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第62話 冒険者ランク昇格

「カクさん、スケさん、ハチベエさんお久しぶりです」



するとハチベエさんがいそいそとやってくる。



「聞いたぞ、「最後の洞窟」攻略したそうじゃねえか。もう超一流の冒険者の仲間入りだな。おめでとう」



右手を差し伸べるのでそれに応える。さすがハチベエさんは情報が速い。それにしても一体どうやってその情報を仕入れたのだろうか。




「もう完全に追い抜かれてしまったな」とからかうスケさんに「うるせえ、オレは戦闘担当じゃないからいいんだよ」とハチベエさんが返す。




「それにしてもすごい快挙だが、武勇伝を聞かせて貰えないだろうか?」




頭を下げるカクさんを慌てて止める。まあ、ダイゴロウさん達に話した程度なら問題ないだろう。





その前にする事がある。オレは隅の方で丸まって寝ているコタロウ達を呼び寄せた。

コタロウとコジロウ、それにガル、ギル、ゴルがやってくる。




「コタロウの弟コジロウと、ガルとギルとゴルです。オレの新しい仲間たちです」

「こ、こいつは驚いた。まさかサラマンダー?」



お、さすがに魔法に造詣が深いスケさんは良く知っているな。他の2人も驚きを隠せない様子で顔を見合わせている。




『おう、オレはガルだ。よろしくな』

『ボクは、ギルだよ。よろしくね』

『ゴルと申します。よろしくお願いします』



とそれぞれが挨拶をする。コジロウは念話を出来るのが知れ渡ると面倒なのであいさつは止めて貰った。




「ひょっとして「最後の洞窟」での戦果なのか?」

「あ、はい」



まあ、ウソではない。「最後の洞窟」の戦果でコジロウを召喚し、そのコジロウがガル達を召喚したんだからな。それよりも、本当の事をあんまし正直に言うと後々面倒だからな。





よし、紹介も済んだし話を始めるとするか。




「ういーーーっす」



とその時、扉がギイイイっと開き入ってきたヤツラがいる。タクヤとヤスとヒデだ。

3バカはオレを見つけると全速力で駆け寄ってくる。



「あ、アニキーー。シュウのアニキじゃないですかああ」



ところが、ガル達サラマンダーが近くにいるのを発見し驚いて腰を抜かす。




「あ、あわわわ。な、なんでこんなところにモンスターが?」

「ド、ドラゴン?炎のドラゴン?」

「に、逃げろー」




大騒ぎするのですぐに説明をしてやった。




「なるほど、さすがはアニキ。もうなんでもアリですね」




あっという間に納得してくれた。こいつらは見た目はいかついが、付き合ってみると意外と素直でいいやつらなんだよな。よし、では話を始めるとするか。






「シュウ君お待たせー、え?きゃあああああ、ドラゴンがいるーー!」




ところが今度はアヤ姉がやってきて、ガル達を見つけて大騒ぎを始める。やれやれ、また説明しなきゃな。




「さすがは、シュウ君ね」



アヤ姉もあっという間に納得してくれる。本当にヒノモト国民というのは、人の話を疑うってこと知らない人種のようだ。まあ、話が早くて助かるけどね。



そんなこんなで、わちゃわちゃしているウチにギルドには人が集まりだした。夕方になり酒場がオープンしたので食事にくる冒険者達だ。アルバイトの女の子達もいる。




「あ、丁度良かった。カクさん達もいるわね。シュウ君、ちょっと待っててくれる?」



再び話を始めようとするとそれを制し、アヤ姉はオレに目配せをして店の中央に移動する。





「みんなー、今日はとっても大事な話がありまーす」

「おう、なんだなんだ?」

「何があるの?」



ざわざわ・・・



大声を出すアヤ姉に冒険者達の視線が集まる。うん?一体今から何が始まるんだ?





「この度、このEDOギルドの冒険者で昇格した人がいまーす。こちらのシュウ君が、ゴールドランクに昇格しました。なんとシュウ君は、このEDOギルドに来てわずか3か月で昇格しました。コレはギルド始まって以来、歴代2位のスピード昇格でーす。では、シュウ君こちらに来て一言お願いします」




「うおおおおお、すげえぞお」

「かっこいいいい」

「すてきー」



その途端、あちこちから歓声が挙がる。みんなオレの昇格を祝ってくれている。オレの見た限り一人として妬んだり嫉妬している人がいない。本当に心から祝福してくれているようだ。ヒノモト国民、なんていい人達なんだ。それともこれが冒険者の気質なのか?




「あ、アニギイイイイイイ」



見ると横でタクヤが号泣している。ヤスとヒデも隣で抱き合って泣いている。こいつらもそうだ。まるで我が事のように喜んでくれている。



「あらあら、随分懐かれちゃったわね。このコ達、最初はシュウ君にケンカ腰だったのにねえ。でもね本当にいいコ達なのよ。シュウ君に絡んでいったのも心配の裏返しなのよね」



なんと、そうだったのか!最初にオレが高ランクの依頼を取った時、こいつらが絡んできたのは見慣れない新人を心配しての事だったのか。ところがつっぱった性格のため、あんな言い回ししか出来なかったと。



オレはなんだか胸がいっぱいになった。今まで生きてきて人に注目された事も祝福された事もなかったがこんなのも悪くないな。いや、それどころかとてもいい気持ちだ。




「えー。シュウです。今まで夢中でやってきたのでゴールドランクになれた実感はまだ湧かないのですが、これからもEDOギルドの冒険者として恥ずかしく無い様に頑張ります」



オレは一生懸命、自分の言葉でみんなに気持ちを伝えた。みんな真剣にオレの話を聞いてくれている。



パチパチパチ



誰からともなく拍手が起こり、それが次第に広がっていく。



パチパチパチパチ


パチパチパチパチ


パチパチパチパチ




みんな立ち上がって拍手してくれている。スタンディングオベーションだ。

オレはそんな人々に向かって深々とお辞儀をした。





「シュウ君はこれからも頑張ってね。それでは2人目の昇格者を発表しまーす。みんなご存じこのカクさんが今回、なんとダイヤモンドランクになりましたー」





え?カクさん?ダイヤモンドランク??





「うおおおおおおおおおおおお。ダイヤモンドランクだってええええ?」

「すっげええええええ」

「すてきー」




すると辺りは熱狂に包まれる。今までオレの事を称えてくれていたのに、みんなあっさり視線と声援を注ぐ相手をカクさんへとチェンジする。



そんな中、カクさんが静かに話を始めた。


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