変態独逸レーベンスラウム事情―カイザーシュラハト編―
『……受けた雪辱は晴らさなければならぬ。されど、我ら大ドイツは卑劣にもクリスマスに不意打ちした共産主義者どもとは違う! よって、ここにあらためてソビエト政府に対して宣戦を布告するものである!』
アメリカの内戦が勃発してから1週間後。
ドイツ帝国のヴィルヘルム2世は、全世界に向けてソ連への宣戦を布告していた。
「連中に教育してやる。情け無用フォイヤー!」
「弾薬の備蓄は十分だ。撃ちまくれっ!」
「イワンどもに受けた雪辱を倍返ししてやるぜぇっ!」
ドイツ帝国軍の動きは迅速であった。
カイザーによる宣戦布告が完了した5分後には、国境から一斉砲撃を開始していたのである。
『同志スターリン! 大変です。前線ではドイツ軍による一斉砲撃が行われています!』
『なんだと!? 宣戦布告から10分も経ってないんだぞ!?』
ドイツ帝国軍の電撃的な攻撃にソ連側はまったく対応出来なかった。
スターリンが驚愕しているその瞬間にも、赤軍は粉砕されていったのである。
「馬鹿な!? どこから撃ってきた!?」
「例の戦艦か? いや、幾らなんでもこんな内陸まで届くはずが……」
「あぁっ!? 弾薬が誘爆したぁっ!?」
戦争開始直後に物資集積所を吹き飛ばされたことが赤軍の不運であった。
ドイツに再び奇襲を仕掛けるべく、せっせと備蓄していた物資がいきなり消失してしまったのである。
「右修正プラス3。用意よし!」
「フォイヤー!」
「……命中確認! 次弾装填急げっ!」
ドイツ帝国軍は塹壕陣地にレールを敷設して、列車砲を集中運用していた。
この列車砲はマッケンゼン型戦艦の主砲を流用したものであり、ペーネミュンデ矢弾を使用することで最大射程は150kmを誇る。想定外の場所から攻撃を受けた赤軍の混乱が倍プッシュされたのは言うまでもないことであった。
「観測機より入電。展開中のイワンの部隊を発見したとのことです」
「これより火力支援を開始する。僚艦にもそう伝えよ!」
「ヤヴォールっ!」
当然ながら、列車砲に予備砲身を提供したマッケンゼン型戦艦も戦線に投入されていた。4番艦『フュルスト・ビスマルク』を除く全艦がバルト海に展開して、列車砲とはけた違いの鉄量を叩きつけていたのである。
『よし、距離が開いたな。チャージング!』
『ヤヴォール! チャージング!』
『氷山が割れたぞ。下がれ下がれ! もう一回チャージングだ!』
ちなみに、フュルスト・ビスマルクは北極海に派遣されて任務遂行中であった。
砕氷戦艦に改装されて北極海航路の啓開任務に就いていたのである。
北極海航路は、スエズ運河を経由するよりも7000km近く航路の短縮が可能であった。多少危険な航路であっても、戦時に突入したドイツ帝国が利用を躊躇する理由は無い。フュルスト・ビスマルクは砕氷貨客船で構成されたコンボイの先頭に立ち、ハンブルクと大連を往復する日々を送っていたのである。
「……頭上を砲弾が飛び交うのを見ながら進むのは妙な気分だな」
「あれの1発でも当たればミンチになっちまうんだよな……」
「おい、おまえら! ちゃんと警戒してろ!」
最前線とは思えない弛んだ空気に小隊長の激が飛ぶ。
雑談をしていた兵士たちは慌てて周囲を警戒する。
「でも隊長、こんなところにイワンどもが来るわけないでしょう」
「油断は禁物だぞ。戦場で絶対なんて言葉を信じることは出来んのだ!」
「それはまぁ、そうですが……」
深夜にもかかわらず砲撃で時折明るくなる戦場。
ドイツ帝国陸軍の偵察小隊は、砲弾飛び交う両軍の中間地帯を進軍中であった。
「実際、こんなデカブツが動いてるわけだしな。初めて見たときは白昼夢かと思ったぞ」
どことなく疲れた様子の小隊長。
あまりにも現実離れした光景に彼は呆れていたのである。
「あ、隊長もそう思います? 俺たちも頬を引っ張ったくらいですし」
「8年前にこれがあれば、戦友は死なずに済んだのかもしれないな……」
「それは言わない約束でしょう!?」
小隊の面々が前方を見やれば、目の前では巨大なカッターによって刈り取られた地面が土砂として左右に堆積していく。後方を見やれば、出来立てほやほやな塹壕が延々と続く。昔あれだけ苦労したのは、いったい何だったのかと言いたくもなるであろう。
「!? 前方に人影が!?」
「生かして帰すな! フォイヤー!」
暗闇に朧げに見える複数の人影。
おそらくは赤軍の偵察小隊であろう。
発見されたロシア兵は全員が即座に射殺された。
こういった突発的な遭遇戦に対処するために、小隊が丸ごとタンクデサントしているのである。
ドイツ帝国陸軍の秘匿兵器『マウルヴァフ』は、塹壕を掘り進めながら時速2.5kmで機動出来た。歩く速度の半分程度ではあるが、塹壕を作る速度としては驚異的な速度と言える。
深夜に味方陣地を出撃したマウルヴァフは、陣取りゲームの如く塹壕を掘り進めていった。塹壕に囲まれて包囲殲滅される赤軍の部隊が激増していたのである。
(くそっ、アメリカの内戦に乗じてドイツに攻め入る計画が……)
次々ともたらされる凶報に、スターリンは思わず歯嚙みする。
世界の注目がアメリカの内戦に向いているのは彼にとって好都合であった。この機会を逃さずドイツへ攻め入ろうと準備を急いだのであるが、逆に出鼻をくじかれる結果となったのである。
「前線には死守を命じろ。奴らに一片の土地も渡してはならんっ!」
「し、しかし同志スターリン。このままでは押し切られます」
「最悪、戦車師団の投入まで耐えればよい。急げっ!」
「「「は……ははっ!」」」
怒れるスターリンを恐れて散っていく側近たち。
筆髭の死守命令によって、赤軍は塹壕陣地に立てこもることを余儀なくされたのである。
「それで、戦況はどんな感じなのですか?」
1935年1月某日午後7時。
駐日全権大使テッド・ハーグリーヴスは、英国宰相ロイド・ジョージに国際電話をかけていた。再開した独ソ戦の戦況を把握するためである。
『ドイツ帝国が押しているな。圧倒的と言って良い』
「やっぱりですか。こっちではソ連の勇ましいプロパガンダばかりで戦況が伝わってこないんですよ」
近代の戦争は情報戦と言っても過言では無い。
お互いが有利だと言い張るために小細工もするし、プロパガンダも飛び交う。戦争当事国の片側の意見を鵜呑みにすると痛い目を見るのは歴史が証明している。
テッドからすれば、開戦序盤でドイツがソ連に負けることなど想像がつかなかった。史実のバルバロッサ作戦を知っていたからである。もっとも、ソ連がこのまま押し切られるとも思ってはいなかったが。
『国境線沿いに築かれたソ連の塹壕陣地は既に複数の箇所で突破を許している。突破したドイツ軍は回り込んで包囲殲滅戦を展開中だ』
第1次大戦でグダグダになった塹壕戦を、ドイツ帝国陸軍は新戦術と秘匿兵器で打破することに成功していた。背後に回り込まれた赤軍の部隊は次々と殲滅されていったのである。
「突破された戦線は縮小するのがセオリーなんですが。おそらくは筆髭が死守命令でも出しているんでしょうね」
『スターリンが単に陸戦の素人なのか、あるいは何か切り札があるのか。現状ではなんとも判断が出来んな』
赤軍の敗退を加速させたのが、スターリンの死守命令であった。
戦術的撤退を封じられた部隊は次々と包囲殲滅されていたのである。
「しかし、短期間に戦線を広げ過ぎでしょう。如何にこの世界のドイツ帝国が強大と言えど、いずれは攻勢限界点に達するはずですが」
『円卓も同意見だ。後は落としどころを探らなければ……む、なんだ? なんだと!?』
「ちょ、なんか以前もこんなやり取りがあったような気がするんですけど!?」
電話先のロイド・ジョージの様子に、嫌な予感に囚われるテッド。
そして、それは見事に的中することになったのである。
『……たった今、二重帝国諸国連邦のカール1世陛下がソ連に対して宣戦を布告した』
「そう来ましたか……」
この世界の二重帝国は『オーストリア・ハンガリー帝国及び南欧諸国連邦』(二重帝国諸国連邦)と国号を変更して国家再建と軍の近代化が進められていた。ドイツ帝国に比肩するとまでは言わないまでも、欧州では屈指の陸軍国に成長していたのである。
『あまり驚かないのだな?』
「この世界の独ソ戦の本質は宗教戦争です。共産主義が大嫌いなバチカンが、敬虔なクリスチャンであるカール1世陛下をそそのかした可能性は十分にあり得ます」
カトリックは今や欧州の最大会派であり、その総本山であるバチカンは共産主義を憎悪していた。彼らは多大な信徒たちで世論を動かし、政治家に多額の献金をしてソ連潰しを目論んでいたのである。
『しかし、こうなると話が変わってくるな。ドイツ帝国と二重帝国がタッグを組めば、ソ連国境全域に圧力をかけることも出来るだろう』
「スターリンは今頃発狂してるでしょうね。ただでさえヤバイのに、抱える戦線が倍に増えたのですから」
現時点でのドイツ帝国の攻勢は、ポーランド王国方面に向けられていた。
ここに二重帝国諸国連邦が参戦することにより、ウクライナ方面から圧力をかけることが可能になるのである。
『ウクライナの食糧と資源はソ連の生命線だ。スターリンが放棄するとは思えない』
「極東から戦力を引き抜いて対応するかもしれません。こちらでも情報収集を急ぎましょう」
ウクライナ――この世界では、ウクライナ人民共和国としてソ連側についていた。史実同様に穀倉地帯であり、豊富な埋蔵資源もあるウクライナを手放す選択肢は存在しない。何らかのアクションがあるだろうと二人は判断していたのである。
『しかし、このままだとドイツ帝国だけでソ連を屈服させるかもしれん。由々しき事態だな』
「いや、さすがにそれは無理でしょう。二重帝国の参戦でマシにはなったとはいえ、攻勢限界点を超えられるとは思えない」
戦争に必要なものを自前で調達出来る米帝とは違い、ドイツ帝国は戦争を遂行するために必要な資源を海外から輸入する必要があった。輸入の大半を中華民国や満州国に依存している現状では、輸入に時間がかかる長大な航路がネックになっていたのである。
『ドイツ単体なら不可能だろう。しかし、二重帝国が戦線の半分を負担するなら話は違ってくる。今のドイツは強力な貿易航路を整備しているからな』
「ロイズで圧力をかければ良いのでは? 以前もそれで上手くいったじゃないですか」
テッドの疑問は、もっともなことであった。
5年前の朝鮮半島における紛争では、ロイズによって周辺地域の船舶保険が無効化されて貿易が全面ストップしていたのである。
『それが出来んのだ。さしものロイズも北極海は管轄外でな』
「北極海? まさか北極海航路をドイツは使っているのですか!?」
史実21世紀では有望な交易路とされているが、この時代の北極海航路は見向きもされない存在であった。交易路としてはリスキー過ぎて実績も無いので、ロイズも船舶保険を引き受けたがらないのである。
「いやでも、それって船舶保険が受けられないってことじゃないですか。まさか無保険で北極海航路を使っているんですか?」
『いや、アリアンツという保険会社が北極海航路を引き受ける専門の部署を立ち上げているようだ』
史実では世界有数の金融グループであるアリアンツは、この世界ではドイツ帝国の意向で北極海航路専門の船舶保険を取り扱う部門を起ち上げていた。現時点で大連とハンブルクを結ぶ航路を独占していたのである。
「しかし、あの航路は危険です。保険料が高騰すると思うのですが?」
『戦時ならば多少のことは無視出来るということだ。それに、連中はある程度は航路の安全を確保しているらしい』
ドイツ帝国は砕氷戦艦を投入することで航路を啓開していた。
1万トン級の砕氷貨客船でコンボイを組んで北極海を横断していたのである。
「それでもリスキーなのは違いない。北極海航路はあくまでも保険的なもので、どこかに本命が……って、あっ!?」
ここで、テッドは鈴木商店の大番頭金子直吉の報告を思い出した。
数日前に本人が直接持ち込んだ情報は、テッドがかねてから抱いていた懸念が具現化したものだったのである。
『大陸横断鉄道だと!? 正気かねテッド君!?』
「しかし、陸路で資源を輸入出来るならば我が国の顔色をいちいち伺う必要は無くなります。実現性はともかくとして、魅力的なプランでしょう?」
テッドの報告を聞いたロイド・ジョージは驚愕していた。
あまりにも無謀――もとい、気宇壮大な計画だったからである。
『……荒唐無稽ではあるが、今のドイツ帝国なら不可能ではないか。この件はこちらで至急調査しよう』
「お願いします」
後日、MI6の調査で鉄道がバクダードまで延長され、さらに東に延長が進められていることが判明した。鉄道そのものは未完成であったが、中東地域の豊富な石油がドイツ帝国に陸路で輸入されていたのである。
ドイツで産出されないレアメタルやゴム資源は、北極海航路や大陸横断鉄道(未完成)で運ばれて戦争遂行に役立てられた。序盤で息切れするかと思われていた大規模攻勢は、開戦から1か月経っても継続されていたのである。
「……なんだ、あの土煙は?」
「音も聞こえてきたぞ?」
「!? 戦車だ! イワンの連中、戦車を持ってきやがったぞ!?」
1935年2月某日。
これまで一方的に押しまくられていたソ連側であったが、この日を境に戦場の様相は一変することになった。スターリンの切り札たるT-32が大量投入されたのである。
T-32は、スターリンの肝いりで開発された画期的な戦車であった。
8年前の戦訓が取り入れられており、走攻守のバランスが取れた中戦車として完成していたのである。
『こいつを生産すればよいのか?』
『同志フォード、頼めるかね?』
『儂を誰だと思っている? このヘンリー・フォードに量産出来んものなどこの世には無いっ!』
史実の自動車王がソ連に居座ったことにより、T-32は品質を維持したまま大量生産された。量産を開始してまもないものの、既に200両以上のT-32がロールアウトしていたのである。
「「「Ураааааааа!」」」
塹壕陣地に殺到するT-32。
高速で接近しながら76mm戦車砲をぶっ放し、車体に装備された機関銃で薙ぎ払う。
「くそっ!? 撃て撃てっ!」
「野郎っ! これでも喰らえっ!」
当然ながら、ドイツ側も無抵抗では無かった。
塹壕から猛烈な反撃が開始されたのであるが……。
「なっ!? 効かない!?」
それがマウザー M1915Ⅲを撃ったドイツ兵の最後の言葉であった。
お返しとばかりに撃たれた戦車砲の至近弾を喰らって四散してしまったのである。
『無駄だ! そんなものは効かんっ!』
『ここからは俺たちのターンだ!』
戦車内からロシア兵たちが快哉を叫ぶ。
これまで一方的に叩かれていたのである。その気持ちは推して知るべしであった。
戦場に投入されたT-32には、砲塔周辺を覆うように金網が取り付けられていた。この金網が成形炸薬弾がさく裂する最適な距離を狂わせて威力を減衰させていたのである。
HEATを無力化し、MP18など歯牙にもかけないT-32は塹壕を次々と蹂躙していった。しかし、それはドイツ軍が無力であることを意味しない。
『待たせたなぁっ!』
『騎兵隊見参だぜっ!』
赤軍の戦車隊に鉄槌を下すべくやってきたのは、近くで作戦行動中だった2号戦車の小隊であった。友軍の危機に駆け付けた鋼鉄の軍馬は、ただちに反撃を開始したのである。
『敵戦車。距離50。方位良し!』
『フォイヤー!』
2号戦車の24口径75mm戦車砲は、狙いたがわずT-32の砲塔正面を撃ち抜いた。被弾したT-32は、たちまちのうちに爆散する。
『くそっ! お返しだ。喰らえっ!』
『アゴーニっ!』
もちろん、ロシア側も黙ってはいない。
直ちに反撃したのであるが……。
『んなっ!? 弾かれただと!?』
お返しとばかりに放たれたT-32の23.7口径76.2mm戦車砲は、2号戦車の砲塔側面で弾かれた。
『ひぃっ……!?』
ペリスコープ越しに、2号戦車の砲塔がゆっくりと旋回するのが見える。
砲口が光ったのが、ロシア戦車兵たちの最後の光景であった。
両軍の戦車が装備する戦車砲は、口径も砲身長も似通っていた。
しかし、2号戦車の攻撃はT-32を易々と撃ち抜いた。反対にT-32の攻撃はどこに当たっても弾かれていたのである。
1号戦車の反省を活かして開発された2号戦車は、武装だけでなく装甲も大幅に強化されていた。車体正面、車体側面、砲塔正面、砲塔側面の全てに50mmの装甲が施されていたのである。
これに加えて、T-32が徹甲弾を運用していなかったことも事態の悪化に拍車をかけていた。ソ連の榴弾の貫徹力は、徹甲弾のおよそ半分の値となっていたからである。
一例を挙げると史実の76mm野砲ZiS-3は、徹甲榴弾を使用して100m(入射角60度)で67mmの装甲を貫徹出来た。榴弾だと単純にこの半分になるわけで、砲塔天板以外は50mmの装甲がある2号戦車を撃破出来なかったのである。
『まともに相手をするな! 機動力を活かして回り込め!』
『キャタピラを狙え! 動けなくすればこっちのもんだ!』
その一方で、T-32が優れている点は機動力であった。
装甲は2号戦車の半分以下であったが、最高速度はダブルスコアを付けていたのである。
2号戦車の無敵ぶりに動揺した赤軍戦車隊であったが、圧倒的な機動力を活かすことで戦場のイニシアチブを握りつつあった。しかし、彼らは肝心なことを忘れていた。目の前のドイツ戦車を注視するあまり、他の存在を軽く見てしまったのである。
「これでも喰らえっ!」
ドイツ兵が戦車の死角から近づいて、T-32の転輪に何かを貼り付ける。
グリスを塗りたくった靴下に、手りゅう弾を入れた即席吸着爆弾である。
即席ながらも吸着爆弾は効果的であった。
T-32のキャタピラを破壊していたのである。
「今の攻撃でキャタピラをやられたようです」
「なんだと? 様子を見てこい!」
車長に言われて、恐る恐るハッチを開ける通信兵。
その瞬間、眉間に穴が開く。
「おい、どうした!?」
「し、死んでる!?」
崩れ落ちてくる元通信兵に戦車内部はパニックとなった。
ギリギリまで切り詰めた設計がソ連戦車の伝統である。死体をどかそうにも狭い車内は窮屈に過ぎた。
そして、事態は彼らを待ってくれなかった。
続けてハッチから放り込まれた多数の手りゅう弾でミンチより酷い何かと化したのである。
金網による装甲はHEATを無効化するという意味では確かに効果があった。
しかし、砲塔周辺を金網で覆ってしまったことによりタンクデサントが不可能になってしまった。
一般的に戦車は視界が狭く機動や俯角に制限があり、隠蔽状態の歩兵や砲兵を発見しづらい。発見することが出来てもただちに制圧できるとも限らない。それどころか、対戦車兵器によって攻撃を受ける可能性まである。
それ故に、戦車には随伴歩兵の索敵と制圧力が必須となる。
しかし、歩兵が徒歩のままでは戦車の機動速度についていけないという問題があった。
この問題を手っ取り早く解決するために、史実の赤軍はタンクデサントを多用した。しかし、上述の理由でT-32はタンクデサントが不可能であった。いったん弱点が発覚すると、次々とドイツ兵に狩られていったのである。
それでも、T-32の大量投入でソ連側は戦線を押し返すことに成功した。
しかし、それはドイツ側から見れば戦線を整理しただけに過ぎなかった。
逆にソ連側は戦線を押し返しても手放しに喜べない状況であった。
二重帝国が宣戦布告したことにより、ウクライナ方面にも部隊を配置する必要が生じたからである。
準備を整えたドイツ帝国は、二重帝国と共に再び攻勢に出ることになる。
ヴィルヘルム2世とカール1世。二人の皇帝の戦いはまだまだ始まったばかりであった。
『……人は神を信仰することで、これまで歴史を紡いできた。信仰は人にとって必要不可欠なものなのだ』
首都ウィーンのシェーンブルン宮殿前広場。
拡声器に乗って広場の隅々にまで届いている声の主は、二重帝国の皇帝と南欧諸国の盟主を兼任しているカール1世である。
宮殿前広場を埋め尽くすように整列する将兵たちは圧巻の光景と言えよう。
カール1世は閲兵式の真っ最中であった。
『それ故に無神論者たる共産主義者は人類の敵である。我らは友邦ドイツと共にソヴィエトを討たねばならぬ!』
二重帝国皇帝の前に居並ぶは、選抜された精鋭たち。
彼らはこれから前線に赴くのである。
『……諸君らの行く手には多くの困難が伴うだろう。だが、恐れることなかれ。神は諸君らと共にある。崇高な使命を果たして凱旋することを心より期待する!』
演説が終わると同時に歓声が湧き上がる。
大いに士気を高めた将兵たちは、見ていて惚れ惚れするような行進をしながら退場していったのである。
「陛下、お見事な演説でございましたぞ」
「それほどのことではない。単に素直な心境を吐露しただけだ」
演説が終えたカール1世に真っ先に近づいたのは、ウィーン大司教である。
この司教はシュテファン大聖堂の最高位であり、同時に枢機卿も兼任している人物であった。
「いえいえ、自らの心に素直だったからこそ将兵の支持が得られたのでしょう」
「そう言ってもらえると悪い気はしないな」
まんざらでもない表情を浮かべるカール1世。
しかし、すぐに表情を引き締める。
「例の件はどうなっているのだ?」
「はっ、信徒たちが動いております。まもなく吉報をお届け出来るでしょう」
カール1世は、ウィーン大司教を懐刀として重用していた。
このことを快く思わない者も多かったが、度を越えて敬虔なクリスチャンである皇帝は気にしていなかった。
『ど、同志スターリン!? ブルガリアとルーマニアが宣戦布告してきました!』
『二重帝国だけでも頭が痛いというのに、ぐぬぬ……!』
『い、如何いたしましょうか?』
『極東から戦力を引き抜いて配置しろ。周辺国に気取られぬよう、かつ迅速にだ!』
『は、ははっ!』
ウィーン大司教はバチカンの枢機卿でもあった。
ローマ教皇ピオ11世の意向を受けた大司教は、教会関係者を通じてブルガリア王国とルーマニア王国に働きかけていたのである。
「……猊下、ウィーンからの報告で御座います。例の工作が上手くいったとのことです」
「そうか。それは目出度い。これで無神論者共も追いつめられることであろう」
バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂。
礼拝中のピオ11世は、枢機卿からの報告にほくそ笑む。
「だが、無神論者の鎮圧に手間取るようだとイギリスが動くであろう。工作はどうなっているのだ?」
「はっ、政権に近い者に工作をしかけていますが、これがなかなか……」
枢機卿の顔が曇る。
はたから見ても、お世辞にも工作が上手くいっていないことが分かる。
バチカンの優れた情報網は円卓の存在を察知していた。
政権中枢に接近出来るということで、ここ最近は工作を強化していたのであるが……。
「円卓の連中め。全くもって忌々しい!」
しかし、大英帝国のほうが一枚も二枚も上手であった。
世界最強の情報組織MI6は伊達では無いのである。
「まったく、平成会への対処だけでも頭が痛いというのに。うぅっ……」
当代のローマ教皇は、政治工作からくるストレスでお疲れ気味であった。
英国への工作が上手くいかないのも問題であるが、以前から日本に派遣された神父相手にトラブルを起こしまくっている平成会への対応も頭痛の種だったのである。
「心痛お察し致します。しかし、平成会はもう放置して良いのでは? 中国への布教という目的は既に達せられています」
バチカンが平成会の存在を察知したのは、中国大陸へカトリックを布教をする前段階として日本への布教を強めたことがきっかけであった。日本を橋頭保として、大陸に進出するつもりだったのである。
日本で効率良くカトリックを布教するためには政権中枢に近づく必要があった。
その過程で平成会の存在を察知したのである。
「そういうわけにはいかぬ。未だに日本に派遣した神父から山のように抗議書が届いているのだ。これを無視するわけにはいくまい……」
バチカンと平成会のファーストコンタクトは最悪であった。
平成会としては、カトリックに忌避感を持たない人材を交渉に当てたのであるが……。
『ロザリオのデザインって、こんな感じですかね?』
『修道服のデザインの資料が欲しい。なんだったら、現物でも良いです!』
『黒〇のデザインについてくわしく!』
月〇やFA〇Eの同人作家ならば、カトリックに忌避感は持たないかもしれない。むしろ、詳細な資料が手に入るとばかりに積極的に交流するであろう。
実際、最初は良好な関係を築けていたのである。
同人作家なモブたちが18禁なエロ同人誌を神父たちにみせるまでは。
『平成会は信教の自由を建前に教義を侵そうとしています。バチカンの権威をもって日本政府に厳重抗議するべきです』
カレー狂いや麻婆神父、ドSシスターが出てくる同人誌を見せられた神父が発狂したのは言うまでもない。日本に派遣された神父たちは、事あるごとにバチカンに抗議書を送り付けてくるようになったのである。
抗議書を送り付けてくる神父たちを放置すれば異端審問官と化しかねない。
ピオ11世は山のように送られてくる抗議書の全てに目を通し、彼らを宥める文面をひたすら書き続けていたのである。
「我らはルーマニアから進発し、ウクライナ方面へ北上して圧力をかける。何か質問は?」
首都ウィーンの陸軍参謀本部。
その大会議室では、フランツ・フリードリヒ・ベーメ陸軍少将が中心となって侵攻作戦の最終的な打ち合わせが行われていた。
「閣下。敵はどれだけの戦力を配置しているのでしょうか?」
「ウクライナの国境に沿って20個師団ほど配置されているようだ」
ベーメの言葉にざわめく室内。
事前の想定の3倍近い数が配置されていたのである。
「だが付け入る隙はある。戦力は多いが、国境沿いに広く配置されているので密度そのものは高くない。部隊間の距離も開いているので連携も難しいだろう」
しかし、ベーメは赤軍の戦力配置に問題があることを見抜いていた。
確かに20個師団は大軍ではあるが、ウクライナと国境を接するハンガリー、ルーマニア間の長大な距離に均等に配置すれば部隊間の間隔は広がってしまう。距離が開けば、部隊間の連携も難しくなるのである。
「各個撃破の的というわけですな」
「上手くすれば、部隊間の隙間をすり抜けることも可能かもしれません」
「背後に回り込んで補給を遮断して奇襲をかけることも出来るかもしれません」
ベーメの意図を察したのか、参謀たちからも建設的な意見が出始める。
盤上に配置された赤軍の駒から、理想的な侵攻ルートが割り出されていったのである。
「元帥閣下。以下のよう決定致しました」
「うむ。これで問題無いだろう。諸君らの奮闘に期待する」
作戦案は迅速に立案された。
陸軍の最高責任者エードゥアルト・フォン・ベーム=エルモッリ陸軍元帥から正式に裁可されたことで、二重帝国は本格的な軍事行動を開始したのである。
「オデーサを確保した! これで補給は確保されたな」
「イワンの襲撃に怯えるトラック補給とはおさらばですね!」
都市を占領出来たことを喜ぶ部隊指揮官と副官。
赤軍の帝国は激しいものがあったが、戦力差で押し切ったのである。
1935年2月中旬。
二重帝国は黒海沿岸の港湾都市オデーサを占領することに成功した。
史実では某ロボットアニメの影響で『オデッサ』の呼び名が有名であるこの都市は、戦略的に重要な意味を持つ場所であった。ウクライナ最大の港湾都市であり、ここを確保することが出来ればダーダネルス海峡を経由して海路による補給が可能になるのである。
オデーサを確保した二重帝国諸国連邦は直ちに大規模な船団を送った。
補給物資と兵士を満載した船団が、オデーサに続々と到着したのである。
『オデーサが陥落しただと!?』
『は、はい。如何しましょう同志スターリン?』
『どうしたもこうしたもあるか!? 周辺に配置した戦力をすり潰しても構わん! なんとしても奪還しろ!』
『は、ははっ!』
オデーサ陥落の報にスターリンが激怒したのは言うまでもない。
直ちに国境沿いに配置していた部隊を根こそぎ動員して奪還を試みたのである。しかし……。
「畜生!? 目標は目の前だってのに!?」
「こんなの付き合ってられるか!? 俺は逃げるぜ!」
「馬鹿野郎! 逃げたら督戦隊に撃たれるぞ!?」
「この砲撃で生きてるわけないだろ!」
オデーサ近郊に集結した赤軍の部隊は猛烈な砲撃にさらされた。
海上から飛んでくる巨弾は、ロシア兵を無慈悲に吹き飛ばしていったのである。
『修正プラス2。砲撃用意!』
『用意良し!』
『撃ぇーっ!』
オデーサの港には戦艦が停泊していた。
二重帝国諸国連邦海軍に所属するテゲトフ級戦艦4隻である。
史実では二重帝国の解体と共に早期に消滅したテゲトフ級であるが、この世界では4隻全てが健在であった。ド級戦艦ではあるが、30.5サンチ砲48門の砲撃は赤軍にとって死神以外の何物でもなかったのである。
ちなみに、テゲトフ級のダーダネルス海峡通過はトルコ王国に当初は拒否されていた。通過させるとソ連が敵認定してくるのではないかと内心恐れていたのである。
『ドイツがこれ以上活躍するのは都合が悪い。二重帝国にも戦果を挙げてもらう必要がある』
しかし、英国がトルコ王国に圧力をかけたことで最終的には通過が認められた。
本国で在庫処分に困っていた30.5サンチ砲弾をデリバリーする船団の通過もついでに認めさせたのである。
「ロシア兵が来ない。拍子抜けだな」
「戦わないに越したこと無いでしょう。我が軍は友邦ドイツのようには戦えませんからね」
「それ以前に、あの砲撃を抜けてくるのは不可能だろ。敵ながら同情するぜ」
4隻のテゲトフ級――『テゲトフ』『フィリブス・ウニティス』『プリンツ・オイゲン』『セント・イシュトヴァーン』は、補給を受けながら昼夜を問わず砲撃を続けた。ひっきりなしに降ってくる巨弾に、赤軍は一方的に被害を受けることになったのである。
『あの戦艦を撃沈しろ! 黒海艦隊は何をしているんだ!?』
『しかし、同志スターリン。黒海艦隊は旧式艦ばかりで……』
『自爆特攻でもなんでも使え! とにかくアレを沈めないとオデーサの奪還は出来んのだ!』
『は、ははっ!』
黒海艦隊はイタリアに艦艇の建造を頼む必要があるほど弱体化していたが、スターリンの命令は絶対である。黒海艦隊の首脳部は、4隻の戦艦を沈めるために知恵を絞ることになったのである。
しかし、オデーサの奪還は棚上げされてしまった。
それ以上にヤバい事態が進行していたのである。
「ようやくここまで来れたな……」
オットー・ヴェーラー陸軍中佐は、感慨深い表情で独り言ちる。
双眼鏡を覗けばドニエプル川の対岸がはっきり見える。思えば遥々やって来たものである。
1935年5月。
ドイツ帝国の軍勢はキーウの近郊に迫っていた。
この局面に至るまで、赤軍が死に物狂いで抵抗したのは言うまでもない。
しかし、精鋭揃いなドイツ帝国陸軍はその悉くを跳ね返してきたのである。
「隊長!」
「戻ったか。報告を聞こう」
目の前に停車したサイドカーから兵士が降りてくる。
彼はヴェーラーの直属の部下であった。
「はっ、イワンの連中はドニエプル川の対岸で防御を固めています」
「やはりか。分かってはいたが、これは面倒なことになるな」
ドニエプル川は場所によっては川幅が16kmにも及ぶ大河である。
苦労して渡河した先に赤軍が準備万端で待ち受けているわけで、攻略が困難であることは言うまでもない。
(補給が万全なのがせめてもの救いか……)
史実のドイツ国防軍は独ソ戦で補給に泣いたイメージが強い。
しかし、この世界のドイツ帝国軍の補給は潤沢であった。
何が何でもキーウを取られたくないのか、スターリンは周辺の戦力を全てかき集めていた。周辺を遊弋する赤軍の部隊がいなくなったおかげで、ポーランド王国を経由する陸路とオデーサからの海路による2大補給ラインが有効に機能していたのである。
「少尉、君の判断を聞きたい。正攻法で抜けると思うかね?」
「不可能じゃありませんが、膨大な犠牲が出ることでしょう。わたしとしては御免こうむります」
ヴェーラーの質問に少尉は肩をすくめる。
対岸に配置された赤軍の師団数は、ざっと200個師団を超えていた。まるで史実H〇I4のドニエプルラインの如しである。
「対岸に200個師団だと? いくらなんでもそこまでやるか……」
「いっそ無視しませんか? そこまで集中するということは、他は確実にがら空きになっているでしょうし」
「それをやって背後を突かれたらシャレにならん。却下だ」
ヴェーラーの報告書は直ちにドイツ本国へ届けられた。
3軍の首脳が集められて対策が練られることになったのである。
「まず、船舶による渡河は悪手でしょう。悠長に渡っている最中に沈められるのがオチです」
「闇夜に乗じても気付かれたらお終いだな」
「我が軍に損害を許容出来るほどのフネは無い。却下だな」
まず、船舶によるピストン輸送は真っ先に否定された。
一番手っ取り早い手段ではあるが、万全の態勢で待ち受ける赤軍の目の前に敵前上陸するのは自殺行為以外の何物でもなかったのである。
「北方から河を迂回するのはどうだ?」
「あちらはまだ制圧が完了していません。強行すると思わぬ損害を受けるかもしれません」
「元々親ロシアな地域だからな。現地のパルチザンと赤軍とで挟撃されるのは避けたいところだ」
ドニエプル川の上流は白ロシア・ソビエト社会主義共和国の勢力下であった。
史実ではベラルーシ共和国があった場所である。チェルノブイリ原発が設置された場所と言えば分かりやすいであろうか。
ベラルーシは民族的にスラブ民族に近く、伝統的に親ロシア国であった。
この世界でも同様であり、ドイツ帝国に対してパルチザンを結成して粘り強く抵抗していたのである。
「うーむ、なんとかして後方を遮断したいのだが……」
「それが出来れば苦労はしていない」
「強行突破して犠牲者を多数出すようなことがあれば、カイザーのお怒りが怖い。どうすれば……」
これといった名案が出てこない。
全てはドニエプルラインでガン防衛する筆髭が悪いのである。
「あー、ちょっと良いかな?」
議論が煮詰まってきたところで、マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン空軍大臣が挙手をする。陸軍の話にしゃしゃり出るのも無粋だろうと黙っていたのであるが、踊るだけで進まない会議にいい加減焦れていたのである。
「……じつは、このような状況を想定した新兵器を空軍は開発している」
「「「おぉっ!?」」」
リヒトホーフェンの発言に俄然注目が集まる。
誰もが不毛な会議に飽き飽きしていたのである。
「ちょっ!? 閣下正気ですか!?」
慌てたのがリヒトホーフェンの副官を務めるヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング空軍少将である。長い付き合いをしている上官の暴走を止めようと耳打ちする。
「ゲーリング。君もこんな不毛な会議に付き合うのはイヤだろう?」
「それはそうですが、アレはもっと訓練をすべきかと……」
史実ではモルヒネデブであったが、この世界のゲーリングは男前な苦労人であった。副官として上司の無茶ぶりを一身に受けていたので、太る暇が無いのである。
「いや、あれは十分に使えるレベルだろう。というか、君の基準が厳しすぎるだけだ」
「し、しかし……」
「それに、ここらで空軍が活躍しないと存在意義を問われかねない」
「むぅ……」
最終的にリヒトホーフェンに押し切られてしまうのも、いつもの光景であった。
空軍の存在意義を持ち出されると弱い。陸軍が主役であるこの戦いには、ゲーリングもかねてから危機感を覚えていたのである。
「ウィンチの準備は出来てるか!?」
「今エンジンをかけてます!」
「急げ! 時間が無いぞ!」
現地時間午前3時。
突貫作業で造成された野戦飛行場では、技術者や整備兵が出撃準備で走り回っていた。
「アイドリング安定しました。ワイヤーロープ伸ばします!」
「走れ走れおまえら! 急いで持っていけ!」
兵士たちがワイヤーロープを持ったまま走り去る。
周囲は暗闇に包まれているので、あっという間に見えなくなる。
「合図来ました。準備完了です!」
やがて、遠方からチカチカとサーチライトで発光信号が送られてくる。
下手に無線を使うと傍受される恐れがあるため、野戦飛行場では徹底した無線封止措置が取られていたのである。
「よぅし! 合図を送れ。これより引っ張り上げるとな!」
整備班長の命令を受けた信号兵が、サーチライトのフードをバシャバシャ開閉してモールス信号を送る。深夜であることも相まって、2km後方にいるはずの機体は影も形も見えない。しかし、『それ』は確かに存在していたのである。
「機長、合図来ました。3分後に引っ張り上げるそうです」
「そうか。後ろのお客さんにも伝えてくれ」
「了解です」
野戦飛行場の奥まった場所は、完全に暗闇であった。
真っ黒に塗装された巨大な機体たちは出撃の瞬間を待ちわびていたのである。
「良し! 引っ張れーっ!」
整備班長の命令でウィンチが唸りを上げる。
Uボートのエンジンを転用しただけのことはあり、そのパワーは強烈であった。
「ぐぉっ!? これは強烈だな!」
「これくらい無いと今回は飛べませんよっ!? 目いっぱい積んでますからね!」
「違いない!」
ウィンチに引っ張られた巨大なグライダー――Me 321は猛然とダッシュする。しかし、今回はペイロートの限界まで積載しているのでなかなか浮き上がらない。普段ならそろそろ浮き上がる距離なのであるが……。
「ちっ、このままだと離陸は出来ても高度が稼げんか。この状況だとあまり使いたく無いんだがやむを得ないな」
機長はコクピット内のスイッチを操作する。
同時に主翼下に装着された固体燃料ロケットが火を噴いて強烈な推進力を生み出す。
「良し! このまま上がれ上がれ!」
「現在高度200……250……300……」
副操縦士が高度計を読み上げていく。
ロケットの推力のおかげで、『巨人』は闇夜を舞うことに成功したのである。
「機長、地上から発光信号です!」
コ・パイが地上からの発光信号を確認する。
野戦飛行場には60cm級の大型サーチライトが設置されており、無線封止中の機体に発光信号で作戦命令を伝えていたのである。
「作戦開始時間に変更は無し、か……」
野戦飛行場の上空で集合した漆黒のギガントは作戦空域へ進路を取る。
その姿を捉えた者は誰もいなかったのである。
「敵前に強行着陸だ! チャンスは1回きり。分かっているだろうな!?」
「そんなこと言われんでも分かってますってば!」
ドイツ軍の奇襲攻撃は夜明け直前に決行された。
薄闇の中、ギガントの群れは対岸に強行着陸したのである。
「友軍が渡河するまでの時間を稼ぐのだ。総員突撃っ!」
「「「ヤヴォール!」」」
空が白み始める時間帯に奇襲部隊は攻撃を敢行した。
この日のために様々な欺瞞工作をして赤軍の警戒レベルを落としていたのである。その効果はてきめんであった。
「あっちはおっぱじめたぞ! 橋はまだか!?」
「ちょっと待て……よし! つながった!」
ドニエプル川を渡河するにあたって、ドイツ側はポンツーンを大量に用意していた。作戦直前まで偽装して隠していたポンツーンを、奇襲を受けて赤軍が混乱している隙に繋げて橋としたのである。
大軍であるほど一度崩れてしまうと脆い。
挟撃されていると赤軍の将兵が自覚してしまった結果、同士討ちを含む大混乱に陥ったのである。
赤軍の不幸は、どちらが主力なのか見抜けなったことであった。
ギガントは1号戦車や装甲車の搭載が可能であり、それらが歩兵と共に背後から攻撃してきたために主力と勘違いしてしまったのである。
背後からの攻撃が主力と思い込んでしまった兵たちは逃げるためにドニエプル川に飛び込んだ。そして、その大半はそのまま浮かんでくることは無かったのである。
「……キーウが落ちたか。じつに目出度いな!」
キーウ占領の報を受けたカイザーは、その気難しい顔を破顔させた。
報告を持ってきたパウル・フォン・ヒンデンブルク大統領に、自分が飲んでいたラガービールを勧めてしまうくらいに上機嫌であった。
「それにしても、キーウは難攻不落だったと聞くぞ。どうやって落としたのだ?」
カイザーは好物の蒸した大豆を口の中に放り込みつつ、ラガーを流し込む。
8年前の雪辱が晴らせたことがよほど嬉しいのか、カイゼル髭にビールの泡が付いているのに気にしてもいなかった。
「はっ、闇夜にグライダー部隊で侵入して赤軍の背後を衝きました。背後からの攻撃で混乱させて、その隙にドニエプル川を軍団が渡河して挟撃したとのことです……んぐんぐ……ぷっはーっ!」
ヒンデンブルクは、カイザー直々にジョッキに注いでもらって一気飲みする。
普段ならこんなことは絶対にしないのであるが、キーウ奪取がよほど嬉しかったのであろう。今回は無礼講であった。
『我らはウクライナを占領した。これは共産主義者たちに対する明確な鉄槌である!』
『我らは友邦ドイツと共に、ウクライナの地を開放した。かの地は無神論者が治める地では無いのだ』
1935年10月某日。
ウクライナ全土を占領したことを高らかに宣言するヴィルヘルム2世とカール1世。その事実は世界中に驚きをもって迎え入れられた。
有力な農業生産国でありながら豊富な資源も産出するウクライナは、ソ連の生命線と言っても過言では無い。ウクライナの失陥は想像以上のダメージとなっていたのである。
この時点で、多くの関係者たちはソ連の運命は風前の灯火と考えていた。
親ソ勢力の中にはスターリンを見限って、ドイツ帝国や二重帝国諸国連邦へ下ることを考える者が続出していたのである。
『下手な動きをすれば粛清されてしまう。タイミングが大事だ』
しかし、彼らも馬鹿ではない。
下手に反旗を翻せばシベリア行きか粛清の2択なので、慎重にタイミングをうかがっていた。
『年内にモスクワを占領することが出来るだろう。それで、この戦争はお終いだ』
『無神論者どもを排すれば、異端となったロシア正教を正すことも出来る。教皇さまもお慶びになられるだろう』
この時点でヴィルヘルム2世もカール1世も戦争の行く末を楽観視していた。
しかし、二人のカイザーは嫌というほど思い知らされることになる。ソ連には連綿と続く最強の守護神が存在していたのである。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
クルップ K5
全長:30m 32m(砲撃形態)
全幅:3.37m
全高:5.27m(砲身昇降時)
重量:220t
速度:30km/h(牽引制限速度)
軸配置:3-3軸複式ボギー台車×2
口径:310mm
砲身長:21.54m
射角:左右1°
仰角:+50°
初速:1700m/s
最大射程:150km
ドイツ帝国陸軍が運用する列車砲。
史実で試作された滑腔砲タイプ(31cm K5 gl)そのものであり、ペーネミュンデ矢弾の運用が前提となっている。
マッケンゼン級戦艦の予備砲身を流用することで大量に製造されており、味方塹壕陣地の後方から効果的な火力支援が可能である。1935年1月から開始されたカイザーシュラハトでは、30基以上のK5が投入されている。
※作者の個人的意見
この世界のドイツ帝国だとマッケンゼン級と、その派生型のモニター艦が建造されているので予備砲身はナンボでもあります。その長射程を活かして今後も出番があるでしょう。
2020年の記事でちょっと古いのですが、砲弾用固体燃料ラムジェットエンジンなんてトチ狂い――もとい、素敵な技術が研究中なのだとか。こいつをペーネミュンデ矢弾に組み込めれば射程300kmくらいはいけるんじゃないかと妄想してたりします。そもそも、ペーネミュンデ矢弾自体もロケットを組み込んでいますしね。相性は良いはず。
マウルヴァフ
全長:30.0m
全幅:2.8m
全高:2.71m
重量:266.3t
速度:6km/h(地上走行時) 2.5km/h(掘削時)
行動距離:300km
装甲:20mm(最厚部)
エンジン:ユンカース Jumo 205E 液冷対向ピストン型6気筒2ストロークディーゼルエンジン1100馬力×2
乗員:4名(艇長 機関士 観測手 通信手)
掘削能力:2m(最大)+0.8m(土砂堆積分)
武装:無し(完全武装の1個小隊)
ドイツ帝国陸軍が来るべき対ソ戦に備えて開発していた秘密兵器。
マウルヴァフは秘匿ネームであり、ドイツ語でモグラの意味である。
地表を掘削して塹壕を作る目的に特化しており、幅3mで左右に掘削した土で壁を作りながら時速2.5kmで前進することが可能である。
弾片防御目的である程度装甲化されているが、基本的に非武装である。
実際の運用では車体に歩兵小隊をタンクデサントさせるのが常態化していた。
※作者の個人的意見
『……おい、これを見ろ、これをっ!』
『なんだこれ? ライミーが描いたコミックか?』
『うちの息子が読んでいたのを強奪してきた!』
『酷い父親もいたもんだな!?』
『しかし、技術者の俺らが見ても説得力のある絵だな……』
『これは画期的だぞ。これならば塹壕をあっというまに完成出来るだろう』
『でも耕運機6号? センスの無い名前だなぁ……』
『どうせならモグラにしないか?』
『モグラだったらトンネル掘りだろ。それって詐欺じゃないか』
『偽装も兼ねてるんだから良いんだよ。どうせ我が国の兵器のコードネームなんて大概だし』
『おいバカやめろ』
……はいはい、お約束お約束(ぁ
T-32
全長:5.76m
全幅:2.73m
全高:2.43m
重量:19.0t
速度:74.4km/h
行動距離:440km
主砲:23.7口径76.2mm戦車砲
副武装:7.62mm機銃×2(車体&砲塔)
装甲:16~30mm
エンジン:4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル500馬力
乗員:4名
スターリンが並々ならぬ決意で完成を急がせた中戦車。
肝心の性能は史実ではT-34の前身となったA-32そのものである。
『大祖国決戦戦車』として1934年の後半から大量生産が始まっている。
史実の自動車王ヘンリー・フォードがソ連に居座ったことにより、質を落とさない数の暴力が実現している。
軽戦車並みの機動力を実現するために、当時としては画期的な大出力ディーゼルを搭載している。
このエンジンの原型は飛行艇用の航空用ディーゼルエンジンであり、フランス共和国が建造している超超大型飛行船『プリマージ』用に開発されていたものである。重量の割に馬力が出ないことや、レスポンスが悪いことが理由で結局採用されなかったのであるが、旧フランス・コミューンの技術者がソ連に横流ししたことで戦車用のエンジンとして実用化されている。
8年前にドイツ帝国軍が運用する対戦車火器で甚大な損害を被ったため、対策として金網装甲を砲塔の全周に装着している。HEAT弾対策として有効に機能したものの、その代償として車体に余剰スペースが無くなりタンクデサントは不可能になった。そのため、ドイツ兵の肉薄攻撃によって多数撃破されている。
搭載する76.2mm戦車砲は当時としては世界水準であった。
しかし、初期生産モデルでは対戦車戦用の徹甲弾が用意されておらず榴弾のみの運用であった。
短砲身と榴弾の組み合わせは最悪であり、実質的な装甲貫徹力は30mm以下であった。そのため、砲塔天板以外は50mmの装甲で防御されている2号戦車に一方的に撃破されることが多かった。
それでも、T-32が1935年2月から大量投入されて前線を押し返したことは事実である。その構造は完成されており、以後もソ連戦車のスタンダードとして様々な派生タイプが開発量産されることになる。
※作者の個人的意見
こいつの装甲と砲を強化すれば史実のT-34が出来ちゃいます。
この世界のソ連にはヘンリー・フォードがいるし、T-34が大量生産されたらドイツ帝国と二重帝国諸国連邦にとっては悪夢でしょうねぇ。
あとT-34絡みで話題になるのがチートな搭載エンジン。
これだけでソ連は先進性があって、ドイツには無かったなんてよく言われます。でも、あのエンジンは飛行船用の航空用ディーゼルを転用しているので技術的に無理はしていないんです。そもそも、なんでそんなものを戦車のエンジンにしたのかと言えば、当時のソ連にまともな戦車用ディーゼルエンジンが無かったからなんです。
T-34の断面図を見ると、戦車の後ろ半分がエンジンとミッションで占められています。こんなの切り詰めたソ連式戦車じゃないと成り立たないわけで、ドイツが遅れていたとかそんなレベルの話じゃないわけです。
でも鹵獲したT-32を調査すれば考えを改めるかもしれませんね。
なんせ自分とこで開発したエンジンが使われていたわけですし。ドイツは自前で航空用ディーゼルを開発出来るのですぐさま転用することでしょう。この世界のドイツ戦車もディーゼルがメインになるかもしれませんねw
2号戦車
全長:5.81m
全幅:3.16m
全高:1.85m
重量:32.0t
速度:35km/h
行動距離:200km
主砲:24口径75mm戦車砲
装甲:15~50mm
エンジン:4ストローク直列6気筒液冷エンジン300馬力
乗員:5名
1号戦車の後継として開発されたドイツ帝国陸軍の主力戦車。
史実のデスワゴン2そのものである。
2号戦車の開発では1号戦車を反省して火力と装甲が重視されている。
当初の計画では、V12ガソリンエンジンで600馬力を発生、最高速度50km/h超えを目指していたがエンジンの開発が間に合わなくて速力は妥協されている。
車体正面、車体側面、砲塔正面、砲塔側面は50mmの装甲で構成されている。
当時は(この世界の英国戦車を除けば)最強クラスの防御力であった。
搭載砲はT-32とほぼ同じであるが、仮想敵国である英国の戦車に対抗するために徹甲弾が最初から用意されていた。もっとも、英国の戦車は史実のマチルダⅡ以上の重装甲なので全く通用しなかったのであるが。それでもT-32を撃ち抜くには十分な威力であり、距離を問わずに一方的に撃破することに成功している。
※作者の個人的意見
本家WOTではティア4屈指の苦行戦車です。
宮海さんの動画(【WoT】霊夢の日雇い戦車道 12日目【ゆっくり実況】)で霊夢の顔芸で有名ですよねw
計画通りマイバッハ製の12気筒ガソリンエンジン(600馬力)が搭載されていれば、もっさりとした重戦車らしい動きではなく機敏な中戦車として活躍出来たんじゃないかと思ったので登場させてみました。実際に改良型として出すかは微妙ですが、エンジンの出力倍増と長砲身化するだけでもだいぶ化けると思うのです。
でも、この世界のドイツ帝国だと3号戦車を開発しちゃいそうですけどね。
T-32を鹵獲したら航空用ディーゼルエンジンを転用するという手がありますし、既存のガソリンエンジンだって自動消火装置を組み込むという手もありますし。
戦略資源にも困っていないから、犯罪級に銅を消費するモーター駆動なんて手もありますね。
ポルシェ博士大歓喜間違いなしです(オイ
マウザー M1915Ⅲ
種別:重グレネードランチャー
口径:50mm
銃身長:680mm
使用弾薬:グレネード、HEAT、ガス弾、信号弾、徹甲榴弾など
全長:1200mm
重量:9.8kg
有効射程:使用する弾薬によって異なる。
最大射程:80~1500m(最大仰角~水平撃ち。グレネード使用時)
ドイツ帝国陸軍で採用されている重グレネードランチャーマウザー M1915Ⅱの改良型。塹壕での運用が前提であり、取り回ししやすいように銃身の短縮と軽量化が図られている。
T-32の装甲を撃ち抜く威力はあったが、金網装甲によって無効化されるケースが多かった。そのため、熟練兵は迫撃砲モードで砲塔天板を撃ち抜くことで撃破している。
この問題に対して、後に徹甲榴弾が開発された。
M1915Ⅱ、Ⅲ共に砲身はライフル銃身であり、スリップリングで無効化することでHEAT弾の運用を可能にしていた。徹甲榴弾はスリップリングを排した通常タイプの弾丸であり、金網装甲を無効化して戦車の装甲を貫徹することが可能であった。
徹甲榴弾は50mm口径の銃弾(というより砲弾)であり、その発射には激烈な反動が伴った。砲身強度の問題で通常の50mm砲弾に比して装薬を減らしてはいるものの、発砲音も発砲炎も強烈で使いどころが難しい砲弾であった。
※作者の個人的意見
ドイツで対戦車兵器と言えば、パンツァーファウストなんですけどね。
いつになったら登場させられるのやら。
弱装弾とはいえ、50mm砲弾をぶっぱしたらタダじゃ済まなさそう。
肩が外れるくらいで済むと良いなぁ……。
テゲトフ
排水量:19618t(常備) 21689t(満載)
全長:152.2m
全幅:27.3m
吃水:8.2m
機関:ヤーロー式石炭・重油混焼水管缶12基+パーソンズ式直結タービン2組4軸推進
最大出力:27000馬力
最大速力:20.3ノット
航続距離:10ノット/4200浬
乗員:1094名
兵装:45口径30.5cm3連装砲4基
50口径15cm単装砲12基
50口径6.6cm単装速射砲18基
18口径6.6cm野砲2基
53.3cm水中魚雷発射管単装4門
装甲:舷側280mm(水線中央部)
甲板36mm(18mm×2)
主砲塔200mm(前盾傾斜部)
主砲塔280mm(前盾垂直部・側盾)
主砲バーベット部280mm(一段目)
主砲バーベット部160mm(二段目)
副砲ケースメイト180mm
司令塔260mm(上段部)
司令塔280mm(下段部)
二重帝国海軍が建造したド級戦艦。
同型艦は『テゲトフ』『フィリブス・ウニティス』『プリンツ・オイゲン』『セント・イシュトヴァーン』
1935年2月のオデーサ防衛線に全艦が投入されている。
その砲撃は途中で砲弾を消費し尽くすほどであり、英国から戦艦用の砲弾(カノーパス級の在庫余剰砲弾)の補給を受けている。
※作者の個人的意見
この世界だと破壊工作とか無いので全艦が健在です。
とはいえ、既に旧式艦なのでそろそろ新しい艦を作ったほうが良いかもしれません。
メッサーシュミット Me 321
全長:28.15m
全幅:55m
全高:10.15m
重量:12400kg(空虚重量)
:34400kg(全備重量)
最大速度:160km/h(曳航時)
武装:非武装
乗員:2名
積載量:兵員130名 or 1号戦車1台 or 装甲車2台
ルフトバッフェが開発した超大型グライダー。
史実のギガントそのものである。
画期的な大型グライダーであったが、無動力なので曳航する必要があった。
史実のようなゲテモノ――もとい、He111Zのような曳航機を開発するのに手間取ってしまったため、ウィンチによる曳航が実用化された。
ギガントを地上でウィンチ牽引する装置は、中古Uボートのエンジンを転用したものである。その力量は通常グライダーのウィンチとはけた違いであり、通常サイズのグライダーならばまとめて空に上げれるほどであった。
1935年5月のキーウ攻略戦に大量に投入されている。
しかし、薄闇化で敵前への強行着陸という無茶のせいで投入された機体の大半が損傷している。
後の調査で機体が壊れることで中身(兵士&戦車&装甲車)が保護された事実が判明し、機体強度を下げて低コスト化した使い捨て大型グライダーの研究が進められることになる。
※作者の個人的意見
夜間に大型グライダーで奇襲するのは前々から考えていたので、ギガントの投入は早い段階で決まっていました。でも曳航機の開発が困難でなかなか投入出来なかったんです。Me 323のようにモーターグライダー化することも考えましたが、そんなことをすればペイロードが低下してしまいます。何よりもエンジン音のせいで奇襲性が損なわれてしまいます。
最終的にウィンチ曳航とロケット推進で解決しちゃいました。
ウィンチ曳航は実績のある方法だし、史実のギガントは離陸促進にRATOを装備しています。なので、なんとかなるでしょう。多分。
8年前の雪辱を見事果たしたカイザーですが、このまま押し切ることが出来るのでしょうか?なにせ、ロシアには季節限定で猛威を振るう守護神がいますからねぇ……
>ヴィルヘルム2世
我らのヴィリーは今日も絶好調ですw
>北極海航路
史実21世紀では注目されている航路です。
なんといっても、スエズ運河を使うよりも7000kmも短縮可能というのはデカい。多少リスキーなのが難点ですが、戦時中なら躊躇する理由は無いわけで。
>『それが出来んのだ。さしものロイズも北極海は管轄外でな』
世界の7つの海を支配した英国ですが、7つの海には北極海も入っているので正確には間違いです。
リスキー過ぎてロイズが船舶保険を引き受けないだろうという点では正解ですけど。
>ドイツ帝国陸軍の秘匿兵器『マウルヴァフ』
テッド君が描いたSF同人誌を見たゲルマン技術者が暴走した結果完成した秘匿兵器。ぶっちゃけると『カルチベーター No.6』の拡大発展版です。
>カール1世
史実だと二重帝国の崩壊で落ちぶれた人でしたが、この世界では未だに権勢を振るっています。時の教皇に『わたしのお気に入り』呼ばわりされるほどの筋金入りのクリスチャンだったり。おかげで宗教戦争になると動かしやすいですw
>『オーストリア・ハンガリー帝国及び南欧諸国連邦』(二重帝国諸国連邦)
国号が変わっただけで、事実上戦前からの二重帝国を継承しています。
>数日前に本人が直接持ち込んだ情報
本編第88話『北極海航路と4BC鉄道』参照。
テッド君の頼みで鈴木商店の大番頭金子直吉がアフガニスタンまで出張って調査しています。ついでに、現地の鉄道工事に絡んでちゃっかり利益も出していたりします。
>大陸横断鉄道(未完成)
拙作のコメントで一帯一路呼ばわりされている鉄道です。
今のところ順調に東へ伸びています。
>T-32
史実ではT-34の試作タイプA-32の名称が有名です。
こいつの装甲を盛って、長砲身化すればT-34になります。
>マウザー M1915Ⅲ
再設計された結果、見た目からして別物と化しています。
予算措置の問題で名前を継承しています。
>MP18
過去の満州侵攻で痛い目に遭ったはずですが、塹壕では扱いやすいので相変わらず制式兵器です。そろそろ突撃銃を配備しないとヤバイかも……(;´Д`)
>砲塔周辺を覆うように金網が取り付けられていた。
ウクライナじゃなくてイスラエル風味なスラットアーマーみたいなイメージです。
>2号戦車
中身はWOT屈指の苦行戦車デスワゴン2ですw
エンジン開発が間に合っていれば、普通に中戦車として開発されただろうに……(哀
>ソ連の榴弾の貫徹力は、徹甲弾のおよそ半分の値となっていたからである。
史実のソ連が徹甲弾で装甲を抜くのではなく、大口径の榴弾で装甲を叩き割る方向にシフトしたのは徹甲弾の開発に失敗したからではないかと個人的に思っています。実際、1920年代の対戦車砲の開発ではノウハウ不足で失敗を繰り返してますし。
>グリスを塗りたくった靴下に、手りゅう弾を入れた即席吸着爆弾である。
この時代のドイツの手りゅう弾は柄付きなので、グリスでベトベトな靴下から手りゅう弾の柄が飛び出てるような感じになるかと。
>「まったく、平成会への対処だけでも頭が痛いというのに。うぅっ……」
自援SS『変態世界宗教事情―ローマ・カトリック編―』参照。
平成会を察知したバチカンの情報網は優秀でしたが、同時に不幸の始まりでした……南無ぅ( ̄人 ̄)ちーん
>神父たちを放置すれば異端審問官と化しかねない。
自援SS『変態世界宗教事情―ローマ・カトリック編―』参照。
実際に異端審問官と化して、テッド君を襲撃していたり。教皇からのお手紙だけが怒れる神父を鎮めることが出来るのです。頑張れピオ11世!(酷
>フランツ・フリードリヒ・ベーメ陸軍少将
史実ではオーストリア及びドイツ第三帝国の陸軍軍人。
この世界ではニュルンベルクの捕虜裁判で起訴されることは無いので、陸軍大将まで出世するはず。
>エードゥアルト・フォン・ベーム=エルモッリ陸軍元帥
史実では第1次大戦中に元帥まで昇進しています。
戦後は予備役になりましたが、この世界だと当分は元帥として現役でしょう。
>オデーサ
おいらの世代だとオデッサなのですが、グーグルマップじゃオデーサ表記だからしょうがないのです。
>テゲトフ級
当時は先進的なド級戦艦でした。
じつは進水式の映像が残っていて、艦首に衝角が付いていないのが確認出来ます。ソ連の新型艦を衝角で沈めようと思ってたのに……!(オイ
>オットー・ヴェーラー陸軍中佐
史実の軍歴はドイツ国防軍の歩兵大将です。
軍歴そのものは第1次大戦からなので、二つの大戦を戦い抜いたことになります。上官マンシュタインの身代わりになったことで有名(?)です。
>史実H〇I4のドニエプルラインの如しである。
ぶっちゃけHOI4のソ連は資源があるので小銃とショベルだけで防衛を出来なくもないのですけどね。ただし、上級者向けですが。素人がマルチで入ってドイツ軍にボコられるのはよくあることだったりw
>マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン空軍大臣
レッドバロン(赤男爵)は、この世界では存命してレッドカウント(赤伯爵)になってます。カイザーの覚えも目出度いし、空軍大臣にもなっている拙作でも屈指のリア充です。
>ヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング空軍少将
この世界では、モルヒネデブじゃない綺麗なゲーリングです。
上司の無茶ぶりに日頃対応している苦労人でもあります。
>固体燃料ロケットが火を噴いて強烈な推進力を生み出す。
史実のギガントも離陸促進用にRATOを装備していたりします。
>ポンツーンを大量に用意していた。
船と違って安価で大量に作れるのは便利。
使用後も桟橋として使用することも出来るので無駄がないのです。
>好物の蒸した大豆
ヴィルヘルム2世の好物だそうです。
カレー粉をまぶしたら美味しいかも?( ゜д゜)ホスィ…
>ソ連には連綿と続く最強の守護神が存在していたのである。
あのナポレオンも勝てなかった最強守護神に二人のカイザーはどう挑むのか?乞うご期待?




