変態日本海軍事情―ヴァルター潜水艦開発編―
「久しぶりに集まれたな」
「最近は忙しかったからなぁ……」
「それはしょうがないだろ。俺らもそれなりに出世したし」
帝都のとある料亭。
その一室には、紺色の第一種軍装に身を包んだ海軍軍人が集結していた。
「……旧交を温め合うのも悪くないが、そろそろ本題に入ろうか」
「では、最初はわたしから。日清戦争の講和条件ですが、賠償金に加えて台湾、海南島の割譲、遼東半島の租借権で決着するようです」
「遼東半島って、何処かで聞いたことあるような……?」
「歴史で習ったはずだぞ? 三国干渉で手放した場所だ」
「あー、ロシアがやらかしたやつか」
男たちは転生者であった。
生前は海上自衛官であった彼らは、この世界でも同様の人生を選択していたのである。
この世界の日本は、19世紀半ばごろから大きく歴史が異なっていた。
史実では暗殺された偉人たちが健在であったり、史実では存在しない組織が活動していたのである。
「やはり史実とは違うな。逆行というよりも転生なのだろうか?」
「チート無しで転生しても苦行でしか無いんですが」
「米帝様を相手にするのは無理ゲー以外の何物でもないぞ……」
情報メディアが発達していないこの時代において、史実との違いを知ることは極めて困難なことであった。しかし、直接知り得なくても、この世界の違和感を彼らは感じ取っていたのである。
「チート技能無しでも、せめて史実の偉人として転生させてくれたらよかったのになぁ」
「俺ら普通のモブですもんねぇ……」
ため息をつくモブ御一同。
たとえ21世紀の史実知識を持っていたとしても、それを活かせるチートも立場も彼らは持ち得ていなかった。
『この世界が史実とは違う流れを辿っているとはいえ、太平洋戦争が避けられるとは思えない』
『俺らがいた日本は太平洋戦争の敗戦があってこそだと思う。だからといって、むざむざ敗戦させるつもりはない』
『後世にパヨクや在庫をのさばらせないためにも、ここで我らが起つ必要があるのだ……!』
しかし、彼らには人並み以上の正義感と行動力があった。
史実の敗戦の悲劇を再現させないためにも、歴史を変えようと日々努力していたのである。
「では、次はわたしで。外務省亜細亜局の知り合いから聞いたのですが、朝鮮の保護国化を取りやめるようです」
「それは朗報だ。あいつらに関わってたらロクなことにならん」
「このまま非韓三原則を貫いて欲しいものだな」
その場に居た全員が政府の方針に喝采する。
生前は真っ当な日本人であった彼らは、全員が等しく嫌韓であった。
「朝鮮を保護国化しないのは良いが、半島でロシアの影響力が増すのはいただけないな」
「この時代ならそこまで酷い事にはならないはずです。とはいえ、将来的には何らかの手を打つ必要があるでしょうね」
「何のかんの言っても、kの国と関わることが無いというだけでだいぶマシだよな……」
この時点で、自分たちと同じ史実を知る者たちの存在を疑いそうなものである。
しかし、良い意味でも悪い意味でも脳筋な彼らは気付くことが出来なかった。
「最後はわたしですね。かねてから提案していたヴァルター推進魚雷が上層部の目に留まりました。開発予算を出してくれるそうです」
「ヴァルターって、あの過酸化水素を使うやつか。危なくないのか?」
「爆発事故を多発させた酸素魚雷に比べればマシですよ。多分」
ヴァルター機関は、1930年代から第二次世界大戦末期にかけてドイツで開発されていた。高濃度の過酸化水素が分解する時に発生する水蒸気や酸素を利用するのが特徴であり、21世紀の潜水艦で採用されているクローズドサイクルの一種と言える。
比較的シンプルなシステム構成でありながら大出力という特長があり、史実では特殊な分野においてしばしば適用が試みられた。
一例を挙げると、海上自衛隊に配備された72式魚雷は高温型ヴァルター・タービンを使用しており、最高速力50ktを発揮すると言われていた。彼らはその再現を狙っていたのである。
この時代にそれだけの性能を実現出来れば、艦隊決戦の切り札と成り得る。
当時の海軍上層部がそう考えたのも無理からぬことであり、研究資金と資材が優先的に割り当てられることになったのである。
「ヴァルターか。そういえば、ヴァルター機関を搭載した潜水艦が大活躍する火葬戦記があったな」
「お、じゃあ名乗っちゃいます? いい加減サークル名を決めないと活動するにも不便ですし」
「原作だとアメリカ相手に上手く立ち回っていたからな。そういう意味では適当なネーミングだろう」
転生者たちのサークル『紺〇会』が誕生した瞬間であった。
彼らは海軍内部で勢力を拡大すべく暗躍していくことになるのである。
「いやぁ、俺らの他にも転生者がいたとはなぁ」
「考えてみれば、真っ先に考えるべきことでしたね」
「あの時はそんなこと考える余裕なんて無かっただろ」
1916年1月某日。
贔屓にしている料亭の一室に『紺〇会』のメンバーたちが集合していた。
「こっちもビックリしましたよ。まさか軍人になる転生者がいたなんて思いもよりませんでしたし」
「平成会は政府との結びつきが強い分、海軍へのコネが弱いので貴方たちのような存在は大歓迎です!」
「将来的には造船所を作って軍艦作りにも力を入れようと思っています。期待させてもらいますよ?」
紺〇会と相席していたのは、平成会のモブたちである。
平成会は軍部とのコネ作りに励んでいたのであるが、軍隊という世俗から隔離された組織に食い込むのは難しかった。
さらに言えば、転生者が軍隊を嫌ったという事情もあった。
生前に嫌というほど反戦教育を受けてきたのに、わざわざ軍隊に行くのは酔狂な人間だけなのである。
そんな中で海軍内に転生者のサークルがあることを知った平成会は驚愕し、そして歓喜した。平成会の上層部が紺〇会に直々に接触して今に至るわけである。
「そこで早速なのですが、海軍軍人としてのあなた方の知恵をお借りしたいです」
和やかな雰囲気が一転、真剣な表情となった平成会サイドに紺〇会側は緊張した。どんな難題を吹っ掛けられるのか覚悟を完了しつつ、続きを促す。
「……平成会の方針としては、朝鮮半島への関わりは避けるつもりです。しかし、そうなると本土防衛に支障をきたすことになるでしょう」
「その対策を紺〇会に考えろと?」
史実の日本が朝鮮半島と満州に拘ったのは、ロシアの南下政策に対抗するためである。しかし、敗戦によって日本が半島に投下した莫大な資本は失われてしまった。
『誠意を見せろ!』
『選挙権よこせ!』
それだけでも痛いのに、謝罪だ賠償だと粘着するリスカブスを誕生させてしまった。平成会のモブたちも、生前はKの国の住民に対してストレスをためていたのである。
そんなわけで、平成会としては何が何でも半島とは関わりたくなかった。
しかし、国家安全保障の観点からすれば何らかの手を打つ必要があった。
「当初のプランではイギリスを頼ることになっていたのですが、無用な借りを作るべきでは無いと反対されましてね」
「ブリカス相手に借りを作ると高くつきそうですもんねぇ……」
この世界の日英同盟は、両国が対等の立場で締結した相互防衛義務を負う条約である。日本側が望めば朝鮮半島に英国を介入させることも不可能では無い。しかし……。
『安易に英国に頼ると癖になってしまう。差し迫った問題で無いのであれば、もう少し熟慮すべきだろう』
『対等な立場ということは、英国からも同様に要求されるということでもあるのだぞ。下手な借りを作るべきではない』
日英同盟を利用することに元老たちが猛反対した。
平成会は新たな方策を取らざるを得なくなったのである。
「そういうことならば、済州島を租借しましょう。史実でも原潜が寄港していますし、基地化すれば睨みを利かせることが出来ますよ」
「それは良い! 早速、大韓帝国と交渉してきましょう」
万年貧乏な大韓帝国にとって、済州島の租借はありがたい話であった。
とんとん拍子に事が進んで、年内には潜水艦基地の建設が始まることになる。
「しかし、我が国は現状ではまともな潜水艦を作ることが出来ません。海軍でもUボートの情報を元に試作はしていますが、せいぜいが実験艦レベルです」
「そういうことでしたら。戦時賠償にUボートを要求します」
「助かります。現物があれば国産潜水艦の開発は一気に進むことになるでしょう」
第1次世界大戦の戦況は連合国側が優勢であり、ドイツ帝国は敗色濃厚となっていた。既に戦後を見据えた講和条約の作成が進められており、その作成には日本も深く関わっていたのである。
『Uボートよりも、ロイヤルネイビーのサブマリンのほうが高性能だ。なんだったらプレゼントするぞ!』
第1次大戦後、Uボートの戦時賠償が認められた。
しかし、大英帝国のプライドを変に刺激してしまったのか、同時にL級潜水艦も提供されることになったのである。
L級はUボートよりも扱いやすく高性能であった。
この世界における帝国海軍の潜水艦は、L級をたたき台にして発展していくことになるのである。
「広いドックだなぁ」
「ゆくゆくは戦艦の建造も視野に入れてるらしいぞ」
「ガントリークレーンも最新式だ。これで大型艦の建造も捗るな!」
広大なドックを見て歓声をあげる紺〇会――もとい、『艦隊シリーズ愛好会』のモブたち。彼らは、完成したばかりの平成造船福井造船所を見学中であった。
平成造船は第1次大戦後に誕生した。
その名の如く平成会傘下の造船会社であり、福井県の若狭湾に面する立地の造船所は当時最新鋭の設備を誇っていたのである。
『新型タービンや、溶接技術、ブロック工法のノウハウまで提供してくれるとは。貴方が神か』
『ホント、ドーセット公さまさまやでぇ……!』
設備の最新さに加えて、英国から技術供与を受けることが出来たのも同業他社に比べて強みであった。実際はテッド・ハーグリーヴスの独断であったが、事後承諾で認められたのでノープロブレムである。
「せっかくだから、俺らにしか作れないような船を作らないか?」
「史実知識を活かして、バウスラスターや、フォイトシュナイダーを実用化すれば金になるぞ!」
「この造船所の将来的な強みになるかもしれないな。ここは作るしかないだろう!」
英国からの技術供与に加えて生前の史実知識を活用出来るとなれば、彼らがオリジナル船の建造で盛り上がるのも無理からぬことであろう。
「どうせならぼったくれる……いやさ、金持ち相手に利益が出る船を作りたいな」
「クルーズ船なんかどうよ?」
「いや、さすがに売れなかったら場所を取ってしまうんで、もう少し小型のヤツをだな……」
「そういえば前世で金持ち相手に贅を尽くした船があったな。アレなら良いんじゃないか?」
あーだこーだと悩んだ挙句、最後に残ったのはメガヨットであった。
史実におけるメガヨットは、全長80フィート以上の大型クルーザーを指す。一般的に外国人富裕層などが個人所有するもので、この世界でも金持ちに高く売りつけようと考えたのである。
「性能は画期的なのに、なんで売れないんだ?」
「最初は興味を示してくれるのですけど、後でお断りされてしまうんですよねぇ……」
売れないメガヨットに頭を抱える艦隊シリーズ愛好会のメンバーたち。
国内の金持ち相手に積極的に営業をかけていたのであるが、その反応は芳しくないものだったのである。
「値段設定が強気過ぎるんじゃないですか?」
「馬鹿言え、これ以上安くしたら赤字になっちまうわ!」
建造されたメガヨットは実験試作的な要素が多く、この世界初となる技術の検証などもあって建造価格が高騰した。しかし、それだけの価値はあると彼らは信じていたのである。
「……で、俺に話を持ってきたというわけかい」
迷惑そうな顔で艦隊シリーズ愛好会の面々を見やる男。
彼こそが、福井県の平成会を束ねる平成会福井県人会の会長であった。
生前の県人会長が銭ゲバだったことは、関係者に広く知られていた。
そのあまりにも容赦ない金策は方々から恨みを買った。それが原因で現世からおさらばしてしまったというのだから筋金入りである。
(この時代にメガヨットを作るとか正気か? 海外は知らんが、自分で操船するもの好きな金持ちなんぞおらんぞ)
自動化が進められたメガヨットは、数人ないし(条件次第では)一人で操船することが可能であるが、操船するためには専門の教育を受ける必要がある。暇を持て余している金持ちは多いが、そこまでする酔狂な人間はいないだろうと県人会長は考えていたのである。
専門に教育した人間を別途雇うという手もないわけではない。
しかし、その目的のためだけに金をかけるくらいならば、遊覧船を船員ごとチャーターしたほうが手っ取り早いのである。
(モノは良いから上手くやれば高値で売りつけることも出来るかもしれん。問題は相手だが……)
金儲けに特化した頭脳をフル回転させる県人会長。
ありとあらゆるコネを脳内検索し、売りつけるに相応しいカモを吟味していたのである。
「……売り上げた利益は折半するが、それまでの維持運営はそちら持ち。必要ならば改装する費用もそっちで出すこと。それで良いなら受けてやる」
「おぉ、ありがたい!」
銭ゲバな県人会長をもってしても、即答は出来なかった。
しかし、目の前に置かれた獲物は捨て置くにはあまりにも惜しい。彼は問題を先送りしつつ、恩を売ることを選択したのである。
県人会長の執念が報われたのは1927年のことであった。
多少吹っ掛けても問題ない大富豪が、カモネギでやってきたのである。
「キングサイズのベッドをファンシー風にしろ。納期は1週間後だ!」
「無理だぁ? ごちゃごちゃぬかすなさっさとやれ! 間に合わせないと売れないんだぞ!」
県人会長は、テッドの妻マルヴィナの嗜好を徹底的に調べ上げた。
『将を射んとする者はまず馬を射よ』ということわざがあるが、彼が恐妻家であることを知っていたからこそである。
メガヨットは、当時の金額にして1000万円超でのお買い上げとなった。
特型駆逐艦を建造しても、なお余る金額である。
1000万円は、史実21世紀の価値に換算して1億ドル(140億円)ほどの価値となる。県人会長は利益として、そのうちの1割を手にしたのである。
「これほどの買い物をしていただいて、誠にありがとうございます。ところで、お客様に大変良いお話があるのですが……」
しかし、銭ゲバな県人会長はここで終わらなかった。
メガヨットの契約書を見て真っ白になっているテッドに、悪魔染みた口調で囁いたのである。
メガヨット――デュークオブドーセット号は、要人の歓待に用いられた。
接待された政財界の有力者たちは、その快適性に惚れ込んで同種の船を欲しがったのである。
メガヨットが1隻売れるごとに、テッドと県人会長にはリベートが入ることになっていた。予想外の出費を少しでも補填するべく、テッドはメガヨットの宣伝に励んだのであるが……。
「メガヨットの注文が止まらないぞ!?」
「ちょっと待て、この納期と価格はさすがに無理だ!?」
「いくらなんでも宣伝し過ぎだろ。ドーセット公のアホ―っ!」
宣伝が過ぎたのか、注文が殺到して造船所がパンクすることになった。
休日返上で死に物狂いで働く艦隊シリーズ愛好会の面々を横目にしつつ、県人会長は濡れ手で粟なリベートに高笑いするのであった。
「命中まで20秒。19、18、17……」
観測員が、ストップウォッチ片手に時間を告げる。
その傍らには、双眼鏡で遥か遠方を見やる男たちがいた。
「……3、2、1、ゼロ!」
水平線上に巨大な水柱があがる。
その速度と射程距離は、従来の魚雷の常識を打ち破るものであった。
「命中っ! 命中っ!」
「「「よっしゃぁぁぁぁぁぁっ!」」」
命中を喜ぶ艦隊シリーズ愛好会のモブたち。
ヴァルター推進魚雷実用化に目途が付いた瞬間であった。
「不採用とはどういうことですか!?」
「性能は完全に満たしているんですよ!?」
2か月後。
艦隊シリーズ愛好会のモブたちは、海軍艦政本部に怒鳴り込んでいた。
一方的に不採用通知を送り付けられた彼らは納得出来なかった。
そもそも、ヴァルター推進魚雷は海軍上層部のお墨付きだったはずなのである。
「君たちの気持ちもよく分かる。しかし、これは既に決定事項なのだよ」
水雷部長の表情も苦々しいものであった。
彼自身も、ヴァルター推進魚雷を推していたのである。
「……呉のほうで画期的な魚雷が実用化されたそうだ。上の連中はそっちを採用する腹積もりらしい」
「「「!?」」」
同情的な水雷部長が、ポロっとこぼした一言。
それだけで、艦隊シリーズ愛好会の面々は何が起きたのか悟ってしまった。
ドーセット公の技術ばら撒きの恩恵を彼らだけが受けたわけではない。
酸素魚雷を信奉する平成会の一派が、史実よりも早期に酸素魚雷を完成させてしまったのである。
「まだだっ! まだ終わらんよっ!」
「そうは言うがどうするよ? さすがに酸素魚雷には勝てんぞ?」
「ぐぬぬぬ……!」
ヴァルター推進魚雷は従来の魚雷よりも高性能ではあったが、酸素魚雷には及ばない。海軍上層部が酸素魚雷に鞍替えしてしまうのも無理からぬことであろう。
「……いや、潜水艦用の魚雷としてならまだ可能性はある!」
「潜水艦用ならば、酸素魚雷ほどの大射程は必要無い」
「従来の魚雷より高性能で、酸素魚雷よりは扱いやすい。これは大きなセールスポイントになるだろう」
しかし、彼らはあきらめなかった。
史実の酸素魚雷は取扱いと整備性に難があり、環境劣悪な潜水艦では歓迎されなかったことを知っていたのである。
その一方で、ヴァルター推進魚雷は戦後になって潜水艦用として実用化されている。将来性は明らかにこちらが上であった。
「しかし、技術革新で酸素魚雷の取り扱いが便利になったら……」
「そのための誘導魚雷だ」
「なるほど。威力よりも命中精度を重視するわけか」
潜水艦の本領は通商破壊である。
軍艦よりも商船を沈めるのが仕事なのであるから、一撃必殺の重魚雷など必要無い。従来の魚雷よりも高性能、しかも命中率に優れるとならばそちらを採用せざるを得ないのである。
「誘導方法はどうする? 音響誘導か?」
「構造が比較的簡単で信頼性もあるが、デコイで対策されると無力だ。却下!」
「有線誘導はどうだ?」
「この時代の潜水艦に、3次元機動を処理出来るコンピュータなんてあるか!? 却下!」
「じゃあ、何が良いってんだよ?」
「ここはやはりウェーキホーミングだろう。妨害に強いからな!」
航跡追尾は、史実では呉海軍工廠の造船実験部で実験されていた。
実験そのものは成功したものの、肝心の魚雷実験部が見向きもしなかったために実用化されずに終わった技術である。
旧海軍のウェーキホーミング魚雷は、魚雷頭部に超音波受信機が取り付けられていた。魚雷航走中は機関部からは騒音(超音波)が発生する。その超音波を受信機で探知するのである。
敵艦をはずれてウェーキと交差した場合、ウェーキによって超音波は遮られて受信機は超音波を失探する。電気的にその失探を処理し、魚雷の舵を動かす仕組みになっていた。
実用化こそされなかったものの、超音波を受信するかしないかの2択で処理をするので確実な動作が期待出来た。艦隊シリーズ愛好会のモブたちは、これを実用化しようと目論んだのである。
「採用はされたが、なんだろうな? このすっきりしない気持ちは……」
彼らの努力が実り、潜水艦用としてヴァルター推進魚雷は採用された。
しかし……。
「潜水艦用の魚雷は、酸素魚雷とヴァルター推進魚雷2本立てで整備になるとはなぁ」
「対艦攻撃を重視するなら、分からなくも無いのだが……」
「でもまぁ、酸素魚雷で戦艦を轟沈させようってんなら、紺〇の艦隊らしくて良いんじゃないですか?」
サウスダコタ級6隻のハワイ配備と、ヴィンソン計画による戦艦の大量建造にビビッた海軍上層部は、ヴァルター推進魚雷と酸素魚雷の2本立てで潜水艦用の魚雷を整備していくことを決定していたのである。
「しかし、モノは考えようだ。これで潜水艦の高性能化にも拍車がかかるだろう」
「ヴァルター潜水艦の出番と言うわけだな!」
「そのためにも、間接式ヴァルター・タービンを是が非でも実用化しなければ……!」
決意を新たに、ヴァルター潜水艦の実用化を誓うモブたち。
彼らの努力が実るのかは、現時点では未知数であった。
「駄目だ、出力が安定しない!?」
「レッドゾーン突破。爆発するぞーっ!?」
「総員退避ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
慌てて実験室から飛び出す研究員たち。
パイプから漏れる高温蒸気は、実験室どころか建物全体を包みつつあった。
出力を制御出来なくなった間接式ヴァルター・タービンは暴走し、やがて爆発した。2000℃に達する高温ガスに漏洩した過酸化水素が触れた瞬間、建物を吹き飛ばしたのである。
「た、助かった……」
「それにしても、これほどまでに厄介なエンジンだったとは……」
「これを潜水艦に積むのは危険すぎやしませんかね……」
艦隊シリーズ愛好会のモブたちは、完全に焼失した建物を呆然と見やる。
爆発の規模は凄まじく、死傷者が出なかったのが不思議なほどであった。
「……で、原因はなんだ?」
「燃料の流入量の調整が上手くいかなかったからかと」
「過酸化水素の漏洩もあると思います」
「ボイラーにも問題があったんじゃないっすかねぇ……」
しかし、彼らは不屈であった。
すっかり風通しが良くなってしまった会議室(だった場所)で今後の改善策を検討していったのである。
「短時間なら安定して運転が出来るようになってきたな」
「でも、長時間の運転には不安が残りますよ? というか、漏れたガスが炎上して噴き上がるの怖すぎなんですが……」
「炎上しなくても漏れたガスが臭いのは問題だぞ。地上で実験してるから問題ないけど、潜水艦の中だと窒息しかねない」
「出力の調整が難しいのも改善すべき点だわなぁ」
度重なる改良の結果、間接式ヴァルター・タービンは短時間ならば運転が可能になった。しかし、長時間の運転は依然として問題が山積みだったのである。
「……現状だと潜水艦の主動力としての使用は無理だな」
「史実のAIP機関のように、ディーゼルが使えない水中での補助動力に特化するべきでは?」
そこで方針転換して、非大気依存推進用の補助動力として開発を続行することになった。補助動力であるから、主動力のように細かな出力制御は必要無い。補助動力であるから、密閉してもさして問題にならないはずである。
史実の非大気依存推進機関は、通常ディーゼル潜の能力向上策として導入された。十分なサイズがあれば、船殻に追加の区画を挿入するなどして設置が可能なのである。
「ぐぬぬ、富〇号の夢が……」
「あれはポンプジェット推進だから、ヴァルター機関との相性最悪ですよ? どっちも深海域で効率が悪化しますし」
ヴァルター機関の問題点として、深海域における出力低下があった。
これは排気が水圧に負けてしまうことが原因なのであるが、ポンプジェット推進も同様の問題を抱えているために相性は最悪なのである。
ちなみに、紺〇の艦隊のポンプジェット推進と史実のそれは完全に別物である。
前者がウォータージェットの亜流であるのに対して、後者はスクリュー軸後方に設置された円環内のスクシューを駆動させる仕組みになっている。
史実のポンプジェットは静粛性には優れているものの、推進効率が低下してしまう。原潜ならば有り余る出力でなんとかなるものの、通常型ディーゼル潜では採用する意味が無いのである。
「というか、これデカすぎて呂号に載ります?」
「「「あっ!?」」」
肝心なことを見落としていたことにショックを受けるモブ一同。
主動力として用いるならばともかく、補助動力として使用するならば別途搭載しなければならない。小型な呂号潜にそんなスペースが存在するかと言われれば、答えは否である。
「せ、船殻外部に搭載すればなんとか……」
「めっちゃ不格好になりそうなんですが?」
「水中ノイズが酷いことになりそうだな」
船殻の外側に新しいガワを作って、そこにヴァルター機関と燃料を隔離するという手も無いわけではない。しかし、そんなことをすれば流線形な船体ラインは確実に歪んでしまう。水中速力、水中安定性、ノイズ、その他全てが確実に悪化してしまうのである。
「伊号潜なら載るだろ?」
「そりゃ載りますけど、伊号は数隻作って打ち切られたじゃないですか……」
この世界の伊号潜は、英国のM級潜水艦をベースに開発されていた。
呂号潜よりも大型で航続距離が長く、航空機運用能力も併せ持った優秀な潜水艦であったが、現状の海軍の戦略にそぐわないために数隻の建造で打ち切られていたのである。
「……ここは、発想の転換が必要だな」
現実的な問題に直面したことで、間接式ヴァルター・タービンの開発は中断されることになった。しかし、彼らは未だにヴァルター潜水艦をあきらめていなかったのである。
「うむ、なんとか形になったな」
「いや、これ……本当に大丈夫なんですか?」
「何事もチャレンジあるのみ! まぁ、死にはせんだろ」
「ふ、不安だ……」
広大なドックの片隅に鎮座する1隻の呂号潜。
改修が終わった船体を、なめまわすように眺めるのは艦隊シリーズ愛好会の面々である。
『まずは海軍のお偉方に、ヴァルター潜水艦の性能を見せつける必要がある』
――という意見に、反対する者はいなかった。
しかし、間接式ヴァルター・タービンの早期実用化が不可能になった状況でどのような方策があるというのか?
その問題の解決策が目の前の呂号潜であった。
ほとんどの見た目は通常型と同等であったが、艦首と艦尾に改良が加えられていたのである。
『ドック内注水開始。作業員は退避せよ!』
外部スピーカーからの警告と共に、滝のような勢いで海水の注入が開始される。
やがて水位が上がり、盤木に固定されていた呂号潜が浮き上がる。
「ゲートオープン確認」
「よし、ディーゼル始動。微速前進!」
「微速前進。ヨーソロー!」
呂号潜を手足のように操る艦隊シリーズ愛好会の面々。
彼らは現役のドン亀乗りであるので、操縦はお手の物であった。
「ここらへんで良いだろう。潜航準備!」
「ハッチ閉鎖確認!」
「ダウントリム10」
「深さ20mへ」
あっという間に海中に没する呂号潜。
しかし、本番はここからである。
「よし、ヴァルターロケット始動。出力は2本だ」
「ヴァルターロケット出力2。ヨーソロー!」
艦尾スクリューの下部に設けられた噴射孔から炎と水蒸気が噴出する。
スクリューが止まっているにも関わらず、ぐぐっと加速していく呂号潜。
「現在、速力5ノット。なおも加速中!」
「良い感じだな。艦首泡噴出準備!」
「艦首泡、いつでも行けます!」
「スーパーキャビテーション開始っ!」
艦首に設置された噴出孔から盛大に泡が発生する。
船体が泡に包まれたことでスーパーキャビテーション効果が発生、水中抵抗が激減して速力が上昇する。
「現在15ノット!」
「よしよし、この際だ。最大出力を試そう」
「なっ!? いきなりですか!?」
「噴射時間には限りがある。全開出力を試すには時間が無いぞ!」
「よ、ヨーソロー! どうなっても知りませんよ!?」
おそるおそる出力レバーを開く。
轟音と共に艦が振動し、強烈な加速を開始する。
「そ、速力20……30……まだ上がります! 40ノット突破!」
「ふはははは! 為せば成るっ!」
スーパーキャビテーションとヴァルターロケットの相乗効果で、呂号潜の速力は40ノットを突破してさらに加速していく。この瞬間だけならば、間違いなく世界最速の潜水艦であった。
「か、艦長!? 深度60、急速に下がっています!?」
「なにぃ!?」
「このままだと圧壊深度です!?」
この時点で呂号潜は、水中60ノットで突進中であった。
潜舵が微妙にダウントリムしており、普段であれば適時修正出来るレベルだったのであるが、水中速力が速過ぎて知らないうちに深く潜航してしまったのである。
「出力をカットしろ!」
「ダメです。出力最大のまま固定されちゃってます!?」
出力レバーを全閉するも後方からの轟音は止まらない。
そうこうしているうちににも艦はどんどん沈降しており、ミシミシという不気味な音が聞こえ始めていた。
「メインタンクブロー! アップトリム最大!」
「ダメです。深度まだ下がります!」
「荷物を持って艦尾へ走れ。急げっ!」
メインタンクをブローしてもアップトリムをしても深度は下がる一方であった。
少しでも艦首を持ち上げるべく、モブたちは重量物を持って艦尾へダッシュする。
「潜航止まりました! 浮上していきます」
「「「ほっ……」」」
彼らの努力と祈りが通じたのか、浮上を開始する呂号潜。
しかし、彼らにはこの後どうなるかまで想像が出来なかった。
「「「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
アップトリム最大で海面に浮上した呂号潜は、浮力とヴァルター・ロケットの推力も相まって盛大にジャンプし、そして飛び込んだ。中にいた人間がどうなったかは言うまでもない。
その後もジャンプして突っ込みの繰り返し――いわゆるポーポイジング現象で盛大にシェイクされたモブたちは全員気絶。ヴァルターロケットが燃料切れとなった呂号潜は、救助が来るまで漂流するハメになったのであった。
「……で、暴走した原因はなんだったんだ?」
「調査した結果、燃料配管に歪みがありました。通常は送液ポンプを介して燃料が送られるのですが、素通りして燃料が吸い上げられてしまったようです」
「ポンプを止めても、隙間から燃料が吸い上げられてしまったってことか……」
暴走した呂号潜はドック入りし、徹底的な調査が行われた。
その結果、暴走の原因を突き止めることに成功したのである。
「燃料配管が歪んでしまった原因は何なんだ?」
「おそらく水圧でしょう。ヴァルターロケットを収納している場所は非水密区画なので」
暴走した高温式ヴァルター・ロケットモーターは、船殻の外部に設けられた非水密区画に収納されていた。非水密なので潜航時は海水に晒されるわけであるが、その際に水圧の影響をもろに受けてしまったのである。
「じゃあ、水密化すれば良いんじゃないのか?」
「船殻の外にわざわざ水密区画を作るくらいなら、最初から船殻内に作ったほうが早いですってば」
「海水に浸すのは、過酸化水素漏洩時に引火するのを防ぐ目的がある。水密化したら爆発するリスクが高まるぞ」
「そもそも、ガスの漏洩を水圧で抑え込むための非水密化でもありますからね」
ヴァルターロケットを海水に浸すのは、間接式ヴァルター・タービン開発時にガスの漏洩からの引火爆発に苦労させられた経験から得られた知見であった。実験では成功したのであるが、実際に運用してみると潜航による水圧の変化に耐えられ無かったのである。
「ならば、隙間をなくそう。塩化ビニルを充填すればいい」
「んなことしたら、メンテが出来なくなりますよ? 整備のたんびに塩ビをほじくるんですか?」
「うむむ……」
打つ手なしの状況に頭を抱える面々。
このままヴァルター潜水艦の未来は閉ざされてしまうのかと、その場にいた人間が思い始めた。しかし……。
『逆に考えるんだ。暴走してしまっても良いと考えるんだ』
その時、モブの一人が天啓を得た。
脳内に現れたヒゲの紳士が囁いたのである。
「構造をさらに単純化するだと?」
「下手に出力制御するからいかんのです。一度作動させたら燃料切れまで放置しちゃえば良いのです!」
出力制御しないのであれば、その構造は極めて簡単なものになる。
信頼性は向上し、維持メンテナンスも最低限となって万々歳である。
「それじゃあ、戦術に制限がかかるじゃないか」
「もともと呂号潜は守勢的な運用が予定されています。使用が想定される状況は緊急離脱くらいだから問題ありません!」
呂号潜は拠点に貼り付けて防衛することが想定されていた。
侵攻するわけじゃないから、ヴァルターロケットで複雑な戦術機動など不要と割り切ったのである。
ジ〇ース〇ー卿と化したモブの意見を全面的に取り入れた結果、完成したのが高温式ヴァルターロケットである。制御部分だけでなく、構造そのものが単純化されており、低コスト化と高信頼性を両立することに成功していた。
呂号潜に暴走した旧型のヴァルターロケットには、反応生成物に窒素が混じっていた。窒素は水に溶けないために泡となって軌跡が残ってしまう。これは逃走にする際に不利になるものであった。
しかし、新型のヴァルターロケットは水と二酸化炭素しか出さない。
これは酸素魚雷と同様で、軌跡が残らないメリットがあった。しかし、ロケット作動時に光を発するので前線では夜間における使用は禁じられたようである。
ロケット本体は完全にパッケージ化されており、露出しているのは前面に設置された信号線の端子のみである。使い捨てなので、出撃直前に装着するようになっていた。
『起動時の騒音で聴音を惑わすことが出来る』
『潜水艦の常識を超えた水中速力が出るので、駆逐艦の捜索範囲から逃げることがたやすい』
『艦本体の燃料とバッテリーに負担がかからないので、戦況不利で離脱してからの立て直しが容易である』
『取り外せるので維持整備が簡単だし、不要なら整流カバーを付ければ良いので潜水艦の運用に利すること大である』
演習による運用結果も良好であった。
このことに驚喜した海軍上層部は、呂号潜の後期生産型よりヴァルターロケットを本格装備していくことになる。従来型も順次ドック入りして同様の改修が施されたのである。
変わった採用例として、艦載機の離艦促進ブースターとして転用された。
史実ではロケット補助推進離陸として開発されたので、本来はこちらが正しいのであるが。
しかし、艦隊シリーズ愛好会の面々はこんなことでは満足しなかった。
ヴァルター機関の有用性を海軍上層部に認めさせた彼らは、間接式ヴァルター・タービンの開発を再開してAIP潜水艦の実用化に血道を上げることになるのである。
史実では原潜の実用化で歴史の波に消えていったヴァルター機関ですが、この世界ならば実用化にワンチャンあると思います。上手くいけばAIP機関として実用化出来るはず。艦隊シリーズ愛好会の面々には、これからも頑張ってもらいましょうw
>「チート技能無しでも、せめて史実の偉人として転生させてくれたらよかったのになぁ」
リスペクト元の某夢幻会みたいに、史実の無能に転生するよりはマシだと思います。
>72式魚雷
戦後に海自が採用したヴァルター・タービン魚雷。
最大で65ノット出すという驚異の魚雷ですが、深度によって速力が変化してしまう欠点がありました。
>『紺〇会』
紺〇の艦隊に出てくる転生者集団です。
『作品自体は火葬戦記ですが、その大活躍にあやかろうと命名した』(モブたち談
>謝罪だ賠償だと粘着するリスカブス
誰が考え付いたのか知りませんが、まさにそのものズバリな命名ですよね。
>『艦隊シリーズ愛好会』
陸軍のサークル『青〇会』や、その他要塞シリーズのファンなどが合流した結果、サークルの名前を変更するに至りました。『第一候補は荒巻先生ファンクラブだったが、軍人がファンクラブというのは恥ずかしいということで却下された』(モブたち談
>テッド・ハーグリーヴスの独断
本編44話参照。
最終的に認められましたが、次回の大規模召喚のリストが酷い事になりました(ノ∀`)
>バウスラスターや、フォイトシュナイダーを実用化すれば金になるぞ!
バウスラスターは船首下部喫水線下に装備されている横向きのスラスターです。
接岸作業が捗るので史実では大型船の必須装備でメガヨットにも当然装備されています。自動化著しい21世紀のメガヨットでは、ほとんど一人で接岸作業が出来るとか。
フォイトシュナイダーは、360度全方位に推力を発生可能な特殊な推進装置です。推力効率ではアジマスラスターに負けるので、採用例は少なくなっているそうですが未だに根強い需要があるようです。
>メガヨット
本編で描写していますが、ピンキリあります。
大富豪や国家元首のメガヨットは、普通に大型船舶クラスのサイズと高級ホテル並みのホスピタリティを誇ります。
>平成会福井県人会の会長
本編74話参照。
筆者もまさか再登場することになるとは思っていませんでしたw
>航跡追尾
資料を漁ってみたのですが、本気で開発に取り組めば間違いなく戦中に実用化出来たと思います。ここらへんは、セクショナリズムの弊害というやつなのかもしれませんね。
>ヴィンソン計画
旧態化したアメリカ海軍の刷新も兼ねた海軍の大拡張計画です。
戦艦10隻、空母10隻、重巡、軽巡、駆逐艦、その他もろもろ全て合わせて合計排水量200万トンオーバーの軍艦を一気に建造するという、この世界の日本が逆立ちしても真似できない米帝チートです。
>間接式ヴァルター・タービン
ヴァルター潜水艦実用化の本命と言えるべき技術です。
史実の英国はエクスプローラー級潜水艦を2隻(エクスプローラー、エクスカリバー)試作していますが、艦のクルーから艦名をもじって『エクスプローダー』(爆発物)、『エクスクリシエーター』(拷問)なんて呼ばれている時点でお察しです。実際、ガスが漏れて隔離区画に閉じこもるハメになったり、引火した炎が機関室から飛び出してきたりと酷いものだったようです。
>非大気依存推進
現在の通常型潜水艦の主流ですね。
方法も様々で、燃料電池や液体酸素、スターリング機関、果てはスマート原子炉など多岐にわたります。
>ポンプジェット推進
通常型潜水艦では意味が無いと書いてますが、スクリューが氷山で損傷することを避けるために装着する実例もあるにはあります。
>ヴァルターロケット
この場合は、高温式ヴァルター・ロケットモーターを指します。
史実のMe163に搭載されてたヤツで、12本の噴射弁を、2本・6本・12本の3段階に調整できるようになっていました。
>スーパーキャビテーション
泡で包み込むことによって水中抵抗を激減させる技術です。
有名なのは、ソ連が開発したロケット魚雷『シクヴァル』です。水中速力200ノットは間違いなく世界最速の魚雷ですが、ここまでくるとロケットですよねぇ……
>塩化ビニル
過酸化水素を入れる容器に採用されているので、隙間に充填してしまえば漏れが防げて振動にも強くなるとメリットだらけ……なはずはありませんでした。
>『逆に考えるんだ。暴走してしまっても良いと考えるんだ』
プライベートでこの教えに従って事態が改善されたりするので、案外馬鹿に出来ないのです。
>高温式ヴァルターロケット
史実ではRATOとして実用化されたのに、この世界では潜水艦の緊急離脱用として採用されてしまいました。構造が簡単で使用しない時は外して保管出来るので使い勝手は悪くない……はず。




