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第95話 四か国首脳会談

オレの名前はジョージ、世界最大国であるユナイテッドステイツの最高責任者だ。まあ、世界最大のって言うのはあくまでも人間の世界だけでの話だが・・・



どうせ一生人間の国から出る事はないのだから、世界最大と言っても差支えはあるまい。




そして今日は、最少国であるヒノモト国へわざわざ足を運んでいる。このヒノモト国であるが、他の3国に比べてあまりにも小さいためについ最近までは相手にもしていなかった国だ。ところが今のトノサマのケンとサイショーのトキ、この2人はなかなか侮れない。2人ともまだ若いが、頭も切れる上に度胸もある。このオレも一目置くほどの存在なのだ。




この2人たっての願いということもあり他の2国への説得の上、オレはここヒノモト国へ行くことにした。だが、オレは2人の顔を立てるためだけにヒノモト国へと訪れるわけではない。実は、強烈な理由が他にあったのである。そこへケンからお誘いを受けたものだから2つ返事で了承したというわけだ。もちろん、ケンもトキもオレの狙いを分かっている上で招待しているのも承知している。




「ジョージ様、ヒノモト国へ到着いたしました」

「うむ」



ボディガードの一人がオレに伝える。ステイツは大国ではあるが、他の国とは海で隔たっているため海路を行くことになる。ヒノモト国までの船旅は快適ではあったが2週間はちょっと長かったな。




「ジョージ様、お久しぶりでございます。この度は、ここヒノモト国までご足労いただきまして誠にありがとうございます」

「おおミスタートキ、出迎えありがとう」



促されるままに駕籠に乗り込む。この駕籠という乗り物であるが黒光りする豪華な外観といい、室内の内装のワビサビ具合といい、また乗り心地といい、全てがパーフェクトだ。以前どうしても欲しかったので、ケンに無理言って1つ貰ったのだった。その時、このミスタートキが是非にと2人の担ぎ手を付けてくれた。正直、オレの側近の方が筋肉ムキムキで小柄なヒノモト人よりも余程良い仕事をしてくれるだろうと高をくくっていたのだが、オレの側近たちはまともにこの駕籠を運ぶことさえ出来なかった。後で聞いた話によると、この駕籠の担ぎ手は今やヒノモト国でも貴重な人材でなかなか見つからないそうだ。そんな大切な人材をさりげなく贈ってくれる辺りが、また彼の凄いところなのだ。



「ジョージ様、どうぞお召し上がりください」



飲み物とお菓子が供される。ヒノモト茶とダイフクだ。それもヒノモト茶の中でも最上級のオウロというものらしい、コレは我々が普段飲むカウフィーの持つ香りと苦みとはまた違った魅力がありとても美味しい。また、このダイフクにもとてもよく合うのだ。



「うん?!」



なんと、あまーいダイフクの中にちょっと酸味の効いたストロウベリーが入っているではないか?ヒノモト国のお菓子と我が国の果物であるストロウベリーがコラボレーションをしている。一見、相容れないと思える両者だが一緒に味わってみると互いを引き立てあってダイフクの味をワンランク上の高みに引き揚げているのが分かる。なるほど、我々ステイツとヒノモト国の融和を示唆しているのだな。さすがはミスタートキだ、このさりげない演出がまた小憎らしいじゃないか。やはり侮れない人物だ。





「ジョージ様、EDO城に到着いたしました」




駕籠を降りてEDO城へと足を踏み入れる。このEDO城もまた良い、建物自体はもちろんの事、庭がまた趣があっていいのだ。ヒノモト庭園と言われる、その庭には見事に手入れをされた木々の中にきれいな池があり、真ん中には橋が架かっている。自然物と建造物が融和されるように、計算尽くされたその見事な配置はステイツの一流庭職人でもなかなかマネができるものではない。それだけではない、ヒノモト国民のホスピタリティがまたまた素晴らしい。元々小柄なヒノモト国の女性であるが、「三つ指ついてお出迎え」というのが実に男心をくすぐる、まあそれだけでなく細かな気遣いが随所に行き届いていて本当におもてなしをされている気分に浸れるのだ。やっぱりヒノモト国が開国してよかったなーと思う瞬間である。まあ、人間同士仲良くしないとな。



「こちらへどうぞ」



あれ?ヒノモトガールから案内されて通された部屋はいつもの大広間ではない。今から食事が供されるはずであるがここで食事をするのか?




そんなに広くない部屋の真ん中にカウンターがある。カウンターの奥には、ヒノモト式コックコートを着たシェフが立っている。うん?目の前に座れってことだよな?既に他の3人は着席している。今からこの4人で会談ってのに横一列に座るのか?とも思うがまあいいだろう。




「本日はスシを召し上がって頂きます」



オレが座ると、目の前のシェフが口を開く。え?スシだって?知っているぞ、あのライスボールの事だろ?以前ヒノモト国まで来たときに城下町の屋台で食べたな。まあ、まずくはないがこんな席で出すようなものじゃあないだろ、所詮ファーストフードなんだからな。ケンのやつ、どうしたんだ?今日の会談、自分が圧倒的に不利な状況なので投げやりになってるのか?今日のメンバーはそれぞれの国を代表するだけあって、超一流のグルメだ。チャンの国の料理は、オレも認める世界最高峰の水準だしダルの国は色々なスパイスを使った複雑な味わいのソースが絶品だ。そしてステイツは世界中の国から一流のシェフが集まってくるため、最高の料理がいつでも食べられる。そんなオレ達に果たして満足させられるものを提供できるのだろうか?



するとシェフがナイフを取り出す。ホーチョーというやつだな。ナイフとは言っても見事なもので刃渡りは30センチくらいありピカピカに磨いてある。まるで、ヒノモト刀のようだな。それを慣れた手つきで素材を切り分けていく。なるほど魅せてくれる。この演出の為のカウンターなのか。



お、次はライスを取り出したぞ。片手で器用に丸めた後に、先ほど切り分けた素材と一緒に成形し、最後に何かのソースを料理用ブラシで表面にコーティングする。




「どうぞ、そのまま手でつかんでお召し上がりください」



な、なにー?!ダルシム国なら、当たり前かもしれないが我が国ではそんな文化はないぞ。ちょっとマナー違反ではないのか?



ケンは言われるままに手づかみでその料理を食べる。それを倣いなかつ国代表のチャンとダルシム国代表のダルも口に運ぶ。しょうがない、オレもやってみるか。




「!!!」



う、うまい。なんだコレは!!思わず声が出そうになる。ライスはビネガーで程よい酸味が効いている。その上に乗っているのはなにか白身の生の魚だ。スシはツナが乗っているものだと思っていたがコレは別物だ。だが、各段に美味い。うん?何か清涼感のある中にピリっとするスパイスが使われているぞ。コレはホースラディッシュではない、ヒノモト国原産のワビサビか。コレによって魚の生臭さが完璧に消えている。



「次をどうぞ」



うん?次はまた違うものが乗っているぞ。コレはシュリンプだな。ボイルしてあってほんのり温かい。噛みしめると旨みが口の中いっぱいに広がってこれもまた美味い。



「お次は、こちらをどうぞ」



うん?なんだコレは?丸い身が2つ連なっている。食べてみると柔らかい肉質にまた違う旨みが広がる。これはシェルの仲間だな。



「シェフ、これは何だ?」

「コレはホタテでございます」



大きな貝殻を見せてくれる。なるほど、あの大きな貝の貝柱の部分を食べるのだな。ここで初めてシェフの顔を見るが、一般的なヒノモト国民と変わらない。これだけの料理を作る一流のシェフという感じではないな。



「サバでございます」



うむ、ピカピカに光っていてみるからに新鮮そのものだ。口に運ぶと程よい酸味と脂の乗った身に少しクセのある味わいがまた格別だ。




「煮アナゴでございます」



こ、これもまた美味い。非常に柔らかく煮込まれている身に味がよく浸み込んでいる。そして表面に塗られているソースが、コレはいまステイツでも人気のヒノモト国の照り焼きソースに似ているが味わいの深さがまるで違う。はああ、う、うまい。



するとシェフが手から火の玉を出す。うん?なんだ?何をする気だ?と、次の瞬間スシを燃やしてしまったではないか!なんて事をするんだ!




「炙りトロでございます」



ところがシェフのやつ、その燃やしてしまったスシをオレの目の前に置きやがった。え?食える訳ないだろうと思って見てみると、スシの表面にちょっと焼き色が付いているだけだ。なかなかいい色具合だな、まるでレアに焼き上げた最上のステーキの様な色合いだ。そう思って口に運ぶ。




「!!!!!!!!」




驚愕の美味さだ。今までのスシも美味いと思ったが、これはまた別格の美味さだ。とろける様な食感と芳しい香りがあふれ出る、そして少し火を通すことによって魚の脂が溶け出して口の中いっぱいに広がっていく。コレは、今まで食べたどんなものよりもダントツに美味い。



一緒に出されたヒノモト酒を飲む。う、うまい、やはりヒノモト食にはヒノモト酒がよく合う。それからも、色々なスシが出てくるがそのどれもに特色があり、その全てがうまい。さらに驚くべきことにそれだけではないのだ。なんとスシの順番まで考え尽くされていて、前後のスシが引き立てあって互いを高めており決して飽きさせない。まるでコース料理のように構成されているのだ。オレは夢中で出されるものを貪りヒノモト酒を流し込む。ふと横を見ると、チャンもダルも夢中でスシを掴んで口に運んでいる。



うん?ケンが何か言っているぞ、聖獣代表戦がナントカかんとか。こんな美味いものを食べている時に無粋なヤツだな。とりあえず、ここは一旦同意しておくか、チャンとダルもオレと同じ気持ちのようだ。







すると最後にケンがこう言った。




「じゃあ、聖獣代表決定戦はここヒノモト国で4年後に開催ということで決定だな」






うんうん、うん?

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