造船所は、ヴィンソン計画による海軍再建プロジェクトの真っ只中であった。戦艦が建造出来る造船所は真っ先に押さえられており、ソ連の注文に応じられる状況では無かったのである。


『……ソ連から戦艦建造の依頼が来たぞ!?』

『ちょうどいい。ソ連の金で戦艦の研究をさせてもらおう』

『悪く無いな』


 『ソビエスキーソユーズ』と名付けられることになる新型戦艦は、イタリアに発注されることになった。設計から建造まで丸投げであり、イタリアの造船技術者は実験も兼ねて様々な新機軸を盛り込んだ。どうせ失敗しても損は無いのである。他国向けの兵器で実験をするのは、英国だけの専売特許では無かったらしい。


 史実のイタリア戦艦の特徴として、航続距離を犠牲にして浮いた重量を武装や防御に回すというものがある。これは地中海という狭い海域だけで行動出来れば良しとされたためで、イタリア海軍だけの特徴と言える。


 実際、史実では特段の問題は生じていない。

 内海に特化した艦艇設計は黒海での運用も良好であり、性能に惚れ込んだソ連側は巡洋艦や駆逐艦を多数発注していた。


 イタリア王国としては貴重な外貨獲得の手段であり、ムッソリーニからすれば造船票を確保する手段でもあった。とどのつまりは、最初からドイツ海軍に出番など無かったのである。


 海軍が対処出来ないのであれば空軍が対応するしかない。

 ルーデルとシャルノブスキーが黒海まで出張ってきたのは、そのような理由であった。


「下方3時方向! 影らしきものが見えました!」


 この日は地中海には珍しく霧が立ち込めていたが、シャルノブスキーの目は違和感を見逃さなかった。一瞬ではあったが、白い霧の中航行する黒い影を視認していたのである。


「降下するぞ。良く見とけ!」


 重たい爆弾を抱えているだけでなく、発見を容易にするために失速寸前まで減速しているので一瞬たりとも気が抜けない。ルーデルは慎重に機体を操縦する。


「見えてきました! これは……戦艦です!」


 霧の中に浮かび上がる戦艦に興奮した様子でシャルノブスキーが報告する。

 しかし、ルーデルは攻撃態勢には入らずにフライパスしただけであった。現時点で敵と決まったわけではないのである。


 ルーデル機が発見したのは、ソ連海軍の虎の子である新型戦艦『ソビエスキーソユーズ』であった。しかし、この時点ではルーデルもシャルノブスキーも敵か味方か判断しかねていた。


「発砲を確認。こちらを狙っています!」

「やはり敵か!」


 ここで失敗したのは、ソビエスキーソユーズ側であった。

 殺られる前に殺れとばかりに発砲したのであるが、結果として寿命を縮めることになったのである。


 ルーデル機に向けられたのは主砲以外の全ての火器であった。

 まるで火山が爆発したかの如く火線は、霧の中でもはっきりと視認出来た。


「敵機ロストしました!」

「どこだ、何処にいる!?」


 逆にソビエスキーソユーズは、ルーデル機を見失っていた。

 エンジン音はするので近くにはいるのであろうが、小さな機体は霧に紛れて発見不可能であった。


「安全装置解除。いくぞぉ!」


 高度2000mから、ルーデルはダイブブレーキ無しで機体を急降下させる。

 戦艦を確実に殺るには、爆弾の威力を殺しかねないダイブブレーキは邪魔でしかない。理屈では分かっていても、実際にやるのは世界でもルーデルだけであろう。


 逆ガル翼と大きく張り出したプロペラが空気との摩擦で大きな風切り音を発生する。史実でシュトゥーカの代名詞となった悪魔のサイレンである。


「ここだっ!」


 コクピット内に高度警告音が鳴り響くと同時に、ルーデルは1t爆弾を投弾する。ほぼ90度の垂直で投下された爆弾はソビエスキーソユーズの煙突から艦内に突入、据え付けられていたヤーロー式重油専焼水管缶の大半を破壊した。


「ぬぉぉぉっ!?」


 全力で操縦桿を引くルーデル。

 ダイブブレーキ無しの機体引き起こしで、機体がミシミシと不気味な音をたてる。


「やったか?」


 高度50で機体を安定させたルーデルは後方を振り返る。

 手応えはあったが、霧の中では何も分からない。


 この時、ソビエスキーソユーズの艦内は破裂したボイラーから漏れ出た蒸気が荒れ狂っていた。ダメージコントロールに奮闘するクルーたちは高温高圧の蒸気に焼かれていったのである。


「あっ!? 炎が見えました!」


 霧の中で発生する閃光。

 少し遅れて到達する轟音と衝撃波で機体が揺さぶられる。


 高温高圧な蒸気が浸水してくる海水と接触した結果、艦内で大規模な水蒸気爆発が発生した。爆発で船体に大破孔が生じたソビエスキーソユーズは、誰にも見られることなく沈んでいった。生存者は皆無であった。


 ソ連側はソビエスキーソユーズの撃沈をひた隠しにしたのであるが、オデッサ近海で沈んだために隠しようがなかった。後の調査でルーデルの戦果として正式に認定されることになるのである。







「……パスは問題無いな」

「念のため中身をあらためさせてもらうぞ?」


 ウクライナ国境に建設されたルフトヴァッフェの空軍基地。

 そのゲートでは、食品業者のトラックが検査を受けているところであった。


「よし、良いぞ。通れ」

「へい」

「分かってはいると思うが、余計な場所には入るなよ?」

「分かってますって!」


 兵士のチェックを受けたトラックは基地内部へ進入する。

 ドイツ本国から食材を輸送するよりもウクライナ産の野菜を地元業者から仕入れたほうが早いし、安い。おまけに野菜の品質も良いわけで最近では珍しくなくなった光景である。


「「「……」」」


 トラックの荷台に潜む複数の気配。

 彼らはとある目的のために基地への侵入を果たしていた。


 運転手が周囲に人気(ひとけ)が無いのを確認してから荷台の扉を開ける。

 出て来たのは、基地要員の服装を着込んだ男たちである。


「ターゲットは兵舎にいるらしい」

「らしいとはなんだ? もっとはっきりとした情報は無いのか?」

「無茶を言わんでくれ。苦労して基地へ入れるようになったばかりなんだぞ」

「ちっ、しらみつぶしに探すしかないか」


 運転手に愚痴(ぐち)をこぼしてしまう男たち。

 その肉体は鍛え上げられており、血の匂いを感じさせた。


「早く行ってくれ。このままだと疑われちまう。俺は食材を納品したら帰るからな」

「分かった。ピックアップは予定通りだな?」

「あぁ。しばらくは毎日この時間に、この場所でトラックを待機させておく。荷台の鍵は開けておくから有効活用してくれ」

「了解した。散れっ!」


 隊長らしき男の命令で男たちは基地内へ散っていく。

 彼らのミッションは始まったばかりであった。


 スターリンは、ルーデルを暗殺するべく腕利きの工作員を送り込んでいた。

 ルフトヴァッフェの英雄を暗殺することで、ドイツ帝国の士気を落とすことを目論んでいたのである。単に大損害を受けた腹いせというわけでは無い。多分。


(((ヤツはいったい何処にいるのだ!?)))


 しかし、彼らの思惑は早々に頓挫することになった。

 いくら捜索してもルーデルの姿すら捉えることが出来ない。たまに見かけたとしても、すぐにいなくなってしまう。


『今日はヘンシェルか。よろしく頼むぞ!』

『了解です。今日もお仕事頑張りますか!』


 暗殺者の思惑など知る由もないルーデルは、朝昼夜の出撃に加えて午前と午後のおやつタイムにも出撃していた。相棒をとっかえひっかえして地上に破壊を振りまく姿は、空の魔王以外の何物でも無い。最近では単機のブリッツェンフォーゲルを見ただけで赤軍部隊の士気が崩壊する有様であった。


「どんだけ仕事熱心なんだよ。あの魔王は!?」

「1日5回出撃とか気が狂っとる……」

「基地内を探しても見つからないはずだ」


 数日後。

 セーフルームとして活用している食品業者のトラックの中で暗殺者たちは情報交換していた。


「食事時は確実に基地にいるが周囲に人が多すぎる。却下だな」

「確実に()るなら一人の時が理想だが……」

「それに関しては良い情報があった。夜間出撃の後は必ずシャワーを()びるそうだ」

「夜のシャワー室なら人気も無いだろう。ねらい目だな」


 かくして、殺害現場が決定することになった。

 命日(めいにち)は確実に迫っていたのである。


「ふぅぅぅぅ……出撃した後のシャワーは最高だな!」


 シャワールームでルーデルは今日もご機嫌であった。

 思う存分にイワンどもに破壊を振りまいたので気分爽快である。


 兵舎から少し離れた場所に設置されているシャワールームは、今日もルーデルの貸し切り状態であった。逆に言えば、絶好の暗殺日和とも言える。


「「「……」」」


 シャワールームに音も無く侵入する暗殺者たち。

 聞こえてくるシャワーの音にほくそ笑む。


 シャワールームは壁とカーテンで仕切られていた。

 彼らはカーテン越しに猛毒を塗ったナイフを突きこむ。


「なっ!?」


 しかし、カーテン越しに手応えは無かった。

 慌ててカーテンを開けるとシャワーが出ているだけで無人であった。


「まさか気付かれたのか!?」

「お、落ち付け。裸で遠くに行けるわけでもない。近くにいるはずだ」

「助けを呼ばれると厄介だ。急がねば」

「俺は念のためここを調べる」


 音も無く散っていく暗殺者たち。

 残った暗殺者はシャワールームを捜索し始めたのであるが……。


「ぐぇっ!?」


 突如、掃除用具入れから伸びて来た腕に首を絞めつけられる。

 リアルチートなルーデルの剛腕に暗殺者は為すすべが無い。


「それにしても勘のにぶい暗殺者だ」


 締め落とした暗殺者をルーデルは放り出す。

 史実のルーデルは某ゲームに出てくるソリッドな蛇ばりのスニーキング能力持ちであった。軍用犬すら欺いた潜伏能力は、鍛えたあげたとはいえ人間に過ぎない暗殺者では太刀打ち不可能だったのである。


「こんな時間に何をしている!」

「怪しいやつだ。所属を名乗れ!」


 他の暗殺者たちは基地の保安要員に発見されていた。

 冷静ならば、うまく誤魔化すことも出来たであろう。最悪でも口封じという手段もあった。


「く、くそぉっ!?」


 しかし、ルーデルを仕留め損なって焦った暗殺者たちは最悪の選択をした。

 問答無用で保安要員から逃亡してしまったのである。


「逃げたぞ!? 警報を鳴らせ! 全保安要員に通達。不審者を発見した!」


 基地内部では警報が鳴り響き、サーチライトが次々と点灯する。

 これでは闇に紛れて逃亡することも難しい。


 結局、残りの暗殺者は基地の保安要員に捕縛された。

 彼らは武装解除されて厳しい尋問を受けることになる。


 「ぐごー」


 そんな周囲の騒ぎに気付くことなく、今日もルーデルはベッドで爆睡していた。

 彼にとっては、今日も一日こともなしである。


 ちなみに、シャワールームで気絶していた暗殺者は保安要員がしっかりと回収していた。


 ルーデルが関与しているのは明らかであったが、寝ている空の魔王を叩き起こせる人間などこの基地には存在しない。他の暗殺者があっさりゲロったのは幸いであった。







(なんで俺がこんな屈辱を味わわねばならんのだ!?)


 証言台に立たされたスターリンは屈辱に震えていた。

 その表情を他の者が見たら速攻で逃げ出すことだろう。問答無用でシベリア行きか銃殺の二択を強要されかねない。それくらいヤバイ表情をしていた。


 1938年9月下旬。

 クレムリンの大ホールでは臨時の共産党中央委員会が開催されていた。


 臨時の党中央委員会と銘打ってはいるものの、実質的にはスターリンの吊し上げであった。彼の戦争指導によって生じた一連の独ソ戦の損害は許容範囲を超えていたのである。


「ソビエスキーソユーズが失われたのは、どう考えても同志スターリンの責任じゃないですか!?」

「挙句の果てに暗殺者を送って失敗するとは。おかげでソヴィエトは世界の笑いものだ。この責任、どう取られるおつもりか?」


 特に舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判していたのは、ゲオルギー・ピャタコフとカール・ラデックであった。内容が事実なだけにスターリンは顔を真っ赤にして耐えるしか無かったのである。


 史実のピャタコフとラデックは、スターリンによって粛清された。

 二人がトロツキストであり、スターリンがトロツキーとは不倶戴天(ふぐたいてん)の敵であったことが粛清の動機と言われている。


 レーニンの失脚後、ソ連共産党の主流派はスターリンに代替わりした。

 党内部ではスターリンとトロツキーの熾烈な主導権争いが繰り広げられることになったのである。


 スターリンとしてはトロツキーといっしょに二人を粛清したかったが、当時の政権基盤は盤石とは言えなかった。強引な手段を取ろうものなら、逆に失脚する恐れがあったのである。


(あのとき無理矢理にでもトロツキーを消しておくべきだった……)


 己の過去の所業を大いに悔やむスターリン。

 現在の状況は、トロツキーが生存していることが原因といっても過言では無いのである。


 史実の大粛清はスターリンの猜疑心から始まっている。

 70万人近い人間の死刑判決と60万人以上の強制収容所送りは、彼の権力基盤を固めるのに大いに寄与することになった。


 しかし、この世界では大粛清を発動することが出来なかった。

 超フ級戦艦の建造など史実では存在しなかったイベントへの対応でそれどころではなかったのである。


(いや、そもそもの原因はドーセット公だ。あの若造が余計なことをしさえしなければ……!)


 思い出し笑いならぬ、思い出し怒りでスターリンは憤怒(ふんど)の表情となる。

 夜中に見たら、ちびること間違い無しであろう。


 この世界のソ連は建国段階でケチがついていた。

 ロシア皇帝ニコライ2世とその家族の亡命を許してしまったことで、国家としての正当性を喪失していたのである。


 ニコライ2世は、亡命先の英国でロマノフ公として連合王国貴族に叙勲(じょくん)された。

 英国王ジョージ5世とは母親同士が姉妹の従兄弟(いとこ)であり、王家に近しい大貴族として王位継承権まで付与されたのである。ソ連側からすれば、当てつけ以外の何物でも無い。


 一時期のスターリンが執拗に駐日大使のテッド・ハーグリーヴス暗殺を試みたのは、独ソ戦への英国の介入を遅延させるためであった。


 さらに言うならば、朝鮮半島で赤軍を文字通り全滅させたウォッチガードセキュリティのボスであることも原因でもある。


 これに加えて、ニコライ2世の亡命を発案したことも発覚してトリプル役満と化していた。結局は独ソ戦の開戦で有耶無耶になってしまったのであるが。


 閑話休題。

 とにもかくにも、スターリンはあらゆる手段を用いてトロツキーを失脚にまで追い込んだ。彼をシベリア送りにしたことで、ようやく基盤固めを進めることが出来るようになったのであるが……。


『……今こそ共産主義によって、労働者の、労働者による、労働者のための国家を建設せねばならないっ!』


 1935年3月に行われた革命軍の決起宣言によって、スターリンの努力はぶち壊された。トロツキーの生存を知った国内のトロツキストたちが頑強に抵抗し始めたのである。


『どういうことだ!? トロツキーは死んだのではないのか!?』

『わ、分かりません。シベリアの収容所からトロツキーの死亡報告が来たのは確かなのですが……』

『急いで確認しろ!』


 スターリンにとって、トロツキーの決起宣言は寝耳に水であった。

 ただちに再調査が命じられたのは言うまでも無い。


 再調査の結果は、トロツキー逃亡の失態を隠すために虚偽の報告がなされたという信じ難いものであった。怒り狂ったスターリンは即刻関係者の処刑を命じたものの、それで事態が解決するわけもない。


 タイミング的に最悪なことにソ連はドイツ帝国と戦争中であった。

 この状況で粛清を強行しようものなら、戦争遂行に多大な支障をきたすことは目に見えていた。


 ドイツ帝国と戦争する以前から赤軍の人材不足は深刻であった。

 赤いナポレオンこと、ミハイル・ニコラエヴィチ・トハチェフスキーがアメリカに亡命する際に子飼いの優秀な部下たちを根こそぎ連れていったからである。


『こんな地の果てでまともな飯にありつけるとは……』

『むしろモスクワよりも住みやすいぞ』

『拷問もされないし、ここは天国だな』


 スターリンに反抗した有能な人材はシベリア送りにされたのであるが、彼らを待っていたのは予想外の光景であった。暖房の効いた独房に真っ当な食事。夢ではないかと頬をつねったのは言うまでも無いことであろう。


 トロツキーはトハチェフスキーだけでなく有能な人材の確保に躍起になっていた。そのために取った手段がシベリア各地の収容所の買収であった。


 あらゆるものが不足しているシベリアでは、物資はルーブルよりも価値がある。

 所長さえ買収してしまえば残りは金魚の糞に過ぎない。収容所はあっさりと人材プールと化した。これにはダメ元で実行したトロツキーが驚くほどであった。


『モスクワからわざわざご苦労なことですな。ところで良いウォッカがあるのですが?』

『うむ、この収容所は異常無しだな。今後も励むように!』


 時折モスクワからくる役人は速攻で買収された。

 スターリンが知らぬ間に、シベリアの収容所は彼のコントロール下から離れてしまったのである。


『トロツキー閣下のお役に立てるなら命など惜しくない!』

『今こそ夢にまで見た世界革命の礎になるのだ!』

『ご褒美に直筆サインが欲しい!』


 収容所の買収で大きな働きをしたのが平成会内部に巣食っていた革マ〇派であった。トロツキーに心酔している彼らは、身の危険を顧みずに協力を申し出たのである。


 平成会にいれば史実知識を活かした儲け話などいくらでもある。

 革〇派のモブたちは有り余る財力で偽装商社を起ち上げ、貿易を装ってシベリア各地の収容所へ大量の物資をばら撒いた。その結果は言うまでも無い。


 脱出させる人材は収容所内の不慮の事故や病気で死亡扱いにされた。

 一度に大量に脱出させると査察で発覚する恐れがあるので、少しずつ脱出させていったのである。


『……おい、この骨ってどうみても本人じゃないだろ。こんな小柄じゃなかったぞ?』

『わざわざ墓を暴きに来るやつがいるものかよ。それよりもさっさと済ませるぞ。熱い肉のスープにありつきたいんだ』

『それもそうだな』


 万が一調査されてもバレないように念入りな偽装が施された。

 わざわざ墓を作って、どこからか持ってきた遺骨を入れることまで行われていたのである。


 しかし、そんなことを繰り返していれば遺骨が足りなくなる。

 収容所の外部から遺骨の調達をすることになるまで大した時間はかからなかった。


 繰り返すが、シベリアではルーブルなんぞ暖炉の焚き付け程度の価値しかない。

 そのため、遺骨の売買は物々交換の形で行われていた。


 墓に入れるフルセットな遺骨を収容所へ持っていくと食糧やウォッカをくれるので、現地民たちはこぞって墓暴きをしていた。


 とある集落では墓を掘りつくしてしまい、埋葬したばかりで白骨化していない遺体を火葬にしたほどであった。本末転倒にもほどがある。


『反帝国主義・反スターリン主義の旗のもと万国の労働者団結せよ!』

『暴力革命でプロレタリア独裁政権を樹立するのだっ!』


 1927年に平成会上層部の強制査察によって革マ〇派は壊滅したのであるが、その後釜に座ったのが中〇派であった。彼らは革マ〇派の事業を引き継ぎ、シベリアからの脱出を支援し続けていたのである。


「……って、聞いているのですか同志スターリン!?」

「待ってくれ同志ピャタコフ。同志スターリンもお疲れだろう。今回はここまでにしないか?」

「同志ラデックがそう言うならば……」


 ラデックの言葉にピャタコフは不承不承といった様子で引き下がる。

 スターリンは人を殺せそうな視線を送るが、二人はあっさりとスルーする。


(今にもシベリア送りにしそうな顔をしていたな)

(むしろシベリアへ送って欲しい。早く同志トロツキーに会いたい)


 トロツキストにとってシベリア送りは既に恐怖の対象では無く、むしろ望むところであった。怖いもの知らずとなった彼らは好き勝手しまくって、スターリンの手を焼かせることになるのである。







「……それでは現状では打つ手はないということかね?」


 吊し上げから解放されたスターリンは、疲れを見せることなく国防人民委員部の会合に参加していた。さすがは鋼鉄の人と名乗るだけのことあるタフネスさであった。


「そういうわけではありません。ただ、時期が悪いと申しております」

「現状は苦しいかもしれませんが、打開の機会は必ずあります」

「我らにはナポレオンすら撃退した冬将軍の加護があります。きっと勝ちましょう」


 いくら赤軍上層部の重鎮たちが取り繕ったところで意味は無かった。

 出来ないものは出来ないのである。そのようなことが可能であるならば、それこそ魔法であろう。それくらい独ソ戦の戦況は芳しくなかった。


「もう一度聞くぞ? 何でも良い。何か無いのか?」


 ずれた制帽を被り直すスターリンに、居並ぶ重鎮たちも居住まいを正す。

 勲章まみれの大元帥服と軍帽の組み合わせは威圧感抜群であった。


(くそっ、禿(はげ)が出来ていなければ帽子なんぞ被らんのに……!)


 最近のスターリンは室内でも帽子を手放せなかった。

 てっぺんはげ――もとい、薄くなってきた頭髪を隠すためであることは側近中の側近も知らない極秘事項である。


 ただでさえトロツキスト達との政争でストレスを溜めていたスターリンであるが、最近は新たなストレス源の発生で頭髪が悲鳴をあげていた。それがルーデルの存在であることは言うまでもない。


『このようなことが現実に起きるわけないだろう。報告者は寝ぼけているのか? 最前線に送ってしまえ!』

『同志スターリン、まさに最前線で起きていることなのですが……』

『ならば、シベリアへ送ってしまえ!』


 前線からの一報をスターリンは最初は信じなかった。

 しかし、前線から送られてくる悲鳴のような報告と大量に破壊された兵器の写真を見るに及んで信じざるを得なくなったのである。


 ルーデル抹殺のためにスターリンはあらゆる手段を取った。

 人民の敵認定もその一つである。これはテッド・ハーグリーヴスに続く二人目の快挙(?)であった。


 ちなみに、同じ人民の敵認定でもテッドとルーデルでは懸賞金に大きな差があった。現在進行形で破壊を振りまいている空の魔王のほうが莫大な懸賞金をかけられたのは当然であろう。


 毎日決まった時間に単機で出撃しているので、戦闘機による待ち伏せ作戦も実行された。しかし、結果は貴重な先行量産機と熟練パイロットを根こそぎ失うという悲惨なものであった。スターリンの頭髪も悲惨なことになってしまったのである。


 数日前に最終手段として実施された暗殺作戦も以下略。

 頭髪がさらに悲惨なことに以下略。


 人民の敵認定も、戦闘機のよる襲撃も、暗殺作戦もリアルチートには通用しなかった。失敗する度にドイツ本国で盛大なプロパガンダが展開されてドイツ軍の士気は上がる一方。逆に赤軍の士気は絶望的に低下していた。現段階でのルーデルへの手出しはもはや自殺行為であった。


「……希望的観測になるのですが」


 ここで挙手をしたのが、壮年の軍人であった。

 整った髪型と眼鏡は知性を感じさせる。参謀モールも良く似合っていた。


「この際何でもよい。話したまえ」

「はっ。現状のドイツ軍(ゲルマンスキー)には侵攻の意図は無いと思われます」


 中佐の階級章を付けた軍人の言葉は意外なものであった。

 これが事実ならば、スターリンにとっては願ったりかなったりである。


「……その根拠は何かね?」


 しかし、スターリンは簡単には信じようとはしなかった。

 猜疑心の塊と化すのは独裁者のテンプレであろう。


「部下たちに24時間観測させているのですが、地上兵力が増えていません。それどころか減少しています」

「ならば、攻撃のチャンスではないか。君たち軍人は何をやっているのかね?」


 戦時の軍人の仕事は戦果を拡大することに尽きる。

 それをしないのは怠慢と言われてもしょうがない。もちろん、時と場合にもよるが。


「お忘れですか? 空に厄介なヤツが貼りついております。半端な戦力で手出ししようものなら、返り討ちに会うだけでしょう」

「……確かにその通りだな」


 思わず胃の辺りを抑えてしまうスターリン。

 ルフトヴァッフェの存在を思い出してしまったのである。


(あいつらさえいなければ、少なくとも互角の戦いが出来たはずなのだが……)


 少なくとも陸戦においては、ソ連はドイツ帝国と互角に戦えていた。

 おかしくなったのは、ルフトヴァッフェが参戦してからである。


 ルーデルだけでも頭が痛いというのに、それ以外にも化け物揃いなのがルフトヴァッフェであった。


 専用機で前線視察する脳筋なトップ二人はスーパーエースであるし、それ以外にも100機超えのスコアを持つ撃墜王がゴロゴロいた。一般兵ですら、こちらの教官クラスとまで言われるくらいなのである。


「君の結論を聞きたい。侵攻の意図が無いということは撤退を考えているということかね?」

「はっ、ゲルマンスキーはウクライナまでの撤退を意図していると結論します」

「ふむ……」


 中佐の結論を聞いて沈思黙考するスターリン。

 やがて会合の解散を宣言し、彼自身は外務省に向かったのであった。


 1938年10月某日。

 まるで示し合わせたようにドイツ帝国と二重帝国諸国連邦、ソ連は軍事行動の停止を世界に宣言した。


 終戦ではなく、あくまでも停戦である。

 いずれ再戦することは見え見えではあったが、とにもかくにも戦争は終わったのである。


『ここは3国で不可侵条約を結ぶべきであろう』

『当然だが、不可侵を破った際の罰則規定は設けるんだよな?』

『『『……』』』

『そ、そんなことよりも会場はどうする? わたしとしてはベルリンが望ましいのだが?』


 軍人の仕事は終わったが、外交官の仕事はこれからが本番である。

 当事国であるドイツ帝国と二重帝国諸国連邦、ソ連の外交官たちは虚々実々のやり取りを交わすことになる。それは少しでも成果という果実を手に入れるための必死のもがきでもあった。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


ユンカース Ju 87 D-1


全長:10.8m   

全幅:13.82m    

全高:3.84m     

重量:3550kg(全備重量)    

翼面積:31.90㎡

最大速度:305km/h 

実用上昇限度:7000m

航続距離:1000km(増槽使用) 

武装:MG/C20 20mm ガスト式機関砲×2(ガンポッド形式 両翼装備) 7.92mm機銃(後部銃座)

エンジン:ユンカース ユモ 211 液冷V型12気筒 1000馬力

乗員:2名


ルフトヴァッフェが配備した対地攻撃機。

使い道が無くて持て余していたシュトゥーカの改造機である。


史実のJu 87 D-5に相当する機体であるが、武装はMG 151/20(マウザー20mm)ではなく新規開発されたラインメタル社製MG/C20である。


MG/C20は従来の機関銃とは一線を画する動作機構を持つガスト式機関砲である。その発射レートは、マウザー20mmの4倍以上の毎分3400発以上という驚異的なものであった。


使用する弾丸は20×138mmのロング・ゾロターン弾である。

元々は対戦車ライフル用の弾丸として開発されており、マウザー20mmの20×82mm弾よりも初速は10%速く、弾頭重量は30%増しであった。


MG/C20はガンポッド形式で両翼に装備された。

携行弾数は合計で300発である。


携行弾数はマウザー20mmの1000発から大幅に減少しているが、1発当たりの破壊力、射程、命中精度はそれを補ってあまりあるものであった。


その威力は驚異的なものであり、数発命中しただけで砲塔天板に大穴があいたという。しかし、異様に高い発射レートのために指切りバーストのタイミングを間違えると数秒で撃ち尽くしてしまう欠点があった。


この問題を解決するためにMG/C20の後期モデルでは電気信管が使用出来るように改良が行われた。トリガーがフェザータッチ化して指切りバーストしやすくなったのであるが、逆に軽くなりすぎて暴発事故も増えることになった。


異様に高い発射レートによる派手なマズルフラッシュと高初速による轟音は稲妻(Blitz)を連想させ、そこから愛称の『ブリッツェンフォーゲル』(稲妻鳥)が付けられている。


この世界では空の魔王ことハンス・ウルリッヒ・ルーデルが初陣で搭乗した機体として有名であり、いきなり敵部隊を壊滅させて赤軍を恐怖のどん底に叩き落した。



※作者の個人的意見

ルーデルのデビュー年なのだから、気の利いた機体を用意しようと考えてたらガスト式機関砲を思い出して作った機体です。史実だと結構な数を作っていたみたいなので、もう少しWW1が長引いていたら実戦投入されてたかもしれませんね。そうなったら東側専用にはならなかったんじゃないかなぁ。






ZSU-12


全長:5.76m(車体のみ)  

全幅:3.00m  

全高:2.60m  

重量:20.5t  

速度:65km/h

行動距離:340km

主砲:12.7mm重機関銃×4(砲塔)

装甲:16mm~65mm

エンジン:4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル500馬力

乗員:4名


T-32の車体を流用して開発されたソ連初の対空戦車。

我が物顔で戦車を破壊するシュトゥーカ(ブリッツェンフォーゲル)対策に急遽開発した車両である。


T-32の車体にDK重機関銃を4連装で装備した砲塔を載せたロシア版ヴィルヴェルヴィントもどきである。搭載されるDK機関銃は車載用に改良されており、ドラムマガジンからベルト給弾に変更されている。これを鋼板を溶接した砲塔に左右2基ずつ装備している。


発射速度は毎分600発であり、4基合計で2400発/分の弾幕を張ることが可能であったが、仮想敵であるブリッツェンフォーゲルのMG/C20に威力も射程も負けていた。そのため、先に発見されてアウトレンジで一方的に破壊されることになった。


早々に対空戦車としては失敗の烙印を押された本車であるが、対人及びソフトスキン目標に転用された。12.7mm4連装の火力は人体相手には過剰なほどの威力があり、ロシア兵からはфарш(ファッシュ)の愛称で親しまれた。なお、ファッシュはロシア語でひき肉の意味なのでロシア版ミートチョッパーと言える。



※作者の個人的意見

そういえば、ソ連側に対空戦車が無かったなと思って作りました。

初っ端からダメ兵器扱いされていますが、今後はミートチョッパーとしてなら出番はあるでしょう。






I-301(先行量産型)


全長:8.81m   

全幅:9.8m    

全高:4.4m     

重量:1650kg(最大離陸荷重)    

翼面積:17.5㎡

最大速度:530km/h (シーレベル) 615km/h(4600m)

航続距離:500km 

武装:23mmモーターカノン 12.7mm機銃×2(機首上部)

エンジン:クリーモフ M-105P 液冷V型12気筒 1050馬力

乗員:1名


赤軍が開発中の次期主力戦闘機。

史実で言うところのLaGG-1に相当する機体であるが、この世界のソ連では命名規則の変更は行われていないので最初のI-301で呼称されている。


性能的にはMe109(初期型)に匹敵しており、『大祖国決戦機』として生産が急がれている。


いわゆる史実のクック・クレイギー・プランが採用されており、最初から量産を前提として生産ラインを立ち上げるというソ連機としては異例の対応が行われている。


ちなみに、クック・クレイギー・プランは製作した先行量産機を試験して後の生産機にフィードバックして速やかな量産へ移行する手法である。


記録上では30機の先行量産機が生産されて各種試験に供されたのであるが、後にルーデル暗殺作戦に全機投入されて失われている。


設計段階では史実と同様に金属資源を削減するためにデルタ材が用いられる予定であったが、生産責任者のヘンリー・フォードが生産効率が低下するのを嫌って全金属性に変更されている。


全金属にすることで史実よりも機体が軽量化されて全般的に性能は向上した。

後期の生産型は厚板構造が採用されて、さらなる量産性の向上が果たされている。


派生型を含めると2万機以上生産されており、初期型と後期型では見た目も性能も(ついでに名前も)完全に別物と化した。



※作者の個人的意見

さすがに複葉機(I-301)でルフトヴァッフェに対抗するのは無謀を通り越して蛮勇なので、新型機をご用意しましたw


この世界だとアメリカからの支援を受けられないのがつらいところです。

やりようはいくらでもあるんですけどね。偽札作りを頑張らねば(爆






ソビエスキーソユーズ


排水量:45752t(満載) 

全長:237.8m(水線長) 

全幅:32.9m

吃水:10.5m

機関:ヤーロー式重油専焼水管缶8基+ブルッゾー式ギヤード・タービン4基4軸推進

最大出力:140000馬力

最大速力:31.1ノット

航続距離:16ノット/4580浬 

乗員:1910名

兵装:50口径38.1cm3連装砲3基

   55口径15.2cm3連装速射砲4基

   50口径9cm単装高角砲12基 

   54口径37mm連装機関砲10基

   65口径2cm単装機銃20基 

装甲:舷側350mm(最大値)

   水平甲板207mm(最大値)

   主砲塔380mm(前盾) 

   

ソ連海軍の虎の子である新型戦艦。

同型艦は存在しない。


身も蓋も無い言い方をすれば、この世界におけるヴィットリオ・ヴェネト級戦艦である。設計から建造までイタリア王国に丸投げされており、プリエーゼ式水中防御隔壁など最新の造船技術が惜しみなく投入されている。


航続距離を犠牲にして浮いた重量を武装や防御に回すのが史実のイタリア戦艦の伝統である。この世界でも同様であり、地中海のような内海での運用に特化した設計思想と言える。


内海に特化したソビエスキーソユーズは、黒海での運用実績も良好であった。

その性能に惚れ込んだソ連側は巡洋艦や駆逐艦を多数発注することになり、ソ連とイタリアが蜜月関係となるきっかけとなった。



※作者の個人的意見

どうせすぐ沈むからスペックなんて関係ない?

そのとおりだよコンチクショー!w


この世界ではタシュケントの姉妹が増えることになるでしょう。

黒海で運用するなら理想の駆逐艦でしょうからね。

ルーデル閣下を題材にした自援SSを書いてみました。

閣下の偉業は本編だけには収まりきらないのですよ。


これだけやっても、ほぼ史実準拠とかもうなんというか。

さすがはアンサイクロペディアに嘘を書かせなかった人物なだけのことはあります(滝汗


>藤山一郎

日本歌謡界の伝説といっても過言では無い凄い人。

この人の名前を知らなくても、曲を聞いたことが無い日本人はいないはず。


>格調高く、完璧なアクセントで歌われるドイツ語

史実の藤山一郎は、発音にとても気を使われる人でした。

ドイツ語の歌詞でも完璧に発音してくれることでしょう。


>自らが肉体美を披露する体操映画(!)を作るほどの熱の入れようであった。

半裸のザンギエフ似のおっさんがラジオ体操する映画にどれだけの需要があるかは知りませんw


>ロースマン伍長

超人変人だらけのルーデルの愉快な仲間たちの中で、普通過ぎて異彩を放つ人。

この世界では覚醒しかけましたが、精神が持たずに病院送りにされました。復帰は出来るので今後の活躍に期待しましょう(酷


>タングステン輸入が途絶えて工作機械に多大な悪影響を及ぼした。

弾芯としてよりも、工作機械への需要のほうが大きいです。

硬いだけでなく、摩擦熱による熱膨張も少ないタングステンカーバイドは産業に必須なのです。


>レアメタル欠乏による強度不足を鋼板焼き入れで補っていた

いわゆる表面焼き入れ処理ですが、この方法は強度は出せるのですが浸炭に時間がかかる欠点があります。レアメタルが使えるならそれに越したことは無いのです。


>物資不足の際に生地におが屑を混ぜて増量することも行われていたりする

おが屑は消化されないので、食べた人間は消化不良で下痢したり栄養不足になったそうです。


>逆にドイツ軍は米軍レーションに驚愕していた。

これは史実の日本兵も同様だったり。

捕虜となって与えられた米軍レーションを食べたら、みるみるうちに健康になったとか。


>史実ではコーヒー消費量3位というコーヒー大好き民族

ペーパードリップシステムを発明したのがドイツ人ということで察してくださいw

昔はドリップコーヒー大好き民でしたが、最近はラテとかカフェオレとかも好んでるらしいです。


>建設中の4BC鉄道が完成すれば状況は大幅に改善される。

時系列的には1945年ごろ完成予定。

これが完成したら、ますますもってソ連へ侵攻する意味が無くなるような気が……(汗


>「イワンめ、また新型を造りおったか」

史実でも実際に発言してます。

新型のソ連軍戦車らしき物を発見したルーデルは、上記の発言をぼやきながら即座に始末してます。無敵過ぎるじゃろ……(戦慄


>I-301

ソ連空軍待望の次期主力戦闘機の先行量産機。

性能は悪く無かったのですが、相手が悪すぎました(-∧-;) ナムナム


赤松貞明(あかまつ さだあき)海軍中尉

通称『松っちゃん』

空の魔王さまに匹敵する異能生存体。雷電エースとしてミリオタ界隈では有名人。本編に出したら無双が約束されてます。どうしよう……(悩


>クック・クレイギー・プラン

史実ではF-102の開発手法で有名。

おいらは『ワイアットの逆襲』で知りましたw


>ロースマンは基地帰還後に病院に放り込まれた。

史実だと精神的に再起不能になって整備士に逆戻りしているので、まだマシなのではないかと。でも復帰したら閣下に拉致られるんだろうなぁ(酷


>アルフレッド・シャルノブスキー伍長

空の魔王の相棒その1。

この世に魔王を生み出した張本人と呼ばれてたり。この世界では死亡フラグが折れているので、まだまだ活躍する予定です。


>聖域の地中海

この世界では決戦兵器のミニャッタが大量に配備されてますw


>性能に惚れ込んだソ連側は巡洋艦や駆逐艦を多数発注していた。

イタリアの巡洋艦で真っ当なのってありましたっけ?(酷

駆逐艦はタシュケントがあるので、そっちを建造するのは確実でしょうけど。


>新型戦艦『ソビエスキーソユーズ』

過去のコメントで、どうせすぐ沈むって言われてましたw

史実だと旧式戦艦の大破で済みましたが、この世界では虎の子の新型戦艦が撃沈されたので筆髭の禿化の原因になっています。


>ほぼ90度の垂直で投下された爆弾

シュトゥーカの特長として、潤沢なパイロット支援システムがあります。

パイロットが照準に集中出来るので、文字通り垂直な角度での急降下爆撃が可能なのです。その分、引き起こしでGがかかるので事故が多発することにもなったのですが。


>相棒をとっかえひっかえして地上に破壊を振りまく

この世界では、シャルノブスキー、ヘンシェル、ガーデルマン、ニールマンが勢ぞろいしてたりします。出撃ごとに相棒チェンジが可能という閣下もにっこりな、ソ連側からすれば悪夢としか思えない状況になってたり。


>「それにしても勘のにぶい暗殺者だ」

史実では『それにしても勘のにぶい軍用犬だ』と発言してます。

墜落した機体から逃げ出したルーデルは、追跡で駆り出された訓練された軍用犬から逃げ伸びています。何なのこの人……(困惑中


あと身体能力もオリンピック級とのことなので、不意打ちされたら誰も勝てないです。ますますもって、何なのこの人……(錯乱中


>ドイツ帝国と戦う前から赤軍の人材不足は深刻であった。

大粛清をやってないのに、この世界のソ連は人材不足です。

シベリアに送った人間を呼び戻そうにも、記録上は根こそぎ死んでるので史実以上に質が悪い。やっべぇ、どうしよう……(頭抱え中


>革マ〇派

テッド君にちょっかいをかける前にトロツキーと知り合いだったのは、シベリア送りの人間の救助をやっていたからです。あっさりと切り捨てられましたが、後釜に中〇派が座ったので救助活動は継続しています。


>トロツキスト

本来の意味はトロツキーの思想に共鳴する者という意味ですが、スターリンのせいで邪道の共産主義者という意味になってしまいました。


>シベリア送り

この世界では(トロツキストにとっては)楽園への片道切符になってしまいましたw


>鋼鉄の人と名乗るだけのことある

スターリンはPNで、意味は『鋼鉄の人』だったり。

本名はジュガシヴィリ……うん、なんというか微妙な響きですね(酷


>(くそっ、禿が出来ていなければ帽子なんぞ被らんのに……!)

まだ小さいてっぺんはげな段階なので、帽子を被れば誤魔化せます。

これ以上進行したらカツラが手放せなくなるでしょうけど(哀

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― 新着の感想 ―
「イワンめ、また新型を造りおったか」 伝説的な台詞で、IS-3論争の元になりましたね。 しかし!新しく出版された急降下爆撃では、旧版は底本がかなりの出鱈目だったことが暴露されてしまい、この場面も実際は…
ルーデル大佐、何処でも種族:ルーデルなのね。 筆髭が禿髭になるまであと※※※日。急げ赤軍、鉄の男の髪を掬うのだ(筆髭の髪なんて救わなくても良いよね)
この世界でも、ルーデルはルーデルしてるんだな。もはや説明不要。 ウクライナがドイツ圏に。 運命は同じでも、赤ロシア人に支配されるよりはずっと良いはず。
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