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第五十三話

「シア、こんなチンチクリンじゃないわ。なんて失礼な子供かしら……」

「うわぁぁぁ!何なんじゃ、何なんじゃ貴様らァ!」

 煽るような偽シアにキレるシア。暴れようとするが、首輪のせいで魔法は一切発動しない。

「豚が!この豚共が!」


 シアが叫ぶと騎士達が槍を向けて、言葉を慎め!と叫ぶ。

「おい、貴様ら!騎士の癖に自分の国の王族かどうかも解らんのか!」

 並んでいる騎士に怒鳴るシア。

「宰相を呼べ!宰相なら、儂が本物か解るじゃろう!」

 

 偽陛下の方も、宰相を呼んでやれと騎士達に伝えた。

 何となく展開が読めてきた。

 

「おお、宰相。儂じゃ、シアじゃ。なんじゃあの豚は!父上と母上はどうした!」

 宰相が入って来ると……俺達を一瞥し、

「王族を騙るとは……なんと不敬な。騎士達よ、こやつらをひっとらえよ!」

 ほらな……。こうなるとは思ってたんだ。

 宰相がシア達の弁護をするなら、あの偽陛下は呼ぶはずがないだろう……。


「な、宰相、儂の顔を忘れたか!」

「見苦しい。王妃様を騙ったあの女と一緒に明日にでも処刑してやる。死刑囚の牢へ連れていけ!」

 セルリアも捕まったらしい。

「宰相、貴様!」

 暴言を吐こうとしてシアはカレン達と俺を見て、首を振った。

「なあ、宰相。お主がなぜ儂らを裏切っておるのかは解らんが」

 そしてカレン達を見て、続けた。

「……こやつらは関係ないじゃろう。儂と母上だけ処分すればよかろう?」


 そういうシアに、宰相は嘲笑うように言った。

「全員、明日に執行とする。首輪は絶対に外すんじゃないぞ、四人つけて見張れ。決して逃がすんじゃないぞ」

 

『おい、アジュール……。お前の国だろ。なんで宰相が裏切ってるんだよ』

『僕が殺されたのって、この宰相だしねえ』

 ハハハ、と力なく笑うアジュール。使えない選手だ。

 

『まあ、でも……なんとかなるんじゃないかな?』

『どうやって……?』


「ねえ、宰相さん」

「ん、なんだ貴様……」

 この宰相には、アジュールが俺に見えているのだ。

 馴れ馴れしく話しかけてくる俺に、不快に満ちた目を向ける。

「陛下の部屋にある三つの金庫、開いた?」


 そう言うと、宰相は顔を少し引きつらせ、連れて来いと騎士へ合図を送る。

 アジュールは笑顔で宰相に近づくと、耳を近づける。

「貴様……なぜそれを知っている」

 宰相が顔色を変える。疑うように睨み、アジュールに耳打ちする。

「実はぼく、アジュール陛下の友人の息子なんだ、文通もしててさ」


 シア王女を預けられるくらいの友人で、色々と知ってるとアジュールは言う。

 宰相の方を向いてアジュールは続けた。

 

「一つ目の金庫は王印だ。基本的には使わないけど、将来的に必要にはなるよねえ?」

「な、あの金庫の中に王印が……?」

『王印って何だ?』

『王印は王の印鑑だよ。結構重要な所で使う事になるから、無いと困るだろうね』

『無くしたらどうするんだ?王印の変更ってできないのか?』

『無くしたら王じゃなくなるだけだよ。王印の変更には王印が必要だね』

 実行支配はできるが、連盟加盟国としての王は王印を持つ者になるらしい。

 

「二つ目の金庫は権利書類。隣国の港の使用権、魔石鉱山、宝石鉱山の採掘権」

『その使用権とか採掘権って重要なのか?』

『権利を失ったらエルブンシアが潰れちゃうくらいには重要だよ』

『すごく重要じゃないか……』

 

「三つ目の金庫は債務書類。書類を無くした場合は相手が悪意を持っていれば言いなりだね」

 アジュールは楽しそうに言った。


「貴様が言いたいのはそれだけか?確かにアジュール王は鍵を紛失しているが探せば見つかるだろう」

「鍵なんて無いよ。鍵穴はあるけどあれダミー。魔力照合になってるんだよねえ」

 魔力照合。本人の魔力で解錠される形式だ。それを聞いて宰相が舌打ちする。

「アジュール陛下に万が一何かがあってもシア殿下の魔力でも開くはずだよ。二人とも無事なら問題ないね」

 そう言って偽陛下と偽シアを指さすアジュール。


「シアを本当に処刑していいのかな?」


「……貴様が言っている事がデタラメではないと証明できるのか?」

「さあ、ぼくの話がデタラメだと思うなら鍵を探せばいいんじゃないかな」

 ニヤニヤと笑いながらアジュールは宰相に答えた。

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