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第61話 帰って来たEDOの街

「こんばんはー」



本当に久しぶりに冒険者ギルドの木製扉を開ける。 



ギィ・・・



中を覗くが珍しく誰もいない、まだ夕方だからかな。




「はーい」



すると奥からアヤ姉が出てくる。本当に久しぶりに会った気がする。そのせいだろうか、オレはドキドキしてまともに顔を合わせられない。アイは可憐な美少女だが、アヤ姉は色香漂う大人の女性だ。女慣れしていないオレにとっては、1対1で話す相手としては、なかなかハードルが高い女性なのだ。



「あら、シュウ君帰ってきたのね」



アヤ姉はオレの顔をみると急いで駆け寄ってくる。近くまで来ると「心配してたけど、大丈夫そうね」と顔を覗き込む。近い近い、顔が近いって。どうしてこの世界の女の人は、こんなに天真爛漫な人ばっかりなんだ。北東のギルマス、リサもそうだった。



「あ、はい。なんとか帰ってこれました」



オレは顔を赤らめながらやっとの事でそれだけ言う。するとアヤ姉はコタロウと一緒に入ってきたコジロウに目を留めた。



「あ、このコがコジロウくん?」



コジロウは、自分に視線が注がれるとその場にゴロンと横になりお腹を見せる。



「キャー、かわいい」




オレはネット情報で女子のカワイイは、自分をかわいく見せるためのテクニックって散々聞いて知っている。オレはその情報を見て「そんな女子には騙されないぞ」と思っていた。

が、実際に目の当たりにすると騙されてもいいかも。と思ってしまう。

それにしてもコジロウはズルい。ちょっとお腹を見せるだけで女子と簡単に打ち解けられるなんて。



『これが、コミュニケーションスキルだニャア』




得意気にイケメンなセリフを吐くが、ぽっちゃりしたお腹をなでなでされている今の状況に全然合ってねえよ。



オレは心の中で精いっぱいの反論をする。







「あ、「最後の洞窟」でゲットしたもの見せてよ」




ひとしきりコジロウのお腹を撫でた後、アヤ姉が思い出したように言う。

そんなアヤ姉のついで感満載な態度に釣られて、オレは無造作にゲット品をカウンターの上に置いていく。休みの日にちょっと遠くまで旅行に行ったので会社の人達におみやげを買ってきたって感覚だ。






まずはスノウクロコダイルのワニ皮を出す。


「あ、これいいわね。お財布とか靴とか、バッグにもなるし」



次は、ハチミツ。


「これもいいわね。キラービーのハチミツは栄養価が高い上に味もいいから非常食にもなるし、冒険者達には人気があるわよ」



続いてミスリル鋼。


「わー、これは凄いものゲットしたわねえ。これ欲しがる人多いから、かなり高額な値段つけられるわね」



あ、スノウクロコダイル(上)と(特上)を出し忘れていた。



「ちょ、これは凄いわね。初めてみたけど光沢がヤバイわ」



キラービーのナイトゼリーとクイーンゼリーと。



「え?なにこれ?キラービーの?こんなのあるなんて初めて聞いたわ」




アダマンタイトとイヒイロカネと。




すると段々アヤ姉の顔色が変わってくる。あれ?なんか顔が紅潮しているぞ。どうしたんだ?







「こんな伝説の金属とか引き取れるかーーーい!」



突然、アヤ姉がキレた。興奮してオレに詰め寄ってくる。またまたアヤ姉の顔がオレの間近に迫る。しかもそれだけじゃない、胸が当たってるんだって。これわざとか?わざとじゃないのか?



普通の成人男性なら、最高のシチュエーションなのかもしれないが女性経験がない上にヘタレなオレは自分の置かれている今の状況についていけないでオロオロするだけだ。



「だからあ、私だってみんなが何を持ってきてもいいようにいつも勉強しているのよ。頑張っているんだからね。でも、ヒヒイロカネなんて持ってこられたら」



アヤ姉は、早口でオレに向かってまくし立てる。同時にどんどん詰め寄ってくるので、ほとんど胸をオレに押し付けている感じだ。



「ねえ、ちょっと聞いてるのシュウ君?」



もう何が何やら分からなくなってしまったオレは、テンパってとんでもないことを口走ってしまう。





「オウフ、アヤさんの身体とっても柔らかいでゴザル」





なんて事だ。よりによって女子にオレはなんて事を言ってしまったんだ。最悪だ。

恐る恐るアヤ姉の顔を覗いてみる。アヤ姉は一瞬ぽかんとした表情の後、急に笑い出す。




「あははは、なあにその言葉遣い。へんなのー」



どうやらいつものアヤ姉に戻ってくれたようである。落ち着きを取り戻して詰め寄っていた距離を少し開ける。そしてオレの右手を自分の両手でそっと包み込み、上目遣いでじっと見つめた。



「ごめんね、あまりの事にびっくりしてテンパっちゃった。シュウ君は全然悪くないのに。こんなんじゃ私、ギルマス失格よね」



そう言うとアヤ姉はカウンターの奥へと消えていった。残されたオレは、思わず放ったオタク言葉をギャグと勘違いされた事にほっとしつつも、アヤ姉の柔らかい胸の感触を思い出していた。




「よお、シュウじゃねえか。なにニヤけてるんだ?」

「久しぶりだな」

「おう、久しぶり」




すると、カクさん、スケさん、ハチベエさんがやってきた。本当に久しぶりだ。


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