表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/310

第90話 あれ?ヒノモト刀はどうなった?

「え?ヒノモト刀?いやまだ出来てないんじゃ・・・」



ナリヒラさんは、オレの放ったスキルで気絶しちゃったからな。まだ刀を打つどころじゃないだろう。もちろんアイもそれは知っているハズなんだけど。いや、そもそも刀ってそんなに簡単に出来上がるものじゃないんじゃ?オレのイメージでは一か月とかかかりそうなんだけど・・・





『おい、シュウ今大丈夫か?』

『あ、ハチベエさん、おはようございます。昨日はどうも、今日はどうしたんですか?』



すると、いいタイミングでハチベエさんから念話が入る。オレは言い訳のようにアイに電話がかかってきたときのジェスチャーをする。現世でも、タマに帰る実家で母親に色々とうるさい事を言われている時に電話がかかってくると同じ事やってたっけなあ。母親のうるさい事とはつまりオレの恋人関係の話であるが、もちろんそんな相手などいるはずもないので返答にとても困っていたのだが。そう言えば、オレ結婚したんだったな。どうにかして母親に知らせたいのだが、今の状況だと難しいなあ。



『おっさんから連絡あってな、刀出来たってよ』

『はあ!?もう、出来たんですか?』



どうでもいいことを考えながらぼんやりとハチベエさんの話を聞いていたら、予想外の事を言われる。え?どういうことだ?なんで昨日の状態で、もう刀が出来ているんだよ。






「ほんとに出来てる・・・」




半信半疑のまま、ナリヒラさんの工房へ行くと本当にヒノモト刀は出来上がっていた。もちろん、カクさんの分もである。



「いやあ、久しぶりにいい仕事したぜ」



昨日、ハデにふっとばされたナリヒラさんであるが何事もなかったかのようにケロっとしている。満足そうにオレとカクさんにそれぞれ一振りずつ刀を渡す。



渡されるとズシリと重い。何というかその重量感が圧倒的な本物感を実感させる。とうとうオレも本物の刀を持つようになったか、ちょっと感慨深いものがあるな。恐る恐る、鞘から刀身を抜いてみる。ヒヒイロカネの刀身はきれいな緋色をしている。うお、めっちゃかっこいいな。



「どうだ、気に入ったか?」



ドヤ顔に多少イラっとしたが、それを打ち消すくらいの見事な出来だったので素直に頷く。

それにしても、一体こんな見事な刀をどうやったらこんな短期間で鍛える事ができるんだ?



「うん?そんなのオレのスキル、刀鍛冶を遣えば簡単に出来るぞ。昨日、お前にやられた後、目が覚めたのが夕方だったんだけどな丁度、晩飯の前にササッと作ってやったぜ」

「え?そ、そうなんですか・・・」



ナリヒラさんは、ドヤ顔で言うけどササッと作ったとか言われちゃったらなんか有難味が薄れるなあ・・・



「そんな事よりも、試し斬りしてみないか?」



え?試し斬りって巻き藁とかをスパって切るヤツだよね?あれ一回やってみたかったんだよなあ。



オレは、迷わず首を縦に振る。もちろんカクさんも試し斬りをする。そうしてまたみんなで道場に足を運ぶのだった。




「あれ?これは・・・」



道場には、試し斬りの用意がすでになされていた。高さ5メートル、直径1メートル程のぶっとい杉の丸太がセットされていたのだ。そう、オレもこの世界に来たばかりの頃、散々魔法の練習台になってもらった杉ちゃんである。



「おう、なかなかいい杉ちゃんじゃないか。こりゃー斬り甲斐があるぜ」

「そうだろう?せっかくいい刀を打ったんでな。とびっきりのヤツを用意したんだよ」



何と言うか、この世界では試し斬りや技の練習台には杉ちゃんを使うというのが定番になっているそうでそれを聞いて何か思わなくもないのだが、ここは郷に入っては郷に従えと言うし気にしたら負けなのである。



オレがまたまたどうでもいいことを考えていると、ヒノモト刀を抜いたカクさんは早速杉ちゃんに向かって斬りかかる。カクさんの刀はアダマンタイトで出来ていて刀身は漆黒だ。これはこれでかっこいい。



スパッ



咄嗟のことで剣術スキルを使ってなかったためもあるが、全く動きが見えなかった。次の瞬間、カクさんの足元にキレイにスライスされた杉ちゃんがトントントントンと無数に積み上がっていく。すげえ光景だ、こんなのマンガでしか見たことないぜ。



刀を鞘に戻したカクさんは、この結果に非常に満足気だ。うんうんと何度も深く頷いている。ようしオレもやってやるぜ。



「おいおい、お前の刀はヒヒイロカネ製だからな。魔法剣に適しているぞ、特に炎熱系と相性がいいぞ」

「え?そうなんですか」



なるほど、もっとファンタジーっぽいやつきた。オレは試しに軽く炎の魔力を刀に纏わせてみる。



「う、うわわわわわわわ」



なんと刀から高々と炎がほとばしり、その高さは天井まで達する勢いだ。ここは道場だから天井はかなり高く10メートル程あるのだが、それでも余裕で天井まで達するくらい炎の勢いは強い。やば、これ火事になるよね?



『ご主人様、ご心配には及びません。結界を張っておりますので存分に暴れて頂いて結構です』


ゴルが結界を張ってくれていたようだ。有能な部下を持って良かったなあ。確かに炎は天井まで達しているようだが、燃え広がることはなさそうだ。


「ようし、じゃあいっちょやってみるか」



刀にもう一度、魔力を籠めると炎は凝縮され刀身に集まる。きれいな緋色だった刀身は真っ赤な紅蓮に染まる。オレは刀を振り上げて杉ちゃんに向かって一直線に振り下ろした。




「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」



すると刀身から巨大な龍が飛び出してきた。全身炎に包まれたその体表は紅蓮のウロコに覆われている。



なんじゃこりゃー?と思うヒマもなく、その巨大な龍はその咢をぱっくりと開け杉ちゃんに襲い掛かる。そして憐れな杉ちゃんはあっという間に消し炭になってしまった。




「・・・・・・」



カクさんスケさんハチベエさん、ナリヒラさんは口をあんぐりと開けてその様子を見ていた。やべ、ちょっと調子に乗り過ぎてしまったようだ。




「なんていうか、おっさんシュウが本気で攻撃しなくて良かったな」

「おう・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ