第60話 EDOへ帰る
「はあ」
電脳界からこちらの世界に戻ってきたオレは、ため息をついた。ついさっきまでの出来事が夢の中の出来事のように思える。
宇宙船のような室内、コーラとぽてちを食べたこと。そしてずっとAIだと思って話していた相手が現実に存在する超絶美少女だったこと。
それにしてもコジロウをこの世界に召喚してから、いろんな出来事が起こり過ぎて頭がパンクしそうだ。まずは起こった出来事を整理しないとな。
「コジロウ」
「にゃあ?」
その前にオレは疑問に思っていたことをコジロウに質問してみることにした。コジロウは智の賜物保持者だ。色々な事を知っていてもおかしくはない。
「この世界を統括しているのは神なんだろ?その神とはいったい何者か知っているのか?」
『知っているニャア』
やはり知っているのか。
「じゃあ、その正体を教えてくれないか?」
『それは出来ないニャア。いくらボクでもこの世界の理に逆らうことは出来ないんだニャア。でも、ご主人様がその正解に辿りつけるようにお手伝いは出来るんだニャア』
なるほど、やはりこの前9尾の銀狐が言っていた管理者ランクに関係しているのだろうな。
まずはオレもこの「管理者」になれない事には、この世界のルールも分からないって訳だ。
「じゃあ、オレが管理者になる「神託」を受けるためにはどうすればいい?教えてくれ」
『にゃあ、何もしなくていいニャア。ご主人様は、今のままでいずれ「神託」が降りてくるニャア』
うん?どういうことだ?「管理者」になれるのはうれしいが、何もしなくてもいいとは?そんな簡単な事で「神託」が降りるとはとても思えない。
「コジロウ、それだけじゃ分からないよ。せめていつ「神託」が降りるかだけでも教えてくれないか?」
『にゃあ、あんまり詳しい事を教えてしまうとご主人様に「神託」が降りなくなってしまうニャア』
なに?それは困るな。つまり、今のまま真面目にやってればいずれ「神託」は降りてくるって事で納得するしかないか。それにしてもコジロウは色々な事情が分かっている様だ。
ちょっと聞いてみるか。
「コジロウの管理者ランクは何なんだ?」
『ゴールドだニャア』
なにー??コジロウはゴールドなのか。うすうす気付いていたが、いざ聞いてみると少々ショックだな。だが、仲間が強いのは歓迎せねば。オレへの協力は惜しまないって言ってるしここは前向きに捉えよう。
結局、肝心なところはうまく誤魔化された感はあるが、これから明らかになっていくのだろう。オレは次の質問に移る。
「電脳族って人間と何か違うの?」
『基本的には変わらないニャア。例えば肉体の構造や身体能力は、人間とほぼ変わらないニャア。魔力についても同じで人間とほぼ同じ魔法を使うニャア』
そうなのか、電脳族はアイとおかんの2人だけしか会っていないがそんなに人間と変わらないように見えた。やっぱりそうなんだな。
ところがコジロウは『でも』と続ける。
『脳の処理能力については、人間よりもはるかに発達しているニャア。そしてその処理速度の速さゆえに精神世界である電脳界以外では生存できないのニャア』
つまりどういう事かと言うと、処理速度が速すぎて脳が物理的に耐え切れずオーバーヒートを起こしてしまうとのことだった。特にアイは、電脳族の中でも天才児と言われているくらいだから脳への負荷がその分大きくなり、物質世界では存在することも難しいだろうとのことだった。
「はあああああ」
それを聞いてオレはショックを隠せない。つまりアイはこっちの世界に来ることが出来ないってことだ。EDOの街をオレが案内したり、一緒にお茶したり買い物したり出来ないのか。もちろん、あんな超絶美少女とオレがどうにかなるなんて夢物語以外の何物でもないんだが、その夢さえも見れないなんて。まさに2次元の彼女って事か。
『にゃあ、ご主人様、どうかしたのかニャア?』
『なんか元気がないニャ、元気だせニャ』
『おいおい、ご主人様オレがついてるぜ』
『ついてるよ』
『ついてますよ』
がっくりとうなだれているオレの事を心配してコタロウやガル、ギル、ゴルも慰めてくれる。
そうだよな。オレにはこいつらがいる。現世でもコタロウとコジロウがいれば十分だったじゃないか。それ以上の事を望むなんて贅沢ってものだ。
「お前たちありがとうな。なんでもないよ。よーしそれではEDOに帰るぞ」




