第72話 作戦会議?
ケン、トキさんとそれぞれ固い握手を交わす。2人の本気が手のひらから伝わってくる。いつもにこにこして穏やかなトキさんにそんな熱い気持ちがあることが分かり少し嬉しくなった。
「よし、これでオレ達は一蓮托生だ。シュウは晴れてオレの右腕となるって事でいいんだな?」
あ、そうか。そういうことになるのか。まあ、協力するって言ってしまったからな。
「うん。オレに出来る事なら協力する」
「よーし」
それを聞いてケンが満足そうに頷く。本当に嬉しそうだ。無邪気に笑うその姿を見ると最初の印象と違って年相応に見える。オレよりも若いのに、今まで相当な修羅場を潜ってきたんだろうな。オレはそう納得した。
「よーし、じゃあまずは女の子呼んで酒池肉林といくかああ」
「え?いや、それはまずいんじゃあないかなあ」
まじか?やはりお殿様はこんな事、日常茶飯事なんだな。まさかこんな体験できる日がくるなんて。オレは期待にドキドキしながら2人の方を見る。するとケンとトキさんはそんなオレの様子をみて、顔を見合わせて大笑いする。
「そうだよな、じゃあ辞めとくか」
「え?そう?」
え?なんで?やはり消極的な姿勢がまずかったのか?でも経験もないのにそんなにノリノリで答えられないよ。オレが残念そうな顔をすると更に大笑いする。いつもは冷静なトキさんまで、本当に楽しそうに笑っている。
「あ、ひょっとしてからかったの?」
なんだよお、期待して損しちゃったじゃないかあ。と思うが実はそれ程悔しくない。負け惜しみじゃない。なぜだろう?
「いや、そういうことじゃない。ホントにシュウが望むなら、さっきの女の子達を呼び寄せることもできるけど・・・どうする?」
うん?どういうことだ?担がれたわけじゃない?さっき「あーれー」とか言ってくるくる回っていた女の子を呼ぶって言っているのか。まあ、興味がないとは言わないが。
「そうだな。それはまたの機会にとっておくよ」
もう一度良く考えて断ることにした。オレは今までまともに女の子と付き合った事がない。そんなオレがいきなり女遊びをするのはなんか違う気がする。
すると、ケンがオレの首に腕を回す。プロレス技でいうところのチョークスリーパーだ。もちろん本気ではないから全然苦しくない。その体勢のままオレの耳元で囁く。
「お前、好きな女の子がいるんだろ?兄者は勘が鋭いからな、それでカマかけてみたんだよ」
「え?」
「ようし、シュウ。お前その子に自分の気持ち伝えて来いよ」
「え?え?」
話が急展開過ぎるが、なるほどそうか。そう言われて初めて女遊びに興味を示さなかった自分の気持ちが理解できた。この世界に来て色々な女の子と出会って話ができた。今までのオレの人生からするとそれでも十分に上出来なのだが、2人と話しているとそれだけじゃいけないと思えてくる。そして今のオレには、気になっている女の子がいるんだ。
「ありがとう。なんとか自分なりに頑張ってみるよ」
そう言えば、自分なんかが恋愛の事で友達と話すのも生まれて初めての事だったな。今まではそんな話をしている同僚や仲間たちの話の聞き役ばっかりだったが・・・
「よし、シュウからの報告を楽しみにしてるぞ」
「私も応援してますよ」
2人は、自分の事のように嬉しそうにしている。本当にオレの幸せを心から願っているようだ。こんなに応援して貰っては後には引けない。よし、人生初の告白をするぞ。オレは決意を固めて2人に力強く頷いた。
すると今まで黙っていたミツヒデさんが口を開く。
「上様、首脳会議に際しての作戦は練らなくてもよろしいのでしょうか?」
するとケンは自信たっぷりに答えた。
「大丈夫だ。全てシュウに任せたから」
え?




