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第79話 トキさんからの結婚祝い

「あのー、これは一体?」

「トキ様、手続き完了しましたぞ」

「ありがとうセバス。さすがに仕事が早いですね」



オレがまごまごしているうちにあれよあれよと話が進んでいく。話の流れからどうやらこの家をオレの結婚祝いにプレゼントしてくれると言うことみたいだが・・・



「トキさん、これはさすがに貰えないんだけど。お金なら出すからさ」

「気にしないでください。シュウさんは、今やこのヒノモト国最高権力者である殿の右腕。私がその方の住居を用意するのは当たり前の事なのですから」

「そんな事言ったって・・・」

「まあまあ、これからシュウさんには色々と働いて頂きますからね。これくらい安いものですよ」



え?こんな大豪邸に見合うだけの働きって?しかも安いものって言ってるんだけど。

まさか死ぬまでこき使われるんじゃ・・・



「ねえ、アイはどう思う?この家」

「うん、ウチはどこでんよかよ。シュウと一緒に住むんなら」



よーし、アイさんがそこまで言うのならここに住んでやろうじゃないか!

(そこまでは言ってないのだが)



腹を決めたオレは、でっかい玄関の扉をガラガラと引いて中へと入っていく。




「「シュウさん、久しぶりー」」



すると扉を開けた途端、オレの両腕に女の子が抱き付いてきた。



「あれ?キミタチは?」



漁師村で知り合ったサザエちゃんとワカメちゃんだ。2人ともとても可愛い女の子なのだが、コレはまずい。いや可愛いからこそまずいんだが。



「ちょ、ちょっと待って」



オレはなんとか離れようともがくが、2人ともオレの腕にしがみついて離れない。

女の子だからそれ程、力が強いわけではない。だが男のオレが本気で抵抗しているのに離れないとは2人とも総合格闘技かなんかやっていて関節技の達人に違いない。



「はうわ!!」



殺気を感じて視線を移すとそこには美しき魔物、メドゥーサが立っていた。いや違ったアイだった。いや違わないかも・・・



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・



本当にオレを石にしそうな勢いで睨んでいる。



そう言えばメドゥーサって元々人間だったって話だったよな。あまりにも美しすぎて女神の嫉妬を買ってしまい怪物にされたって聞いたような。


「だめですよご主人様の言う事を聞かないと、2人ともメイドさんなのですからね」

「「あれ?これじゃダメだった?」」


オレが現実逃避しているとトキさんが助け舟を出してくれた。2人ともやっとの事でオレの腕を放してくれる。ちょっと残念だがこれ以上アイを怒らせたくはない。オレは慌ててアイの傍に駆け寄った。



「あ、あの。アレは不可抗力なんだよ」

「その割にはすっごい嬉しそうな顔しとったやん」



言い訳をするがアイに言い返されて、何も言えなくなってしまう。今まで女の子に縁がなかったこのオレがこんな修羅場をやり過ごせるスキルなど持ち合わせているハズもなく黙って気まずい顔をするのみだ。




「はあああ、こんな時アイに言い訳を考えて貰えたらなあ。そうしたらアイも納得させられるのに」

「なんであんたの言い訳をウチが考えんといかんとよ!」



ああ、またやってしまった。思ったことが思わず口から出てしまった。アイは更に怒りのボルテージが上がり、目を吊り上げてオレのことを睨んでいる。つ、つらい。いっそ石になりたいと思うほどのプレッシャーをかけられている。



「奥様、私の不手際にて大変不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございませんでした」



するとトキさんとセバスさんが、2人揃ってアイに向かって深々と首を垂れる。それを見たサザエちゃん、ワカメちゃんも慌てて追従する。ここはオレも便乗するか。



「あ、あの・・・」


その場にいた5人の大人が自分に向かって深々とお辞儀をしている。元々極度のコミュ障であるアイはその光景に困って固まってしまった。



「実はこの2人は以前シュウ様から故郷の村を救ってもらったことがあり、命の恩人であるシュウ様と再会を果たしたもので感極まってあのような行動に出てしまった次第でありまして」



そこで絶妙のタイミングで言い訳を始める。命の恩人は言い過ぎなのだが、トキさんの話術により本当の話に聞こえるから不思議だ。声のトーン、話し方のスピードや表情、目線など計算され尽くされでいるのだろう。マネしようと思っても絶対できないということだけは分かる。



「はあ・・・」



畳み掛けられたアイはオレの方をちらっと見る。ここはトキさんの作戦に乗っかるべきだろう、うんうんと大きく頷く。



「そのような事情を説明してなかった私に全ての責任があります。なんなりと処罰をお申し付けください」



再度、深々とお辞儀をするトキさんにどんな対応をとっていいのか分からずにアイはアワアワしてオレの方に助けを求める視線を送ってくる。トキさんも人が悪いなあ、でも本当に助かったけど。



「あの、今度なんでも言うことをひとつ聞くから許して」



するとアイはにっこりと笑って頷く。


「うん、わかった」



その笑顔にほっとしながらトキさんの方をそっと向き頭を下げた。トキさんも気付かれないようにこっそりとウインクをして返す。本当に悪い人だ。




「それでは、遅くなりましたがお二人の紹介をさせて頂きますね。彼女達はこれからシュウさんのメイドさんとして働いてもらいますサザエさんとワカメさんです。今回、シュウさんのメイドさんを探していたら是非にと言うことでしたので、こうして来て頂きました」



「「よろしくお願いしまーす」」



サザエちゃんは茶色っぽい髪をポニーテールにしたグラマラスな女の子で、ワカメちゃんは黒髪さらさらな清楚系美少女だ。スタイルは、サザエちゃん以上に出ているところが出ているいわゆる我がままボディってやつだな。そして今気付いたが、2人ともメイド服を着ていた。



「それでこちらが、シュウさんの奥様であるアイさんです」

「ヨロシクオネガイシマス」



コニュ障のアイは小さな声でボソっと呟く。先ほどの件もあり、あからさまに警戒している。これはこの先、苦労するぞ。というかこの2人とうまくやっていけるのだろうか?







「きゃあああああ、カワイイ!お人形さんみたい!!」

「ほんと、髪もサラサラだし羨ましいー」




ところが、2人はアイを見るやいなや大興奮して駆け寄り、抱き付いたり髪に触れたりして大騒ぎを始めた。



「え?」


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